スマブラ個人小説/シークの小説/カミオモ

Last-modified: 2011-04-29 (金) 05:45:08






『   巨大な戦争があった。
   それは巨大すぎる戦争だった。
   この世界は異常をきたし、時空間は歪んだ。
   私達はその歪みを、"亜空間"と呼んだ。
   私達の世界の事は、その歪んだ世界と区別するため、"この世界"と呼んだ。


   亜空間   。暗闇の世界。
   私達は、その世界に、彼を封じた。

   彼   『戦争を止め、生物の滅亡を防いだ者』

   彼は戦争をとめた。
   だが、私達は、自分達のしたことの過ちを知らなかった。

   「戦争をして何が悪い。」
   だから、彼を封じた。"この世界"に封印を施して・・・。
   彼は封印した後、皆から"タブー"・・・禁忌と呼ばれた。

   だが、私達はその後に、自らの過ちを知った。


   戦争が   闇が、世界を飲んだ時、何が起こるかを。


   私達は、彼に謝りたいと思うが・・・


   ・・・無理だろうな。

   私達が生きている内に、安全に亜空間に行く道具や、時空間を超える道具が出来るとは思えない。



   ・・・彼は、亜空間の中で何を思っているのだろう。

   怒っていなければ良いが・・・。   』











 亜空の使者から1年後。



 亜空間の中で、緑のローブをまとったものが、あるところへ向かっていた。
 向かっているのは、かつて"禁忌"がスマッシュブラザーズに倒された場所。



 目的の場所へたどり着くと、彼は言った。


「復活しなさい。」


 人間の声とも、機械音とも取れない声を彼が出した時、眩い光が一瞬だけ放たれる。
 亜空間がまた元の暗闇に戻ったとき、緑のローブの前には"禁忌"が現れていた。



 緑のローブは彼といくつか会話してから、消えてしまった。











「おーい、クレイジー。亜空間の見回りに行ってこようぜー。」


 白い右手のその問いに、左手は読んでいた古そうな何冊もの本を本棚に戻す。


「古い本だな。」


 題名のかすれている本を本棚に戻しながら、クレイジーハンドが答える。


「一年前に、見つけてきたんだ。さあ、亜空間行こうぜ。」





「特に何も無いようだな。」


 マスターハンドがのんびりとそう言った。


「それにしてもハイテクだな、亜空間は。」


 そう、クレイジーハンドが言った。
 亜空間には、亜空砲戦艦などを造ったガラクタ等がたくさん落ちていた。


「もしかしたら、亜空砲戦艦の試作品なんかもあるかもな。」

「そだな。んじゃ帰るか、マスター。」


 二人の手が亜空間から帰ろうとしたとき   



 突然、光の鎖が飛んできた!
 二人の手は、すぐさまそれを避けて、飛んできた方向を見る。

 するとそこには、一年前に倒したはずの、タブーが浮かんでいた。


「・・・!な、なぜ貴様ッ・・・!」

「久しぶりだな、マスターハンド。一年ぶりか?」


 マスターハンドは、内心焦っていた。

 OFF波動なんかを撃たれたら・・・!
 マスターのその心配の通り、タブーは虹色の羽を広げていた。


「クレイジー、逃げろぉ!!」


 そう叫んだと同時に、タブーがOFF波動を放ってきた。





    クレイジーハンドは、マスターハンドの声に反応し、咄嗟に逃げた。

 その後、フィギュアが床に落ちた音が亜空間に響いた。