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『 巨大な戦争があった。
それは巨大すぎる戦争だった。
この世界は異常をきたし、時空間は歪んだ。
私達はその歪みを、"亜空間"と呼んだ。
私達の世界の事は、その歪んだ世界と区別するため、"この世界"と呼んだ。
亜空間 。暗闇の世界。
私達は、その世界に、彼を封じた。
彼 『戦争を止め、生物の滅亡を防いだ者』
彼は戦争をとめた。
だが、私達は、自分達のしたことの過ちを知らなかった。
「戦争をして何が悪い。」
だから、彼を封じた。"この世界"に封印を施して・・・。
彼は封印した後、皆から"タブー"・・・禁忌と呼ばれた。
だが、私達はその後に、自らの過ちを知った。
戦争が 闇が、世界を飲んだ時、何が起こるかを。
私達は、彼に謝りたいと思うが・・・
・・・無理だろうな。
私達が生きている内に、安全に亜空間に行く道具や、時空間を超える道具が出来るとは思えない。
・・・彼は、亜空間の中で何を思っているのだろう。
怒っていなければ良いが・・・。 』
亜空の使者から1年後。
亜空間の中で、緑のローブをまとったものが、あるところへ向かっていた。
向かっているのは、かつて"禁忌"がスマッシュブラザーズに倒された場所。
目的の場所へたどり着くと、彼は言った。
「復活しなさい。」
人間の声とも、機械音とも取れない声を彼が出した時、眩い光が一瞬だけ放たれる。
亜空間がまた元の暗闇に戻ったとき、緑のローブの前には"禁忌"が現れていた。
緑のローブは彼といくつか会話してから、消えてしまった。
◆
「おーい、クレイジー。亜空間の見回りに行ってこようぜー。」
白い右手のその問いに、左手は読んでいた古そうな何冊もの本を本棚に戻す。
「古い本だな。」
題名のかすれている本を本棚に戻しながら、クレイジーハンドが答える。
「一年前に、見つけてきたんだ。さあ、亜空間行こうぜ。」
「特に何も無いようだな。」
マスターハンドがのんびりとそう言った。
「それにしてもハイテクだな、亜空間は。」
そう、クレイジーハンドが言った。
亜空間には、亜空砲戦艦などを造ったガラクタ等がたくさん落ちていた。
「もしかしたら、亜空砲戦艦の試作品なんかもあるかもな。」
「そだな。んじゃ帰るか、マスター。」
二人の手が亜空間から帰ろうとしたとき 。
突然、光の鎖が飛んできた!
二人の手は、すぐさまそれを避けて、飛んできた方向を見る。
するとそこには、一年前に倒したはずの、タブーが浮かんでいた。
「・・・!な、なぜ貴様ッ・・・!」
「久しぶりだな、マスターハンド。一年ぶりか?」
マスターハンドは、内心焦っていた。
OFF波動なんかを撃たれたら・・・!
マスターのその心配の通り、タブーは虹色の羽を広げていた。
「クレイジー、逃げろぉ!!」
そう叫んだと同時に、タブーがOFF波動を放ってきた。
クレイジーハンドは、マスターハンドの声に反応し、咄嗟に逃げた。
その後、フィギュアが床に落ちた音が亜空間に響いた。