アクジキング「なに! 飲むと満腹になれるドリンクじゃと!?」

Last-modified: 2017-10-14 (土) 14:20:35

カプ・レヒレ「最近巷で流行ってるのよ。小腹がすいた時にこれを飲めば空腹感が収まるからダイエットの味方だって」
フェローチェ「へぇ…… レヒレもいいもの見つけてきたじゃないの。私も最近外へ走りに行ってないから0,3キロ太っちゃって…… でもこれ本当に効果あるの? 」
カプ・レヒレ「効果はあるのでしょうけど……こういうダイエット食品に頼って運動をしなかったり食生活を見直さない人は焼け石に水で終わるでしょうね」
フェローチェ「やっぱり外に出て走ろうかしら?」
カプ・レヒレ「別にいいけど、人のいる道路で走るのはできればやめてほしいわ。フェローチェさんがダイエットのために走った次の日には、どこどこで200キロターボねーちゃんが出たって噂がアローラ中に何故か毎回広がるのよ」
フェローチェ「失礼ねぇ。人を目撃したら不幸になる妖怪扱いして」
カプ・レヒレ「と、とにかく…… このドリンクで満足してもらえる?」
フェローチェ「まぁ、しばらく続けてみるわ。効果が出れば嬉しいけど」

アクジキング「ん? 二人で何を話し合っておるんじゃ? む?そのドリンクはなんじゃ?美味そうじゃな」
フェローチェ「ダイエット食よ。キングもダイエットしてみたら?」
アクジキング「いやじゃ!いやじゃ!わしから食の楽しみを奪うつもりか!? ダイエットで夕飯抜きじゃと宣言されたらわしは何を楽しみに生きていけばいいんじゃ!?!」
フェローチェ「あんた夕食を食べるためだけに生きてたのか!!!」
アクジキング「む? しかしよく考えればまだ朝と昼と3時と深夜のご飯がまだあったのぅwwwww でも夕飯抜きは嫌じゃ!」
フェローチェ「呆れて言葉もでないわ……」
カプ・レヒレ「普通のポケモンだったらメタボまっしぐらの食生活ね」
フェローチェ「あんたは少しぐらい自分の体型を気にしたほうがいいわよ」
アクジキング「まぁ、多少は気にしとるぞ。たまに外に出してもらってウォーキングもしとるし」
アクジキング「運動した後の夕食の味は格別じゃしのぅwww 散歩大好きじゃ!!」
フェローチェ「あんたダイエットをなんだと思ってんのよ!!」
アクジキング「毎日10分のお散歩で体は健康! 飯が美味い!!!」
アクジキング「ダイエットってこういうもんじゃろ」
カプ・レヒレ「体の健康を考慮してやるっていう点はあってるけど……」
フェローチェ「ダイエットは美容のためにやる物でもあるのよ」
フェローチェ「あんたちょっとは外見を気にしたらどうなの……」
アクジキング「・・・・・・・・」
アクジキング「外見を気にしたら誰かにご褒美として美味いもん貰えるんじゃろか?」
フェローチェ「ダメだこりゃ……」

アクジキング「まあともかく、美味そうじゃからこれはわしがいただくわい!」ポイッ!ブチィ!ボリッボリッ!
フェローチェ「あっ!! ペットボトルごと口に放り込むな!!」
カプ・レヒレ「まってアクジキングさん!それは一日におちょこ一杯分飲むだけでいいドリンクなのに!」
アクジキング「もう食ってしまった後じゃ! なかなか美味かったぞwwww」
フェローチェ「貴重なダイエットドリンクをぉ…… もぉ……」
アクジキング「なるほど腹持ちがいいのはその通りじゃな。さっきのでお腹満腹になったぞ」
カプ・レヒレ「そ、そう………(大丈夫かしらあんなに一気に摂取して……)」
アクジキング「レヒレよ、どうしたんじゃ心配そうな顔してわしを見よって」
カプ・レヒレ「そのドリンクはね、一気に摂取するととても危険な薬品でもあるのよ」
アクジキング「なに大丈夫じゃwww 家一軒食っても腹すら下さんわしがジュースペットボトル一本分で死にかけるわけがないわいwwww」
フェローチェ「……ま、ほおっておいても問題ないんじゃないの?」
カプ・レヒレ「そ、そうねぇ…… 毒物や危険物を食べてもケロッとしている人だし……(でも、大丈夫かしら?)」



こうして、アクジキングが満腹になるドリンクを摂取し夕飯の時間を迎えたのだが


テッカグヤ「今晩はレヒレ殿以外の守り神は皆島の見回りをしておるのか……」
ウツロイド「そうみたいだね。 さみしいけどそれも守り神の仕事だから仕方ないよ」
ナマコブシ「今日もご飯が美味しいです! しかし今日はアクジキングさんはいないのですか?いつもなら一番夕飯の時間を楽しみにしているのはアクジキングさんなのに」
カミツルギ「おかわり!」
赤ウツロイド「カミツルギ、いくらニャヒートにチビだって馬鹿にされたからって食い過ぎれば太るぞ!」
カミツルギ「でも食べないと大きくなれないじゃん!」
ウツロイド「アクジキングみたいに太っても知らないよ」
ネクロズマ「………」
ネクロズマ「……レヒレよ、アクジキングはどこへ行ったのだ? あいつらしくもない」
マッシブーン「別の場所で食事でもしに出かけているんじゃないのか?」
カプ・レヒレ「その…… 信じてもらえないかもしれないけど聞きたい?」
ネクロズマ「信じてもらえない? はて?」
デンジュモク「拾い食いして腹でも下したんじゃねぇの? でもアイツに限ってそんな事はぜってぇあるわけねえな」
カプ・レヒレ「……その」
カプ・レヒレ「食欲がないから夕飯は食べたくないって………」

ウツロイド&赤ウツロイド「え?」
マッシブーン「なん…だと!?」
ナマコブシ「まさか!?」
デンジュモク「………嘘だろ……」
テッカグヤ「なんじゃと!?」
カミツルギ「うそ……」
ネクロズマ「!?」
フェローチェ「あれ、本当に効果あったのね」

カプ・レヒレ「だから言いたくなかったのよ!」

マッシブーン「ハハハ、そんなバカな。アクジキングはどこにいるんだ?」
カプ・レヒレ「アクジキングさんを様子を見に行きたい? 今どうしているのかしらね」
テッカグヤ「少し心配じゃな。夕食の残りだけでも持って行ってやった方が良さそうじゃな」
ウツロイド「心配だね」赤ウツロイド「そうだな…… よりにもよってあのキングの食欲がない、だぞ」
ナマコブシ「不吉ですね……アローラ全土が大寒波にみまわれる予兆でしょうか?」
マッシブーン「さすがにそんな事はないだろうが、笑い事では済まされないな」
カミツルギ「あ、ありえないよそんな事……で、キングは無事なの?」
デンジュモク「あんま見たくねぇがキングのとこへ行くか……」
カプ・レヒレ「そうね」
フェローチェ「まったく……」

赤ウツロイド「来たな、キングの部屋の前に」
カミツルギ「おーい!キング~ぅ! 起きてる~」
アクジキング「起き…とるぞ…… ふげっ!」
テッカグヤ「言葉に元気がないのぅ。 アクジキング殿や、夕飯を持ってきたぞよ~!」
アクジキング「今日はいらんわい………」


その場にいたフェローチェとレヒレ以外の一同「な・・・なんだってー!!」
フェローチェ「あ~らら。 トンデモ論理聞かされた後ポケモンは絶滅するんだよって告げられたような反応してるわね……」
フェローチェ「本当に凄いダイエットドリンクね」
カプ・レヒレ「みんな落ち着いて、とりあえずキングさんの部屋に入って直接キングさんの様子を伺いましょ」

カプ・レヒレ「……キングさん……失礼するわ、ねぇ大丈夫?」

ギィ……と扉が不気味にきしむ音と共に、レヒレが大きなポケモンでも通れる巨大な扉にネコ用のドアと同じ要領でついている普通のポケモン用の扉ををゆっくり開ける。するとその先には


心なしかしぼんだアクジキング「なんじゃ?」
ウツロイド「キングが……」
赤ウツロイド「やつれてやがる……」
デンジュモク「どうなってやがるんだ……」
カミツルギ「だ、大丈夫? も、もしかして……変な病気にでもかかっちゃったの?」
ナマコブシ「アクジキングさん大丈夫ですか? しなびたナスみたいになってますよ」
マッシブーン「レヒレ、これは何があったんだ?」
カプ・レヒレ「それはね…… 食欲を抑えるダイエットドリンクをアクジキングさんが一気飲み…というより容器ごと食べちゃったのよ」
カプ・レヒレ「その…… 最初はいつものキングさんだし問題ないわよねって軽く考えていたんだけど」
カプ・レヒレ「ここまでひどい状況に陥るなんて……」
ネクロズマ「一食抜いただけでここまで痩せ…てしまったと表現するよりしぼんでしまうとはな……」
テッカグヤ「いずれにせよ、このまま放っておくわけにもいかぬの」
ウツロイド「そのうちしぼみすぎてマッギョみたいにペチャンコになっちゃうんじゃないの?」
赤ウツロイド「アクジキングの体脂肪率にもよりそうだ」
ナマコブシ「遊園地や町内会のお祭りにある空気入れて膨らませるフワフワドームの空気を抜いた奴みたいにペッチャンコになっちゃうんでしょうか?」
ウツロイド「アクジキング 死因:飢え死によってペラペラになって脂肪……じゃない死亡」
赤ウツロイド「ひえぇ~」
ネクロズマ「お前らもっとアクジキングの様態を心配してやれ……」

マッシブーン「で、どうするんだ」
フェローチェ「食欲がないならどうしようもないわよ。逆にどうすればいいってのよ」
ナマコブシ「拒食症のアクジキングなんて、遺伝子組み換えされていないミュウツーと同じぐらい矛盾した存在ですよね」
ウツロイド「微妙にナマコブシはいつも不謹慎なこと言うよね」
赤ウツロイド「あんたもだろ」
ネクロズマ「いや、三匹揃って全員不謹慎な発言をする率が他のポケモン達よりも高いぞ」
アクジキング「あ"~~! 食欲がわか~~ん」
デンジュモク「おぅ……」
カミツルギ「ねぇ、さっきよりもキングがさらにしぼんじゃったような気がするけど」
アクジキング「ぁぁ……… ぁ…… ぁ…」
テッカグヤ「確かにのぅ。 どうすれば食欲を取り戻してくれるのじゃろうか?」
ウツロイド「うん! まずはキングが飢え死にしないように点滴をしましょう」
マッシブーン「まるで病人扱いだな」


ウツロイド「まずは水一リットルに対して砂糖40グラムに塩3グラムとそこにレモン汁少々と……」
ウツロイド「これを注射器で注入すれば何とかなるかも」
カプ・レヒレ「それ経口補水液だから血管にさして使う点滴にはできないわよ」
ウツロイド「あぁ駄目か……でもキングならたぶん大丈夫だよ。体も丈夫なポケモンだし」
カプ・レヒレ「そんな酷い事言わないの」
ウツロイド「冗談だよ」
ネクロズマ「本当に冗談だったのか?……」
カミツルギ「ねぇキング、これだったら食べられそうってものがあったら何でもいいから教えて!」
アクジキング「あ…… ああ…… あああ……」
デンジュモク「なんなら食べれそうなんだ? あ?あの付く食い物といやぁ…… アイスクリームか?アーモンドチョコか?アロス・コン・レチェか?アイアシェッケか?」
赤ウツロイド「デンジュモクが後半何の料理名を言ってんのか理解できん……」
ナマコブシ「たぶん甘いお菓子の名前なんじゃないでしょうか?」
ウツロイド「ナマコブシ、それで正解だよ。みんなお菓子の名前で合ってる」
ナマコブシ「やったー!」
ネクロズマ「お前らはいつからクイズ大会を始めたんだ……」
マッシブーン「で、なんなら食べれそうなんだ?」
アクジキング「あ…… あああ!! あああああ!!!」


アクジキング「ま、マンションの扉が食いたい…… あれなら口当たりも軽くて食える……」


デンジュモク「……あ行関係ねぇじゃねえか……」
カミツルギ「ただの木の板や鉄の板じゃダメ?」
アクジキング「ただの板じゃいかんのじゃ…… おふぇ! この老い先短いわしの願いを聞いてくれ……ゲホッゲホッ!」
アクジキング「マンションの安っぽい扉の歯ざわりと軽い感じがいいのじゃ……」
カミツルギ「あ、うん……(マンションの扉なんかのなにがいいんだろう?)」
マッシブーン「それにしてもマンションの扉か。そんなものおいそれと取ってこれる代物じゃないぞ」
フェローチェ「他人の家から盗んでくるつもり?」
マッシブーン「それしかないだろう」
フェローチェ「老い先短い老人の願いがマンションの扉を何枚も盗んで来いだなんて、前代未聞ね」
ウツロイド「わけがわからないよ」
ナマコブシ「よりにもよってマンションの扉が食べたい、ですからねぇ……」
カプ・レヒレ「もう仕方がないわ……私が何とか後で扉をくれた人に謝罪して回るから」ガサガサ
フェローチェ「あれ?レヒレそのボールもしかして」
カプ・レヒレ「出てきて助っ人!カポエラーさんドーブルさんストライクさん!」
デンジュモク「レヒレ、お前そいつら気に入ったんだな……でもストライク?そんな奴呼んだっけか?」
カミツルギ「あ、ストライクさんは僕のランドセル作ってくれたポケモンだよ」
カプ・レヒレ「だってあの三人ほれぼれするぐらい手際がいいんですもの/////」


そしてジョウトのどこかにて
カポエラー「今日の仕事はこれで終わりか」
ムウマ「ご苦労様、もう夜遅くなっちゃったね…… どこかに食べに行く?」
カポエラー「それもそうだ…」シュイン!
ムウマ「あら? ……え? カポエラーさんもう帰ったのかしら?」


ハッサム「オヤジィ、オヤジは毎回毎回ビール飲みながらスルメつまんでナイター中継見てるけど、そんな毎日繰り返して飽きたりせんのか?」
ストライク「飽きはせんな…… むしろこの上ない至福の時間だ」
ストライク妻「初物スイカ切れたわよ~」
ストライク「おぉ今い…」シュイン!
ハッサム「オヤジが消えた!?」


ドーブル「……あ、トイレの紙なくなっちゃ…」シュイン!


カプ・レヒレ「ごめんなさいいきなり呼んじゃって」
カポエラー「………………お、おう…… また……お前か……」
ストライク「お、おいこりゃぁ一体」
ドーブル「ちょうど良かったレヒレさん!トイレットペーパー持ってませんか?」
ウツロイド「全員お取込み中だったのかしら?」
赤ウツロイド「……キッドナップボールって容赦のない道具だな……」
ナマコブシ「はい!おトイレの紙です!」
ドーブル「あ、ナマコブシくんありがとう…… ってえぇ!僕はまた拉致られちゃったのですか!? しかもおトイレ中に」
カポエラー「だから気付くのワンテンポ遅いわ!!」
ウツロイド「犬だけに……」
ネクロズマ「上手く言ったつもりか?」


ストライク「で、俺達にどうしろって?」
カプ・レヒレ「その、アクジキングさんにも食べられる物を作って欲しいのだけれど……なんだかね、マンションのドアみたいなものなら食べれるかもって私達の感覚じゃよく分からない物を欲しがってるみたいで……」
テクニシャン三人組「……………………」

カポエラー「なあどうなんだ?……普段一緒にいるポケモンですら訳わかんねぇと言ってるのにんな注文に答えられるか?しかもマンションの扉だぞ!なんでんなもん食いたいなんて言い出すんだよ?」
ドーブル「まあ作ってみましょう」
ストライク「で、アクジキングってどんなポケモンなんだ?」
ドーブル「あそこで萎んでる黒くて大きな肉の塊ですよ」
カポエラー「……見ないうちにしぼんだな。死にそうじゃねえか」
ストライク「いやそっちの方じゃなくてどんな食性のポケモンなのかって知りたいんだが…… あ、ありゃひでえな」
カプ・レヒレ「アクジキングさんは何でも食べるポケモンよ。有機物でも無機物でもなんでもね」
カポエラー「なんでそんな何でも食う奴が食欲無くしてんだよ……」
カプ・レヒレ「お腹が満腹になるドリンクを飲んだせいなの」
ストライク「そんな飲み物が存在していたのか」
ドーブル「とりあえず、特製のお粥でも作ってみましょう」
マッシブーン「どんなお粥を作る気なんだ?」
ドーブル「おがくずを塗料と澱粉糊と一緒に大釜で煮た特製のお粥ですよ」
ネクロズマ「そういうのはお粥とは言わん」