良意味が分かると怖い話11-20

Last-modified: 2024-01-13 (土) 17:35:44

【階下の男】

 ある日の夕方、アパートの下の部屋の住人だという中年男が訪ねてきて、最近、足音がうるさいと言われた。
 もっとも「クレーム」という居丈高な感じではなく、玄関の前に立っていた男は、ずいぶんオドオドした様子で、
「文句って訳じゃないんですけどね……歩くなという訳にもいきませんしね……そこまでうるさいってことでもないんですが……すいませんね、できれば、ちょっとだけ気を遣ってもらえたら……」
 などと、もごもご愛想笑いを浮かべながら言うばかりだったので、こちらとしては「気をつけますね」と謝るしかなかった。
 腹は立たなかったが、とはいえ足音が響くような運動をしていたり、人を何人も招いたりした覚えはなく、文句を言われる心当たりはなかった。床や壁が薄いのだろうかと思ったが、俺自身は2階建ての上階のこの部屋に越してきてからの半年、隣人の生活音が気になったことは一度もなかった。
 それから1週間ほどして、また下の部屋の男がやってきた。変わらず伏し目がちでヘラヘラと笑いながら、
「足音、気をつけていただいてます? ……いや、怒ってる訳じゃないんですけどね、ただ最近、眠れなくて……私が過敏なんだと思うんですけどね……もう少し、どうにかできないかな、って……」
 と消え入るような声で言ってくる。少しイラっとしたが、相手の態度が態度だけに喧嘩もできない。いっそ、怒鳴ってでも来られた方が気分が良かった。
 次に下の男が訪ねてきたのは、その2週間後だった。大きな紙袋を抱えたその姿をドアスコープ越しに認め、ひとつ舌打ちして玄関を開ける。サークルの合宿帰りで楽しい気分だったのに台無しだ。
 男はまた、不格好な愛想笑いを浮かべた。
「あの……いい解決方法を思いついたんです……これ、」
 紙袋を俺の前に突き出す。中に入っていたのは、新品の分厚い防音カーペットだった。
「これ……部屋に敷いてもらえたらと思って……ちゃんとサイズは計ってます……ほら、真下だから間取り一緒でしょ?」
 俺に紙袋を押し付け、男は足早に帰っていった。
 調べてみるとホテルなんかで使われる業務用の高級品で、3万円もするものらしい。「気色悪い」より「儲かった」が勝った俺は、言われたとおり部屋にカーペットを敷いた。
 3日後、また荷物を抱えた下の男が俺の家のチャイムを鳴らした。その日、男が持ってきたのは壁に貼る吸音シートだった。ギターを弾く友人の部屋で見たことがあり、これも2万円ほどする値の張るモノだと知っていたのでありがたく頂戴し、部屋に取り付けた。
 あいつのお陰でクオリティオブライフがずいぶん上がってしまった。せっかくだから何か楽器でも始めようかなどと思っていた1週間後の夜、また部屋のチャイムが鳴らされた。
 「今度は何をくれるんだろう」とドアを開けると、今夜は紙袋も段ボール箱も持っていない下の男が、雨でもないのにすっぽりとレインコートを着て立っていた。
「部屋の中……見せてもらっていいですかね? あげたもの……ちゃんと使ってくれてるか……確認したくて」
 何万も散財してるんだから、それくらいの権利はあるだろうと俺は男を部屋に上がらせた。不思議なもので、何度も来訪を迎えているうちに、それほど彼を気味悪く思わなくなっていたのだ。
「ちゃんとマットも敷いてるし、壁だってほら」
 俺が言うと、男はニッコリと笑った。ふと……彼がずっと、右手をコートのポケットに突っ込んだままなのが気にかかった。
「良かった……この頃は足音もしなくなりました」
「そりゃ何よりです」
 俺は心から言ってやった。男は笑顔のまま、
「でもね……もう遅かったんです。2週間くらい前になりますか、再就職の面接で落とされちゃいましてね……あなたが真夜中までずーっとうるさくするから……一睡もできないまま試験に行ったんですぅ……」
 そんなはずはない。2週間前と言えば……ちょうど、合宿に行っていた頃だ。俺はそもそもこのアパートにも居なかった。男は続ける。
「分かってるんですよぉ? あなた、女房に頼まれて私の人生を滅茶苦茶にしようとしてるんでしょ? 足音だってわざとやってるんだ」
「ちょっと、何言ってるんですか?」
 俺は強張る頬で、無理に笑顔をつくろうとする。男は真っ黒な目でこちらを見た。
「だから解決方法はこれしかないんです。ありがとう、準備に協力してくれて」

解説

防音下で始末される。





【ホームパーティー】

俺の誕生日に、ホームパーティを開いたわけ。
その時、家の中で皆の写真をとってみたら、変なものが映っちゃったのよ。
背後の押入れから見知らぬ真っ白い顔して真っ赤な目の女が顔を出して、こっち睨みつけてんの。
これやべーじゃんってことで、霊能者に写真を鑑定してもらった。
そしたら、「この写真からは霊気を感じない。心霊写真でも何でもないよ。」だとさ。
あ~あ、ビックリさせやがって全く。

解説

本物の女が押し入れの中に隠れてる





【出会い系のSちゃん】

暇つぶしに出会い系を見ていたら、中学時代の友人だったSという子のプロフを見つけた。
HN、趣味などはテキトーだったが、写メを見た瞬間Sだとわかった。
△△市(私の地元)在住とあるので、間違いない。
Sは凄く美人で学年、いや、学校内でも有名だったっけ。
これは連絡をとらなくてはと思い、すぐに貼られていた捨てアドにメールをしました。
私『Sだよね?覚えてるかな、中学で一緒だった○○だよ』
すると、すぐに返事があった。
S『○○ちゃん?うわー懐かしい!』
私『あの掲示板で見つけてびっくりしたよ!変わってないね~やっぱり可愛いなぁ。
今はどうしてるの?』
S『学校に通ってるよ』
私『あっ、じゃあもしかして□□大学?たしかその大学目指してたもんね!』
S『そうだよ!』
私『すごい!!中学から成績優秀だったもんね~』
S『そんなことないよ。しかも最近、裏の道路が工事中で勉強に集中できないんだ』
私『裏の道路って□□通り?』
S『そうそう!なんか新しい店つくるみたい』
私『そうなんだぁ。コンビニの隣ってずっと空き地だったもんねぇ』
S『うん。○○ちゃん、よく覚えてるね』
私『だってSの家はしょっちゅう遊びに行ってたじゃん! 中学近かったし、隣の公園でサボってアイス食べるのとか最高だったよね(笑)』
S『これで分かった、ありがとう』

解説

メッセージのSはなりすましでSの個人情報特定された
(文章改変)





【新聞配達】

アルバイトで嫌な体験をした話。

5年前まで毎日、新聞配達をしていた。
担当のアパートに、ずっと新聞を届けていた老人の部屋があったんだけど、ちょうど梅雨明けの頃に変な臭いがして大家に連絡したんだ。

周りには迷惑な話だが、老人が孤独死していた。
死後二週間は経っていたらしい。毎日新聞をポストに投函してた間、 老人は一人で腐っていたのか……と思ってその時はぞっとしたよ。
警察にその時の状況とか、同じこと何度も聞かれて参ったわ。

解説

2週間誰かがポストの中身を抜き取って偽造している





さて、そろそろ出かけるか
時計を見ると昼過ぎだった
あー、まだ顔洗ってなかった
めんどくさいけど仕方が無い
洗面所の水を出してジャバジャバ顔にかける
洗顔料を指の上に乗せ、泡立てて顔に広げ
マッサージしながら洗う
コポコポと排水溝に流れていく水の音が響く
ちと水流しすぎたな・・・そろそろ洗い落とすか
手探りで水を探す
あ、あれ? どこだ? 手に水がなかなか当たらない
泡が目に入るのをこらえながら、直接目で探す
蛇口、蛇口・・・どこだ?
ああ、蛇口あった
蛇口をひねって水を出す
水を顔にかける・・・やっと洗い落とせた
顔にタオルをあて、水気を切る
あ・・・なんか洗面所の鏡見るのが怖いな
ヒゲまだ剃ってないけどいいや
そのまま逃げるように家を出た

解説

蛇口触ってないのに水が止まってる





【北斗七星】

俺はいつも三人の友達とふしぎな遊びばかりしてた。宇宙ごっことか心霊の遊びとか。
北斗七星を見ては宇宙にお前らと共に存在できてることに感動したりしたよな。
海へ遊びに行くときには、たらふくイカ焼き4人前食った大輔が車で吐いたよな(笑)
十分楽しかった。なにくわぬ顔で俺に教えてくれたあの言葉の意味・・。過去をばかり思いだす。
学校でテストがあったんだ解けない問題は1つもなかった。和美と大輔と啓太にカンニングさせたっけ。
小学6年の時には、神童とお母さんにいわれてたのに今じゃこいつらと同じ悪い仲間だね(笑)
2学期なっていろいろと、読書もするようになった友達達。俺も勉強いっぱいしてたんだよ本当は。
でも去年の成績は全然、俺らしくなかった。5問も間違ったのを大輔にバカにされた。
八月には、心霊スポットではしゃいで楽しかったらろ?あれは俺をバカにしたお前ら呪う為だったんだよ
でも、そんな友達もみんな死んでしまった。9月のころ交通事故で。呪いが強すぎたんだね

解説

各文章に実は数字が隠れてる。その順番に文章を並び替える



















学校でテストがあったんだ解けない問題は1つもなかった。和美
2学期なっていろいろと、 読書もするようになった友達達。俺も
俺はいつも三人の友達とふしぎな遊びばかりしてた。宇宙ごっこ
海へ遊びに行くときには、たらふくイカ焼き4人前食った大輔が車
でも去年の成績は全然、俺らしくなかった。5問も間違ったのを大
小学6年の時には、神童とお母さんにいわれてたのに今じゃこいつ
北斗七星を見ては宇宙にお前らと共に存在できてることに感動した
八月には、心霊スポットではしゃいで楽しかったらろ?あれ呪う為
でも、そんな友達もみんな死んでしまった。9月のころ交通事故
十分楽しかった。なにくわぬ顔で俺に教えてくれたあの言葉の意





【肝試し】

俺が小学生の頃の話。
俺が住んでいた町に廃墟があった。
2階建てのアパートみたいな建物で、
壁がコンクリートでできていた。
ガラスがほとんど割れていて、
壁も汚れてボロボロだったから、
地元の人間でもあまりこの場所に
近づくことはなかったらしい。

ある日俺は、友人と肝試しをすることになって、
この廃墟に行くことにした。
まだ昼ぐらいだったから、
建物の2階まで上がって建物を探索した。

そしたら並んでいる扉のひとつに、
文字が書いてあるものがあった。
友人と近づいて確認してみると、扉の前に
「わたしは このさきの へやに いるよ」
と書いてあった。
俺と友人は扉を開けて中に入り、
先に進むことにした。
歩いて行くと分かれ道に突き当たって、壁に
「わたしは ひだり に いるよ」
と書いてあった。
少し怖くなったけれど、
俺と友人はそのまま左に進むことにした。
すると両側に部屋があるところに突き当たって、壁に
「あたまは ひだり からだは みぎ」
と書いてあった。

友人はこれを見た瞬間に、半狂乱になって逃げだした。
でも俺はその場所にとどまって、
勇気を出して右の部屋に行くことにした。
部屋に入り進んでいくと、突き当たりの壁に
「わたしの からだは このしたにいるよ」
と書いてあった。 下を見ると

「ひだりの へやから わたしの あたまが
きてるよ うしろ みないでね」

俺は急いで、その部屋の窓から飛び降りて逃げた。
それからはもう、その場所には近づいていない。

解説

最後足元に体があって、多分最後文字が書いてあるんじゃなく直接声が後ろから聞こえてる





【電話】

夜居酒屋でバイトしてた頃、残業してたらいつもの電車に間に合わなくて、途中の寂れた駅までしか帰れなかった時があった。

その日は給料日前日で全然金なくて、始発出るまで公園で寝てたんだけど、寒さで腹壊しちゃってトイレに行ったの。

そしたら、少しして隣の個室に人が来たんだけど、何か電話しながら入ってきたみたいで話が聴こえた。

外からは車の音とかするんだけど、トイレの中かなり静かだから、相手側の声も微妙に聴こえたんだ。

「ん?うん、分かってるって。あはは!あ、ごめんごめん。何?」

『 ・ ・ なった ・ ・ いつか ・ ・ 』

「あぁ、そーだなー。大丈夫だって。気にすんなよ。え?おう。ぁははっ!やだよ。なんでだよ!ふふ。うん。そーなの?」

『たしか ・ ・ かけ ・ ・ し ・ ・ 』

「そうだっけ?おう ・ ・ あー、そうかもしんね。わり!ちょっと待ってて」

で、トイレから出ようとした時、

はっきり相手側の声が聴き取れた。

急に怖くなり駅まで走って、駅前で震えながらシャッターが開くのを待ってた。

ただ物凄く気味が悪くて怖かった。

思い出すとまだ夜が怖い。

解説

おかけになったでんわばんごうは げんざいつかわれておりません
ばんごうをおたしかめのうえ おかけなおしください





【警官】

私は仕事ですごく疲れ自分のマンションに帰ってきた。
高い階に住んでいるのでエレベーターに乗ろうとしたらすでに男が乗っていた。
男は帽子を深く被り顔を見せないようにして立っている。
「気持ち悪いなぁ」と思ったが仕方がないので軽く挨拶をして乗った。
男は返事もせずただじっとうつむいたままだった。
男は途中でエレベーターを降りた。降りる時に肩がぶつかった。
一応私は「あ、すいません」と謝ったが、その男は無視してまたさっきのように顔を見せないよううつむいたまま降りていった。
自分の部屋に帰り、少し落ち着いたところで何気なく男とぶつかったところを見てみると、結構派手に血がついていた。
「うわぁー、なんなんだ。気持ち悪い」と思ったがさほど気にせずにいた。

それから何日か後、突然部屋のインターホンが鳴った。『ピンポーン』「誰だろう。」とドアの覗き穴から見てみると警官が立っており、

「すいません、実はこのマンションで何日か前に殺人事件があったのですが、あやしい人物などを目撃されませんでしたか?」

と聞いてきた。

「あ、あの人のことかな」と思ったが、その時見ていたドラマがちょうどいいところだったし、仮に「見た」とでも言おうものなら詳しく聞かれてかなりの時間を割かれてしまうし、大変だと思ったのでドア越しに「いいえ、見ていません」と言うと、何事もなく警官は帰っていった。

それから次の日、テレビを見ていたらニュースである殺人事件のことを報道していた。
場所はこのマンション。あの変な男とエレベーターに乗り合わせた日だ。

「やっぱりあの日なにかあったんだ」もう犯人は捕まったらしい。
そのあとテレビに犯人の顔写真が映されて私は固まってしまった。


あの警官の顔だった。

解説

犯人が警官のふりして現場の目撃者を探してた。知ってると言えば殺されてた





【ヘッドフォン】

とある女性の話…
今私が住んでいる場所は特に曰くも無く、昔から我が家系が住んでいる土地なので
この家に住んでいれば恐怖体験は自分には起こらないと思っていました。
でもここ最近ですが、リビングにいると昼夜を問わず、 女性の低い声で鼻歌が聴こえてきます。
「ん~…ん~ん~…」
最初はよ~く耳をすまさなければ気づかないほどに遠くから聴こえてくるのですが、
放っておくとどんどん近づいてきます。
「ん~…ん~ん~…」
それでも放っておくと、意識を集中しなくても聴こえるほどに近づいてきます
「ん~…ん~ん~…」
なので私は、その声に気づいたらいつも般若心経の最後の部分を
繰り返し唱えるようにしています。(これしか知らないもので……)
とにかく般若心経の「ぎゃーていぎゃーてい」のくだりを唱え続けると、
声はだんだん遠ざかっていきます。
このリビングではテレビにも集中できません。
声が聴こえ始めるのは完全に不定期ですし、早く声に気づいて般若心経を唱え始めなければ、時としてそれは部屋にまで入ってきます。
「ん~…ん~ん~…」

そういえばこの前、大好きなバンドのニューアルバムが発売されました。
発売日を楽しみにしていたので、お店で買った時はもうテンション↑↑
さっそく家に帰ってヘッドフォンで聴いて、一通り聴き終え、
よかったな~と余韻に浸りながらヘッドフォンを取ったら耳元で




















「んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

って。