登録日:2014-06-12 (木) 06:00:00
更新日:2024-07-22 (月) 03:10:35
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Tag: 漢字 部首 ダブスタ 二重人格 日和見 しんにゅう しんにょう 日本語
辶(しんにょう/しんにゅう)とは、漢字の部首である。
一般的には「之繞」と書き、之の字に似ているからこう呼ぶようになったと言われる(諸説あり)。
ぐにゃぐにゃしていて書きにくい。おわり。
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ん? と思ったあなたは鋭い。
実はこの二字、しんにょうの点の数が違うのである。
【どうしてこうなった】
かつて、全ての漢字辞典、いや漢字文化のご先祖様である「康熙字典」では「二点しんにょう」を採用していた。
長らくそれが規範となっていたが、戦後の漢字教育では主に学校で教える漢字には「一点しんにょう」を使うことにした。
ただしそれ以外の漢字に関しては二点しんにょうのままで放置した。
それが悲劇の始まりだった……。
学校で教える漢字の数はその後文部(科学)省による何度かの制限改訂で増えたり減ったりしていく。
その中で新しく教える漢字に入ったものの中には、かつて二点しんにょうのまま放置された漢字も多かったのだ。
点の数で混乱が発生した結果、現在では西暦2000年の時点で教育漢字・人名漢字だったものは一点しんにょう、
それ以外の字は二点しんにょうで表記するのが一般的ということになっている。
なおどっちで書いてもいいけどどちらかといえば一点のほうがいいなという補足もある。ぶっちゃけ日和見である。
この日和見方針の煽りをもっとも喰らったのが「辻」の字で、一般的には二点しんにょうで書くことになっているにもかかわらず、
人名として書くときは一点しんにょうで書かなければいけないという意味不明な事態になってしまった。
【デジタル時代に入っても……】
上記のことはあくまで「手書き」の場合である。デジタル表記ならどちらかに統一したほうがいいと誰もが思うであろう。
だが実際は…ご覧のありさまだよ!
漢字をデジタル表記する手段であるJISコードは、当初すべてを一点しんにょうにする方向で進めていた。
だが2000年にマイナーな字は二点しんにょうのまま書くことにしようという方針が出たせいで、
このデジタル時代に同じ部首であるにもかかわらず二つの表記が混在することになってしまったのである。
なおこのことに関してJISやよりワールドワイドなUnicodeという基準では「包摂」という大人の事情を体現した方針により、
一点しんにょうと二点しんにょうは区別しないということに名目上なっている。例によって日和見である。
【アニヲタ的には】
一点だろうが二点だろうがそんなの関係ねぇ! と思うそこの貴方、ちょっと待ってほしい。
ひと昔まえにとらドラ!?という作品があったが、そのヒロインの名前はこんなのであった。
この「逢」という字、実は作中でも一点しんにょうの時と二点しんにょうの時があったりする。
これは印刷フォントに一点のものと二点のもので会社によって違いがあるからである。
なのでどっちも正しいしどっちも違うということになる。アーヤヤコシイ。
基本的に学校で習うような字は一点しんにょう、難しそうな字は二点しんにょうということになっているので、
ワナビ諸氏やMy嫁の名前を手書きで書こうとしている人はその辺りに気をつけていただきたい。
イカニモな名前のしんにょうが一点だったら漢字ヲタクに笑われます。
また、『之繞を掛ける』という慣用句が存在する。「程度を甚だしくする」「輪を掛ける」というような意味。
めだかボックスにおいて、『漢字使い』の叶野遂?が、自身の『言葉』を強化するために、
言に「しんにょうをかけ」た『這い這い』の姿勢を取っていた。
【その他】
かつて天下の朝日新聞は、自社の印刷字体を全部一点しんにょうに統一しようとした(朝日字体)。
だがデジタル表記ならともかく新聞でそんな事が受け入れられるはずもなく、
他の漢字に対しても過剰なまでの簡略化をしたことから批判されて結局元に戻してしまった。
お隣の中国はどんな字であろうが完全に一点しんにょうで統一されている。
この辺りデジタル時代になっても非合理的なシステムに縛られてイノベーションがろくに進まない日本という国と、
文化を大革命して過去のものをどんどんぶち壊していこうとする中国という国のお国柄が出ている……気がしなくもない。
『読み方が「にょ」だろうが「にゅ」だろうがどっちでもいい』という方、追記・修正おねがいします。