登録日:2009/08/08(土) 12:57:49
更新日:2024-03-13 (水) 21:08:37
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Tag: MGS メタルギアソリッド ザ・ジョイ 漢 漢女 真の主人公 真のヒロイン コブラ部隊 ラスボス 真の愛国者 英雄 自己犠牲 涙腺崩壊 パトリオット ひたすらに翻弄された人 蛇 ネタバレ項目 忠を尽くす ある意味一番の被害者 井上喜久子 無情の歓喜 ザ・ボス 悲運 時代の犠牲者 哀しき悪役 MGS3
ザ・ボスとは「メタルギアソリッド」シリーズの登場人物。
声優は井上喜久子氏。
【概要】
第二次世界大戦で活躍したコブラ部隊の元リーダーであり、「特殊部隊の母」と呼ばれる伝説の英雄。
ネイキッド・スネークの師匠であり、彼に多大な影響を与えた人物。
戦場で抱いた感情を自身のコードネームとするコブラ部隊では「ザ・ジョイ」と名乗り、その名の通り戦場では喜びを感じていたらしい。東側諸国からは「ヴォエヴォーダ」(ロシア語で「女戦士」の意味)と呼ばれている。
第二次世界大戦後にコブラ部隊を解散。
戦時中の伝説的な活躍からアメリカ政府から新たに「ザ・ボス」のコードネームを授与される。
その後は表向きには特殊部隊向けのオブザーバーなどをしていた。
厳格ながらも公正な性格で面倒見もよく、部下であるコブラ部隊員からは家族同然に慕われており、弟子であるネイキッド・スネークは師であり、母であり、恋人であったと表現している。
また近接格闘術であるCQCをネイキッド・スネークと共に開発しており、その腕前は後のビッグ・ボスであるネイキッド・スネークをも軽くあしらうほど。
人格、戦闘技術、身体能力いずれも傑出しており、心技体を極めた兵士の完成形とも言える人物である。
あとタキシードフェチ。
【経歴】
~METAL GEAR SOLID3 以前~
- 1922年、「賢者達」の一員の家系に生まれる。
- 1939~1945年、第二次世界大戦中にコブラ部隊を結成、ノルマンディ上陸作戦に参加し、暗殺や特殊任務で数多くの戦功を挙げ、連合軍の勝利に大きく貢献した。大戦中、ヨーロッパの戦場でコブラ部隊の一人ザ・ソローとの間に息子アダム(オセロット)が生まれるも、賢者達の組織員により、産後すぐに誘拐されてしまう。
- 1945~1949年、大戦後にはコブラ部隊を解散し、様々な部隊に参加する。中華人民共和国のチャームスクールでスパイを育成するなど、数多くの兵士を育成し、このときにEVA?も育成している。
- 1950年、朝鮮戦争に参戦。以降、ジョン(ネイキッド・スネーク)を弟子として10年以上かけて育てる。
- 1951年1月11日、ネヴァダ核爆弾実験に参加し、被曝する。
- 1960年、有人宇宙飛行計画「マーキュリー計画」に参加。
宇宙線遮断技術が不十分であった当時において、乗員の被曝は避けられなかったため、すでに被曝していたザ・ボスが非公式の有人宇宙飛行の実験体に選ばれた。(むしろ放射能は蓄積するとさらに危険)
実際はソ連の宇宙開発の調査任務でミスをしたため(本来それもCIAのミスである)で、モルモット同然の扱いだったことがMGSPWで語られた。
このとき、ザ・ボスは宇宙から地球を見て、世界を一つにするという夢を抱く。
だがこの実験はソ連のガガーリンの方がわずかに早く、しかもソ連が「地球は青かった」と喧伝したのに対し、ザ・ボスの乗った宇宙船は大破、彼女自身は半年間意識不明になり、なまじ生還したので美談にもできないと、全て闇に葬られた。
この一件は彼女に大きな影響を与え、様々な出来事や人物にその影響が波及していくことになる。
- 1961年、キューバでピッグス湾事件に巻き込まれる。アメリカ政府の裏切りでザ・ボスの指揮していた部隊は壊滅し、地下に潜る。
- 1962年、賢者達の命令でかつての恋人ザ・ソローと戦場で対峙、殺害する。これは先の任務で賢者達のネットワークを使ったためにそう仕組まれた。ちなみに彼の遺体はMGS3内でも確認することができる。
~METAL GEAR SOLID3~
・バーチャスミッション
1964年8月24日、ソ連領内に潜入しロケット技術者ソコロフのアメリカ亡命を手引きする「バーチャスミッション」にゼロ少佐の招聘で参加。FOXのサポートメンバーとして、弟子のネイキッド・スネークと(通信越しで)再会する。
「スネーク、まずはCQCの基本を思いだして」
以後、無線をすると武器やコスチュームのアドバイスをしてくれる。エロ本を持っていれば呆れ、タキシードを着ていると呆れ……でも嬉しそうでしたよね?
そして助言を求めると
「視覚、聴覚、嗅覚、全感覚を使って敵を察知しなさい」
「匂わないんだ」
「そう…あとはゲーマーとしての勘を信じなさい」
などのメタなアドバイスをしてくれる。
しかしミッション完了間近、突如としてスネークの前に姿を現し、ソ連への亡命を宣言。
スネークを叩きのめしてソコロフを奪回するとコブラ部隊を再結成し、無反動小型核弾頭「デイビー・クロケット」を手土産にヴォルギン大佐に合流した。
この時彼女が身に着けていたバンダナはスネークの手に渡った。
そして、渡したデイビー・クロケットは玩具を手にしたかの如く大はしゃぎしたヴォルギンの手によってソコロフ設計局へ撃ち込まれることとなる。
(後述するが、この事態はザ・ボスにとって想定外だった)
ソ連はこの事態を「領空侵犯の航空機(スネークを迎えにきていた)を発見したこと」「使われた核兵器が米国で開発されたモノだったこと」から「アメリカによる核攻撃」と断定。
報復措置の発動――事実上の核戦争に向けた準備を始める。
一方のアメリカ側は「この件はザ・ボスの単独犯行である」ことを主張。
両国首脳の協議の末、ソ連は潔白の証明として「ザ・ボスの抹殺」をアメリカに要求した。
そして、バーチャスミッションの失敗から一週間後……
・スネークイーター作戦
アメリカ政府は身の潔白を証明し、ソ連との全面核戦争を回避するためザ・ボス抹殺作戦、スネークイーターの発動を決定。ネイキッド・スネークはFOXの名誉を挽回し、裏切り者となったザ・ボスを殺すためソ連領内へと再び潜入することとなる。
ザ・ボスはグロズニィグラードでヴォルギン大佐の「賢者の遺産」のありかが記されたマイクロフィルムを入手し、最愛の弟子であるネイキッド・スネークに最期の戦いを挑む。
(この直前のデモでザ・ボスはグロズニィグラードにデイビークロケットを発射したような描写がある。おそらくは諸々の証拠とシャゴホッドを消し去るためだと思われる)
赤外線ゴーグルがあると便利。逆にこちらも白系の迷彩服にスノウペイントなどを施すとカモフラージュ率を高くでき、距離をとってしゃがみ以下にしておけばザ・ボスに見つかりづらくなる。
オヤマやゾンビで代用するのもいいが、ボスを倒す前に戻しておかないと感動のデモシーンが台無しになる。
ワニキャップやサルのお面を着けたりすると叱られる。
離れて木の陰からうかがっている時は狙撃銃やRPG-7等で攻撃できる。RPG-7は木を吹き飛ばすことも可能。
背後からのストーキングに成功すればCQCも可能だが、動き回りスネークの察知力が高いザ・ボス相手には現実的ではない。
また、仮死薬を飲んで隙を突こうと思っても無理矢理起こされるので不可能。
- CQC
ダッシュ接近してCQCをかけてくる。タイミングよく○ボタンを押すとCQC返しで無力化でき、ザ・ボスを一定時間行動不能にできるが、慣れない内は難しい。
それが失敗してもレバガチャで攻撃を阻止できるが、ローリング以外の攻撃をすると返り討ちにされる。
また接近中は1発目のRPG以外はほぼ全ての攻撃を避ける。
CQC返しのタイミングは『腕を掴まれた瞬間』(判りにくい場合は、『ザッ!』という音で判断すること)。
CQCを食らうと倒れ、骨折になる。さらにCQC可能な武器以外を持っていると武装解除させられるため、攻撃前に外しておくこと。
銃はともかくフォークやハンカチなんてどうやって分解したのだろうか…
ちなみに、このCQC返しはボタンを押すタイミングによって4パターンあるが、!マークの有無で判別出来る難易度以外では狙って出すのはかなり難しい。(いずれも立ち位置が変わるだけで同一効果である)
- パトリオット
ザ・ボスが特別に作らせた「この世に二つと無い携行兵器」。
M16(作中当時はXM16)のストックを取っ払い、銃身を短く切り詰めて無理矢理ハンドガンサイズにしたもので、ハンドガンの取り回しの良さとライフルの破壊力(ストッピングパワー)を併せ持つ。
ただしバレルを切り詰めた分反動が凄まじく、常人ではまともに狙うこともままならない。曰く「狙いにくさを火力で補う」タイプの銃である。
銃本体よりも大きなキンタマガジン100連装ツインドラムマガジンから撃ち出される弾幕のパワーは凄まじく、気付かれているとほぼ全ての攻撃が弾幕で弾かれる。SAAの跳弾まで弾く。
このマガジンは給弾機構が∞の形になっているので弾数も無限というドレビンも納得の謎技術により、弾切れを起こさないと言う公式設定である。
唯一弾かれない、というか二週目以降こちらもパトリオットをオートで撃ち続けるとたまにダメージが入る。
食らうと銃創になることがあり、吹っ飛ぶ場合も。
前述の通りバレルを切り詰めているので反動はかなりのものだが、彼女は片手でこれを使ってCQCをする。
BIGBOSSですら晩年までこの銃を使ってのCQCは出来なかったようだ。
こいつらほんとに人間かよ……。
なおこのカスタムカービン自体は主にライフル規制を切り抜けるための方策として実在しており、それらは「パトリオット・ピストル」と呼ばれる。
- カウンター
パトリオット掃射中にCQCをこちらが掛けようとしたり、こちらがCQC返し成功後に拘束しようとすると、カウンターCQCを食らう。当然ながら食らえば骨をバキバキ折られるので気をつけよう。
CQC返しをしようとして◎ボタンを早く押しすぎた場合に食らうことも多い。
ちなみにこのステージでは、ここでしか手に入らない「ソリッド」「リキッド」「ソリダス」という三匹の白蛇がいる。美味すぎる!
スタミナキルするとコスチューム「SNAKE」を入手出来る。どんな場所でもカムフラージュ率が一定になるが、使えるのは二週目以降となる。
短くも互いの全てをぶつけ合うような死闘の末、ザ・ボスは「賢者の遺産」とパトリオットをネイキッド・スネークに渡し、彼女が愛し、武器を与え、技術を教え、知恵を授けた彼に全てを託し、彼の手によってその生涯を閉じた。
最期の言葉にはどんな想いが込められていたのか。それが分かるのは決闘の当事者達だけなのだろう。
大半のプレイヤーにはお分かりだろうが、彼女はアメリカを裏切ってなどいない。
ヴァーチャスミッション時、アメリカ政府はかつて大国の指導者達が秘密裏に積み立てた莫大な資金である「賢者の遺産」を、現在の持ち主であるヴォルギンから奪取しようとしていた。ザ・ボスの裏切りはヴォルギンへ近づくためであり、偽装亡命であったのだ。
しかしヴォルギンの暴走により事態は全面核戦争の危機にまで発展、収拾にために彼女は自らの命を差し出さなければならなくなった。
スネークイーター作戦の真意は、アメリカの無罪を証明し、アメリカに賢者の遺産をもたらすために、ザ・ボスを生贄に捧げるというものだった。
任務のためとはいえ、長年戦場で共に戦った部下を欺き*1、その上自らが手塩にかけた弟子に殺されるという常人であれば到底耐えられない責務を課せられたが、彼女は見事に任務を全うした。
アメリカの潔白を示さなければならない立場上、ザ・ボスが自ら真実を語ることは許されない。
しかし、軍人としてではなく、女としてネイキッド・スネークだけには真実を伝えたい、そして記憶の中に残りたいという願いから、EVAに真実を全て打ち明ける。
EVAを通して、歴史には記憶されることのない、彼の心だけに残す「帰還報告(デブリーフィング)」を果たしたのだった。EVAは彼女の愛した男へと語る。
アメリカでは売国奴、ソ連では核を撃ち込んだ凶人として歴史に名を残すことになってしまったものの、彼の記憶にはそう残ることはなくなった。
しかしこの一件が、彼を後の事件へと向かわせる事になる。
もし彼女が生きていたら、生きて無くとも英雄として讃えられていたなら、彼等はあのような事件を起こさなかったのかも知れない。
ある意味この事件が後の事件の全ての原因だと言えよう。
MGS3の物語はザ・ボスを越える者、ビッグボスという空虚な称号を得、ただ一人残された蛇が、売国奴の汚名故に無縁墓地にひっそりと建てられた墓に敬礼を捧げて終わる。
その墓に刻まれた墓碑銘は、ただ一言。
「全ては最初から仕組まれていたのだ。ヴォルギンが核を撃つことも、ザ・ボスが死ぬことも――」
「そしてスネーク。お前があの地で何をするかも!」
実はバーチャスミッション~スネークイーター作戦までに起きた出来事は最初からザ・ボスを抹殺するためにCIAによって計画されていたものだった。
あまりにもカリスマ性が強すぎる人物なザ・ボスの影響力を恐れたCIAは彼女を公然と戦犯者にして闇へ葬り、文字通りに始末したのである。
上記の「マーキュリー計画」の項にもあるように当時のCIAは宇宙開発の調査任務を行っていたザ・ボスの功績を横取りしたり、引き継いだ任務のミスの責任を彼女に全て擦り付けるなどといった卑劣な行為を幾度も行っている。
ザ・ボス自身はそうした仕打ちを受けても誰も恨みもせず献身的であり続けたものの、CIA側が「自分達はザ・ボスに恨まれているのではないか?」と勝手に邪推していたことも考えられ、余計に彼女の存在を恐れて脅威とみなした可能性もある。
そもそもザ・ボスはマーキュリー計画での生還後は表向きこそ英雄として扱われるものの、実際は裏の真実を知る政府関係者やアメリカの賢者達にとっては既に「生ける亡者」として扱われており、存在そのものがアメリカの威信を揺るがしかねない厄介者でしかなかったのだ……。
人生最高の追記・修正にしよう!