ファンネル(ガンダムシリーズ)

Last-modified: 2024-03-31 (日) 21:07:36

登録日:2023-07-10 (月) 06:34:13
更新日:2024-03-31 (日) 21:07:36
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Tag: ファンネル フィンファンネル ビット ガンダムシリーズ 漏斗 オールレンジ攻撃 遠隔攻撃端末 ニュータイプ ニュータイプ専用機 サイコミュ サイコミュ兵器 「放熱板が何だってんだ!」 キュベレイ サザビー νガンダム クィン・マンサ 脳波コントロール 何故かなかなか立たなかった項目 ありそうでなかった項目 武器項目 架空の武器 ガンダムシリーズの○○項目 ファンネル・ミサイル AR攻撃 宇宙世紀 クシャトリヤ ファンネルをよけながら取り付けます 遠隔操作




行けっ! ファンネル!!


ファンネルとは、ガンダムシリーズに登場する兵器の一種。
本項では、その原型となったものや派生兵器もまとめて取り扱う。

▼概要

「ファンネル(英:Funnel)」とは、本来は船舶の煙突、または口の小さい容器に液体等を投入しやすくする為の円錐状の道具、即ち「漏斗」を意味し、
ファンネルを初めて装備したMS・キュベレイが装備するファンネルは正に「漏斗(ファンネル)」状の兵器であった。

ファンネルはニュータイプ?が放つ脳波をミノフスキー粒子を介させる事で、意思によって機械を操作する機構を用いた兵器、所謂サイコミュ兵器の一種である。
ミノフスキー粒子は無線通信を阻害するためにその散布下での遠距離通信は不可能であるが、
ファンネルはニュータイプの感応波を利用し、そのミノフスキー粒子を利用して操作を行う事で遠距離操作を可能としている。
それ故に、当然ながらオールドタイプには使用不可能であり、ファンネルは常に「ニュータイプ専用機の武器」である。

そして、多数のファンネルの同時操作による「オールレンジ攻撃?」は、ニュータイプによる別格な戦法の1つとして確立していく。
先読みと共にニュータイプの優位性を示す代表的な能力として知られている。

ビットからファンネルへの進化

ファンネルの原型はU.C.0079にロールアウトしたモビルアーマー(MA)・エルメスが装備していた兵装ビット?である。
しかしこの武装はまだまだ黎明期だった事もあってビット単体でも非常に大型(実に8m以上)と運用に難を抱えている他、
サイコミュシステム自体の小型化も進んでいなかったため、運用する母艦のサイズは肥大化せざるを得なかった。
このビットとサイコミュシステムの小型化に成功した成果がファンネルである。

先ほど述べた通り、ビットは全長約8.4m(18m級MSの腰辺りまでの高さ)もあったのに対し、ファンネルはジェネレーター等を排する事でなんと人間とほぼ同サイズにまで縮小している。
「サイコミュによって遠隔操作されるビーム砲台端末機」という利点を継承しつつ、通常サイズMSに多数搭載できるようになったのだ。
MSとして見れば特に大型の部類ではないキュベレイでも最低10基*1、量産型キュベレイに至っては30基も装備しているほど。

ちなみにビットを十数基格納するエルメスはメガビーム砲部分を除いたデンドロビウムより大きい
本来はそれほどのサイズになるシステムをMSで運用できる程に縮小したというのは大きなブレイクスルーという他ない。
また小さい分、ファンネル本体への被弾率も大きく下がっていると見られ、更に軽量な分、機動性も大きく向上している。
軽量化の恩恵は数だけでなく包囲を保ったままあの漏斗型のどこに横方向への推進機があるのか高速で回り込むなど小回りの利く動きも特にキュベレイに特徴的である。

一方、当然ながら小型化によって弱体化した点もある。
ファンネルの稼働エネルギー……特に武装であるビーム用のエネルギーはMS本体からファンネル側のE-CAPにチャージされた分に留まるため、1回の射出当たりの攻撃回数・稼働時間で劣り、こまめに回収してリチャージを行わざるを得ない。
火力もMS用兵器として見れば大した事はなく、採用されているのは概ね光束の太い粒子ビームではなく線状の細いレーザー状ビームである*2
数値的にはキュベレイのファンネルの出力はハイザックマラサイの「BR-87Aビームライフル」の6割程度でしかなく、キュベレイから8年前のMSであるジムが装備する「BR-M-79C-1 ビームスプレーガン」より威力は低い。
クシャトリヤ?のファンネルも、MS用シールドであれば問題なく防げ、スタークジェガンの増加装甲も単射では貫けない程度である。
そのためOVA等描写が細かい映像作品では精密性を活かして「コックピットや関節等の急所を打ち抜く」「スラスターや兵装の誘爆を狙う」「一斉射・集中射・長時間照射で火力を補う」といった工夫が見られる。

ビットとファンネルの違い

ネット上では「ジェネレーターを搭載しているフィン・ファンネルやマザーファンネルは厳密にはファンネルではなくビットに分類される」という謎の注意書きがよく見られるが、
そもそも初出のファンネルは「ファンネル・ビット」もしくは「ファンネル型ビット」であり、最初からビットである
従ってジェネレーターを内蔵していようがいまいがビット以外の何物でもない
ジェネレーターの有無がファンネルの定義だとする出典も不明である。

作品においても、パイロットによってビットと呼んだりファンネルと呼んだりマチマチであり、区別しているような様子はない。
ビットを小型化したキュベレイのファンネルは確かにジェネレーターを搭載していないのだが、それは別にファンネルそのものを決定する要素ではないというべきか。
「ファンネル」という単語がオールレンジ攻撃を用いる兵器の総称として一般名詞化したために起きた誤解と考えられる。

地上での使用

搭載機の登場が番組後半になってからが多いこともあって、『機動戦士ガンダムΖΖ』までそもそも重力下に登場しなかったり、
地上で使うシーンが出てくる作品が『ΖΖ』や『ガチャポン戦記』を始めとしたSDガンダム世代などのコミカルな作品が多いこともあり、
ファンネルが地上(1G下)でも使用可能かどうかについては、作品毎の制作年代によってまちまち。
とはいえ、概ね「不可能ではないが、十全には機能しない」という描写となっている。

『ΖΖ』最終話では、コロニーの重力区画でのΖΖガンダムとの戦いでキュベレイが使用したが、動きがどうも直線的であった。
決着後、ΖΖのパイロットであるジュドー・アーシタ?は「なぜもっとファンネルを使わなかったのか」と問いかけているが、
キュベレイのパイロットであるハマーン・カーン?自身はこれに「一騎討ちと言ったろ」と返しており、重力の影響なのか、それとも敢えて彼女が使用を控えていたのか*3は不明瞭である。
機動戦士ガンダムUC』では、クシャトリヤがコロニーでファンネルを使用する描写が存在するが、
地上スレスレで常に補助スラスターを吹かし続けて姿勢を維持するというジタバタもがくかのようないかにも苦しそうな挙動を取っており、
劇場アニメ版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ?』においても、『SDガンダムGジェネレーションシリーズ?』以降のΞガンダムペーネロペーの設定を踏襲して、
「地上でのファンネルの運用は困難」という前提から逆算する形でファンネル・ミサイルを「地上用ファンネル」として設定している。
実際、小さいとは言っても人間大の金属の塊であり、かつ小型な分推進剤搭載量が少なく、デザイン的にも空力を全く考慮されていないファンネルを1G下で長時間滞空させるのは、
宇宙空間で使うより多くの制限が付き纏うのは想像に難くなく、妥当なところと言えるだろう。
一方、エルピー・プル?プルツー?がリフレクター・ビットで跳ね返してきた自身のファンネルの一斉射撃に対し、
即座にファンネルを精確に射線上に移動させ、盾代わりにする事で全弾防御するという高等テクニックを見せている。
使用者次第で地上でも非常に精密なコントロールが可能なのは疑いがないだろう。
重力下での使用例がネオ・ジオンに偏っているので、アナハイム?の方針として地上では使わないことにしている可能性もあるかも知れない

▼劇中での活躍

ファンネルが劇中に初登場したのは『機動戦士Ζガンダム』で、アクシズのフラッグシップMS・キュベレイが初めてファンネルを装備したMSである。

『ΖΖ』でも相変わらずキュベレイ系やクィン・マンサ?が装備している他、ゲーマルク?も「マザー/チルドファンネル」という派生型を装備している。
また、この時期にはオールドタイプでも使用可能な準サイコミュ兵器「インコム」が登場している。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でも新生ネオ・ジオンのニュータイプ専用機にて装備されている。
ただし、一度に十数基装備する事が主だった以前に対し、この時代におけるMSのファンネル搭載数は10基未満が主となっている。
また、地球連邦軍にも「フィン・ファンネル」を装備したνガンダムが登場し、初めてファンネル同士のぶつかり合いが描かれることとなった。
連邦・ジオン共にファンネル搭載フラグシップ機が投入されるという、ある意味では「最もファンネルが戦場で幅を利かせていた時代」である。
ただしこの時代のMS用ファンネルは円錐というより円筒状が主となっており、フィン・ファンネルに至ってはもはや漏斗どころか変形まで行う異質な形態
ここに至り、ファンネルは漏斗(ファンネル)状だからファンネル」なのではなく、「NT用遠隔攻撃端末だからファンネル」になったと言える。
ファンネルは漏斗か円筒形しかないと考えていた(小説版では「知らなかった」と明記)せいで勝てていた強敵に不覚を取った人もいた

『閃光のハサウェイ』の時代には従来の移動砲台とは大きく性格が異なる「ファンネル・ミサイル」が新たに登場している。
しかし以前のような「目玉機能」的存在ではもはやなく、数ある武装の一つくらいの立場に落ち着いている。
またこの時代以降、ニュータイプという概念そのものが忘れられかけていく事もあってか、ファンネルは登場する事自体が減少していく*4
U.C.90年代が全盛期であるなら、U.C.100年代は衰退期であったと言えよう。

対抗策が編み出されたことも衰退の一員であるらしく、小説版『UC』では対ファンネル戦術も登場している。
兵士がネット弾をファンネルに向けて発射し、絡め取ったファンネルを地面に叩きつけて無力化するというもの。
性質上重力下でなければ使用できないものと思われるが、限定的とはいえ生身の兵士にすら対策されている。

▼派生型

リフレクタービット

サイコガンダムMk-Ⅱシャンブロ?に装備されているファンネルの派生種。
自機の発射したビームを反射させたり、敵のビーム射撃を反射させる事で敵機の死角からの攻撃を可能としている。
サイコガンダムMk-Ⅱの物は普通に地上でも運用可能*5
シャンブロの物はローターによって浮遊するため1G下でも問題なく使用可能であるが、ローター駆動故の制限がある。

インコム

『ΖΖ』で初登場。搭載しているのはMS型武器庫ことドーベン・ウルフ?もっとも、『ΖΖ』本編中では未使用に終わったが
後に『ガンダム・センチネル』にて主役機のSガンダム?及びライバル機のガンダムMk-Ⅴ?の武装として採用されており、
宇宙世紀の歴史上では、こちらの方が先に登場した事になっている。
無線操作であるファンネルに対してこちらは有線式であり、オールドタイプ用のサイコミュシステム「準サイコミュ」を用いて操作する。
勘違いされがちだが、基本的には「有線サイコミュ兵器の形式の一つ」であり、ファンネルのような有線サイコミュ兵器全てを代表する語ではない。

円盤型もしくは円筒型の本体を射出し、チャージされたエネルギーでビーム射撃を行う点まではファンネルと変わらないが、
有線故に方向転換の際に指令用ワイヤーが弛んだりしないよう、「リレーインコム」と呼ばれる中継器を方向転換地点毎のワイヤーに置く必要がある等、
無線かつパイロットの脳波が届く範囲ならば自在に動かせるファンネルと比べると、挙動の自由度は大きく劣る。
ただし、それでもファンネル同様のオールレンジ攻撃をオールドタイプでも再現可能という点においては非常に有用な武装と言えよう。

とはいえ、使用回数には厳しい制限がある他、一定数攻撃を行う毎にワイヤーを巻き取って再チャージする必要が出てくるのだが、
その軌道は射出した時のそれを辿るため、敵に自機(本体)の位置を察知されてしまい易いというリスクもある。
また、同じ有線式サイコミュ武装である有線メガ粒子砲(有線アームなど)の類に比べると、小型で無線式に近いレベルで動かせる自由度がある反面、
無線式並に武装の出力面では劣る上、小型故に搭載できる推進剤量も少なく、継戦能力にも劣るという欠点がある。

ビーム攻撃の代わりにIフィールドを展開する機能を持ち、自身の発射したビームを偏向する事でトリッキーな攻撃を行う事を想定した「リフレクターインコム」という更なる派生型もある。
こちらはリフレクタービットと異なり敵のビーム射撃の反射防御機能は持たないが、ゲーム作品だと自機のビーム反射の再現が難しいので専ら敵のビーム反射用になっている。

マザーファンネル/チルドファンネル

ゲーマルクに採用されている入れ子式のファンネル。
「母ファンネル/子ファンネル」という名の通り、母機に当たる大型機の内部に、子機に当たる小型ファンネルを14基格納したもの。

マザーファンネルという母機にして中継器を介する事で、従来より大幅に広い攻撃範囲を獲得している。
マザーファンネルも大型サイズに加えジェネレーター搭載という事で、その出力は本体に多数装備されているビーム砲の一部をも凌駕する。

なお、マザー・チルド共にその形状は箱型に近い。
『ΖΖ』終盤という時点で既に「ファンネル=漏斗型」という図式は崩れかかっている証左と言える。

フィン・ファンネル

νガンダムが装備している。『逆襲のシャア』制作時点におけるガンダムタイプが初めて装備したビット兵器
ヒレ状(フィン)ファンネル」という名の通り、本体装備時はとしか形容しようが無いという他に類を見ない独特の形状をしており、ギュネイ・ガス?には初見時に放熱板と誤解された。
使用時はコの字型に折れ曲がる事で開放バレル式メガ粒子砲を形成するのが特徴的。更には攻撃だけではなく一定数の組み合わせでバリアの展開まで可能とする多機能ぶり。
小型ジェネレーターを装備している事で火力・稼働時間共に従来より大幅に向上しているとされ、特に稼働時間の長さはギュネイが思わず毒づく程*6
なお、νガンダムに装備されているものは急造品故に本体に戻して推進剤の再チャージを行う事ができない使い捨てである。
その為ファンネル自体もファンネル同士で直接くっ付いている(リチャージ可能な機体のファンネルはファンネルコンテナやラックに直接接続か格納されているケースがほとんど)。

福岡に設置された実寸大νガンダムには、建築基準法、そうでなくても強い勢力を保ったままの台風の玄関口に背中に帆を掛けたような20m超の立像なんて置いておける訳がないという大人の事情により、
「ロングレンジ・フィン・ファンネル」と呼ばれる更なる派生型が設定されている。
もはやファンネルどころかフィンですらない、巨大な開放バレル式ビームランチャーにサイコミュを装備させたものと言うべき代物で、
設定上、νガンダムが大幅な予定前倒しで投入された事で間に合わなかったプランの一つという事になっている。

『逆襲のシャア』制作当時は地球連邦軍の兵器開発史にいきなり出現したようにしか見えないフィン・ファンネルであるが*7
後年の後付けによりガンダムデルタカイ等が「プロト・フィン・ファンネル」を装備しており、これらの試作を経てνガンダムで実装された事になっている。
なお、デルタカイのプロト・フィン・ファンネルには折り畳み機構がなく、コの字型形態で固定されている。

Hi-νガンダム?が装備しているフィン・ファンネルについては、νガンダムの物からブラッシュアップされ、専用のファンネルラックへ再接続、推進剤の再充填*8ができるようになっている。

一部の設定で第五世代MSとされるゾーリン・ソールのファンネルである「ゾーリン・ファンネル」は、νガンダムのフィン・ファンネルの構造を進歩させて機体の小型化を行ったファンネルとされている。

これまでインコム系やリフレクタービット程度の運用実績しかない連邦軍から突如斬新なものが出てきた印象があり、
Gジェネ?オリジナル機体?にはフィンファンネルのルーツを意識したような機体が見られる。

シールド・ファンネル

ユニコーンガンダム?系統で使われたファンネル。1号機と[[3号機(フェネクス)>ユニコーンガンダム3号機"フェネクス"]]が使うが、その在り方は全く異なっている。

  • ユニコーンガンダム(1号機)
    あらかじめ言っておくと、こちらは正式な名称ではないどころか、ぶっちゃけて言うとそもそも(本来は)攻撃用の武装ですらないのだが、
    コレと相対したシナンジュ?側のモニターでは「ファンネル」と識別されていた他、各種資料でもファンネルと呼ばれている為にここに記載。

    ユニコーンガンダム専用シールドは内部にサイコフレームとIフィールド発生装置が組み込まれているのだが、
    『UC』終盤、ニュータイプに覚醒したユニコーンのパイロット・バナージ・リンクス?の高まった感応波にシールド内のサイコフレームが共振し、
    それによって本来推進器など付いていないこのシールドが、単体で推進力を得てファンネルのようにバナージ(ユニコーン)に遠隔操作されるという謎の現象が起こった。
    さらには、νガンダムのフィン・ファンネルバリアのように、3枚がフォーメーションを組んでバリアを発生させるという意味の分からない性能を見せ、
    ニュータイプとサイコフレームって何でもありだなと思わせるトンデモっぷりを見せつけた。
  • ユニコーンガンダム3号機"フェネクス"
    こちらは設計段階から武器として組み込まれており、背部のアームド・アーマーDEを射出し、サイコミュで遠隔操作する形を取る。
    メガキャノンによる射撃だけではなく、シールドらしくIフィールドによる防御や直接打突による攻撃も可能になっている。

ファンネル・ミサイル

Ξガンダム・ペーネロペー等が装備している。
従来の「遠隔ビーム移動砲台」から大きく様変わりし、「サイコミュ誘導式ミサイル」とでも言うべき代物となっている。
前述の通り、劇場アニメ版『閃光のハサウェイ』は「ファンネルは地上では使えない」ものとして制作されており、ファンネル・ミサイルもそれに倣った設定となっている。
恐らくは「通常のファンネルのように推力で浮かせるにもリフレクタービット(シャンブロ用)の様にローターで浮かせるにも、『地上用ファンネル』は満足の行く兵器にはならない」
「ならばいっそ、ファンネルの原理を利用したミサイルにした方が早いし強い」といった思想で開発されたものと推測される。
また、明確なファンネル・ミサイルではないが、およそ10年前の『UC』時点においてクシャトリヤ・リペアードが、
連邦に鹵獲され満足に整備できなくなったファンネルにシュツルムファウストの弾頭を取り付けることで、宇宙空間ではあるが用兵上は同一の兵装として使用している。

ちなみに、富野由悠季による原作小説では『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』でα・アジール?が「脳波コントロールできるミサイル」を使用するなど、
『閃光のハサウェイ』以前の作品からビットやファンネルにはみなビーム砲タイプとミサイルタイプがあるのような描写が存在しており、
Ξガンダムやペーネロペーに搭載されているのがファンネル・ミサイルという扱いになったのはゲーム作品に登場してからである。
なので、本作で「敢えてファンネルではなくファンネル・ミサイルを搭載した意義」を論ずるのは筋違いかも知れない。

ヒルト・ファンネル

ガンダムF90?ミッションパック?の一つである、Nタイプの構成装備の一つ。
ヒルトとは武器の柄のことであり、その名の通りビームサーベルのビーム刃を発振し、さながら『機動戦士ガンダム00?』シリーズのGNファング?のように突撃して切り裂くことで攻撃する。
ビームサーベルとしてももちろん使用可能。これにより、どのミッションパックとの混載を行ってもあらゆるレンジでの戦闘を可能にしている。

フェザーファンネル

ディビニダドコルニグス?等、一部の木星帝国?MSが装備している兵器。
(フェザー)」の名の通り、その外観は正しく「羽」。「先端からビームを撃つ羽ペン」といえば大体合ってる。
攻撃方法はビーム砲と、それ自体の突撃による切り裂き。基本的に使い捨て。
コルニグスが使用する物は地上でも使用可能だが、静止しているシーンが存在しない。

『Gジェネ』オリジナル機体のフェニックスガンダム?も同じ名称のファンネルを装備している。
と言っても名前と羽根状のファンネルということ以外に共通点はないが、フェニックスガンダムの設定的に参考にされた可能性はある。
F以降はどのシリーズにでも出てきて最序盤に手に入ることも多いため、特に宇宙世紀の機体がほぼない『クロスレイズ』ではファンネル系特殊台詞を聞くために重宝された。

ダガーファンネル

バロック?の対大軍用装備形態メルト・バロックに装備されたファンネル。
全長50mを超える巨大な外装に22機が搭載され、サイコミュによって操作される。
ガンダリウム合金で作られた巨大な刃に推進器とサイコミュ機器を取り付けただけというシンプルなものだが、
高速で襲い掛かる巨大な質量兵器というシンプルな攻撃を防ぐのは難しく、素早い機体が避けるのでようやくといった具合。
メルト・バロックに再収納して推進剤を補給することも可能。というよりメルト・バロックがこのファンネルの運用に特化した形態と言って良い。

MSに搭載できるサイズにまでビットを小型化したファンネルが、逆にMAサイズの機体に搭載されてファンネルも大型化するというのは皮肉なものである。

アナザーガンダムにおけるファンネル

Cファンネル

機動戦士ガンダムAGE?』に登場。ガンダムAGE-FX?が装備している。
「初期型は円錐状だったこと」に起因するネーミング故にか、遠隔攻撃端末が登場しても「ビット」or他の名称にされる事が多かった中、
アナザーガンダムとしては初めて「ファンネル」と冠したオールレンジ攻撃兵器
宇宙世紀ではないため、従ってサイコミュ兵器ではないが、やはりXラウンダー?専用武器である。
砲台ではなく「実体剣にして実体盾」というダブルオークアンタ?の「GNソードビット」に近い性質の兵装であり、ガンダムAGE-1スパロー?のシグルブレイドを単独飛行できるようにしたような代物。
極めて堅牢であると同時にヴェイガン系MS?を容易く切り裂く切れ味を持つ。

「初登場時点で板状なのに名前は『漏斗(ファンネル)』」という不自然性は当然ながら放送中は視聴者からの指摘が相次いだが、
小説版?にて実際にキオ・アスノ?もこの点を指摘しており、「『開発当初は本当に漏斗状であり、当時の開発コードの名残』『開発者の名前がファンネル博士だった』など諸説あり(要約)」と補完された。

バリエーションとして『機動戦士ガンダムAGE UNKNOWN SOLDIERS』ではラ・グラミス戦後に6番目に作られたとされる「Aファンネル」もある。
こちらは超大型化したため搭載数は少ないが、ドッズキャノンや大型ビームサーベルとして使えるビームトーチ、果てはカメラアイや多数のセンサーと、サブウェポン扱いしている割には充実しすぎている。

スカート・ファンネル

ガンダム Gのレコンギスタ』に登場。G-ルシファーが装備している。
登場から数年で主兵装から補助武装となったファンネルだが、約1000年越しに今一度主兵装として復活した。
腰部に装備された3基の巨大なハサミ状ユニットがそれであり、「ビットを小型軽量化させたもの」だったファンネルが今一度ビットに回帰したような代物。
ビーム砲6門とメガ・キャノン1門を備えるかなりの重武装型であり、射撃だけでなくビームサーベルの発振も可能で、おまけにバリアまで展開可能と、
遠近・攻防が一体となった複合武装にして攻撃・防御の要というファンネルとして見ればかなり特殊な形態となっている。

ソード・ファンネル

こちらも『Gのレコンギスタ』に登場。ジャイオーン?が装備している。
GNソードビットやCファンネルのような「剣型端末」が宇宙世紀に逆輸入されたような代物。

背部に装備される大小6基のアームのうち、小型アームの先端を分離させたものであり、ビームサーベルを発振させた状態での突撃やビーム射撃が可能。

ファンネル

機動武闘外伝ガンダムファイト7th?』に登場。エレメントカオスの尻尾の蛇腹部分が分離して飛ぶ。
モビルファイター?の装甲を劣化させ、動力システムを侵すアブドメンビームを発射する。
起動時にカオスが「ファンネル」と呼んでいるが、設定資料などは公開されていないためファンネルが正式名称なのかは不明。
本編のローゼス・ビットと比較すると、ビットとファンネルの大きさの関係が逆転している。

ドラグーン・システム

ガンダムSEEDにおけるファンネル相当の兵装ネットワークシステム。
複数の小型端末を量子通信で制御し、多方向からのビーム砲で攻撃・動力源は無いので定期的に帰還させてエネルギーと推進剤を充填する必要があり、名前こそファンネルと付いていないが実質的に同質の兵器。
詳細は項目を参照。

▼ゲームでの扱い

『VSシリーズ』のような3D戦闘、『Gジェネ?』『スパロボ?』等のシミュレーション系等、ジャンルを問わず大抵強力な武器として扱われる。
主に前者ではプレイヤーの直接射撃以外に敵機を包囲しオールレンジ攻撃を仕掛けられる点、後者は威力や射程距離の優秀さで知られる。
パイロットの能力に差があるゲームでは「ニュータイプ」技能を所持することか「NTL」「覚醒値」といったステータスが0ではないことが使用条件であることが多い。
当然ながら、技能レベルが高いほど威力や射程距離がアップする。
特に『F.IF』以前のGジェネでは技能に制限がない武装と並べてもトップクラスの威力、最大射程距離はそれ以上にずば抜けており、
命中・回避補正が付くことも合わさって、ニュータイプ天下の時代を支えていた。

スパロボでも概ね同様の扱いだが、仕様上切り払い技能の対象となるため、特にウィンキー時代は敵の一般兵にすら問答無用で無効化されるリスクがあり、
ヴェスバーなど通常ビーム兵器とは一長一短の関係性となる(EN効率・Iフィールドを無効化できる等の長所もある)。
……と言われているが、実は切り払い技能が初登場かつ猛威を振るった『F』では射程外攻撃には切り払いは発動しないという仕様が存在する上に、
削りは射程外から攻めるのが前提のバランスであったため、長射程のファンネルはかなりの優位性があり、同作においてはニュータイプ優遇を加速させただけであった。

ガンダムバトルオペレーション2ではサイト内に一定時間捉えるとロックオンして射出可能な武装となっている。扱いはインコムとそう変わらない。
原則的にマニュアルエイムなゲーム内で貴重なロックオン兵装なためか単発威力は非常に低く、かつ殆どの場合よろけも取れないとそれ単体では力不足だが、射出後は他兵装に切り替えても攻撃を継続してくれるのが特徴。
「バルカン等と併用して蓄積よろけを狙う」「自機を物陰に隠した状態で射出」「残りHPの少ない敵に追撃」「相手に回避行動を強いる」と言った運用になる。

▼余談

宇宙世紀以外の「アナザーガンダム」と呼ばれる作品群やそれ以外のロボットアニメ?でも「本体から射出され、遠隔操作される機動武装端末」の類は多く登場しており、
宇宙世紀シリーズに親しんだファンからはそれらも「ファンネル」の通称で呼ばれることが多い。
ただしあくまで通称であり、『AGE』のように正式名称の時点で「ファンネル」と付いているものはかなり稀である。

「本体から分離し、遠隔操作される」という点から、そのような役割の人物を指すスラングとして「ファンネル」と呼ばれる事がある。

例えば、コミックマーケット等のイベントで、何らかの事情で行けない人物(本体)から頼まれ、
その指示に従ってサークルを巡り、頒布物を買うおつかいに行く人orおつかいそのものを「ファンネル」と呼んだりする。

また、著名人が自身を慕うファン・取り巻きを用いて自分に敵対的な者や批判した者を攻撃する(と見做せる)行為、またはその様な荒らし行為を行う迷惑ファンを指し、
信者ファンネル」「ファンネルを飛ばす」と通称される事がある。
著名人を本体MS、そのファンをそこから分離して攻撃する子機、即ちファンネルに見立てた通称であるが、
当然ながらガンダムシリーズとは直接的には関係が無く、また人を端末兵器扱いすること自体蔑称・揶揄に近いニュアンスで用いられるため、
その様な形で「ファンネル」という単語が使われる事には否定的な者も存在する。
ガンダムの「ファンネル」のファン、何よりガンダム公式からすればいい迷惑であり、余計なトラブルを引き込みたくないなら軽々には使わない方が賢明。

時々間違えられるが、セリ科のハーブの一種はンネルである。




追記・修正は脳波を利用した遠隔操作でお願いします。


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*1 機体後部に装備されるファンネルコンテナには10基がセットされているが、劇中ではそれ以上の数を一度に放出している。
*2 メタな事を言うと、設定画稿やコンテや原画などの演出指示用語では「ビーム=一定以上の太い光線・光束」、「レーザー=線状の非常に細い光の束」であり、それで描いてくれという指示の意味で使用しているのだが、これを劇中世界の兵器分類と混同して小型ファンネルはメガ粒子ビームではない光学兵器のレーザーを使用していると誤解されているケースが制作側も含めて非常に多い。
*3 もしくは数自体は出しているので無意識の躊躇があったのか
*4 メタな理由を言うと、映像作品だとどうしても作画コストが高かったり演出の幅が狭くなったりする兵器なので、理由を付けて活躍できなくさせていった事情がある。漫画作品故にその辺りの事情と縁がない『クロスボーン・ガンダム』シリーズはU.C.100年代ながら頻繁にファンネルが登場する。
*5 もっとも、対峙したキュベレイMk-Ⅱの方も通常のファンネルを地上で運用しているため、サイコガンダムMk-Ⅱが特別というよりは『ΖΖ』当時はファンネルの地上運用には支障がない設定だったと見る方が正しいと思われる。
*6 ただし、出力に関しては文字設定上は同世代のサザビー、ヤクト・ドーガが装備するファンネルの方が3倍以上も高い。
*7 メタ的には実は『ガイア・ギア』に登場するゾーリン・ソールの新型兵器として「ロング・フィン・ファンネル」が『逆襲のシャア』が制作されるよりも前の時期の『月刊ニュータイプ』誌上にて説明が行われている。恐らくではあるが、『ガイア・ギア』の時代設定がシャア・アズナブルやアムロ・レイが既にいない時代とされていたため、逆輸入的に『逆襲のシャア』においてルーツとなるフィン・ファンネルを設定した可能性がある。
*8 一部の出来の甘い設定書籍類などで「再充電」と誤って表記されているが、フィン・ファンネルはジェネレーター内蔵式なので電力やビームの素であるメガ粒子は自己生成可能であり、チャージの必要があるのはスラスター用の「推進剤」である。