十二鬼月

Last-modified: 2024-03-16 (土) 18:51:48

登録日:2018/02/04 Mon 23:21:00
更新日:2024-03-16 (土) 18:51:48
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▽コメント欄
Tag: 鬼滅の刃 幹部 変異 狂気 チート 外道 血鬼術 異形 十二鬼月 上弦 下弦 異能集団 スカウト 個人主義 チームワーク皆無 エリート エリート←待遇が良いとは言っていない 鬼のように強い 格差社会 豪華声優陣 パワハラ被害者の会 直参 外道の巣窟 実力主義 幹部集団 無惨被害者の会 無惨に生殺与奪の権を握られた元人間たち



どう足掻いても人間では鬼に勝てない




十二鬼月(じゅうにきづき)とは、漫画鬼滅の刃』に登場する敵集団の総称である。


【概要】

数多のの中から鬼舞辻無惨が選別した、彼の直属の配下である12体の鬼たちのこと。
多くの人間を喰らって強大な鬼へと成長し、無惨に素質を認められ、更に多くの血を与えられた鬼のみが列せられる所謂幹部ポジション*1
肉体再生力、頚の硬度、血鬼術の凶悪さ、人格の歪みと邪悪さ……そのどれを取っても有象無象の鬼達とは文字通り一線を画する。
そのため、まともな性格のメンバーは誰1人として存在せず、全員が性格に致命的な問題を抱える外道の巣窟である

序盤で炭治郎?が苦戦を強いられた朱紗丸と矢琶羽の二人組でさえ、かつて鬼であった珠世をして「弱すぎる」の一言に尽き、真実はただ鬼舞辻に騙され煽てられただけの十二鬼月相応の実力など持たぬ低級の鬼であった(それでも追加で血を与えられて強化はされている)。

元々は江戸時代、自分を嗅ぎまわる鬼殺隊に対抗するべく、無惨が強い鬼を十二体揃えようと思い立ったのが始まり。
……しかし精鋭集団、最高幹部と書けば聞こえはいいが、その実情は無惨が選抜した強い手駒12体の総称でしかない。
そもそも無惨にとっては十二鬼月になった時点でようやく配下としてのスタートライン
彼の目的である鬼殺隊抹殺」のために集められており、十二鬼月として認められてもさらなる強さへの追及心を持たねばならず、構成員には人を喰らい、強くなることが求められている。
ただ、無惨の命令が下された時以外は基本全員が好き勝手に行動しているに等しい。


【組織構造】

序列は上弦(じょうげん)下弦(かげん)にそれぞれ壱から陸が存在し、このうち「上弦」が上位6体、「下弦」が下位6体で、数字が若い程強い。
つまり「上弦の壱」が最強?、「下弦の陸」が最弱?の十二鬼月となる*2

十二鬼月に選ばれた鬼の眼球には文字と数字の番号を刻まれており、それで序列を判別可能。
上弦の鬼は両目にそれぞれ「上弦」と「(数字)」、下弦の鬼は片目のみに「下(数字)」というように刻まれている。
ただし、眼球を180度回転させている等の理由からすぐには十二鬼月なのかどうか判別できないこともある。

無惨の意向を反映してか完全な実力主義が敷かれていることもあり、上弦と下弦の間には絶対的な力量差が存在する。
加えて上弦と下弦とでは無惨からの扱いも違うし、なんなら上弦の鬼達自身も下弦の者を見下している。
ただし、下位階級の者も血戦(けっせん)と呼ばれる昇格戦を挑むことが許されており、成功すれば上位の階級に入れ替わることができるとされている。下弦の鬼が上弦に昇格する手段もこの方法。ただし作中で直接その様子が描かれたことはなかった。

「幹部」とは書いたが、元々本作の鬼自体明確に組織化されてはいないので、特別待遇があるわけでもなければ、何かしらの特権が与えられるわけでもなく、共食いの呪いがある以上他の鬼を部下として従えられるわけでもない。
下弦の伍は無関係な鬼に能力を分け与えて「家族」とすることができるが、これは無惨の「お気に入り」だからという理由の様子。)
それどころか「無惨の命令が達成されていない」「無惨の命令に対して意見をした」などの理由で不興を買えば最後。平然と制裁が下され、最悪の場合は処刑されることもある。
メリットといえば、多少ミスをしても処刑されない、ある程度の自由裁量で行動ができる、そんな程度のものである。それも前者は上弦のみ、後者は無惨のお気に入りに限る。


【メンバー】

上弦の鬼

鬼狩りに殺され続けるのはいつも底辺の鬼たちだ


上弦 ここ百年顔ぶれの変わらない鬼たち
山ほど葬っている 鬼狩りの柱さえも葬っている


異次元の強さなのか

十二鬼月の上位格達。
強さも厄介さも下弦の鬼とは一切の誇張抜きで比べ物にならない文字通り最強クラスの鬼達。
特にここ113年間は1人も顔ぶれが変わっておらず、を含む多くの鬼殺隊の剣士を葬ってきた*3鬼陣営の柱ポジション。
メンバーの大半が柱と同等以上の強者で、その強さ故に下弦の鬼からは「異次元の強さ」と例えて畏れられている。
一見ひ弱そうで搦め手・小細工が中心に見えるタイプでも、実際は身体能力が高く直接戦闘にも長けているか、もしくはより強靭な形態に変身する能力を持つ。
鬼殺隊の抹殺に加えて、「青い彼岸花の発見と確保」という任務が与えられているほか、上弦の鬼には無惨の代わりに(鬼として)有望な人物の選定・スカウト・鬼化も担当。
上弦の鬼が見込み「鬼にしたい(なりたい)」という意を見せた人間を無惨が了承した場合のみ、上弦の鬼の血が無惨の血に変質し人間を鬼に変えることが可能になる。

この位階になると頚の強度や再生力は下弦とは比べ物にならず、おまけにただ頚を斬るだけでは死なないという鬼もおり、戦いながら相手の不死性のギミックを見破りそこを叩くという理不尽を鬼殺隊は強いられる。
更には

  • 鬼の特性である「鬼同士はいがみ合っており徒党を組めない」という問題すら何らかの形で擬似的に補っている者
  • 簡単に?の解毒が出来ない世界観でありながら平然と致死毒や麻痺毒を操る者
  • そもそも真っ向から勝負する気がさらさらなく、不死性を生かした露骨な持久戦を仕掛ける者
  • 鬼殺隊の戦いの要である全集中の呼吸に露骨なメタを張る術を操る者
    まで存在する。
    上弦の鬼は簡単に作れない*4ため、基本部下には容赦のない無惨でも彼らの強さは安易に切り捨てられず、任務に失敗しても即処刑にはならない。なおガン詰めはされるが。

アニメでは本編に先駆けシルエットだけではあるがOPに全員登場している。


『上弦の壱』黒死牟?(こくしぼう)

私は…ここにいる……
無惨様が…御見えだ…

CV:置鮎龍太郎?
十二鬼月の創設以来、その頂点に君臨する鬼。
長い黒髪を後ろで縛り、奇怪な六つの眼を持った異貌の鬼で、額や首元から頰にかけて揺らめく炎のような赤黒い痣がある。
服装は紫の着物に黒い袴という侍然としたもので、腰には日本刀を差している。
その日本刀も、目釘部分が本物の眼になっていたり、鐔部分にも眼が浮かんでいたりと、とにかく眼を強調する風貌。
禍々しい鞘に納められた刀身は日輪刀の様に赤と黒の色を宿し、更に黒い血管や罅のような紋様が走っている。

会話の節々に「…」を入れる独特の話し方をする。
十二鬼月の序列を厳格に重んじており、猗窩座が童磨へ一撃を入れた際にはその左腕を一瞬で斬り飛ばし彼を諫めた。
また、その言動からは無惨への忠誠心が高いことも判る。

詳細は個別項目にて。


『上弦の弐』童磨?(どうま)

ちょっと待っておくれよ猗窩座殿!俺の心配はしてくれないのかい?
俺は皆を凄く心配したんだぜ!大切な仲間だからな だぁれも欠けて欲しくないんだ俺は

CV:宮野真守?
髪に血の雫の様な模様が広がった青年の姿をしており、普段は宗教団体「万世極楽教」の教祖として振舞っている。
常に笑みを浮かべて飄々とした態度をとり、他の上弦にも気さくに話しかけて自分達が仲間であることを強調するなど、鬼としては珍しく陽気な優男といった雰囲気。

しかし、人間を貪り食いながら「命というのは尊いものだ 大切にしなければ」と笑顔でのたまい、女の生首を嬉々として壺に活けるなどその言動の端々からは狂気が垣間見える。
肉体の損傷にも全く頓着がなく、無惨に反省の意を込めて心底楽しそうに自身の目玉を抉ろうとするなど、その不気味さは底知れない。

実は人間時代の妓夫太郎と堕姫に対して「可哀想に 俺は優しいから放っておけないぜ」と語って救いの手を伸ばし鬼となる道を示した張本人で、当時は“上弦の陸”を務めていた。

詳細は個別項目にて。


『上弦の参』猗窩座(あかざ)

では素晴らしい提案をしよう
お前も鬼にならないか?

CV:石田彰
劇中で初めて姿を見せた上弦の鬼。
見た目は全身に刺青の様な紋様が刻まれた細身で筋肉質な赤髪の青年。
愚直に強さと武の極みを求め続ける求道者じみた一面を持ち、鬼の不死性を無限の修練に充てることで『至高の領域』への到達を目指す。

弱肉強食を基にした独特の価値観の持ち主でもあり、高い実力を兼ね備えた者に対しては人間であろうと敬意を払い、笑顔で鬼になるように勧誘するなど友好的な素振りを見せる。
一方で、自分が弱者と見定めた者は「虫唾が走る」と露骨に忌み嫌って見下しており、「弱者が淘汰されるのは自然の摂理」とまで言い切るなど鬼らしく傲慢で残忍な性格の持ち主でもある。

詳細は個別項目にて。


『上弦の肆』半天狗?(はんてんぐ)

怖ろしい 怖ろしい 暫く会わぬ内に玉壺は数も数えられなくなっておる
呼ばれたのは百十三年振りじゃ
割り切れぬ数字…不吉な丁 奇数!!
怖ろしい 怖ろしい…

CV:古川登志夫
二本の角を生やし額に肥大化した瘤がある小柄な老人の姿をした鬼で、ある意味では一番「鬼らしい」姿を持つ。
非常に臆病な性格の様で、常に涙を流して身をガタガタ震わせ、身の周りの些細な事柄に何かと理由をつけては「怖ろしい」「ヒィイイイ!」と大袈裟に怯えている。
上弦の会合で無惨が姿を見せてからは一度も顔を上げず怯え続け、額を擦り付けて主君に対し必死に許しを乞いていた。
ただし、無惨を恐れながらも彼に仇なす鬼狩りや人間を皆殺しにしようとは考えているため、忠誠心はかなり高い部類にある。

詳細は個別項目にて。


『上弦の伍』玉壺?(ぎょっこ)

これはこれは猗窩座様!
いやはやお元気そうで何より 九十年振りで御座いましょうかな?
私はもしや貴方がやられたのではと心が踊った…ゴホゴホン!心配で胸が苦しゅう御座いました
ヒョヒョッ

CV:鳥海浩輔?
比較的人間に近い姿をとる者が多い鬼の中にあって珍しく、完全な人外の姿をした異形の鬼。
身体つきこそ屈強ながら四肢がなく、下半身は蛇や蚯蚓のように長くうねり、頭部も両眼があるべき場所に緑色の唇が付いた2つの口、本来の口の部分と額に眼を持つ。
さらに後頭部から細い4本の腕を生やし、まるで煙のように壺から出現する姿は正に妖怪。

絵にかいたような慇懃無礼かつ妙にポジティブな性格の持ち主。
「ヒョッ」と薄気味悪い笑い声をあげ、何かにつけて「だがそれもまたいい…」と物事を肯定するかのような言動を取る。
無惨への忠誠心は相当なレベルにあり、無惨に切り落とされた頭部を手で掴まれている事や情報を得ながらも無下に扱われる事に対して「いい…とてもいい……」と恍惚気味に興奮するなど、外見だけでなくその中身も相当アレ。

詳細は個別項目にて。


『上弦の陸』堕姫?(だき)妓夫太郎?(ぎゅうたろう)

柱じゃない奴は要らないのよわかる?私は汚い年寄りと不細工を喰べないし
下っぱが何人来たところで幸せな未来なんて待ってねえからなあ 全員死ぬのにそうやって瞳をきらきらさすなよなあぁ

CV:沢城みゆき(堕姫) 逢坂良太?(妓夫太郎)
いがみ合いが基本の鬼としては珍しく、兄妹で暗躍する。
妹の堕姫は時代に応じて様々な名の花魁になりすまし、百年近く吉原を影から支配し、何百人もの人を喰らってきた。
人間に擬態している際には着物姿の美しい花魁だが、鬼としての本性を現すと全身に華の紋様が浮かび、露出度の高い服装に錦帯を身に着け、現実の花魁も履いていた三本歯下駄を履いた姿となる。
人間を弱く醜いと見下す性悪だが無惨には心酔しており、彼の前では初恋に落ちた少女のような態度に一転する。

兄の妓夫太郎は普段は堕姫の体内で眠っており、妹に呼ばれることで目を覚まし体内から外に出る。
筋肉質な四肢に反して異常に痩せた腹部、全身に広がっている皮膚病に罹ったような痣など妹とは対照的に醜い容姿の鬼。
そしてこの妓夫太郎こそが真の上弦の陸といえる存在。両手で猛毒を帯びた血鎌を振るい、同じく猛毒を含む血の斬撃を自在に操るその戦闘力は妹を遥かに凌駕する。

両者ともに詳細は個別項目にて。


新生上弦の鬼

物語終盤では鬼殺隊との決戦に備え、これまでに狩られた上弦の鬼の後任として新たに上弦の鬼が選出されている。
こちらはネタバレも加味してかアニメ第三期以前のOPには未登場。

新『上弦の肆』鳴女?(なきめ)

これで六割程の鬼狩り共の居所を把握
しかしまだ太陽を克服した娘は見つかりません

以前から度々登場していたが、半天狗の後釜として新たな“上弦の肆”へ就任。
禍々しい巨大な単眼というこれまで長髪で隠されてきた異貌を露わにし、その瞳には“肆”の文字が刻まれている。
全身にかつての魘夢?のように血管が浮き出ており、彼同様に無惨から血を与えられ、欠員を埋める形で上弦に列せられたものと思われる。
余談だが、同じ上弦になったからか童磨からの呼称が「鳴女ちゃん」へと変わっている。
無惨自身も当初予想していなかったほどの成長株で、彼としては珍しく皮肉抜きの称賛の言葉をかけている。
詳細は個別項目にて。


新『上弦の陸』獪岳(かいがく)

相変わらず貧相な風体をしてやがる 久しぶりだなぁ善逸

無惨が抜擢した新たなる“上弦の陸”。
その正体は元鬼殺隊士で、かつては我妻善逸と共に元「鳴柱」の育手・桑島慈悟郎のもとで雷の呼吸を学んだ兄弟子。端的に言えば裏切り者。
しかし、雷の呼吸の六つの型のうち壱ノ型“しか”使えない善逸とは逆に壱ノ型“だけ”習得できず、善逸と共同で慈悟郎の後継とされていた。
上弦となった自身の力に自惚れ傲慢に振る舞う一方で、雷の呼吸の習得が不完全である事や善逸と同格に扱われている事に強い劣等感と屈辱を感じている。

詳細は個別項目にて。


下弦の鬼

もはや十二鬼月は上弦のみで良いと思っている
下弦の鬼は解体する

十二鬼月の下位に属する鬼たち。
数字を持たない鬼に比べれば強さや厄介さは一線を画す筈だが、100年以上柱を倒した実績を上げておらず、上澄みの者ですら柱に瞬殺されかねないほどの実力差がある。
不老・自己再生・人間を食うほど強くなるという鬼としてのアドバンテージがあってもなお短命に終わってしまう者が殆どで、入れ替わりは極めて激しい模様。
現在では鬼殺隊における柱への昇格条件が「十二鬼月の討伐」もしくは「50体の鬼の討伐」となっているため、図らずも柱の昇格試験の試験官的扱いになっている節がある。
昔の面子はもっと強かったのかもしれない……というか強い奴が上弦に出世したか。
それでも柱以外の鬼狩りにとっては十分な脅威だったはずだが、最終決戦時には(訓練による鬼殺隊の全体的な戦闘力の底上げもあったとは言え)「下弦並の身体能力を持つ鬼が相手でも複数の隊士で挑めば倒すのは難しくない」というレベルにまで落ちた。

▷ 作中の設定から、ちょこっと計算

鬼殺隊の柱の人数は9人。そのうち最年長の悲鳴嶼行冥?が柱に就任したのは8年前の事*5
他のメンバーが悲鳴嶼より後に柱に就任し、なおかつ全員が十二鬼月の下弦の討伐に成功して柱になったと仮定すると、8年間で少なくとも9体の下弦の鬼がザクザク首を落とされていたことになる*6

1年に1体以上のハイペースで、そうなると下弦に選ばれて1年とたたずに討伐された鬼がいた可能性も高い。
更には冨岡に斬られた累のように、既に柱に就任している剣士に討伐されたり、作中に出てくる以前に血戦で敗死したりした下弦もいたはずである。

下手をするとたったの8年間で定員6名の顔ぶれがそっくり入れ替わっていても不思議はなく、過去100年以上顔ぶれに変化のない上弦の鬼たちとは生存率に雲泥の差がある。
しばしば読者に“愚策”と評される下弦解体ではあるが、仮にも幹部扱いの鬼たちがこの体たらくでは、ただでさえ実力主義+他者を一切信用しない無惨がウンザリするのも無理はないかもしれない……?

累が倒されたことで残るメンバー全員が無惨にいきなり無限城に召集され、「下弦の鬼は何故弱いのか?」という問いに満足な答えを出せる者がおらず、無惨の機嫌を損ねたことで魘夢以外の全員が一瞬で惨殺された。
その後、魘夢も討伐されてからは後継が置かれることなく下弦は解体・消滅と相成ったようである。
事実、これ以降無惨の口から「十二鬼月」という単語は出ていない。

そしてこのリストラという惨劇から暫く経った140話の無限城決戦にて、無惨の血を与えられ身体能力が下弦級にまで強化された大量の鬼が登場
彼らは妖怪かゾンビのような異貌をしており、理性も血鬼術も持たない。量産型とも言える存在の登場により更に彼等の立つ瀬がなくなった。要は栽培マン?登場後のラディッツ?扱い。
その後、アニメOPで上弦は勢揃いしたにも関わらず下弦の鬼は累を除いてカットされたことから、「OPでも下弦がリストラされた」と一部でネタにされた。
戦闘描写や血鬼術が見られなかったのは至極残念。スピンオフ外伝でさえOBに出番を奪われている体たらく。

『下弦の壱』魘夢?(えんむ)

今度は父親が生き返った夢を見せてやろうか

CV:平川大輔?
下弦における最強の鬼。
見た目は涙のように付いた四角い模様とヤギのように横長の瞳孔を除けば一見普通の洋装の青年だが、その肌は他の鬼同様死体の様に青白い。また手の甲に人間の口が付いている
自分の血の匂いや命令、または眼力により他人を強制的に深い眠りにつかせ、夢を操る強力な血鬼術を使用する。
この術は強制力が強く、寝ている本人が夢と自覚した上で特殊条件を満たさない限り、外部からの単なる刺激では起きない。*7

性格は「他人の不幸を見るのが幸せ」と述べるなど文字通り捻じ曲がっていて、下弦粛正の際にも、他の下弦が苦しむ姿に恍惚の表情を浮かべながら無惨に礼さえ述べている。その歪んだ本質を無惨に気に入られ、大量の血を与えられて強化された。
その後は更なる血を求めて柱と炭治郎に狙いを定め、人間の手下らを動かして無限列車編における事件を引き起こす。
完全に初見殺しに特化した鬼で、作中最強の剣士である柱であっても術を掛けられればとんでもなく稀で特殊な条件が揃わない限りまず勝てない。
詳細は個別項目にて。


『下弦の弐』轆轤(ろくろ)

私はまだお役に立てます もう少しだけ御猶予を戴けるならば 必ずお役に…

CV:楠太典
作務衣を着用し、顔の上半分に血管のような模様が浮かんだ体格のいい顎髭の鬼。
無惨の最後通告を前に、生き残りたいがために何もかもアバウトすぎる今後の計画を提示。
更に無惨の「じゃあお前の考える案の具体的内容を詳細に言え(要約)」という問いに対して「血を…!!貴方様の血を分けて戴ければ…」と懇願したことが仇となる。
その他力本願とも言える態度には無惨も
「なぜ私がお前の指図で血を与えねばならんのだ 甚だ図々しい身の程を弁えろ」「お前は私に指図した 死に値する」
と強い不快感を見せ、弁明しようと「違います」と言ったことで更に怒りを煽ってしまう。具体的なプランを提示できればまだ違ったのかもしれないが、言動が総じて行き当たりばったり気味。
「何も違わない、私は何も間違えない」「私が正しいと言ったことが正しい」と完全にブチ切れた無惨に死の瞬間すらカットされて処刑された。最後に殺された下弦。
こんな彼でも炭治郎らと戦えば累並みかそれ以上に苦戦させていた可能性もある……結局柱には敵わないだろうが。


『下弦の参』病葉(わくらば)

(せっかく十二鬼月になれたのに)
(なぜだ…なぜだ…俺はこれからもっと…もっと…)

CV:保志総一朗?
短髪ツリ目で額と両頬に×字の傷がある鬼。
向上心はあったようだが、無惨の処刑宣告と同僚が次々と惨殺されていく様子を見て、思考が読まれ否定しても肯定しても殺され、どう足掻いても死ぬことを悟り精神が崩壊。
戦って勝てるはずもないので命だけでも助かるために無限城から逃げ出そうとし、出口らしきところまで一気に逃走。
しかし次の瞬間には頚のみの姿となって一歩も動いていない無惨の手に収まっており、何故自分が死なねばならないのか困惑しながら崩壊していき死亡した。
また「せっかく十二鬼月になれたのに」という独白からすると、彼が下弦入りしたのはつい最近である可能性があり、もしそうだとすると「成果を出せていない」も何も「成果を出そうとする」前に粛清された事になる。
上記の独白からしても元々鬼としてより高みを目指す意思は持っていたらしく、イマイチやる気が感じられない他の3人と一緒くたにされて殺されたのは哀れと言える。


『下弦の肆』零余子(むかご)

も 申し訳ございません お姿も気配も異なっていらしたので……

CV:植田佳奈
黒毛襟巻の付いた着物で、肩までの白髪に額の左右に角を生やした女性の鬼。
以前とは姿も気配も全く異なり、女の姿で現れた無惨に恐怖して謝罪弁明するも「誰が喋っていいと言った」と逆ギレされる。
臆病な性格だったのか、実力差を把握していたかまでは不明だが、いつも鬼狩りの柱に遭遇した場合は逃げることを考えていた模様。
無惨にそのことを指摘された際に虚勢を張って否定したことが逆鱗に触れたため、釜鵺と同様に無惨の腕に喰い殺された。
もっとも肯定していたらいたで殺されていたであろうことから、呼び出された時点で詰んでいたと言える。
総登場コマ数は16コマと少ないが、嗜虐心を煽るらしくリョナラーなどから人気がある。
また大正時代には高級品だった襟巻を身に着けていたことから、生前はお嬢様だったという考察がある。もしくは食った人間から奪ったのか。
「……お前は私が言うことを否定するのか?」


『下弦の伍』(るい)

妹は兄を庇った…身を挺して…本物の"絆"だ!!欲しい…!!

CV:内山昂輝
無惨のお気に入りで、共食いの性質故に徒党を組まない鬼の中では珍しく複数体の配下を持つ鬼。
蜘蛛にまつわる血鬼術を使用し、那多蜘蛛山を縄張りとして多くの鬼殺隊員を殺害した。
見た目は幼い少年だがその強さは本物で、劇中において主人公と最初に相対した現役の十二鬼月として炭治郎を苦しめる。
詳細は個別項目にて。


『下弦の陸』釜鵺(かまぬえ)

(そんな事を俺たちに言われても……)

CV:KENN?
顔に大きな「エ」のような模様があり、シャツとズボンに羽織を着用した少年の鬼。
響凱?の後任にあたる鬼であったが、無限城に関しては全く知識がなく完全に困惑していた。
無惨の問いかけに内心不平不満を抱いてしまったことと、上昇志向の欠落が逆鱗に触れてしまう。
更に思考が読まれることに焦ったことで火に油を注ぐ結果となり処刑が執行。最初の被害者となる。
涙ながらの文字通り必死の命乞いも通用せず、肥大化した無惨の異形の腕に貪り喰われ惨殺された。
なお、彼が響凱より優れていると無惨に判断されたのか否かについては不明。
「何がまずい?言ってみろ」


かつての下弦の鬼

旧『下弦の壱』姑獲鳥(うぶめ)

私が貴方のお母さんよ…

小説『風の道しるべ』に登場。
不死川実弥?粂野匡近?が討伐した元・下弦の壱。また人間時代の記憶を保っている珍しい鬼でもある。

玉結びした長い黒髪に朱色の花飾りをつけた小柄な女性で、黒めがちな大きな目と顔立ちは美しく、赤い口紅をつけている。しかし変な匂いがする。
実はこの匂い自体が彼女の幻術系血鬼術で、嗅いだ者を惑わすことができ、この能力で人間を洗脳する。

「自分が幸せになる」ために大勢の子供をさらって自己満足の育児をしては衰弱させ、自分の中に還してしあわせにするという理由で食していた。
実弥が親に恵まれなかった(父親に虐待を受けていた)ことを一目で見抜き目を付けて、彼を新たな自分の子供にしようと幻術の中に閉じ込めた。
匡近は姑獲鳥のことを「母親」だと庇った少女を避けようとした際に鬼の攻撃をまともに食らって死亡し、それに激昂した実弥に倒された。
結果として実弥が柱になるきっかけになるも、親友が目の前で死んだ事実は実弥の心に深く影を落とすこととなった……。

生前の名前は弥栄(やえ)といい、一人の娘が居た一児の母であった。
ろくでなしの夫の暴力に耐えながら娘の紗江(さえ)を庇い、夫が事故死した後は女手一つで病弱な娘の看病を亡くなるまで続けていた健気な女性。

……いや、そうではなかった。
彼女の本性は現代でいうところの代理ミュンハウゼン症候群?患者で、わざと毒を飲ませたり手足を折ったりなど自分で紗江を虐待し、看病する事で「健気な母」を演じることに酔っていたのである。
したがって紗江の本当の死因は病死などではなく、虐待の末の衰弱死
さらに事故死したかと思われた夫も、別の女に逃げようとしたため弥栄本人が殺害したのが真相。恐らく夫が居なくなったら「悲劇の妻」ではなくなるからだろう。
加えて付け加えるならば、鬼になって最初に食べたのは庭に埋めた紗江の遺体であるという。
上記のように現在もその行動原理は全く変わっていない。姑獲鳥は無惨と出会う以前から人の皮を被っただったのだ。
出番が漫画ではなく小説媒体オンリーなのも納得のゲテモノっぷりである。

漫画版では響凱の回想シーンにて彼女とおぼしき着物の女性がいる*8
尚、血鬼術の名称は不明。お香を焚いて能力を使う珠世魘夢?(えんむ)に似た幻覚系血鬼術だが、彼らほどの強制力はない。
ただし一度かかると運良く術から助かったとしても、精神崩壊や彼女の愛を求めて自決したり、彼女を庇ったりするなど、ストックホルム症候群に陥る。
しかし厄除けの鏡とそこに残っていた紗江の遺志に導かれた匡近によって幻術を破られた。
もっとも実は精神操作より直接戦闘の方が得意らしく、実力者の二人を相手に余裕の戦いぶりを見せている。

旧『下弦の弐』佩狼(はいろう)

復讐だ…!復讐してやる!煉獄杏寿郎!

『煉獄杏寿郎外伝』に登場。
狼のエンブレムがあしわられた軍帽を被り、マントを羽織った青年軍人風の鬼。白目と黒目が反転した目をしている。
また、頭に血がのぼると、口に拳銃を咥えて発砲することで冷静さを取り戻そうとする奇癖を持つ*9

かつて妻を失い自棄になり始めていた前炎柱・煉獄槇寿郎に軽くあしわられ命からがら逃げ出すも、その屈辱をバネにして力を蓄え下弦の弐にまで登り詰めた。
槇寿郎への恨みは今なお深く、息子である杏寿郎?を槇寿郎と勘違いして執拗に狙い、帝都に時限爆弾を仕掛けての爆破テロにより鬼殺隊を分散させ復讐戦に挑んだ。
実は銃火器を主武装とする初の鬼。旧構成員であるこいつが私怨とはいえ柱を殺す気満々であったために後の下弦解体の説得力が増したとか。

血鬼術:鹵獲腔

血鬼術:鹵獲腔(ろかくこう)
自らの身体からだんだら模様と目玉の浮いた影を発生させる術。
影は接触した物体を取り込む性質があり、生半可な攻撃では頸を狙った日輪刀の一撃すら取り込まれてしまう。
このため単純な打撃や刺突は無効で、武器を取り込まれないように鋭い斬撃で影を斬り裂く必要がある。
また内部に取り込んだ物体は自由に出し入れでき、これを利用して多数の銃火器を持ち歩いている。
ライフルを身体から直接出して発射するほか、臍から手回し式機関砲を出すことも。
ただし銃火器は普通の武器なので特殊な効果は無く、弾切れすればその場での補給はできない。

  • 鹵獲腔(ろかくこう) 影狼(かげろう)
    影でできた狼の使い魔を生成する技。
    敵に噛みついて攻撃するほか、武器にまとわりついて取り込んだり、
    本体が所持する分を渡すことで身体から銃を出したりもできる。
    狼は自律行動し、劣勢となれば遠吠えで仲間を呼ぶなど高度な集団行動が可能。
    加えて非常に多数を同時生成できるが、狼の動向は術者にも気配程度しか把握できない。
    町に多数が放たれたが、鬼殺隊士によって殲滅された。
  • 鹵獲腔(ろかくこう) 戦禍陣狼(せんかじんろう)
    自らに影を集結させて纏い、影の人狼と化す大技。
    影の物体を取り込む力が大幅に強くなっており、杏寿郎に「少しでも触れれば一瞬で削られる」と覚悟させるほど。
    さらに影を刀に纏わせることで鍔迫り合いをするだけで相手の武器を奪う攻防一体の武器へと強化できる。

人間だった頃は新選組?の一員で、「時代遅れの武士道とやらで弾を撃ち落としてみろ」と、武士の誇りと己の剣を嘲笑われながら射殺された。
爆弾や銃火器を使用することや自身に銃を向けることは、生前に抱いた剣と武士道への無力感の裏返しだったのだ。
戦いの中で弾薬類を使い果たすも、最後に残ったボロボロの刀を手にしたことをきっかけに武士の誇りを取り戻し、十二鬼月ではなく一人の武士として名乗りを上げて杏寿郎と相対。
炎の呼吸の奥義である玖の型・煉獄を受け、「いい太刀筋だ」と称賛しながら斃れた。この功績により杏寿郎は炎柱へと昇格する。
鬼の本能を越えて己の誇りを取り戻せたあたり、本編では不遇な最期を遂げた者の多い下弦の中では報われた人物であろう。

なお、人間だった頃は拷問経験が豊富だったこと、回想の中の新選組隊士から見て目上の立場であったことが窺える。
自身を射殺した相手が明治政府の軍服を着ていたことから、おそらくモデルは箱館戦争で散った新選組の上位隊士*10


旧『下弦の陸』響凱?(きょうがい)

“稀血”の人間をもっと探して喰うのだ


そうしたら小生は また十二鬼月に戻れる

かつては下弦の陸だったが、人間をあまり食えなくなり成長が伸び悩んだため地位を剥奪された。
貴重な空間掌握系の血鬼術を操る鳴女の下位互換。
目と地位を奪われたものの、その後の下弦の鬼たちの惨劇を考えると遥かにマシな処分である。
それどころか、炭治郎と出会い満足して死んで逝けた彼は、とてつもなく運が良かったと言える。
能力のレア度で十二鬼月に入れたのか、戦闘力自体はあまり高くない。
詳細は個別項目にて。


【余談】

◆鬼の名前

ファンブックによると、十二鬼月の鬼たちの名前は無惨本人が名付けていたとのこと。
人間時代の辛い過去を皮肉ったかのようなネーミングが多いのは、彼の悪辣な性根の顕れだろうか。
ただ、無惨のお気に入りの累や妓夫太郎は人間時代の名前を名乗ることが許されている。

◆下弦四名の扱いについて

原作でも総じて噛ませ臭溢れる顔、ひどく雑な登場シーン、名乗りも名前の表示も無い、魘夢以外全員切羽詰まってて余裕が無いという、フラグびんびんだった。
読者からも「余裕がありそうな魘夢以外の誰かが見せしめで殺されるんじゃないか」と思われていた下弦の鬼達であったが、まさかの殲滅である
連載開始50話ちょっとにしてこの仕打ち。だが無惨というキャラの人間(?)性を表すのに、言葉で長々説明するよりももっとも解りやすい描写であろう。
元々「敵幹部が12体は多いんじゃないか?」と思っている読者もいた*11が、少年漫画の敵幹部とは思えぬ扱いで、この容赦ないあっさり退場はある意味この作品そのものを表しているといえる。

加えてこれまで一応何代も代替わりしているのに、累が死んだ途端に即処刑が始まった。
そのため、彼等の直接の死因は「お気に入りが死んだことにキレた無惨の八つ当たり」という説が一部読者の間で実しやかに囁かれている。
要するにワンマンパワハラの犠牲者。

このくだりは「パワハラ会議」というファンからの呼び名がほぼ定着しており、SNSなどで多数のコラージュ作品が作られ拡散されている。
なお実社会のパワハラなどを戯画化した作品も多いが、中には「学会の準備や患者の治療にあたっての勉強不足や治療ミスに直結しかねない認識の甘さを教授などに叱責される」「新人が社会人としての行動・考え方の基礎や人付き合いのやり方を上司に訓示される」というものもあり、これらの世界では結果的に無惨がマトモになっている。

アニメ第一期では話数などの関係上、彼らの殲滅シーンが最終回に持ってこられる形となっており、作画も変に気合が入っていてアクションシーンとしてはここが最終回の一番の見せ場という喜んでいいのか微妙な厚遇を受けている。
それどころかたった数分の出番しかないのに上記の通り声優がやたら豪華。ラジオでもネタにされた。

加えて、スピンオフである4コマ漫画?『きめつのあいま!』の最終回では『鬼でもわかる!! ブラック企業診断』と称して彼らがメインで登場。

「やべぇぞ 労基にかけこめ!」
「給料が上司の血とか雇用形態イカれてるわ!」
「助けてええ」

……と、労働基準監督署に逃げ込もうとするも、鬼の活動する夜間は受付時間外というオチがついた*12







項目を立てたからといって終わりではない。そこからが始まりだ


より項目を追記し、より修正し、アニヲタwikiを充実させるための始まり



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*1 血自体は十二鬼月でなくても特命を帯びれば与えられる模様
*2 下弦の伍・累は例外で、本来下弦の壱か弐相当の実力だが入れ替わりの血戦に興味を持たなかった
*3 もっとも、堕姫単体では柱に敵わないことも多かったほか、玉壺・半天狗を追い詰めた者、猗窩座の目に留まる者がいたこと等から上弦の歯牙にもかけられない柱ばかりではなかったらしい。
*4 基本は無惨の血を大量に与えられると、多くの場合無惨の血に耐えきれず細胞崩壊を起こして死ぬ。
*5 おそらくは柱稽古の頃から数えて。
*6 本編中で斬られた累と魘夢を除く。
*7 作中では禰豆子の血鬼術の作用で鬼の能力のみを焼き切って解除している。
*8 ただしアニメ版では姑獲鳥ではなく本編中の十二鬼月と思われるシルエットに置き換わっている。
*9 設定によると、その癖で何度も脳を損傷しているため、記憶が曖昧になっているのだそう。
*10 この世界における土方歳三その人ではないかという声もあるが、土方自身は最期の戦場となった函館戦争で小銃隊を率いて戦っており、むしろ剣にこだわっていたほうではない。死の詳細な記録は残っていないものの、政府軍から上記のようなことを言われたとは考え難いので土方本人というわけではないと思われる(作中のように、銃器を使い果たして最後に剣をとったなど、想像の余地はあるが)。
*11 とはいえ、元メンバーや追加メンバーを数に入れると結果的に11体分の戦闘が描かれているが。
*12 受付時間は8:30~17:30である。