ARMS(皆川亮二の漫画)

Last-modified: 2024-03-18 (月) 10:31:43

登録日:2020/03/10 Tue 18:29:49
更新日:2024-03-18 (月) 10:31:43
所要時間:約 45 分で読めます


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Tag: 皆川亮二 漫画 週刊少年サンデー 小学館 ARMS ナノマシン 生体兵器 SF バトルアクションマンガ 邪気眼 何故かなかなか立たなかった項目 アリス 不思議の国のアリス 鏡の国のアリス ゲッターロボ ルイス・キャロル マジンガーZ かませ犬地獄 草葉の陰で泣くキース三兄弟 忍法ライトセーバー 01年春アニメ 豪華声優陣 漢の義務教育 不朽の名作 エグリゴリ 特殊部隊 アニメ 東京ムービー テレビ東京 戦闘生物



(ドクン)
……(チカラ)が欲しいか?……
(ドクンッ)
……(チカラ)が欲しいか!!……
(力が…欲しい…!)
欲しければ……くれてやるッ!!



ARMS(アームズ)
その腕が掴むものは
神の未来か、悪魔の過去か……。





『ARMS(アームズ)』とはかつて週刊少年サンデーに連載されていた皆川亮二の漫画。原案協力として七月鏡一が参加。
1997年16号から2002年20号にかけて連載され、第44回(平成10年度)小学館漫画賞受賞。全22巻。
2001年に『PROJECT ARMS』(プロジェクト アームズ)と題してテレビアニメ化されている他、同名でPlayStation2よりゲームが発売されている。



●目次


物語

主人公である高槻涼?は、幼稚園の頃に工場の前の空き地でかくれんぼをしていた時、瓦礫の崩落に巻き込まれた。
一命を取り留めた涼は、傷を負ってもすぐさま治ってしまうという奇妙な腕を得る事となる。
しかし奇妙に思いながらも深く考える事なく、幼馴染みの赤木カツミと共に平和な高校生活を送っていた。
そこへ転校生としてやってきた新宮隼人?との接触がきっかけで、とんでもない陰謀に巻き込まれていく。


●登場人物

オリジナルARMS

…オレはこの子を殺さないよ。
何故なら…このオレが殺したくないからだ!!
  • 高槻 涼?(たかつき りょう)
    • アニメ版CV:神奈延年?
    • 能力:ARMS『魔獣(ジャバウォック)
    • 発現部位:右腕
      本作の主人公。オリジナルARMS『魔獣(ジャバウォック)』を移植されているが、隼人と会うまで全くその自覚がなかった。*1
      新学期早々、学校の校舎の壁面にできたアマツバメの巣を観察する為にフリークライミングする変な奴。
      短く切りそろえた短髪のスポーティな見た目で、年齢以上に落ち着いて飄々としたマイペースな少年。
      肝が据わっており度量も深い。振る舞いは年頃の少年らしいが、非常に冷静沈着。観察眼も異常なほど鋭く、普通気付かない事でも覚えている。
      クラスメイトからは「無敵の涼ちゃん」と呼ばれており、面倒事が起きるとよく解決に呼び出されるなど人当りの良さで友人関係も広い。
      5年前から父親が単身赴任で海外に行っており、母親と二人で生活している。


おまえ…心まで"化け物"になりてーのか!?
  • 新宮 隼人?(しんぐう はやと)
    • アニメ版CV:三木眞一郎?
    • 能力:ARMS『騎士(ナイト)
    • 発現部位:左腕
      涼の高校に転入してきた転校生。茶色の髪を長く伸ばし、鋭い目つきをしている。
      オリジナルARMS『騎士(ナイト)』を移植されており、転校初日には左腕をギプスで隠していた。
      10年前に起きた鐙沢村襲撃事件の生き残りであり、当初は『共振』から涼をエグリゴリの手先だと思い込んで襲いかかる。
      両親を殺したエグリゴリへの復讐のため生きて来た為、性格は非常に好戦的で短絡的。向こう見ずで自信過剰でもある。
      涼と和解してからは急速に親しくなり、お互いを親友として認め合う仲となった。後に武士とも親友になる。


自分の命すら大切に出来ないから容易く他人を巻き添えにできるんだ…
そんな奴が勇者でも超人でもあるわけが無い…!
  • 巴 武士?(ともえ たけし)
    • アニメ版CV:うえだゆうじ?
    • 能力:ARMS『白兎(ホワイトラビット)
    • 発現部位:両足
      涼の通う藍空東高校に隼人に続いてやってきた転校生。
      幼い頃に妹の麻耶(まや)をかばって交通事故に遭い、両脚を失うほどの怪我をしたことでARMSを移植された。
      オリジナルARMS『白兎(ホワイトラビット)』を移植されており、涼と違い一応その事を知っている。
      その経緯は臆病な性格でいじめられ、誰も助けてくれない状況で追い詰められARMSが発現した事から。いじめっ子を半殺しにしてしまう。
      最初は自身の不幸と異形の足に怯えるだけだったが、同じ境遇の涼や隼人に出会い、戦いを通して成長していく。


たとえレールに乗っていようが、自分の意志さえしっかり持っていればいいじゃないの!
  • 久留間 恵?(くるま けい)
    • アニメ版CV:高山みなみ?
    • 能力:ARMS『ハートの女王(クイーン・オブ・ハート)
    • 発現部位:両目
      本作のヒロインの一人であり、反エグリゴリ組織“ブルーメン”のメンバー。涼の幼馴染である赤木カツミとそっくりの少女。
      鐙沢村でカツミを失った涼達の前に現れ、彼らに高慢な態度で接し見下しブルーメンに引き入れようとした。
      エグリゴリと戦う戦士としてブルーメンに育てられたおかげでARMSについて見識が深く、登場当初から涼達よりもARMSの制御ができる。
      また、自身のARMSが他のオリジナルARMS発動をある程度なら制御できる能力を持っている為、リーダーとなる存在を自称している。




主人公の仲間達

な…なによ…私はそんな右腕、ちっとも怖くないよ。右腕が暴走したってなによ。
そんなわがままな腕、この私が止めてあげる!!
  • 赤木 カツミ
    • アニメ版CV:三浦智子
      本作のヒロインの一人で、涼の幼馴染の少女。性格は涼から「お節介焼きで人懐っこくオバサンじみている」と言われている。
      立場上はメインヒロインのはずなのだが、事情があってほとんど出番がない為、ユーゴーや恵と比べると影が薄い。
      涼達に無断で同行した鐙沢村において、涼の目の前でエグリゴリの爆撃に巻き込まれて死亡したと思われていたが…?
      実は彼女の存在がこの物語の大きな中枢を担っている。

      実は爆撃の際に消し飛んだのではなく、キース・グリーンのテレポートで拉致されていた事が判明。
      後にギャローズベルで彼女は恵と同じ遺伝子を持つ存在で、遺伝子上は双子の姉妹ということが分かった。
      恵とカツミが瓜二つなのもこのせいであり、エグリゴリが創ることのできた唯一のオリジナルARMS適正者だった。
      しかし彼女にはARMSを移植されず、『プログラム・ジャバウォック』のキーパーソンとして選ばれた。
      研究者・赤木祥子の娘として育てられたのも、涼と互いにかけがえのない存在となるよう仕組まれたことだった。
      これは『ジャバウォック適合者に「絶望」を与えて暴走させる』という最後の引き金の為、「黒のアリス」が企んだもの。

      身柄が確保されて以降はグリーンと過ごし、グリーンに騙されて偽りの親交を深める。
      しかしニューヨークの戦いでホワンに拉致され、キース・ブラックにより計画発動の最後の鍵とされてしまう。
      カツミ自身は「黒のアリス」の執着により、ジャバウォックの中の精神世界に囚われの身となる。

      カリヨンタワーの攻防にて、武士が解放した「白のアリス」とユーゴーの自己犠牲のおかげで生還を果たした。
      「黒のアリス」「白のアリス」が両方いなくなった事でARMSも活動を停止、人類抹殺計画がようやく終止符を打った。
      そして平和な日本での学生生活に戻る…と思われていたのだが?

      時よりカツミの様子がおかしくなる事に、涼達はもちろんカツミ自身も不安を抱くようになる。
      更にはARMSを失った涼達は怪我が治らなくなったのに、カツミは以前の涼のような自己再生能力を持ち始める。
      実は消滅寸前の精神世界で「黒のアリス」に手を差し伸べたことで、カツミの中に「黒のアリス」が侵食。
      バイオレットが涼達の前に現れ、エグリゴリの残党が「プログラム・バンダースナッチ」という計画を進行中と告げる。
      それと同時にカツミの前にキース・ホワイトが現れ、カツミをさらって鐙沢村に監禁。
      立ち塞がるモデュレイテッドARMS達を簡単に退けカツミの元に急ぐが、全てはホワイトの目論見通りだった。
      カツミを迎えに来た恵を、「黒のアリス」に操られたカツミがARMSの爪で刺してしまう。
      戦いの後から母と疎遠になった彼女に、実の姉妹として接してくれた恵をその手にかけた事に絶望。
      遂に「滅びの神獣」こと“神獣(バンダー・スナッチ)”と化してしまう。
      ホワイトの狙いは、今度はカツミに涼達を殺させる事で絶望により『神獣』を暴走させることだった。


      • オリジナルARMS“滅びの神獣”『バンダー・スナッチ』
        他のどのARMSとも違う、「黒のアリス」が侵食したことで適合者の体内で直にコアが生み出されたという異質のARMS。
        オリジナルARMSと同様に自我があり、「黒のアリス」の『憎悪』と『絶望』がプログラムされている。*2
        見た目は『魔獣(ジャバウォック)』そっくりだが、真っ白で細部が氷結を思わせる鋭角化されている。
        また、能力はジャバウォックと同じ熱を操るのに対し、バンダー・スナッチは真逆の冷気として操る。
        その威力は発現した直後でさえ、鐙沢村一帯を一瞬にして凍らせてしまうほど。
        発現して覚醒後は『完全体』を解いた後でもカツミの姿には戻らず、アリスが同年代に成長したかのような風貌になる。
        能力は『マーチ・ヘア』と同じナノマシン散布によるもので、空気中の窒素を散布したナノマシンで液体に変える。
        これにより瞬時に周囲数kmを絶対零度に近い極寒冷地にすることができ、人間もそのまま砕けるほど凍結する。
        「黒のアリス」は『神獣』とホワイトが保存してあった、巨大なアザゼル-Ωと融合させ、地球を氷河期にするつもりだった。
        尚、ホワイトは人類滅亡後にアザゼル-Ωとバンダースナッチすらも取り込み、神としての進化を目論んでいた。
        全ては『進化』に執着したキース・ホワイトによる計画であった…。
        「私は究極の進化を手に入れ蘇った!!
        おまえの…"地球(ガイア)"の意志を継ぐ者として!!
        "アリス"の憎悪とともに我が意志をおまえに託す!!
        今こそガイアと融合するのだ!!」


      ???「そんな事は不可能だ」
      10年後は一児の母。相手はもちろん…。


あらかじめ心の計算ができないのが人間というもんじゃよ。
  • 新宮十三(しんぐう じゅうぞう)
    • アニメ版CV:藤本譲
      隼人の祖父であり、新宮流古武術の師範でもある。若い頃は巌をして「現役時代の彼には今の私でも勝てない」と言わしめるほどの実力者だった。
      それでも寄る年波には勝てず、不死身のヴォルフや狙撃など相性の悪い相手が多く苦戦する事が多い。
      ただし単純な格闘戦であればエグリゴリのサイボーグ部隊相手でも負けはしない。
      ARMS相手でも第一形態であれば手玉に取ってみせ、作中最初に「人間はARMSに負けない」という言葉を説いた者でもある。


てめーらは一人一人がしっかり名前を持って、自分の人生の舵をにぎってんだろうが…
だったら一般市民なんて顔の見えない名前で自分をよぶもんじゃねえ。
  • 兜 光一(かぶと こういち)
    • アニメ版CV:中村大樹
      藍空警察署の刑事。当初はエグリゴリが巻き起こす事件を追っており、結果としてARMSを持つ涼達と出会う。
      二十八歳、血液型はAB型。国家公務員上級試験を優秀な成績で通ったキャリア組だったが度重なる命令違反や上司への反抗的態度により、未だに階級は警部補。
      子供の頃の夢は「正義の味方」。エグリゴリの存在を知った後は、レッドキャップスの「スナーク狩り」で警察を率先して動員。
      エグリゴリからブルーメン幹部の「李 春香」に窮地を救われ、本当の正義の味方を目指した。*3
      その後は警察を辞職し、反エグリゴリ組織ブルーメンに参加、高槻涼達をサポートする。
      特に能力も技術もない為、戦闘では満身創痍になりがちだが、持ち前のガッツで食らいつき、それが反撃の転機となる事も多々あった。
      名前の由来はマジンガーZのパイロットである兜甲児?から。
      「軍隊と警察の違いがわかるかい!?軍隊は敵軍に降伏していいんだ。そのための国際条約まである。
       だがな、警察は違うぜ。警察は決して犯罪者に降伏しちゃいけないのさ!」




あなたは私が生涯でもっとも心を痛めた自慢の息子よ!!
  • 高槻美沙?(たかつき みさ)
    • アニメ版CV:一城みゆ希
      涼の母親であり、非常に若々しい専業主婦。カツミからは「美沙ちゃん」と呼ばれ慕われている。
      息子曰く『若作りな専業主婦』、または呑気な母さんと言っている。近所でも評判の若奥様で、明るく人当たりのいい優しい女性。
      年齢不詳の外見で高校生の子供がいるとは思えないほど若々しく美しく、カツミやアルにも懐かれており、「美沙ちゃん」「美沙ママ」と呼ばれている。
      料理上手で包丁さばきは見た者を驚かせるほど。現在は夫の高槻巌が単身赴任な事もあり、仮初の独身気分を楽しみながら家事に精を出している。
      世話好きで細かい事は気にしないタイプ。


なに、通りすがりのサラリーマンさ。単身赴任のね!!
  • 高槻 巌?(たかつき いわお)
    • アニメ版CV:有本欽隆
      主人公である高槻 涼?の父親であり、自称『通りすがりの単身赴任のサラリーマン』。
      常にスーツに帽子というモダン紳士スタイルの出で立ちで、その佇まいに反し趣味はキャンプ。着痩せするタイプであり、結構屈強な体格をしている。
      幼少期から涼を頻繁にキャンプに連れて行っており、サバイバル術や格闘術、野生動物を捕らえたり撃退する罠の作り方を手解きしていた。
      商社勤務で海外出張が多く、最近はほとんど家に帰らず半ば母子家庭と化しているのをカツミが心配している。


我が名はキース・ブルー。
誇り高き地獄の住人、キースシリーズの一人…
  • キース・ブルー/エドワウ
    • アニメ版CV:石丸博也
    • 能力:ARMS『眠り鼠(ドーマウス)
    • 発現部位:不明
      ブルーメンの創始者であり最高意志決定者。組織内では「ブルー」の名前以外、その詳細が伏せられた謎の人物。
      その正体は『失敗作のキースの一人』であり、劇中で登場した段階で生存しているキースシリーズでは最年長。
      ARMS不適合者であったため、実験体時代に心臓部に植え付けられたコアの影響で侵食を受けている。
      胸に付けた旧式のリミッター無しでは数時間と生きられない体で、体も満足に動かせないため常に車椅子に乗っている。
      実はキース・ブラックと同じく『アザゼルの中にいるアリスの声』を聞く事ができる存在でもある。
      ブラックとは「エドワウ」「セロ」と呼び合い兄弟として育ち、それぞれの名前を交換した仲であった。
      元々の性格は他のキースシリーズ同様に傲慢不遜で尊大だったが、過酷な経験を経た事で神への敬虔さや慈愛を持つ性格になる。
      第28次ARMS移植実験でコア移植するも暴走、失敗作として廃棄処分予定のところ、涼の父達がエグリゴリを襲撃。
      サミュエル博士から事情を聞いた巌のおかげで混乱に乗じて逃げ出す事に成功した。
      声は聞こえていたがARMS不適合者であった為、レッドと同じくARMSにはアリスの意志を宿されていない。
      ただしアリスの声で『私の4つの魂(コア)を解放してオリジナルARMSをこの地の底から解き放って』という「望み」を託された。
      そしてサミュエル博士に預けられたコアとアリスの声の導きにより、反エグリゴリ組織「ブルーメン」を結成する。
      遺伝子操作による人体実験の末に、涼達4人の適合者を産み出すが、彼らへのコア移植には難色を示し躊躇する。
      これにはブルーメンの科学者が絡んでおり、彼等に強いられて無理矢理やらされていた事が明らかになっている。
      それを見透かしたブラック(ホワイト)により、適合者を相次いで襲撃、事故などに見せかけて瀕死の重傷を負わせる。
      これにより移植するしか生き残る術がなく、苦渋の決断で移植に踏み切った。
      彼の存在がエグリゴリを打ち倒す全ての始まりであり、同時にエグリゴリが生み出した全てを潰すカギとなった。


元・エグリゴリ

考えるだけの天才より、行動する馬鹿が勝つって事だ!!もちろん僕は別格だぞ!!
  • アル・ボーエン?
    • アニメ版CV:緒方恵美
      エグリゴリの実験によって生み出された天才児「チャペルの子供達?」の中でも最高の頭脳を誇る双子「ボーエン兄弟」の片割れ。
      ずば抜けた知能が原因でいじめを受けた経験により、兄弟共に「学校」そのものに憎しみを抱いている。
      兄ジェフと共に改造兵「プラス」と「マイナス」を引き連れ、ゲーム感覚で学校を襲撃し涼達に戦いを挑むも、2人の暴走を隠蔽できない為、上層部から切り捨てられた。
      彼らの始末に赴いたキース・レッドにジェフが殺され、アルも殺されかけたが涼達に救われ、以降は涼の実家で世話になるようになる。
      性格は傲岸不遜で極度の負けず嫌いにして、かなりの独善的思想主義者。「人類一の頭脳を持つ」と自負し、たびたびクソガキ呼ばわりされ隼人のゲンコツを受ける。
      しかしその頭脳は実際に驚異的であり、随所で科学的見地から涼達の活路を見出してみせる。特にハッキングと機械の操作は大得意。
      自分の頭脳が世界一と自負しているが、最後までサミュエル博士とのチェスには勝てなかった。
      ニューヨークから帰ってきてからは新宮家に居候し、キャロルと共に十三に新宮流古武術を学んでいる。
      最後の最後でホワイトにトドメを刺したのは、彼によるホワイト進化論の完全なる論破のショックではないかと謂われている。
      ちなみに10年後は隼人よりも長身のイケメン天才科学者になり各界から注目されている。


うふふ…何でもわかってしまう能力も困ったものですよ…
  • ユーゴー・ギルバート?
    • アニメ版CV:本間ゆかり
      本作のヒロインの一人で、元は敵対したエグリゴリの超人部隊『X-ARMY(エグザミィ)』の一員。
      世界最強のテレパシストで「天使(エンジェル)ユーゴー」の異名を持ち、その名はエグリゴリ内部では広く知られている。
      天使の異名に相応しく超人部隊の中では唯一の良心であり、心優しい少女ではあるが、他者の心を読み取れる能力故にエグリゴリの暗黒面を見続けた事で、心に傷を負っている。
      その為、同じような境遇にいる涼の心を読んだことで彼に共感し、同時に一目惚れに近い形で好意を持つようになっていく。
      彼女の能力は単純なテレパシー(読心術)だけではなく、他人の意識を中継したり、幻影を見破ったり、あるいは精神を他人ごと誰かの精神に送り込むことすらできる。
      また、心を持たない者と意識を繋げて操って戦う事もできるが、これはダメージそのものもフィードバックしてしまう諸刃の剣でもある。
      物語では自己犠牲も厭わぬ献身的な行動を率先し、涼達を超能力だけでなく精神的に支えていった。
      その意思は強く、涼がジャバウォックに呑み込まれた時は、自分がジャバウォックを命に代えても殺すと誓う。
      何よりテレパシーで涼の心はカツミの事でいっぱいだったのが分かった上で、彼にずっと寄り添い、最期まで彼を救ってみせた。*4


面白いでしょ、“曲がれ”って思うだけで、私にはなんでも曲げられちゃうのよ。
  • キャロル?
    • アニメ版CV:白鳥由里
      ユーゴ―と同じ超人部隊『X-ARMY(エグザミィ)』の一員であるベレー帽を被った10歳前後の少女。
      螺旋(ツイスター)のキャロル」の異名を持つ強力なサイコキネシスの使い手で、サイボーグ兵士程度なら軽く瞬殺できる。
      その能力で家族から組織に売り渡されたトラウマを持ち、血の繋がりはないがクリフを兄、ユーゴーを姉として慕っている。
      念動力は何でも捻じ曲げる事ができる他、衝撃によって相手を傷つけずに気絶させることもできる。
      涼達に負けた後、X-ARMYの仲間はレッドキャップスの襲撃で壊滅、生き残ったキャロルとユーゴーは涼達の仲間になった。


進むがいい…子供達よ…わしが行けなかった真理の地平まで…
  • サミュエル・ティリングハースト
    • アニメ版CV:依田英助
      エグリゴリ最高科学顧問を務めるユダヤ系アメリカ人で、年齢は75歳。世界最高の物理学者であり、アドバンストARMSを生み出した。
      涼達によりエグリゴリの情報を探るべく拉致されたが、後に彼自身の意思で過去の償いをすべく、涼達の手助けをする。
      かつては大学時代に「アザゼル」を発見、その性質を見抜き地球外生命体であることを突き止めるが、エグリゴリに押収される。
      そしてキース・ホワイトにスカウトされ、科学者としての知的探求心から全てを捨ててエグリゴリに加入した。*5
      ホワイトの「アザゼルによる人類の人工進化」の呼びかけの元、ナノマシンの完全適合者『アリス』を生み出す事に成功。
      このアリスをサミュエルは実の娘同然に可愛がっており、本来の良識的な人格を取り戻すようになっていた。
      しかし外に出たがったアリスとそれを許さなかったホワイトの行いを止められずに、子供をかばったアリスが撃たれ死亡してしまう。
      そしてこのアリスの死によりアザゼルも暴走、責任を追及され一時はエグリゴリから追放されるも、再度ホワイトの勧誘に遭う。
      最初は突っぱねていたが「アリスは生きている」という言葉に取り憑かれ、キースシリーズという更なる非道な人体実験に手を染める事になった。
      アザゼルとなったアリスと後にその後悔から、エグリゴリを襲撃した高槻巌にオリジナルARMSのコアとブルーを託した。
      最期はカリヨンタワーから脱出する際にロックの解除に集中していたアルを庇って爆風を受けながら、焦って実力が出せない彼を叱咤激励。
      そしてアルが最後のロックを解除に成功させ脱出後、先に行くよう促し傷を隠したまま座り込んで息を引き取った。*6


守るべきものがあるのなら、決して立ち止まるな!!
  • スティンガー
    • アニメ版CV:稲葉実
      ギャローズ・ベルにいる「チャペルの子供達?」に雇われた護衛で、強化人間“猟犬部隊”の隊長。足手まといであろうとも仲間を決して見捨てない。
      「アルファ・ハウンド」と呼ばれ、殺処分されるところをオスカー・ブレンテンに拾われ、彼らのために戦う事を決意する。
      オスカーからは父親代わりとして慕われており、スティンガーも親に捨てられた「チャペルの子供達」を大事に思っている。
      そして決して裏切らない大人がいる事を、オスターをはじめとするチャペルの子供達に教えたいと思って彼らを守っていた。
      実は元々妻子がいたらしいが、薬の影響か自身の後悔からかその頃の記憶はすでになくほとんど思い出せない。
      アドレナリンを過剰分泌させる事で人間の潜在能力を自在に引き出せる強化人間で、戦闘が激化すればするほどその戦闘能力は飛躍的に高まる。
      ただし過剰分泌が過ぎると肉体が負担に耐えられなくなり、良くて廃人、場合によっては命を失う危険がある。
      オスカーを助けてくれた涼達に負けを認め、その直後に起きたキース・シルバーの部隊の襲撃からの退却戦で涼達と共同戦線を張った。
      原作では終盤に再登場するが、アニメ版ではその後のグランドキャニオンの大虐殺にて死亡してしまう。
      最終章での高槻巌との会話で、オスカーは彼の養子になったらしく、その事に顔をほころばせ、巌に「お互いに死ぬなよ」と声を掛け合う
      しかし最終章でよりにもよって真っ先にラスボスのキース・ホワイトと出会い、自分達を虫ケラと呼んだホワイトに激昂して交戦。
      ホワイトは意に介さず「ブリューナクの槍」であっという間にハウンド部隊を薙ぎ払った。*7


決着がつくまでやり合おうぜ、どちらかが死ぬまでな!!
  • コウ・カルナギ
    • アニメ版CV:徳丸完
      エグリゴリのミュータント収容施設「アサイラム」に収容されている中でも、最も危険な存在といわれる男。
      通称「牙(ファング)」と呼ばれる最強のミュータントで、見た目はM字ハゲの獰猛な顔つきの筋骨隆々とした大男?
      両袖が破れた道着のような黒い服を着ており、ぱっと見ジャバウォックに似てなくもない。
      凶暴な性格の戦闘狂であり傲慢且つ尊大、強者と戦う事が生き甲斐という見た目通りの脳筋バーサーカー。
      ある特殊なウイルス性疾患の生き残り?で、ARMS以上のパワーとスピードを持つという怪物であり、その実力は作中でも屈指。
      調査した学者からは「生まれながらして全身のチャクラが開いている」といわれ、ARMS最強硬度であるナイトのブレードを真剣白刃取りで軽く圧し折るほど。
      さらに反射神経も凄まじく、捨て身で突撃してきた音速を超えるホワイトラビットをカウンターで撃退していた。どういうわけか銃弾も通らない皮膚をしている。
      グリーンに雇われたホワンにより体内に電気ショックを与える「ワーム」*8を仕込まれ、エグリゴリの手先として、そしてARMSという強者を求めて登場した。
      当初は涼達全員を相手に圧倒的な戦闘力で勝利し、しかもその戦闘で武士は植物人間となってしまった。
      後に「水の心」を会得した隼人に敗北、正体を現したホワンにより完膚なきまで叩きのめされてしまう。
      この出来事から終盤にホワンへの復讐を果たす為に再度姿を現し、アルの説得で涼たちと利害の一致で共闘する。
      流石に完全体のオリジナルARMSには及ばずとも、モデュレイテッドARMS程度なら一個部隊でも素手で無傷で勝てるほど強い。
      そんな彼の攻撃でさえ、最終形態になった複数のモデュレイテッドARMSには決定打にはならなかった。
      文庫本に掲載された貴家悠のイラストでは、「テラフォーマーズ」の登場人物「ジョセフ・G・ニュートン」は彼の子孫という設定がある。

ちなみに物語終盤にてスティンガーとコウ・カルナギは対峙・交戦し、スティンガーはカルナギのパワーを、カルナギはスティンガーのスピードを危険視していた。
もっともその両者を「よしたまえ」と同時にぶん投げて仲裁した奴もいたが。
最終章でホワンの顔面に一発入れる事に成功するが、その後昏倒。巌に助けられ、巌と崖の決着がついた後で立ち去った。
同作者の漫画「スプリガン」の源双烈によく似ている。(戦闘スタイルや特徴も酷似)
一応、最後の最後で味方戦力になったのでこちらに記すが、基本的に誰の味方にもならない男である。



キースシリーズ

「キースシリーズ」とは、エグリゴリ中枢の権力者だった『キース・ホワイト博士』のクローンチャイルドの総称であり、繁殖能力を持たない一代限りの人造人間。
ARMSに適合できた『成功作』のみがカラーネームと呼ばれる名前を与えられる。基本的にはキース似の傲慢不遜な性格だが、心優しい者もいる。
少なくとも87人以上の個体が造られたが、後にブラックの手によって現在のメンバー以外のキースは皆殺しにされた。

なにしろ俺はお前達の“兄”だからな!!
  • キース・レッド
    • アニメ版CV:速水奨?
    • 能力:ARMS『幻獣(グリフォン)
    • 発現部位:両腕
      涼達が初めて出会った「キース」の一人。エグリゴリのシークレットエージェントとして、物語の序盤でたびたび暗躍する人物。
      隼人から身に覚えのない「親の仇」と言われ、苦笑しながら「俺はお前達の兄だ」と言い残し、彼らの出生の謎のヒントを与えた。
      ガウスと手を組み独自にオリジナルARMSを研究し、鐙沢村でジャバウォックの暴走を起こした際に、左頬に三の字の爪痕を遺されてしまう。
      他のキース達と同じ遺伝子プールから生まれた存在ではあるが、「欠陥品」「初期不良品」と呼ばれている。*9
      そのため正式にはキース・シリーズには加えられておらず、最高幹部の座も与えられていない。その事にコンプレックスを抱いている。
      幹部候補以外のキース・シリーズを皆殺しにしたブラックが、なぜレッドを処分していなかったのかは未だに謎*10
      自分を認めない他のキースシリーズを圧倒する高みに上るため、独断専行でオリジナルARMSの奪取に執着していた。
      キースの中では意外と砕けた性格をしており、隼人に親の仇と間違えられた際は困惑した表情で弁解をしていた。
      能力は超振動ブレードと超音波を持つARMS『幻獣(グリフォン)』。


貴様は…前進しろ…貴様の心が…今求めていることをなしに行け
  • キース・シルバー
    • アニメ版CV:川津泰彦
    • 能力:ARMS『帽子屋(マッドハッター)
    • 発現部位:左腕
      エグリゴリの最高幹部の一人であり、キースシリーズの次兄。アリスの「闘争」の意志を宿す好戦的な軍人。
      しかしそれは仮の姿であり、幼少期は「アレックス」という名を与えられたメキシコの研究所育ちの心優しい少年だった。
      だが兄キース・ブラックの命令で研究所が襲撃されさらわれ、兄に「研究者達を説得できればこれ以上攻撃はしない」と提案される。
      育ての親同然の研究者達を信じて研究所に向かうも、有無を言わさず銃撃に曝され、結局育ててくれた研究者を皆殺しにしてしまった。*11
      この事件のせいで現在の破壊的性格が植え付けられるも、潜在的にはブラックの呪縛から自由になることを強く望んでいた。
      最終的には「闘争」の力を昂らせる為に、自分の手で部下を皆殺しにしてジャバウォックにも負けないほどの手に入れるが……?
      能力は電撃を操ることで、掌に荷電粒子砲を持つARMS『帽子屋(マッドハッター)』。


僕は……君達とまったく別の形でであっていたなら…
  • キース・グリーン
    • アニメ版CV:私市淳?
    • 能力:ARMS『チェシャ猫(チェシャキャット)
    • 発現部位:左腕*12
      エグリゴリの最高幹部の一人であり、キースシリーズの末弟。涼達と同じぐらいか年下で、アリスの「希望」の意志を宿している。
      「キースシリーズ」という選ばれた超越者としての傲りを持ち、傲慢で自分勝手な性格で嫉妬深い。自分に酔っている節もある。
      当初は兄ブラックの命により「プログラム・ジャバウォック」の為だけに鐙沢村でカツミを保護するが、やがてカツミに心惹かれるようになる。
      しかしカツミは涼の事しか頭にないことに嫉妬し、グランドキャニオンの戦いであえて先回りをし、逃げてきた涼達を襲撃。
      航空戦力を率いてチャペルの子供達や町の住人達を虐殺した。だが鼻歌交じりに子供を虐殺した事で涼の怒りが爆発。
      無敵を自負していた「空間を操る能力」を悉く打ち破られ、必死の思いで敗走。NYの豪邸に逃げ帰り、カツミとの生活に引き籠る。
      自分の能力を過信し、その後も『アサイラム』からホワン達を差し向け一度は全滅寸前まで追い込むが失敗。
      そしてジャバウォック計画の為にブラックの指示でやってきたホワンにカツミを奪われ、更には…。
      能力は空間干渉能力による空間転移や空間の断裂を引き起こすARMS『チェシャ猫(チェシャキャット)』。
      ホワンに瀕死状態にされた後は回復ポッドのような物の中で眠っており、コアに傷を負っていたらしく歩くのもやっとだった。
      最期は自らの命と引き換えに兄に立ち向かい、最後の力を振り絞って涼をカツミのもとに転送して朽ち果てた。
      ちなみに当のカツミからは手のかかる弟みたいにしか見られていない。


笑えるだろう、久留間恵…
私は今、生まれて初めて紅茶がうまいと感じている。
  • キース・バイオレット
    • アニメ版CV:桑島法子
    • 能力:ARMS『三月兎(マーチ・ヘア)
    • 発現部位:両目
      エグリゴリの最高幹部の一人であり、キースシリーズの長女にしてキースシリーズ唯一の女性。エスプレッソの味にはうるさい。
      アリスの「悲哀」の意志が託された大人の女性で、たびたび涼達の前に中立的立場で現れては助言や助け舟を出す。
      性格は見た目通り冷静かつ大人で、合理的で交渉もできる「話が分かる人」。ただし後半からは『計画』の焦りで辛辣になっていく。
      平和を願う唯一のエグリゴリ最高幹部であり、政治的手腕に長けた外交官的な役割として兄キース・ブラックの片腕として信頼されている。
      ブラック自身も彼女が涼達に塩を送るような事をしても、その信頼は揺るぐ事なく、彼女自身も兄を敬愛している。
      他のキースシリーズの事は家族のように大事に思っており*13、涼と隼人に自分たちの過去を語り、ARMSの謎を解く鍵となる場所を教える。
      全てはARMSに関わった者達に待ち受ける過酷な運命を憂いて、破滅の運命を避けるため独自に行動をしていたのだった。
      隼人とは何かと縁があり、巌の導きで隼人が知り合ったママ・マリアの旧友の一人として葬儀の列にも参加していた。
      ちなみにマリアに会いに行った際は、生まれたばかりで自分がヒトなのかただの兵器なのかを問いに行き、彼女の護衛9人を殺害している。
      能力はナノマシンを散布することで大気中の光を操るARMS『三月兎(マーチ・ヘア)』。金属を一瞬で溶かすほどのビームを放てる。
      10年後は米国国務長官として活動し、アリスが産み出し愛した青い薔薇「ブルーウィッシュ」を携え、パレスチナ和平に尽力している。


希望こそ…ヒトにとって最も恐ろしい
災厄だからですよ…

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  • キース・ブラック/セロ
    • アニメ版CV:置鮎龍太郎
    • 能力:ARMS『神の卵(ハンプティ・ダンプティ)
    • 発現部位:なし(全身)
      エグリゴリを統率する最高幹部の筆頭で、キースシリーズの長兄。金色の髪を長く伸ばしている。
      キースシリーズにおける初めての成功例であり、思慮深く常に微笑みを絶やさない温厚な性格をしている。
      だが同時にアリスの「絶望」の意志が託されており、「黒のアリス」の意のままに動く存在となっている。
      ARMS移植前は「M-83」と呼ばれ、エドワウやティリングハースト博士からは「セロ」と呼ばれる気弱な性格の少年だった。
      エドワウとは人工子宮が同じβグループだった事で名前を交換し合う仲であり、アザゼルの「アリス」と話ができた。
      しかしアリス以外での初のARMS適合者となった後、生みの親であるキース・ホワイトとエグリゴリ最高幹部、研究者をほぼ皆殺しにしてしまう。
      さらに外部端末と接続したアリス(アザゼル)により米国の核報復システムを乗っ取り、各国政府を裏から支配する。
      そしてエグリゴリを率いて「プロジェクト・ジャバウォック」発動の為、幹部候補以外のクローンを殺処分し暗躍を始める。
      尚、隼人の両親を殺したのはこのキース・ブラック。ただしそれは彼の中に吸収されたホワイトの思惑だった。
      能力はあらゆるものを吸収して自分の物にできるARMS『神の卵(ハンプティ・ダンプティ)』。
      この『卵』を割る為に、涼のジャバウォックと一騎打ちをするが…。
      待っていたのは私も同じだよ、M-83ブラック…
      • キース・ホワイト
        • アニメ版CV:井上和彦
          かつてのエグリゴリの最高幹部の一人で、全てのキースシリーズの父でもある科学者にして諸悪の根源。
          悪魔と比喩されるほど冷酷非道な性格で、嫌いな色は青。(サミュエルがエドワウにブルーの名を与えたのもここから)
          純血のアーリア人であり、かつてヒトラーが掲げた優生学を信じ誇りとしていたが、ナチス崩壊で幻想を失う。
          その後、「アザゼル」の発見により『究極の進化』として「地球と一体化し“神”になる」という目的を抱く。
          しかしアザゼルと適合、ARMS適正者にならねばならなかった為、自身の器として「キースシリーズ」を生み出す。
          後に『神の卵』を移植させたブラックに自分を殺させることで、一度『吸収』され彼の中に自分を移植。
          そして長い年月をかけてブラックを内部から侵食し、ジャバウォックの一撃という「亀裂」により目覚める。
          全ては初めからホワイトの計画通りであり、ブラックが気付いたのもごく最近で手遅れであった。
      ハンプティ・ダンプティに取り込まれたキース・ブルーと再会を果たし、父に引導を渡した。


  • キース・ゴールド
    涼より以前にジャバウォックのコアを移植された最初期のキースシリーズの一人。性格は不明だが好戦的ではない様子。
    サイボーグ兵士を惨殺する戦闘力を得たが、後日ARMSが暴走して半端なジャバウォックと化した挙句、基地内を破壊して回って最後には朽ち果てた。
    中途半端とはいえジャバウォックには違いなく、銃弾の雨も爆撃も効かず火炎放射で兵士を一掃、人間を軽く握り潰している。
    ちなみに暴走自体はこの時以前、3年で12回も起きており、いずれも実験体が侵食されて怪物化して最後には死亡していた。
    ホワイトはこの惨状をサミュエルに見せた上で、オリジナルARMSに代わるコア、アドバンストARMS開発の着手をさせたのだった。
    要はホワイトがサミュエルを焚きつける為に見せしめにした生贄である。






●その他の部隊・人物

  • メアリー・カッツ
    ショートボブ金髪の女性研究者。鐙沢村実験場の最高責任者であり、同時にエグリゴリに潜入したブルーメンのスパイ。
    鐙沢村で非人道的と知りつつ様々な人体実験を行なっていた。村を訪れた涼達に出生の秘密の一端を明らかにする。
    自分達の罪深さを受け止めており、実験体らと共に地下施設を破壊するミサイルで実験場と共に消失した。


  • クリムゾン・トライアッド
    エグリゴリのサイボーグ3兄弟。出生の秘密を探ろうと鐙沢村に訪れた涼達の前に立ちはだかる。
    これまでに流した血の量があまりに多いため、「真紅の三兄弟」(クリムゾン・トライアッド)と呼ばれている。
    ハニカム構造のチタン装甲で身を固め、大型ガトリング砲を携えた重量級サイボーグの長兄「ガシュレー」。
    背中についた虫のような羽根により亜音速で飛行し、真空刃で切り裂く紅一点の「ビイ」。
    軟体生物の如き動きで敵を翻弄し、顔を自在に変化させ他人に成りすますナイフ使い「フェイス」。
    彼らとの闘いにより、隼人と武士のARMSは第二形態に成長、ガシュレーの正々堂々とした戦士の生き様は涼に影響を与えた。
    尚、後に登場した後述の「ドラッケン」の隊長・ヨハンはガシュレーの戦友。


  • X-ARMY(エグザミィ)?
    突然変異や人体実験によって得た超常の能力を持つ者たちで構成された実験部隊。
    主に超能力を主軸に研究されているが、ミュータントのような特殊体質の人間もいる。
    登場時点ですでに用済み扱いされており、彼等の研究成果は「レッドキャップス」の完成の為に使われた。
    組織に自分達の存在価値を示す為に、エグリゴリが手を焼いているオリジナルARMS達を殲滅しようと画策する。
    メンバーは圧倒的なサイコキネシスを操る「魔王(セイタン)クリフ」、世界一のテレパシスト「天使(エンジェル)ユーゴー」、念動力の使い手「螺旋(ツイスター)のキャロル」
    ガン細胞によりどんな傷も回復する「不死身のヴォルフ」、あらゆる光を操る視線を持つ「千里眼のキクロプス」がいる。
    他にもかなり大勢のメンバーがいるそうだったが、彼等が出発した直後に廃棄処分にされたらしい。





ふふふ…この地上で最も多くの生命を奪った武器はなんだと思う!?…それは…毒だよ!!

  • ガウス・ゴール
    • アニメ版CV:岩田光央?

”残忍なる知将”の異名を持つ老齢の傭兵。都市部での侵略戦における心理戦の専門家でもある。腹心の部下にヒギンズを率いる。
初登場時は寝たきりの老人でしかなかったが、キースの『レッド・キャップス計画』により再び若々しい肉体と戦場に返り咲ける話に乗り、協力した。
そして十代前半のクローン少年兵の肉体に脳移植し、ヴォルフの不死身とユーゴーのテレパシー、キクロプスの透視などを持って登場。
副官カール・ヒギンズと共にオリジナルARMS達を捕獲する為、人心扇動を行う非道な作戦「スナーク狩り」を決行した。
更には『Venom』と呼ばれる一種のコンピューターウィルス弾を撃ち込み、ジャバウォックを追い詰めるも予想外の反撃を受け撤退。
その最中、部下が次々と急激に老衰して死亡。実は不老処理を定期的に行わないと肉体を維持できない事を知らされておらず、捨て駒同然で散っていった。
キース曰く「あんなものは老人たちにもう一度夢を与えてやったにすぎん」とのこと。
ぶっちゃけ超能力は全て中途半端、警察官や市民にやられている時点でレッド・キャップスは失敗作であり、ハウンド部隊同様処分されていただろう。
美沙ママも「超視覚でいつでも敵を捕捉でき、超再生で不死身だと思っているから、恐怖心や警戒心が麻痺している。致命的な弱点。」と指摘していた。

「ガウス殿…扇動のために『サクラ』を何人潜り込ませたんです!?」
「フフフ…さほど多くはない…一人動けば三人動く…三人動けば一ダースが動く…それだけで群集はネズミの群れと化す
 人間の冷静な判断力を失わせるには、"恐怖"と"怒り"…たった二つの感情を操作してやればいいのだよ!
 すでに奴らは、この街の市民を敵に回した…もはや逃げ場はない
 民衆のリンチに何の抵抗もできずのた打ち回るがいい……… ククク…」




  • ラヴィニア・ウェイトリー
    「アサイラム」の収容者の一人で通称「悪夢(ナイトメア)」の異名を持つテレパシスト。魔女狩りに遭い、息子を殺された過去がある。
    カルナギ達と共にニューヨークの涼達を襲撃。悪夢のイメージを見せて精神を攻撃する能力でユーゴーと心理戦を行う。
    しかし自分の力を反転され、自身の悪夢により心を壊され敗れた。
    後にカルナギと手を組んで自分達を支配する『ワーム』のスイッチをホワンから奪い取るも、最初から騙されていたと知る。
    そしてホワンの心を読んだ際、その恐怖でショック症状を起こし退場した。その後は登場していない。(必要ないのでX-ARMY同様処分されたと思われる)


  • 灰色(グリージョ)兄弟 (ネロ)(ビアンコ)
    シシリアンマフィアのドン・パゾリーニに雇われた凄腕の殺し屋兄弟。ネロが兄でビアンコが弟。
    兄弟のコンビネーション攻撃を得意とする…らしいが相手が悪かった。何の見せ場もない作中切ってのかませ犬。


  • ママ・マリア
    ニューヨークのハーレムの黒人達の中で最も尊敬されている最長老の女性。
    足腰と目が不自由な寝たきりの状態だが、手を握っただけで相手の全てがわかる「リーディング能力」を持っている。
    この能力で隼人は自分自身の本心を見出し、キース・バイオレットの本質も一瞬で見抜いた。
    そしてマフィア壊滅後、最期に隼人に会わせてくれた事を巌に感謝しながら静かに息を引き取る。
    「人の足を停めるのは"絶望"ではなく"達観(あきらめ)"…人の足を進めるのは"希望"ではなく"意志"…」


  • ベッケンハイム?
    エグリゴリ最強部隊『イプシロン・フォース』の中でも、最新鋭重装甲サイボーグ部隊を率いる隊長。
    最新鋭の超絶ボディーを持ち、旧式サイボーグの烏合の衆であるドラッケンの前に立ちはだかる。
    漆黒のマントの中には右腕にガシュレーのような大型ガトリング砲、肩と背中にブースターを搭載している。
    重装甲でありながら必殺技『シュトルム・ウント・ドランク』は目にも留まらぬ速さでボロ屑にする。
    「雑魚にはかまうな!ただの通過点として捌け!」


  • ドラッケン
    「神にいのるな!心がくじける!過去を思うな!!敵は前にあり!!」
    ブルーメンのヨーロッパ地区を担当する特殊作戦部隊。ドラッケンとは「竜」の意味。
    ヨハン・ホルスト隊長が率いるエグリゴリから離反したサイボーグ部隊。ちなみにヨハンはガシュレーの戦友である。
    ただし離反した以降はエグリゴリのメンテナンスも改造もない為、全員が劣化した旧式サイボーグの集まりでしかない。
    しかし実戦経験の豊富さから実力は高く、むしろ最新鋭のサイボーグ部隊相手でも簡単に殲滅して見せる。
    その実力はエグリゴリ内部でも伝説級の扱いであり、対峙したエグリゴリの部隊はその名を聞いて震え上がっていた。
    彼らのパーツは消耗品であり、そのほとんどは散っていった戦友の遺品を使っている。部品ごとに戦友の名前を憶えており、失った時は別れを告げる。
    当初はARMSとの共闘を不服に思い、ブルーメンから脱退を表明。(これは自分達がARMS開発の踏み台にされた為)
    覇気のない涼を見て更に失望し、隼人やユーゴーの叱咤激励を受けて立ち直った涼が生身で自分達に挑み体当たりの説得をしてきたことで翻心された。
    カリヨンタワーが崩壊する際、ヒューイとその父デューイ・グラハムの最後のやり取りを聞きながら、満足げにタワーの崩壊に巻き込まれて消えていった。
    ヨハンは背中に四本のカッターアームを備え、他にもフェイスのような変身能力を持った女性、銃火器や刃物を内蔵した者など能力は様々。

ヨハン

「ジョージ…アベル…コレン…ハリー…ロイス…シュワルツ……
 オレにパーツをくれて死んでいった部下たちの名だ
 我々には見た目以上の兵士がついている
 我らは生き場所を捨てし、ドラッケン!
 もう何も恐れるものはない!!ここが我々の死に場所だ!」


  • ボビー
    カリヨンタワーの番人で数mはある巨大なパワードスーツ型サイボーグ。正面のモニターに少年の姿が映し出されている。
    高速機動サイボーグ部隊を壊滅させてタワーに侵入してきた涼と隼人を迎えうった。一応サイボーグだが、見た目に人間要素は一切ない。
    複数ある腕にはレーザービーム砲を備え、装甲強度も涼のARMS砲の砲撃すら弾き返すほど。更にはローラーダッシュによる高速機動が可能。
    知性は子供で自尊心が高く自分を無敵と傲り、ロボット呼ばわりされると怒る。涼達を倒せば自由になれると言われていたが…?
    実は中に乗っているのはARMS実験体の少年であり、スーツも急造の間に合わせ。目的は涼に少年を殺させ、精神を追い込む事だった。
    目論み通り涼はボビーの装甲を引っぺがし、ハッチに接続されていたボビーのリミッターが外れて暴走、涼の目の前で砕け散った。(スーツも自爆装置で爆破された)


  • ネクスト
    ティリングハーストとも旧知の仲である科学者デューイ・グラハムが造り上げた、人類絶滅後の世界を担う存在。
    しかし元々は不治の病により死亡した息子を蘇らせる為に、息子の記憶をアンドロイドに移植したものであった。
    血液と栄養が必要で脆い「脳」という部品を不要と考え、デジタル化した記憶を移植したコンピューターを搭載している。
    デューイ・グラハム自身も肉体を捨てて、カリヨンタワーそのものになっているが、データの情報量の差からかある程度人間だった頃の人格を残している。
    しかし息子ヒューイ・グラハムを始めとした『ネクスト』は、記憶は移植されているが人格と言えるものはなく、無機質なアンドロイドでしかなかった。
    ただしヒューイは新人類である傲りと、そこからくる激昂のようなものを見せている。
    更に最後の最後で自分自身に泣く機能がない事を呟くなど、少なからず自意識があったかのような事を匂わせていた。
    なお、部下であるクラーク・ノイマンは同じ人物を何十体と複製しており、こちらは完全にただのアンドロイドでしかない。
    ちなみにこのクラークはドラッケン隊長のヨハンの元上司だった人物。生前の記憶はいちいち検索しないと思い出せない。
    同一の思考・性能を持つゆえに完璧なコンビネーションが可能であり、さらにカリヨンタワーがある限り記憶を素体にDLすれば無限に復活が可能である。
    クラーク三人が超高速で移動して敵の体に張り付き、超震動をかけることで粉砕する連携技・破壊の渦(ディストラクティブ・ボルテックス)を持つ。

ヒューイ

「有機物生命である人類が、今までどれだけのことをしてきたか考えてみるがいい!
 食料を得るために無数の生物を虐殺し、密林を焼き払う
 いたずらに人口を増やし領土と食料を求めて戦争を起こす
 自分達の私利私欲のためには、自分の住む家も食いつくす白アリのような存在… それが現行の人類だ!!
 しかし、エグリゴリによる人類の粛清が行われた時、地上を支配するのは我々機械人類!!
 感情や欲望、あらゆる精神活動をもプログラムとして調整することの可能な理想的人類だ!!
 まったくもって素晴らしい… その時、初めて地球は本来の美しい姿にかえるのだよ」


  • ジェイムズ・フリント
    本作での米国大統領。巌とは協力関係にあり、エグリゴリを倒すためにサポートしている。


  • ハインツ
    モデュレイテッドARMS部隊副隊長。(っていうか名前が出たのがコイツしかいなかったというあんまりな扱い)
    ARMS適性者は地上を総べるエリートであると信じ、異常なまでにプライドが高い。最終章のかませ犬。
    ホワンにリミッターを解除され涼達を追い詰めたが、力を取り戻した武士に同情されながら引導を渡された。


  • ジェームス・ホワン/高槻崖(たかつき たかし)
    「アサイラム」に収容された盲目の遠隔透視能力者。
    遠隔透視力『リモート・ビューイング』はありとあらゆる物を視る事が可能で、涼達からは「歩くスパイ衛星」と呼ばれた。
    その正体は涼の父・高槻巌の実弟である崖(たかし)であり、かつて鐙沢村でその能力故に異端として一族や里の者から迫害を受けていた。
    崖はそれを恨んでエグリゴリにオリジナルARMS研究所の情報を密告した。これにより鐙沢村の一族郎党は全滅、その報復として高槻巌に目を潰される。
    その後はエグリゴリに協力する事を条件に、『アサイラム』という「隠れ家」に身を隠して整形、以降は「ジェームズ・ホワン」を名乗るようになる。
    物語中盤でグリーンを襲撃時にモデュレイテッドARMSを自身に注入し、視力と元の顔を取り戻す。
    その場でグリーンを圧倒してカツミをさらうなど暗躍していたが、ARMS殺しを持った高槻巌に狙われ恐れをなして行方をくらませた。
    キース・ブラックがホワイトに変わった後、終盤ではモデュレイテッドARMS部隊の隊長として再登場、兄・高槻巌に最後の戦いを挑む。
    ちなみに様々な面から超重要キャラなのだが、アニメ版には未登場。*14
    尚、グリーンや巌に「自分もARMS適性者だ」と言っているが、実際のところは真偽不明。
    (アドバンストARMSを使わずわざわざリスキーなモデュレイテッドを使っていること、元に戻れないことから)*15


私は…この「不思議の国のアリス」って本が好きよ
だって…私と同じ名前の女の子が"不思議な世界"で大冒険するなんて、ステキだもの
  • アリス(オリジナル)
    • アニメ版CV:久川綾?
      ARMSの生みの親であり、ティリングハーストの「チャペルの子供達計画?」の最初の成功者。
      ティリングハーストさえも絶賛する人類最高の知能を持ち、さらに人類初の金属生命体「アザゼル」移植への完璧な耐性を示した超人類。
      キースとサミュエルをそれぞれお父さんと呼ぶ。実はアザゼル-αの暴走の際に生き残った研究者の適正遺伝子を元に人工授精で造られた。
      9歳でエグリゴリの科学者として活躍、アザゼルにコンピュータープログラムで『心』を宿させた。同時に実験の被検体となった子供達の心のケアもしていた。
      しかし実験体であるが故にエグリゴリが隔絶した世界から出してもらえず、外の自由な世界を夢見ており、青い薔薇『ブルーウィッシュ』を創ったのもその願いから。
      そして10歳の誕生日の日、キース・ホワイトがお祝いに願いを一つかなえてくれると言ったので、他の実験体の子供達を外に出して欲しいと願った事でキースの怒りを買う。
      キースはアリスの邪魔になるとし実験体の子供達の廃棄処分を決定、それを聞いてしまったアリスは外の世界への脱走を決意。
      アザゼルとコンタクトして脱出経路を導き出し、子供達を連れて脱出するも、その道はキースが敢えて用意した罠だった。
      アリスを捕らえたキースは他の実験体の子供達の射殺を命じ、キースの腕を振り払って駆け寄ったアリスも銃撃により致命傷を負ってしまう。
      『人類の進化の為』というキースの言葉に「人類なんて!」と心の奥底から想ったアリスに呼応し、彼女に強く惹かれていたアザゼルが暴走。
      彼女を救う為、そしてヒトになりたかったアザゼルにより、アリスと融合しオリジナルARMSと大型コアと化した。
      アザゼルと一体化した事でアリスは死を免れることができたが、同時にアザゼルの中に囚われてしまう事になる。
      更にこの時、精神が分離し人間を憎む「黒のアリス」と心優しい「白のアリス」に分かれてしまった事が、全ての災厄の始まりであった。


●用語

●ARMSとは

宇宙から飛来した群体のシリコン生命体「アザゼル」をベースに創り出された、炭素生命体と珪素生命体のハイブリッド知的生命体。
ナノマシンの集合体で出来た群体生物であり、人間に埋め込まれるとナノマシンが増殖し体の欠損部分を本来の形に補う。
埋め込まれた者は普段は普通の人間と変わらないように見えるが、異常なまでに再生力が高くなり、同時に身体能力の引き上げと耐性を得る事が出来る。
ただし第一形態までの覚醒では発現部位以外の再生力や身体能力は常人とさほど変わらず、締め技などで気絶させることができる。*16
また、適合者でない者に移植するとナノマシンが暴走し宿主を飲み込んで侵食、異形の姿に成り果てて最終的に死亡する。*17
ただし侵食され尽くす前にコアリミッターを取り付ける事ができれば、これを解除しない限りその時点で侵食を中断させる事ができる。
基本的にはナノマシンを統括する力を持ったARMSのコア(手の平サイズの白い球体)を移植する事で誕生するが、人間の体内でコアが生成される場合もある。
このコアを破壊されるとARMSは機能を失い崩壊して移植者の体ごと崩れ落ち、その肉体は骨さえ残さず塵になって消える。
逆に言えばコアさえ無事ならいくらでも再生可能であり、即死級の傷や猛毒はもちろん、小型太陽と化した溶鉱炉のような中であってもも死なない。
ただし金属生命体を用いたナノマシンであるが故に電撃には弱く、高圧電流を受けると形態を維持する事も出来ず麻痺してしまう。*18
ARMS同士が近くにいる状態でいずれかがARMS発動の意思を示すと、他の者のARMSを移植された部分が振動する『共振』反応が起こる。
第一形態では体の一部が変異するに留まるが、ナノマシンが全身に行き渡り完全変態を遂げた『完全体』になると、4~5mほどの巨体に変化する。
また、完全体になると主に腹部に移植者の顔が浮き出てくる。*19(ただしチェシャ猫は額に出て、三月兎は等身大なせいか顔は出ない)
更に第一形態をより強化し、新たな新能力を覚醒した『第二形態』、『第三形態』のような進化もあり、基礎能力がアップする。
こちらは純粋な性能の上位互換バージョンアップデートであり、開始の発動形態が覚醒後の形態に上書きされる。(上位形態覚醒後は前の形態は使われない)
尚、ARMSの再生力は個体差が大きく、部位が丸ごと消滅したりして欠損した場合はそれなりの時間を要する者もいれば、ものの数秒で回復する者もいる。


  • 始まりのARMS“アザゼル-β”『アリス』
    アザゼルがアリスを取り込んだ際に生み出された、巨大なARMSコアのような球体。
    ARMSであると同時にスーパーコンピューターでもある。生まれた際に下記の「オリジナルARMS」のコア4個も伴い出現した。
    アザゼルと融合した事でアリスはコアの中で生きているが、コアの中では「黒のアリス」と「白のアリス」に分かれて常に葛藤している。
    後に生まれたキースシリーズのアドバンストARMSのコアはここから抽出されており、キースシリーズに命令を出しているのはそれぞれのアリスである。
    その他、全世界の核防衛システムを乗っ取ることで各国政府も支配している。ちなみに専用のチャットルームで簡単な意思疎通が可能。
    ARMSでもあるがアザゼルそのものでもある為、アザゼルの特性も合わせ持っている。
    後にカリヨンタワーにてジャバウォックと涼の憎しみと絶望に共鳴し、彼らを取り込んで巨大なジャバウォックと化した。


オリジナルARMS

アザゼルがアリスを取り込んだ際に生まれた上記の『アザゼル-β』の傍らに落ちていた4つのコアから生まれた最初の4体のARMS。
それぞれが四つに分かれたアリスの意志を象徴する固有の自我を持っており、アリスの意志を濃く受け継いだ分身とも言える存在。
その自我故に制御が極めて困難であり、第一形態であっても移植者の意思次第では暴走してまともに操れないどころか、発動すらできない。
当然必ずしも移植者の意思で『完全体』になれるわけもなく、制御するには移植者の強い意思と、ARMSの自我自体との邂逅が必要。
ちなみにエグリゴリでは初期のキースシリーズ十数人に移植を試みたが、最初安定していた者も最終的に全身を侵食されて全員死亡している。


  • オリジナルARMS“魔獣”『ジャバウォック』?
    • アニメ版CV:池田秀一?
      涼に移植されたARMSで、「人類を恨む黒のアリスの憎悪」をプログラムされている。
      第一形態では右腕が倍近く肥大化した生物的な巨腕が発現する*20。この腕は伸縮自在で盾状になったり、5~6mぐらい伸びたりもする。
      ARMS自体の基本的な特徴は圧倒的なパワーと柔軟性、そして何より第一形態から使える「ARMS殺しの爪」が物語のキーアイテムでもある。
      性格は傲慢不遜であり、自らを「破壊の王」と名乗り他のARMSや人間を見下している。




  • オリジナルARMS“騎士”『ナイト』?
    • アニメ版CV:小杉十郎太?
      隼人に移植されたARMSで「人を愛する白のアリスの仁愛」がプログラムされている。
      第一形態では左腕に甲殻類のような籠手と剣(ブレード)が発現する。見た目通りの近接戦闘に特化したARMS。
      全ARMS中最強の硬度を持つと言われており、限界こそあるが伸ばすことも可能なブレードを持つ。第二形態になるとブレードを大剣化させられる。
      また手の指は鉤爪になっており、ブレードが折れてもある程度戦う事ができる。(尚、ブレードはある程度の時間で再生できる)
      ただし「最強の硬度を持つ」と触れ込みで言われている割りには、剣を折られたり結構よく破壊される事が多い。*21


  • オリジナルARMS“白兎”『ホワイトラビット』?
    • アニメ版CV:中田浩二
      武士に移植されたARMSで「人を愛する白のアリスの勇気」がプログラムされている。
      圧縮空気の噴出により、全ARMS中最高最速のスピードで移動できる。ただし純粋な武器は持っていない。
      涼と隼人がそれぞれ攻撃能力に長けたARMSと、本人達自身の格闘技術があるのもあって、当初は自分に自信が持てなかった。*22
      実際、第一形態では『早く移動できる』程度だったが*23、ビイとの闘いで死に物狂いで第二形態に進化。
      増設されたブースターから圧縮空気を一気に噴出させ、三百メートル以上の跳躍が可能となり、蹴りの威力もアップ。
      これによる超高速移動・超跳躍を得て空中戦をこなせるようになり、超人的脚力で放たれる蹴りは必殺の威力となる。


  • オリジナルARMS“ハートの女王”『クイーン・オブ・ハート』?
    • アニメ版CV:山口奈々
      恵に移植されたARMSで「人を愛する白のアリスの審判」がプログラムされている。
      空気の流れや相手の熱源反応、筋肉の動きに至るまであらゆることを見通し、透視能力まで備えている。
      1キロメートル先の本が読めたり、飛んでくる弾丸も捉えることも可能で、訓練された身体能力も相まって当初は涼達3人を翻弄した。
      しかし「視る」以外の能力は常人とあまり変わらず、身体能力や再生能力も他のARMSと比較すると低いので、決め手に欠けてしまう。
      特にオリジナルARMSの中で彼女だけARMSの戦闘能力を持たないため、無力感に苛まれる事も多かった。*24




アドバンストARMS

自我を持つため人間の手には負えないARMSを、人間の道具として制御する為にサミュエル博士が作り出したもの。
アザゼルから純粋なコアを取り出し、自我の代わりに戦闘AIを植えつけた意思を持たないARMS。ただし幹部のものにはアリスの意志が宿っている。
自我という不確定要素の無い、より実戦的なARMSであり、移植者の意思によって自由に『完全体』への変化を行える。
ただし純粋なコアとAIだけ故か、後述の『神の卵』を除いてオリジナルのような特殊な能力を持っていない。
その為、エグリゴリが収集した異能力者の遺伝子や兵器を兵装として組み込んで使っている。
コアそのものに特殊能力はないが、再生能力には優れており、人間形態でも全身が不死身に近い再生力を持つ。
更にある程度ならARMSを発現させずとも能力を使用することが可能と、汎用性が非常に高い。
オリジナルほどではないが相当のARMS適正因子がないと成功には至らず、ブルーをはじめ多くのキースシリーズが犠牲になった。
また、オリジナルARMS達は『白いアリス』が消失した際に機能を失ったが、アドバンストARMS達からは機能や能力が消える事はなかった。
鐙沢村の地下実験施設では一般人を使った適合者の人体実験が行われていたが、皆リミッター無しでは侵食で死ぬしかない状態となっていた。
後にこれらの実験結果を踏まえ、性能を落とす代わりに幅広く適合できるモデュレイテッドARMSの開発に繋がる。


  • アドバンストARMS“幻獣”『グリフォン』
    キース・レッドに移植されたARMSで、発現部位は両腕だがコアは頭部にある。エグリゴリ側のキースで唯一「アリスの意思」を宿していない*25
    ジャバウォックの第一形態並の大きさの、両腕部と一体化した巨大なブレードを持っており、サイコキネシスでグシャグシャにされても瞬時に回復する再生力を持つ。
    更にまだ未成熟で第一形態だったとは言え、隼人のARMS『騎士』のブレードをいともたやすくへし折るほどのパワーと硬度を持っていた。
    能力は内蔵された超振動発生器による強力な超振動と超音波。両腕の超振動ブレードは触れるもの全てを粉砕し、あらゆるものを切り裂く事が可能。
    第一形態すら発動していない状態でさえ、片手からの振動波だけでタフネス自慢の大型サイボーグを軽く粉砕できるほど。
    『完全体』になると両腕が更に大きくなり鳥のような顔と、頭から背中にかけてハリネズミのような棘が生えた亜人型となる。
    また、背中の突起物を逆立たせ全身を超音波兵器へと変化させることにより、全方位広範囲を強力な超音波で攻撃することも可能。
    この超音波は腕を振るうだけで強力な衝撃波を生み、手を触れただけでビルを丸ごと粉砕するほどの威力を誇る。最強の超能力者クリフをも瞬殺した。
    当初はこの超振動は『幻獣』のみの能力だったが、後に量産兵士の『ネクスト』がこれを標準搭載した。レッドは草葉の陰で泣いていい*26
    その戦闘力で一時は『騎士』を追い詰めたが、真価を発揮した『騎士』のミストルティンの槍により一刀両断された。
    尚、よく勘違いされるが隼人の父の首をはねたのは『幻獣』のブレードではなく、形も全然違う。


  • アドバンストARMS“帽子屋”『マッドハッター』
    キース・シルバーに移植されたARMSで、アリスの「闘争」の意志を宿す。発現部位は左腕、コアは心臓部にある。
    電撃を操る能力を持ち、第一形態でも掌から強力な荷電粒子砲「ブリューナクの槍」を放つ事が可能。
    このビームは射線上の物体を一瞬で蒸発する程の熱量を持ち、ARMSでさえ直撃すれば耐えられない圧倒的な火力を誇る。
    ただし撃つ為には常時数万度という超高温を扱う為、連射すれば自分の体の方がオーバーヒートで燃え尽きてしまう欠点がある。
    反物質を除けば作中最大の攻撃力を誇り、後にキース・ホワイトもこれを愛用していた。
    また、指先から高出力の電撃を発生させることで電磁バリアを展開することも可能。この為、実体弾は通用しない。
    『完全体』は帽子をかぶったドクロのような細身の人型。両手で超出力の荷電粒子砲を放つことが可能で、背部に排熱ダクトが追加され熱暴走の危険も低くなる。
    更にジャバウォックの『憎悪』に一番近い意志の為か、『魔獣』同様に攻撃を受ければ受けるほど強くなる性質を持つ。ただしその進化が早すぎると対応しきれない。
    後に能力を奪ったホワイトは熱暴走の様子もなく「ブリューナクの槍」を乱射している。*27シルバーも草葉の陰で泣いていい。
    尚、「ブリューナクの槍」を何度も使うと、ビームにより空気中の酸素が分解され大量のオゾンが発生する為、オゾン臭で槍を使ったかがわかる。
    最終的には進化に追いつけずメルトダウンを起こし、涼に介錯を頼んで朽ち果てた。


  • アドバンストARMS“チェシャ猫”『チェシャキャット』
    キース・グリーンに移植されたARMSで、アリスの「希望」の意志を宿す。コアは心臓部にある。
    ジェームズ・ホワンからサンプリングした「空間を操る超能力」の遺伝子データが組み込まれている。
    これによる空間転移(ワープ)の他、あらゆる物体を切り裂く「空間の断裂」を得意技とする。
    『完全体』は三つの尻尾を持つ四つ足の巨大な猫のような獣型。移植者の顔は額に出てくる。
    必殺技はこの三本の尾から放たれる無数の高密度空間断裂の巨大ブレード「魔剣アンサラー」。
    射程100フィート、攻撃範囲360°の完全なる全方位無死角攻撃であり、範囲内に存在する全ての物体を細断する。
    しかしこれの直撃を以てしても、キース・ブラックを死に至らしめることはできなかった。コアに当たらなかったのだろうか?
    どう見てもチートな能力でありグリーンが自信満々になるのも分かるのだが、劇中ではほとんど無効化されたりかなり割を食った存在でもある。
    もうグリーンも草葉の陰で泣いとけ。




  • アドバンストARMS“三月兎”『マーチ・ヘア』
    キース・バイオレットに移植されたARMSで、アリスの「悲哀」の意志を宿す。最後まで生き残ったのでコアの位置は不明。
    恵と同様に両目がARMS化しており、周囲にナノマシンを散布することで光を操作することができる能力を持つ。
    これにより立体映像を作り出したり、あらゆる方向から強力なレーザーを照射する「バロールの魔眼」を操る。
    この立体映像は踏み締めた草が倒れるところまで再現しており、殺気を察知するなどできなければ見破ることは不可能に近い。
    『完全体』は仮面をつけた半透明な体の女性の姿。他の完全体と違い大きさは等身大のまま。
    この形態になるとナノマシンを使わなくてもステルス透過で姿を消し、本体自身からレーザーを放つ事も可能。
    また、散布したナノマシンを応用したものかある程度の空中浮遊が可能である。
    劇中で唯一、最後まで生き残ったアドバンストARMSでもある。あと恵と違いバイオレットはちゃんと完全体で全裸になる
    尚、このレーザーは拳銃程度なら一撃で溶かせるほどだが、「ブリューナクの槍」ほどの威力はない。そのかわりに乱射が可能。
    完全体ARMS相手では直撃しても痛覚を共有した隼人が痛みで転げまわる程度で、幻惑とオールレンジ攻撃が強み。
    ただしARMS殺しや超振動ブレードで散布されたナノマシンを破壊されれば、立体映像の幻影もかき消されてしまう。


  • アドバンストARMS“神の卵”『ハンプティ・ダンプティ』
    キース・ブラックに移植されたARMSで、アリスの「絶望」の意志を宿す。コアの位置は心臓。
    何らかの能力を外部から後付けされた他のアドバンストARMSとは違い、金属生命体としての始原的な特性に特化した最も純粋なARMS。
    故にアドバンストARMSと言うよりは、どちらかと言えばアザゼルそのものに近い異色のARMS。
    その能力はあらゆるエネルギーを吸収して取り込み、進化の糧にする?というもの。
    どんな攻撃をも吸収してしまう為、攻撃が通じないばかりか、攻撃を元に能力も模倣されてしまう。
    作中ではマッドハッターの「ブリューナクの槍」、マーチ・ヘアの「バロールの魔眼」、グリフォンの「超振動ブレード」を使って見せた。
    更にはあえて攻撃を受けてチェシャキャットの空間干渉能力や「魔剣アンサラー」、ジャバウォックのARMS殺しの腕まで取り込んでいる。
    後にドーマウスの「魔弾タスラム」とナイトの「神槍ミストルテイン」まで取り込んで、まさに無敵の力で圧倒した。
    その他、人間形態でも黒い木の枝のような翼を展開しての重力操作により飛行することができる。*28
    『神の卵』のみが使える武器は、「この世で最も鋭利な剣」と称する単分子ブレード「神剣フラガラッハ」。
    完全体として更に進化した『騎士』の腕を容易く切り落とすなど、その切れ味は物理刃では作中随一。
    ちなみに隼人の父親の首を切り落とし、隼人の左腕を奪ったのもこの剣である。
    最終形態では全身が靄のような黒いエネルギーの力場によって覆われ、輪郭が判然としないぼんやりした人型のシルエットとなる。
    この形態になると攻撃自体が力場に捻じ曲げられ、ジャバウォックの爪のような「ARMS殺し」すらも通じなくなってしまう。
    隼人曰く「ラクガキみたいなヤツ」「マンガの手抜き」
    実は力場を失った本体は、楕円形の頭部の横や下に直接、棒人間みたいな細い腕や胴が伸びている貧弱なものである。
    総じて良くも悪くも能力に頼り切ったARMSであるといえるだろう。(一応、力場を失っても取り込んだ能力は使える)
    このARMSで人間を取り込み殺す事もできるが、アザゼル同様取り込んだ人間の意識などまで吸収してしまう。


  • アドバンストARMS“眠り鼠”『ドーマウス』
    キース・ブルーに移植されたARMSで、コアの位置は心臓。レッド同様、アリスの意志は託されていない。
    全身から針のような小型ミサイルを大量に発射する「魔弾タスラム」の能力を持つ。その威力はARMSをも一撃で破壊するほど。
    時限爆破も可能であり、針という一見地味な武器に最初は油断したモデュレイテッド達もその威力に驚愕した。
    無数に生成されるミサイルの雨にはキース・ホワイトも「出来損ないにしては実戦的な力」と評価するほど。
    ただしブルーはARMS適性因子が不完全であった為、完全体を発動すると数分で自壊してしまう欠点を持つ。
    『完全体』の姿は、尖った口と腕や背中からトゲのような物が伸びたハリネズミの亜人のようなデザイン。
    最後はホワイトと刺し違える為に、自分自身を巨大な「魔弾タスラム」と化した自爆によって『神の卵』の内部から亀裂を入れた。
    後にホワイトが隼人に反撃する為に、このニードルミサイルの能力を使って全方位無差別爆撃をしている。
    その経緯故「第一形態」がどんなものかは不明だが、右腕が通常形態時のARMS部位らしい。


モデュレイテッドARMS

完全な適合者以外でも移植できるように、量産を前提に調整(モデュレイト)された実戦配備用量産型ARMS。
アドバンストより適合率が高く、ほんの少しARMS適正因子を持っていれば使えるものと思われる。*29
従来のコア自体を移植する事によるものではなく、調整したナノマシンを注射器のような器具で注入することで変異する疑似ARMS。
注入された者は他のARMS同様、体の欠損部位を元通りに再生し、整形しているのであれば元の素顔になる。
コアがないためか真っ二つにされたり激しく損傷すると機能停止し崩壊するなど、再生力はあまり高くない。
移植者の闘争心を喰らって姿形や機能を形成するのは他のARMSと同じだが、基本的に第一形態までしか変異できないなど制限が多い。
リミッターを外せば『完全体』にもなれるが、一度完全体になれば二度と元の人間には戻れなくなるという欠点がある。
またリミッターの解除は外部リモコン式になっており暴走の心配はないが、スイッチが入れば本人の意思とは関係なく完全体に変異する。
ちなみに姿形は童話『アリス』の作品に出てきた脇役のキャラクターがモデルとなっている。


  • モデュレイテッドARMS“ホワンARMS”(仮称)
    正式名称はついていない、ジェームズ・ホワンこと高槻巌?の実弟、高槻崖(たかつき たかし)が移植したARMS。
    キース・グリーンとの戦いで分が悪いと判断したホワンが使った初期型のモデュレイテッドARMSであり、これ自体には能力は付与されていない。
    そのためか『チェシャ猫』の基になった空間を操る能力が増強される形で発現。ただしホワンは空間を揺さぶって衝撃波を作り出す方が得意。
    第一形態は鋭利な鉤爪の腕型、完全体になると全身からブレードらしきものが突出した獣顔の悪魔のような姿になる。
    アリス作品で該当するキャラから考えると、恐らく「ライオンとユニコーン」のライオン。ネコ科繋がり?
    巌の唐突なARMS殺しの爪ビームサーベルも、対を成すユニコーンの暗喩と思われる。
    尚、この話はライオンとユニコーンが喧嘩をして街をボコボコにし、休憩時間にケーキを切り分けるお話。
    必殺技もチェシャ猫と同じく空間の断裂の「魔剣アンサラー」だが、ホワンのものは更に密度が濃く避けようがない。




  • モデュレイテッドARMS部隊
    日本に戻ってきた涼達の前に現れた、新たなARMSを持つ者達。
    自分達を『ARMSに選ばれたエリート』『新世界を担う新人類』という強烈な選民思想を持っており、旧人類や休眠状態のオリジナルARMSを見下していた。
    しかし総じて自力では第一形態までしか変異できない為、第一形態の弱点である「変異部分以外は常人と同じ」という点を突かれ悉く敗退。
    『プログラム・バンダー・スナッチ』計画を阻止しにきた涼達とたまたま同行していたコウ・カルナギにより、ホワンを誘き出す為にフルボッコにされる。
    その後、ホワンにより全員のリミッターが解除され、強制的に最終形態へと変貌した。
    劇中で名前と個体が分かっているのは、副隊長だったハインツのみ。彼は六本脚の昆虫を思わせるデザイン。
    砲撃能力を備え、糸のようなもので相手を拘束する。恐らくは童話『アリス』での「イモムシ」と思われる。
    他にも鳥形、虫型、悪魔型、獣型、亜人型など色々おり、能力も砲撃やビーム、ブレードや鞭、『白兎』同様に飛行能力を持つ者もいた。
    一応、他のARMS同様「一度受けた攻撃には耐性を得る」という仕様も持っているので、二度目の高圧電流を無効化したりはできた。
    ただし第一形態でも活躍できた涼達と比較しても、単純な戦闘能力はオリジナルやアドバンストとは比較にならないほど弱いと思われる。
    だが完全体になれれば集団リンチとはいえコウ・カルナギをフルボッコにできるほどの強さを誇る。


その他の用語

  • エグリゴリ
    第二次世界大戦時には存在した巨大な軍産複合体を背景とする秘密結社。アメリカに本社を置き、米軍も関与している。
    世界大戦時のナチスや大日本帝国の人体実験データや非人道的な数々の実験により、世界政府を裏で牛耳る組織。
    サイボーグ、BC兵器、クローン、エスパーといったオーバーテクノロジーな軍事最先端技術の開発を行っている。
    1946年に発見された珪素生命体・アザゼルの研究により、人類の進化の頂点を産み出す「プロジェクト・ARMS」が開始された。
    名前の由来は、エノク書にて禁断の知識と技術を人間に与えた堕天使エグリゴリから。
  • エグリゴリに生み出された者達
    • サイボーグ兵
      物語の全編通して出てくる主に雑魚担当。わんさか出てきては殺される係。
      基本かませ犬だが、序盤のクリムゾン・トライアッドとラスト近くで出るドラッケンは漢。
    • チャペルの子供達
      妊婦に特殊な投薬をして創り出した、人工天才児達。物語を担う『アリス』はこの最初の成功例。
    • X-ARMY(エグザミィ)
      先天的な超能力者や投薬による強化人間を作り出したエグリゴリの実験部隊。
      下記のレッドキャップスを創る為の材料であり、登場時すでに用済みにされていた。
    • レッドキャップス
      クローン少年兵に退役ベテラン軍人の脳を移植した超人部隊。
      「不死身の体」「千里眼」「テレパシー」の能力を付与されているが、実は失敗作。*30
    • 猟犬(ハウンド)部隊
      エグリゴリによって薬物で試験的に作られた強化人間(ブーステッドマン)部隊。
      獣のごとき反射神経・運動神経と視聴嗅覚を持ち、狼並の連携が取れるが、一歩間違うと廃人になる。
      その為、廃棄処分される予定だったが、チャペルの子供達が彼らを私設部隊に雇用した。
    • ネクスト
      人類絶滅後を担う為に、脳まで機械に置き換えたサイボーグ…というかアンドロイド。
      デジタル化した生前の記憶を有しているが、人格までは再現できておらずどこか無機質。
      全身が超振動発生装置なので、組み付くだけでARMSすら破砕でき、しかも亜音速で行動する。
    • モデュレイテッドARMS
      同項目参照。
  • その他のエグリゴリ戦力
    • イプシロン・フォース
      エグリゴリ直属の機密部隊。別名「虐殺部隊(ジェノサイド・フォース)」と呼ばれる。組織では珍しい単なる人間。
      アメリカ国内最大戦力…という噂だが毒ガスを撒いたぐらいしか戦果はなく、一般人に不意打ちで殺される始末。
    • 高速機動隊
      加速装置で亜音速まで動ける高機動型サイボーグで構成された特殊部隊。
      ARMSも切り裂ける超振動ナイフを装備している中盤以降のかませ犬
    • アサイラム
      エグリゴリが管理する絶海の孤島にある超能力者収容所。表向きは精神病患者の医療施設。
      世界中の特殊な遺伝子を持つミュータントを集めて収容した研究施設で、コウ・カルナギやホワンもここにいた。
      ARMSに能力を組み込む為の遺伝子プールだが、その後の存在は不明。*31


  • ブルーメン
    ティリングハーストにより助け出されたキース・ブルーにより結成された、反エグリゴリ組織。
    エグリゴリに反逆し潰された組織の残党、実験や虐殺で故郷や身内を奪われた被害者、エグリゴリから寝返った人材などで構成されている。
    かつての本部は鐙沢村にあったが、ある者の密告によりエグリゴリに襲撃され全滅、その後はエグリゴリに研究施設として接収された。
    各自がその道のエキスパート集団であり、FBIやエグリゴリ内部にも情報提供者やスパイがいる。
    自由に身動き出来ないブルーに代わり実質的なリーダー役を務めているのは李春香(リー・チュニャン)というクールビューティーな中国人女性。
    他にも陽気なカポエイラ黒人ラルフ・コールマン、鐙沢村で潜入スパイをしていたメアリー・カッツなどもメンバー。他の仲間も割と明るい。
    しかしスポンサーや同志の中には手段を選ばない者も多くいるらしく、オリジナルARMS適正因子を持った子供(涼達)を造ったのはブルーの意思ではなかった。
    「エグリゴリを倒すには蛇の道は蛇」とばかりに暴走した科学者の独断によるものである。尚、武士を今の親元に連れてきた男もこの一員。*32




  • アザゼル

「珪素生命アザゼルは、何故人に惹かれ暴れるのか……
 それは、彼らが持っていない物を我々が持っているからです
 それは…ヒトが持つ"心"というものです 
 ヒトは死を待つ有限の生命…もろくて弱い……
 だからこそ"心"という複雑なソフトウェアを進化させてきたんです!!
 ヒトは事故でも死ぬ、だから危険を回避するために"恐怖"を持った…
 寿命が来ても死ぬ、だから種を存続させるために愛情を持った…
 しかし何万年も生きる不死の金属生命には
 "心"などを進化させる必要はなかったのです!!
 しかし…我々は"アザゼル"と出会った!!」

ARMSの元となった、外宇宙から飛来した群体ナノマシンが集合したシリコン知的生命体。作中では4つ発見されている。
人の「心」に関心を示す性質を持ち、近くにある最も強く純粋な「想い」に惹かれ、姿と性質を変化させる。
「心」は何万年も生きる不死の金属生命にとっては不要な為、アザゼルにとっては非常に珍しいらしく興味を惹いている。
ARMSは死んだアリスを取り込んだ、カリヨンタワーの巨大アザゼルから生まれたものであり、全てルイス・キャロルの『アリス』由来の特性を持つ。
またARMSが近くにある場合はARMS移植者の「想い」に強く反応し、中でも意思を持つオリジナルARMSに最も大きく反応する。
名前の由来はエノク書に出てくるエグリゴリの首長「アザゼル」から。

ティリングハースト達ミスカトニック大学の研究者達が、アリゾナから発掘した最初のアザゼルは『アザゼル-α』。
交信実験の為に低周波を流したら、触手で研究者達9人を取り込み飲み込んだ後、8人が死亡。(実際は恐らくαの中で生きている)
その後は一切活動を停止し、ギャローズ・ベルの地下施設で仮死状態のままになっていたが、オリジナルARMSの共振によって目覚める。
尚、この実験で生存者が一人いたことで、キース・ホワイトはARMS適正因子の存在を確信した。
ホワイトが探し出していた第二のアザゼルというのが『アザゼル-β』。後に暴走事故を起こし、アリスを取り込んだ事で始まりのARMSこと“アリス”となった。
そしてプログラムバンダースナッチのために用意された、アリスに匹敵する巨大さを誇るアザゼルが『アザゼル-Ω』。
最後の一つはエグリゴリが最終決戦の切り札として用意していた、名前も付けられていない小さなアザゼル。これは巌が強奪し、美沙ママによって恵のもとに送られた。
最終的には全てのARMSとそれによって死んだ者達の魂を引き連れて、天へと昇華して消えていった。


  • プログラム・ジャバウォック

アザゼルに取り込まれ別れた「黒のアリス」が企んだ、アザゼルの性質を利用した人類抹殺計画。
まずジャバウォックに様々な刺激を与えて成長させ、あらゆる破壊のエネルギーを会得させる。
そして更に『魔獣』保有者を憎しみの海に叩き落とすことにより暴走させ、その強烈な『絶望と憎しみの心』に反応したアザゼルが融合。
結果的に巨大な『魔獣』と化したジャバウォックにより、全てを破壊し人類を滅亡させるという計画。
なお人類滅亡後の世界は、人間が持つ醜い欲を持たないアンドロイドの「ネクスト」が支配する。
これらは全てアザゼルとなった黒のアリスの立てた計画で、キース・ブラックは声に従い陣頭指揮を執ったに過ぎない。


余談

『進撃の巨人』の諌山創や、『テラフォーマーズ』の貴家悠、橘賢一など21世紀にデビューした数多くの漫画家達が、『ARMS』に影響を受けたと公言している。
「一つの祖から望まずして与えられたチカラにより、主人公達が変身して独自の能力で戦う」というスタイルは後の青年漫画の王道スタイルとなった。
ちなみに本作自体は『AKIRA』『寄生獣』『MASTERキートン』などの影響がみられ、原作協力者である七月鏡一の趣味でクトゥルフ神話やケルト神話、キリスト聖典が名前の元ネタになっている。
主人公たちの名前の元ネタとなっている『ゲッターロボ?』自体が「ヒトの進化」をテーマに掲げた作品でもある。



その指が刻むものは、神の追記か、悪魔の修正か……。





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*1 ただし傷が瞬時に治ったりするのを不思議がってはいた。
*2 作中ではアザゼルが惹かれるのはオリジナルARMSに対してと推測されており、アリスの意志が宿ったバンダー・スナッチもオリジナルARMSであるとされる。
*3 この時、李の夢も同じだったと聞き、互いに惹かれていくようになる。
*4 尚、カリヨンタワーで死亡したのは力尽きたからではなく、精神をアザゼルの中に取り込まれ、オリジナルARMSの中に宿った為だった。そのおかげで、最後の最後で涼達に激励を送りオリジナルARMSを呼び覚ます呼び水となる。そしてARMS達が役目を終えて光の彼方に飛び去る時、死んでいった兄やX-ARMYの仲間達と共に旅立った。
*5 ちなみにこの際、アザゼルを知る関係者は皆殺しに、大学も爆破された。本人の反応から見るに、始末される事は予想済みだったらしい。
*6 爆風により背中に致命傷を負っていた。なおこの際、巌が現れてかつて自分が託した希望が報われた事を喜びながら看取られて逝った。その際に幻影なのか本物なのか、かつてのアリスに手を引かれながらあの世へと旅立った。
*7 ちなみにホワイトの「バロールの魔眼」により胸を何か所か撃ち抜かれて路地裏で倒れているが、一応生存していた模様。
*8 実はこれはデタラメで、実際はホワンのサイコキネシス(空間干渉能力)によるもの。
*9 これは実力からなどではなく、「アリスの意思」を受け継げなかった為。そのせいかオリジナルARMSについての詳細すら教えてもらっておらず、ガウス中将の力を借りて情報を集めていた。
*10 メタ的に言うと登場時期にはまだ上記のアリスの意志やアドバンストARMSの詳しい設定がなかったため。要は他のキースシリーズのかませ犬のような扱いであった
*11 研究所の職員はエグリゴリの襲撃で恐怖し、ブラックと全く同じ見た目のアレックスに、恐怖心から撃ってしまった事を告げている。
*12 ただしチェシャ猫のARMS本体による直接的な格闘戦の描写はほとんど無く、ジャバウォックに左腕を掴まれた際それから逃れる為に一度発動させたのみである。ちなみにその時に出現したのは熊のような腕。
*13 ただしレッドに対しては不明。最も彼女の性格からすればレッドも大事な弟だろうが。
*14 PS2のゲーム版では逆にカルナギを差し置いて参戦
*15 恐らくアドバンストに適合するほどの割合ではないが、モデュレイテッドは扱えるぐらいの適正因子を持っていたのではないかと推測できる。
*16 特に『ハートの女王(クイーン・オブ・ハート)』は第一形態以降が完全体まで発展がない為、これら能力が劣る。
*17 適合できる者の数は非常に少なく、アル曰く1000万人に1人の確率でしか存在しない。
*18 ただし一度目の電撃で耐性を得てしまうので、同じ攻撃では出力が倍であっても通用しなくなる。初めて喰らった際の隼人のARMSは、鉤爪がへろへろのバナナみたいになってしまっていた。
*19 尚、この顔はかなり自由が利くようで、バイオレットとの戦いで『騎士』と言い合いになった隼人は、寄生獣のミギーのごとく顔を『騎士』の目の前にまで伸ばして言い合いをしていた。ぶっちゃけキモイ。
*20 尚、この腕の大きさは常人サイズまで小さく圧縮する事も可能
*21 その代わり再生力は劇中オリジナルARMSでジャバウォックに次いで高く、両腕を失った状態でさえ120秒あれば完全再生出来てしまう。
*22 実際、エグリゴリ側もホワイトラビットは戦闘力に劣りカモだと侮っていた。キース・ホワイトをしてもオリジナルARMS中で唯一注視せず、「飛ぶだけの無能」と評していた。(ただしこの時はアリスと融合していたため、その直後に空間の断裂を破られ撃墜されているが)
*23 それでも強化された脚力による蹴りは常人なら一発で致命傷
*24 攻撃方法は通常銃火器ぐらいなので、サイボーグ兵士相手でも苦戦する。更に彼女のARMSは他の3人と違い第二形態などの進化がなかった。
*25 登場時期にはその辺りの設定がないため
*26 ただし、アドバンストARMSの設定上、ホワン→チェシャキャットのようにサンプリングされた元の兵装と推測される
*27 これは『神の卵』により熱エネルギーをも吸収できるからだと思われる。
*28 ちなみにこの翼は『アリスの精神世界』で城を襲撃していたグリフォンに似た怪物兵士にも生えている。
*29 涼達オリジナルの適合者はもちろん、アドバンストでも成功率はそう高くないのが伺えるのに、モデュレイテッドは多種多様な人間に移植が成功している。更にホワンが躊躇なく使用している事から、ほんの少し因子を持っていれば適合できるものと思われる。
*30 ぶっちゃけクリフの方がこいつらより強く、負ける要素がないのだが、恐らくキース・レッドとやりあったのだろう。下半身分断されてたし。
*31 もしかするとモデュレイテッドARMSに使われたのかもしれない。
*32 巴家の父親がかつて同じ医療の道を学んだ友人だった。武士を託した後、立ち去った先で死亡。