EJ20

Last-modified: 2023-08-02 (水) 23:32:50

EJ20は富士重工業(現SUBARU)が1989年から2020年まで生産を続けていた2.0lの水平対向4気筒エンジンである。大まかに分けてSOHCとDOHC、NAとターボになる。(ターボも水冷式と空冷式インタークーラに分かれている。因みに、一文字間違えると日産の直4エンジンになってしまうので注意)
1989年の登場以来多くの車種に30年以上も採用されてきた。そのため細かな派生型も含めると100種類以上に細分できるという。また将来の高出力化を見据えて余裕を持たせた設計としたため、時代が下るに従って同一エンジンとは思えないほど著しい高出力化がなされているのも特徴である。(例えばBC/BF型レガシイに採用されたNA仕様は125PSに対し、VA型WRX STIに採用されたターボ仕様は308PSに達する)
このようにスバルの屋台骨とも言える名機であったが、古い基本設計ゆえに近年厳しさを増す自動車環境規制への対応が難しくなった結果、2020年にVA型WRX STIの生産終了をもってその31年の歴史に幕を下ろすこととなった。

基本仕様

排気量:1,994cc
内径×行程:92.0mm×75.0mm
バルブの駆動方式:タイミングベルト
バルブ配置:SOHC/DOHCともに一気筒あたり吸気2排気2
燃焼室形状:ペントルーフ型クロスフロー
※NAとターボに設定されてるAVCSは可変バルタイの事(シングルが吸気のみ、デュアルが吸排気両方)でNAはシングルAVCSのみ

スペック

NA仕様

SOHC16バルブ
最高出力 125PS/5500rpm
最大トルク 17.5kgm/4500rpm
使用燃料 レギュラーガソリン
※BC/BFレガシィ
DOHC16バルブ
最高出力 150PS/6800rpm
最大トルク 18.5kgm/4800rpm
使用燃料 レギュラーガソリン
※BD/BGレガシィ
DOHC16バルブAVCS付き
概要 吸気側のカムを連続相違可変式にしたもの
最高出力 190PS/7100rpm(MT) 180PS/6800rpm(AT)
最大トルク 20.0kgm/4400rpm(AT/MT共通)
使用燃料 レギュラーガソリン
※BL/BPレガシィ

ターボ仕様

水冷式I/C

概要 BC型レガシィセダンの上級グレード"RS"及び"RS-R"用エンジン。ベースはDOHC16バルブだが、内点支点支持型ロッカーアームへの変更や水冷式オイルクーラーが追加されている。4000回転付近からターボが効くが、所謂ドッカンターボで、BC5-Cにマイナーチェンジした際に16ビットECU、カムプロファイルの変更とECUマッピングを見直しトルク強化等の軽量で前述のピーキーな性格は改善された
最高出力 220PS/6400rpm
最大トルク 27.5kgm/4000rpm
※BC5レガシィセダン
概要  上記のエンジンをベースにグループA規定に合わせて改良したもの。STIのチューンにより20PSアップしている。チューニング内容は回転部のバランス取り、吸気ポートの鏡面研磨。内部部品は専用鍛造ピストン等のオリジナルパーツを組み込んでいる
最高出力 220PS/6400rpm
最大トルク 27.5kgm/4000rpm
※BC5レガシィセダン RS-RA
概要 BC5レガシィセダン及びBF5ワゴンの上級グレード"GT"セダン、"GT"用にチューンされたもの。上記に車種とは違い、こちらはATとの組み合わせを考慮したもの。同型のRS用と対になるトルク重視のチューンとなっている。チューン内容はカム、タービン、ECUマッピングをトルク重視にしている。RS、RS-R用には水冷式オイルクーラーが装備されていたが、このタイプでは省かれている
最高出力 200PS/6000rpm
最大トルク 26.5kgm/3600rpm

空冷式I/Cシングル

概要 言うまでもなく現在のEJ20ターボのデファクトスタンダード。ヘッド周辺のパーツは摩擦抵抗を減らし、効率を上げるためにダイレクトプッシュ方式のバルブ駆動に変更している。点火方式はダイレクトイグニッション。最高回転数はインプレッサ(以下インプ)/フォレスターの標準仕様が7000回転、レガシィの標準仕様が7500回転である
最高出力 240PS/6000rpm
最大トルク 31.0kgm/5000rpm

空冷式I/Cツイン

概要 BG5/BD5の初期型のみ。タービンは通常のツインターボではなくシーケンシャルツイン(以下2ステージターボ)が採用されている。このタイプの2ステージツインターボは4000回転付近でプライマリとセカンダリを切り替えている。この2ステージターボの制御用の関係で吸排気系統がかなり複雑になっている
最高出力 250PS
最大トルク 31.5kgm/5000rpm
※BG5/BD5レガシィの初期モデル
概要 前述したエンジンの改良版。
最高出力 260PS/6500rpm
最大トルク 32.5kgm/5000rpm
※BG/BH5型レガシィワゴン及びBD5セダンのGTとBE5型B4 RSK
概要 BC/BF5系GTの逆版でこっちはMT専用。BD型セダンRS、BG型ツーリングワゴンGT-Bにも搭載されている。最初期のものは無理やり280PSを出していたせいでトルクが細かったが現在は改良されている。特に2ステージターボ搭載レガシィの最終型とでも言うべきBH/BEのD型は制御関係の変更によりプライマリとセカンダリ切り替え時の息つき現象が無くなっている
最高出力 280PS/6500rpm
最大トルク 34.5kgm/5000rpm
※BG5 GT-B/BH5 GT/Etune、BD5セダンRS、B4 RSK

空冷式I/Cシングルターボ シングルAVCS付き

概要 SHフォレスターの初期型に搭載されたもの。同じ年代のGH型インプが等長マニなのに対し、こっちは皆大好き不等長マニである。タービンもGH型がツインスクロールなのに対しこちらは従来のシングルである。そもそも搭載している車両がフォレスターとかエクシーガ等のSUVなので、インプの高回転型ではなく、低回転でのパワーを重視している
最高出力 230PS/5600rpm
最大トルク 32.5kgm/2800rpm
※SH5フォレスター 2.0XT
最高出力 225PS/5600rpm
最大トルク 33.2kgm/4400rpm
※YA5 エクシーガ2.0GT
概要 GD/GCインプの発売と同時に搭載されたもの。普段の街乗り用にトルク重視のセッティングになっている。(フォレスター用は220PSにデチューンしたもの)
最高出力 250PS/6000rpm
最大トルク 34.0kgm/3600rpm
概要 GDBインプWRX-STIに搭載されてた例のアレ。可変バルタイは吸気側だけ。ツインスクロールターボの搭載とインタークーラーの改良とかでトルク特性とフィーリングがどんどん良くなってる。2005年モデル以降のトルクは3.5l NAを超える驚異の43kgmにまで進化。ただ、コストと強度的な問題で先代のSTIに使われてた鍛造に変わって強度の高い鋳造タイプに変更されてる
最高出力 280PS/6400rpm
最大トルク 43.0kgm/4400rpm
※GDB型STI標準仕様車及びGVB STI SpecC
インプセダンSTIのSpec C用にチューンされたエンジン。パワーとトルクはGDBのSTIベースモデルと大差ないけど専用ボールベアリングタービン、空冷式オイルクーラ(このオイルクーラは17インチ装備車用)等を追加・変更して高回転高負荷対応がされている。パワーは日本の自主規制に則って安定の280PS

空冷I/Cシングルターボ デュアルAVCS付き

概要 GH8インプのターボ付きエンジンとしては初の吸排気可変バルタイを採用している。搭載グレードがS-GTなのでGTらしい性格でSTIよりマイルドで余裕のある仕様になっている。エンジンECUのハードウェアはBP/BL5レガシィのAT用を流用したもの
最高出力 250PS/6000rpm
最大トルク 34.0kgm/2400rpm
※GH8インプレッサ S-GT/2.0GT
概要 ATのみで、MT仕様とカムプロファイルやタービンが違う。レガシィ初の吸排気可変バルタイでもある
最高出力 260PS/6000rpm
最大トルク 35.0kgm/2000rpm
※BP5レガシィツーリングワゴン B4、BL5 GT/GT Spec B
概要 上記の仕様のMT専用
最高出力 280PS/6400rpm
最大トルク 35.0kgm/2400rpm
概要 GRBインプのSTI標準仕様車に積まれてた奴で、GDB時代の280PS枠をいとも簡単に突破した変態。ガチで高出力化を達成した2.0lエンジンで、世界でも例が少ない。大型インタークーラーに大経ツインスクロールターボ、先代から引き継がれた高強度鋳造ピストン、等長排気管に改良型ECUとオマケで吸排気にも可変バルタイが付いている
最高出力 308PS/6400rpm/
最大トルク 43.0kgm/4400rpm
概要 VABのSTI仕様とS4に積まれてる奴。スペックはGRBと同じなので割愛。ミッションは6MTとCVT(CVTはS4の直噴ターボ)