FD とは
1991 年 10 月 ~ 2002 年 8 月に製造された 3 代目 RX-7 の型式、FD3S の略称である。
約 11 年も長きに渡る生産だったが再三に亘り改良が重ねられていった。
エンジン
RX-7 は従来のレシプロエンジンとは構造の違うロータリーエンジンを搭載しており、ロータリーエンジンでしか味わえない回転フィールを生み出している。
FD3S
1991 年 10 月、RX-7 は 2 度目のフルモデルチェンジを受ける。
これにより新型 RX-7 ( FD3S ) は それまでの車名である 「 サバンナ 」 から新ブランドである 「 アンフィニ 」 に変更された。
FD3S が発売された当初、すでにマツダは 3 ローター搭載の 「 ユーノス ・ コスモ 」 を発売しており、
その差別化の為か 「 ユーノス ・ コスモ 」 では当時の自主規制値である 280ps に対し FD3S は 255ps であった。
この 255ps という値は当時、ライバルとされた日産 「 フェアレディ Z 」 、三菱 「 GTO 」、本田 「 NSX 」 などが自主規制値で誕生しているのに対し、ピュアスポーツとして洗練され誕生した FD3S は、馬力の一点ではスペシャリティクーペに負けていたという事実がある。
しかし運動性能の面で他社のフラグシップモデルに負けていたわけではない。
- ロータリーエンジンという特殊なパワーユニット
- 専用設計のボディー
- 初代 「 ユーノス ・ ロードスター 」 に採用されていたパワープラントフレーム
- オールアルミ製の 4 輪ダブルウィッシュボーン
- スペアタイヤにまでアルミホイールを使用する軽量化
など運動性能では他社に遅れを取らない内容だった。
FD3S はマイナーチェンジによるいくつかの派生型がある。
1 型
デビューの型である通称 「 1 型 」 は、ナンバーブラケットが取り外し可能で、北米仕様と同じすっきりとした外観になる。
限定モデルでタイプ RZ を 300 台限定で販売。
この型のみエアコンの冷媒が旧ガスの 「 R12 」 である。
1991 年 10 月 ~ 1993 年 8 月まで製造された。
2 型
1 度目のマイナーチェンジである通称 「 2 型 」 は、ナンバーブラケットが固定式になった。
この変更はナンバーの移動によりオーバーヒートが多発したためとも言われている。
内装材が耐久性と質感の高いものに変更されているが、コスト面から廃止された内装パーツもある。
メーターリングの廃止。
運動性能についての変更は 「 1 型 」 での限界付近の扱いずらさについての変更で
- 調整式だったストラットタワーバーを固定式に変更
- タイプ R にはタイプ RZ に使用した大径ダンパーに変更
- ダンパーのバンプラバー形状の変更
- 限界付近での動きを滑らかにするためリアクロスメンバーにトレーリングメンバーを追加している。
限定モデルでタイプ RZ を 150 台、タイプ R-Ⅱ を 350 台限定販売、タイプ R バサーストを特別仕様で販売。
この型よりエアコンの冷媒が新ガスの 「 134a 」 に変更された。
1993 年 8 月 ~ 1995 年 3 月まで製造された。
3 型
2 度目のマイナーチェンジである通称 「 3 型 」 は、限定販売であったタイプ RZ、タイプ R バサーストをカタログモデルへとしている。
「 1 型 」 と 「 2 型 」 の違いはリアスポイラーが従来の 4 本ステーフローティングタイプから、2 本ステーの通称 「 ドルフィンタイプ 」 に変更。
制動関係が見直されタイプ RZ、タイプ R-S は 17 インチにサイズアップされ、ローター径が 294 ミリから 314 ミリに拡大された。
タイプ R-S には標準で BBS 製アルミホイールが採用された。
インテリアにおいても小変更された。
限定モデルでタイプ R バサースト X を 777 台販売。
なお 「 3 型 」 は僅か 10ヶ月足らずという短命なモデルだった。
1995 年 3 月 ~ 1996 年 1 月まで販売された。
4 型
3 度目のマイナーチェンジである通称 「 4 型 」 は、テールランプが四角から丸テールに変更。
1997 年 10 月にアンフィニ RX-7 からマツダ RX-7 に車名が変更。
タイプ R-S はタイプ RS に名称変更。
タイプ RS に新開発 17 インチ ・ ハイプレッシャーキャスティング ・ アルミホイールを採用、ファイナルレシオ、LSD ともにタイプ RZ に使用されたものを採用。
MT 車のみ吸気系を改良し 255ps から 265ps に変更。
インテリアはコストダウンされメーター照明の照度調整機構が省かれ、スペアタイヤもアルミホイールからスチール製に替えられ、カーペット素材も質の良くないものに変更。
ECU の 16bit 化により緻密な制御になる。
96 年末に運転席エアバック標準化。
限定モデルでタイプ RB バサースト X を 700 台、タイプ RS-R を 500 台販売。
1996 年 1 月 ~ 1998 年 12 月まで販売された。
5 型
4 度目のマイナーチェンジである通称 「 5 型 」 は、ビックマイナーチェンジと呼べる内容になっている。
- フロントマスクを旧型よりも冷却効率に優れているものに変更。
- タイプ R、タイプ RS に高効率化された新型のタービンにより 265ps から 280ps に変更。
- リアスポイラーは角度調節式に変更。
- 新型 17 インチアルミホイールは従来のものより 0.48kg 軽量化された。
- インテリアはメーター関係が変更になり垂直指針になる。
- 助手席エアバック標準化。
- タイプ R はハードダンパー採用、タイプ RS はビルシュタイン製が採用。
限定モデルでタイプ RZ を 300 台販売。
1998 年 12 月 ~ 2000 年 10 月まで販売された。
6 型
5 度目のマイナーチェンジである通称 「 6 型 」 は、FD3S 最後のモデルである。
- 安全装備を充実させるため従来のサイドインパクトバーに加えロアサイドインパクトバーを追加。
- MT 車にクラッチインターロックシステムの採用。
- ABS コンピューターを 16bit に変更。
- EBD の追加。
- サスペンションはより乗り心地のよい柔らかい物に変更。
- 純正で車高調整式のサスペンションを採用した特別仕様車もある。
- メーターリングの復活。
- メーターをホワイトメータに変更。
限定モデルでタイプ R バサースト R を 500 台販売。
タイプ R バサーストを特別仕様で販売。
スピリット R を最後の限定車として 3 種類のモデルを販売。
また販売されなかったモデルで M2 ・ 1020 と呼ばれたモデルが存在する。
ここまでのメーカーによる改良をされた車は非常に稀と言えるだろう。
メーカーにとっても、大切な 1 台だったからこそ魅力のある車なのだろう。