プロローグ

Last-modified: 2022-04-21 (木) 18:06:51

 「ニュースをお伝えします。今日17時、神奈川県の沖合60kmの地点で...」
 今日もくだらないニュースが流れる。日々がもう、くだらない。毎日同じような人を見て、毎日同じような生活をする。こんな生活に、希望を見出す方が難しい。この安くて狭いアパートに住んでもう9年。来月には28歳になる。ここまで彼女は出来ず、童貞で、そもそも女性と関わったことがほとんどない。大学に行ってた頃は日々が楽しかったな...とか昔を振り返ろうとするが、思い出される記憶に楽しいものはほとんど無かった。
 急に吐き気が催し、便所に駆け込む。が、吐き出すものは胃液だけであった。当たり前だ、もう5日は何も口にしていない。水を飲み、それで終わり。あとはボーッとしているだけだ。
「さっさとこんな糞みたいな人生、終わらせてやる...」
誰に語るわけでもなく、虚無に向かってぼやく。帰ってきたのも虚無である。深く溜め息をつき、テレビを消し、そして部屋の電気を消す。次に、ライターを手に取り、タバコに火をつけ、咥える。そうして、目を閉じた。

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