風信子。キジカクシ科の多年草。ギリシアからシリアにかけての原産で、オランダで盛んに品種改良が行われ、多数の園芸品種が育成された。日本には徳川時代末期に渡来している。
花の咲き方にも一重咲きと八重咲きがあり、花の色も紫色や白色、桃色、青色の他に品種改良によって黄色い花や紅色の花を咲かせるものもある。
ヒヤシンスの名は、ギリシャ神話の美青年ヒュアキントスに由来している。同性愛者であった彼は、愛する医学の神アポロン(彼もまた両性愛者であった)と一緒に円盤投げに興じていた*1。しかし、その楽しそうな様子を見ていた西風の神ゼピュロス*2は嫉妬して、意地悪な風を起こした。その風によってアポロンが投げた円盤の軌道が変わり、ヒュアキントスの額を直撃してしまった。アポロンは医学の神の力をもって懸命に治療するが、その甲斐なくヒュアキントスは多量に出血し、事切れた。ヒヤシンスはこの時に流れた大量の血から生まれたとされる。
ギリシャ神話ではよく若い女性が花の姿になることはあるが、本種はちょっと知ってしまったら反応に困りそうになる神話である。
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