くるぐる使い

Last-modified: 2009-10-19 (月) 10:37:49

くるぐる使い/原作:大槻 ケンヂ 作画:大橋 薫

573 :くるぐる使い 1:2009/09/25(金) 01:29:44 ID:???
大槻ケンジ原作、大橋薫画、くるぐる使い 単巻

波野(はの)老人は入院中、自分の世話をしてくれてる新人看護婦に話しかけた。
自分はもうすぐ死ぬだろうから、過去の話を聞いてほしい、自分は本当は外道であったのだと。
看護婦は老人の若い頃の懺悔であろう、その話を聞いてあげることにした。

波野は若い頃は、スリや空き巣などをして食いつないでいた。
ある日、奇術師として参加した夏祭りでスリの獲物を物色していたところ、
同じく祭りに来ていた、狂人を見世物にする「くるぐる使い」に出会った。
幼い少女を連れた男が壇上に上る。少女は目線もうつろで明らかに正気ではない様子。
その少女が意味不明な言葉を叫ぶと、男が「もうすぐここに血の雨がふるであろう」とその言葉を翻訳する。
その直後、祭りのテントが崩壊事故を起こし、本当に祭り会場は大勢の犠牲がでた。
波野はくるぐるの予言は本物だと感じ、くるぐる使いに強引に弟子入りしたのだった。

弟子になった波野の仕事はくるぐる・亀子の世話。本当は16歳らしい亀子は障害を持っており、
外見はせいぜい10歳くらい。いやいやながらも亀子の食事の世話や、
おむつ交換などを続ける生活を数か月おくるうちに、師匠から極意を聞き出すことに成功する。
そして、波野は師匠の金を盗み、そのまま逃げた。



574 :くるぐる使い 2:2009/09/25(金) 01:33:18 ID:???
波野は「自分のくるぐる」になる娘を探すうちにある村にたどり着いた。
そこで美那という娘に出会う。
美那は亀子のような予知はできないが、他人の秘密の過去を言い当てることができた。
波野は遠方に引っ越した唯一の美那の友人が、美那のせいで死んだと吹き込み、
友達のいない孤独な美那を追い詰め、狂わせてしまった。
こうして意図的に美那をくるぐるに仕立て上げ、美那の母から二束三文で買い取ることに成功した波野は、
「障害を持った哀れな妹とその兄」という設定で、くるぐる使いとして芸を見せて歩いた。
波野は美那に兄さんと呼ばせてうまくしつけることにも成功した。

美那は観客の秘密を百発百中で暴露することができ、その驚異の力は評判になって
ついに二人は大手サーカスにスカウトされた。
サーカスでの空中ブランコに次ぐ人気芸となったくるぐる使いだったが、戦後、文化発展の時代にあって、
くるぐる使いのようないろものは待遇がそれほどよくならず、波野は不満を感じるようになる。
そのうちに、美那の過去読みが当たらなくなってきて、くるぐる使い芸は危機を迎える。
巫女が恋愛をすると聖なる力を失うという話を思い出し、
波野は美那が女好きのブランコ乗りに手をつけられたのではないかと思い込んだ。

興奮した波野はブランコ乗りのロビオを襲撃、そのままサーカスのテントに放火する。
焼けあとからは、ロビオとそれを助けようとしたと思われる美那の二人の遺体が見つかった。



575 :くるぐる使い 3:2009/09/25(金) 01:37:26 ID:???
狂人である美那が放火の犯人だろうということにされてしまい、波野は罪を免れたが、
肝心のくるぐるを失ったので、波野はサーカスを解雇された。
その後旅をするうちに、波野は美那の出身の村にたどり着いた。
せっかくなので美那の母に彼女の死を報告に行くと、
美那の母は美那は幸せだったと思う、と波野に礼を言う。
なんと、美那は狂いながらも、時々母に手紙を出していた。
そこにはたどたどしい字で、兄さんが自分を大切にしてくれることや、
自分が彼を好きであることなどがつづられていた。

そして、波野は思い返すうちに美那が本当は波野を助けようとして焼死したのであろうという事と、
何より波野も美那を愛していた事に気づくが、全てはもう取り返しがつかないのだった。

波野老人は看護婦にその話をした数日後に亡くなった。
障害者の養護施設をつくり、立派な人とたたえられた波野老人の真の過去を知るのは、
いまはその看護婦一人だけである。



576 :くるぐる使い キャラ:2009/09/25(金) 01:47:45 ID:???
波野 泥棒・すり生活をしていたが、もっと金になりそうなくるぐる使いに弟子入り。
   師匠から金を持ち逃げし、元は健常者だった美那を故意に狂わせても全く罪悪感を持たないような人。  

美那 他人の過去の記憶を読み取れる。それをつい口にだしてしまったりする。
   読める過去は特に秘密にしているような後ろ暗い内容ばかりなので、余計人に嫌われ友人もほとんどいない。
   くるぐる(狂人・精神異常者の意)ではなかったが、波野に精神を狂わされた。

看護婦 たぶん新人のドジっ子。波野老人を献身的に看護している。



577 :マロン名無しさん:2009/09/26(土) 00:36:31 ID:???
乙。マンガ版なんて出てたのか……。正確には大槻ケンヂね。

マンガ版に解説があるかわからんが、有名な映画、フェリーニの「道」がモチーフの話。
そっちは主人公がザンパーノ (→ 波野 はの なのか。なみの だと思ってた)
ヒロインがジェルソミーナ (→ 美那)
サーカス要素とかキャラクターの関係とかラストとかが、映画を踏襲してる。
細かい話は、全然違う。(キチガイを使った芸なんて「道」には出てこない)