エマ

Last-modified: 2008-10-15 (水) 22:19:35

エマ/森薫

108 :エマ :04/05/05 13:08 ID:???

19世紀末、産業革命以後のヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしたメイドと貴族の身分違いの恋を描いたラブロマンスです。


主人公のエマはロンドンの片隅で隠居生活を送っている貴婦人、ケリー・ストウナー婦人のメイドさん。
気が強く堅物のケリー婦人の身の回りの世話しながら、2人は平和に暮らしていました。
そんなある日、ケリー婦人の元を一人の青年が訪ねてきます。
ケリー婦人が昔家庭教師をしていた貴族の青年、ウィリアム・ジョーンズでした。
ウィリアムはその飄々とした性格からか、気むずかしいケリー婦人が子供の頃から大の苦手。
そこを父親から恩師に顔ぐらい見せろとせかされて、嫌々会いに来ていたのでした。
しかし、ウィリアムはケリー婦人のメイドのエマに一目惚れ。
「あなたまるで変わってないわねぇ」と説教をするケリー婦人に対しても上の空です。
何とかエマについて聞き出そうとするウィリアムでしたが、そこをケリー婦人に急用が出来て、仕方なくウィリアムは帰ることに。
でもそこで、ウィリアムは妙案を思い付きます。
帰り際にわざと手袋を忘れていって、それをエマに持ってこさせようとするのでした。
それに気付いたケリー婦人は「あの子ったら随分せせこましい手を使うようになったじゃない」と苦笑い。
今回だけは多めに見てあげましょうとケリー婦人はエマに手袋を届けるように言います。
そしてエマは手袋を持ってウィリアムを追いかけて、待ち伏せしていたウィリアムはエマと偶然出会ったような顔をして、2人は少し親しくなったのでした。


109 :エマ :04/05/05 13:11 ID:???

ある日、道端のカフェでのんびりしていたウィリアムは、偶然買い出しに出ていたエマを見かけます。
手を振って近寄るウィリアムでしたが、エマは全く反応をしません。
訝しむウィリアムがエマにもっと近寄ると、漸くエマは「ウィリアムさん」と気付きました。
そう、エマは目が悪くて眼鏡を掛けているのですが、その眼鏡も古くなって遠くまで見られなくなっていたのです。
それを聞いたウィリアムはエマに眼鏡をプレゼントしようと提案します。
高い物なので、頂けませんと遠慮するエマに、ウィリアムは
「だってホラ、鳥だって飛んでるし!猫だって歩いている!子供だって転んでいるじゃないですか!全く問題ないですよ」
と訳の分からない理屈でエマを丸め込みます。
ケリー婦人の元に戻ったエマは、眼鏡を外して、昔の事を思い出します。
それはエマがケリー婦人の元にやって来たすぐの頃で、目が悪いエマは色んな物を割ったりして失敗していました。
そこをケリー婦人が眼鏡をプレゼントして、初めてエマは外の景色が遠くまで見えるようになって感動したのです。
その事を反芻したエマは、後日やっぱりこのままでいいです、とウィリアムに断ります。
だけどウィリアムはじゃあ代わりに何かあげます、と引き下がりません。
仕方ないのでエマはレースのハンカチをくれませんか?と頼みます。
昔からレースが夢だったエマは、レースのハンカチを貰ってはにかむように喜びます。
その様子を見たウィリアムもまた喜びましたとさ。


110 :エマ :04/05/05 13:13 ID:???

さて、またある日、ウィリアムは実家で仕事をしていました。
そんなウィリアムの元を、とんでもない客が訪れます。
何十頭もの象を連れてジョーンズ家にやって来たインドの王族、ハキム・アワターリです。
ハキムはウィリアムがインドに留学していた頃の友人。
エキセントリックなハキムは周囲の迷惑もまるで気にせずに、暇だから遊びに来たので暫く厄介になるぞ、とジョーンズ邸に居座る事に。
しょうがないのでウィリアムもそれを承諾します。
そんなウィリアムに、ハキムは町中を散歩するので一緒にどうだ?
と無理矢理ウィリアムを象に乗せて、ロンドンの街を2人は象で練り歩きます。
当然街の人達は戦々恐々。上下に激しく揺れる象の上も乗り心地はとてもいいとは言えず、ウィリアムは酔ってしまいます。
そこを、騒ぎを聞いて偶然窓を開けて外を見ていたエマとウィリアムは象の上から目が合います。
何とかハキムに象を止めてもらい、ケリー婦人の家で暫く休む事に。
エマに甲斐甲斐しく介抱されてウィリアムお坊ちゃんもまんざらではない様子です。
そんなエマの様子を見ていたハキムは、これまたエマに一目惚れするのでした。


111 :エマ :04/05/05 13:15 ID:???

後日、ウィリアムはケリー婦人の家をハキムが正装して訪れているのを目撃します。
思い立ったらすぐに行動を起こすハキムは、早速プレゼントを用意してエマにアタックしていたのでした。
「君が好きだ」とど真ん中ストレートで話しかけるハキムに対し、エマは困ったように微笑みかけるだけです。
そんなエマの様子を見て、今日は気持ちを伝えに来ただけだ、とハキムはとりあえず帰ります。
一方ウィリアムは、こうしてはいられない、と同じくプレゼントを買いに出掛けます。
しかしお店の売り子から、同じようにエマにプレゼントを贈っている人がとてもたくさんいる、という話を聞いてエマがモテモテだという事実を知り、ふてくされます。
だけど、エマはそういった誘いを全て丁寧に断ってきていました。
その様子を見ていたケリー婦人は「みんな断るのね、まぁ好きになさい」と言い、果たしてウィリアム坊ちゃんはどうかしらね、と一人呟くのでした。


112 :エマ :04/05/05 13:16 ID:???

閑話休題。ある日、雨漏りの修理中足を滑らしてケリー婦人が足を怪我してしまいます。
雨の降る中、忙しく家の修理をするエマとケリー婦人の古い友人アルを見つめながら、ケリー婦人は昔の事を思い出します。
ケリー婦人は、18の時に結婚し、20で夫を亡くしてからずっと未亡人でした。
僅か2年間の楽しい結婚生活を思い出していたケリー婦人は、世話好き心が現れて、
エマを呼び止めて「ウィリアムが好きなの?」と問いただします。
それに対し、エマははにかむように頬を染めて笑うだけです。
その様子を見てケリー婦人もまた微笑むのでした。


113 :エマ :04/05/05 13:18 ID:???

その後、足を悪くしたのを切っ掛けに、ケリー婦人は体調を崩しており、エマは必死で介護していました。
一方、ウィリアムはハキムと一緒に夜の舞踏会に来ていました。
ウィリアムはこういった社交の場が苦手でほとんど招待状を断っていたのを、父親リチャード・ジョーンズにそれを咎められ、渋々出ていたのでした。
ホールの隅っこでボーッとしているウィリアムの元に、一人の貴婦人が娘を連れて現れます。
その娘、エレノアの相手をしてくださらない?と貴婦人に頼まれ、ウィリアムはエレノアと一曲踊ることになるのでした。
後日、ケリー婦人の元をウィリアムとその父リチャードの親子が訪れます。
ケリー婦人が足を悪くしたのをウィリアムから聞いて、恩師の見舞いに行かないでどうする、と二人してお見舞いにやって来ていたのでした。
ケリー婦人と父親リチャードの二大堅物の間に挟まれ、ウィリアムは正に蛇に睨まれた蛙状態です。
そんな中、リチャードはウィリアムの縁談の話をします。
実は、この前の舞踏会で踊ったエレノアの母親が、娘をウィリアムの元に嫁がせたいとリチャードに言ってきていたのでした。
そんな話は僕は聞いていません!と反発するウィリアムに、
「誰か決まった相手でもいるのか?」と聞かれ、返答に窮するウィリアム。
また傍でその話を聞いていたエマも隠れて動揺していました。
そんなウィリアムに父リチャードは冷たく言うのでした。
「英国はひとつだが、中にはふたつの国があるのだよ。
 すなわち上流階級以上とそうでないもの。このふたつは言葉は通じれども別の国だ」


124 :エマ :04/05/05 17:45 ID:???

父親が勝手に縁談を進めていた事に腹を立てたウィリアムは、ある日エマをデートに誘います。
影でエマとウィリアムの恋を応援しているケリー婦人は、エマがデートの為に休みを取ることを快く承諾して、
エマとウィリアムはクリスタルパレスに出掛けました。
1815年ロンドンハイドバーグにて開催された世界初の万国博覧会。
その会場として建設されたクリスタルパレスで、初めて見る物ばかりで興奮するエマ。
2人はローマ、イスラム、中国、エジプトなど色んな国の文化を見て回ります。
そのままベンチに座って話し込んでいる内に、閉館の時間が来てしまいますが、2人は話しに夢中で全く気付きません。
係員の人も2人に気付かずにそのまま入り口を閉めてしまいます。
漸く自分たちが閉じ込められた事に気付く2人でしたが、満月の光が降り注ぐクリスタルパレスの中でいいムードに。
そして2人は口付けを交わしたのでした。


125 :エマ :04/05/05 17:47 ID:???

自分たちの気持ちを確かめ合ったウィリアムは、2人の仲を父親に認めさせようと一念発起して家に戻ります。
一方、そんなウィリアムとは対照的にエマは浮かない様子。
クラスの違いがどれほど絶対的かを知っているエマは、冷静に考えてやっぱり無理だと悲観していたのです。
そんなエマを見て、「大丈夫、あなたなら」とケリー婦人は励ますのでした。
その頃、家に戻ったウィリアムの元に、今までそれぞれの理由から家を離れていた弟妹達が戻ってきていました。
ここで少し、上流階級の名門ジョーンズ家の人々について紹介しときましょう。
【リチャード】
父親。厳格な一家の主。母親は訳あって家にはいないようです。
【ウィリアム】
長男。エマとの身分違いの恋に悩む我らがお坊ちゃま。年齢は恐らく20~25位?
飄々とした性格でハキムと一緒に普段はフラフラと遊んでいます。
【グレイス】
長女。兄ウィリアムとは違ってしっかり者。自分の事より他人の心配をする世話好きな女性。
【アーサー】
次男。ついこないだ学校を卒業したばかり。良く言えばクール、悪く言えば皮肉屋。
兄ウィリアムのいい加減な性格をあまり好ましく思ってない様子。
【ヴィヴィー】
次女。わがまま娘でおてんば娘を地でいくお嬢様。アーサーとは仲が良いのか悪いのかよく喧嘩しています。
ジョーンズ家に居候しているハキムの事がちょっと気になる様子。
【コリン】
三男。泣き虫で甘えん坊。グレイスの影に隠れている事が多いようです。


126 :エマ :04/05/05 17:49 ID:???

久しぶりに兄弟全員が揃って和気藹々とするジョーンズ一家。
そこでウィリアムの相手について噂になります。
兄弟達に問いつめられて、ウィリアムはメイドのエマと結婚したい事を打ち明けますが、兄弟達は猛反発。
「いくら兄さんでもそこまで常識はずれとは思わなかった」とアーサー。
「私絶対にそんな人は嫌だからね!」とヴィヴィー。
騒ぎを聞きつけて遂に父親リチャードが現れます。
ウィリアムは父親の部屋にて、一対一で話をつけることに。
「なるほど、仲を認めてくれというわけか。ならん、絶対にならん」
「彼女は他のメイドとは違います。会えばわかります」
「会わずともわかる。人格は問題ではない。お前には兄弟姉妹スティーブンス以下100人もの使用人に対する責任というものがある。
 先代や先々代が築き上げてきたジョーンズ家の歴史というものがある。そういったものを考えたことはないのか。
 我欲のために与えられた当然の責務すら放棄するのか。お前はそういう人間か。自由と無秩序は違う。それを忘れるな」
と、リチャードから手厳しく言い渡されたウィリアムは納得いかないまま引き下がるのでした。
一方、エマの身にも重大な出来事が起こっていました。
ケリー婦人が病気をこじらせてそのまま亡くなってしまったのです。


127 :エマ :04/05/05 17:51 ID:???

家主のいなくなったケリー婦人の家で、一人エマは荷物を整理していました。
家の掃除をしながら、エマは昔の事を思い出します。
エマは貧しい寒村の出身でした。
母親の妹に邪魔者として育てられ、そのままエマは人買いに売られました。
必死の思いで人買いから逃げ出したエマは、どんな仕事でも何とかこなして日々を惨めに過ごしていました。
とある家の雑用として働いていたある日、エマはケリー婦人と出会ったのです。
エマ偶然見かけ、「賢そうな顔をしているわね」と、ケリー婦人はそのままエマをメイドとして引き取る事に。
それからエマはケリー婦人の指導の元、必死に読み書き、身のこなし、作法を勉強してメイドとして生きてきたのですが、
その雇い主のケリー婦人も今はいません。
また独りになったことを実感したエマは、涙を静かに流すのでした。
一方、ウィリアムはとある晩餐会に出ていました。
貴族の令嬢、エレノアとの縁談を進めているリチャードの策略により、ウィリアムは渋々晩餐会にエレノアと一緒に出ることに。
食事中、2人は話が弾み、伝統についての話題になります。
そこでウィリアムは父への当てつけとして「ただ守るためだけに守る伝統は嫌いです。それじゃ固執だ」と苦々しく言い捨てます。
そんなウィリアムの姿を見て、エレノアは次第にウィリアムに惹かれていくのでした。


128 :エマ :04/05/05 17:52 ID:???

そして、エマとウィリアムにとって運命の日がやって来ます。
ケリー婦人が亡くなった事を知ったウィリアムは、田舎に戻るというエマを引き留めるため会う約束を取り付けますが、
ウィリアムが時間に遅れてすれ違いになります。
ウィリアムはエマを探してあちこちを走り回り、エマもウィリアムが約束の時間になっても来ないのでジョーンズ家の屋敷に向かいます。
門の前でうろうろしていた所を、使用人のスティーブンスに見つかり、客間に通されるエマ。
そこに、ハキムが現れてエマから事情を聞きます。
雇い主だった人が死んだので、故郷の小さな村に帰る、と。
しかし、それを聞いても納得いかないハキムはエマに問い質します。
「エマはウィリアムが好きで、ウィリアムもエマが好きなのだろう?
 何故ひとりで遠いと所へ行く?」と。


129 :エマ :04/05/05 17:53 ID:???

またその頃、エマがウィリアムの言っていたメイドだと知ったアーサーやヴィヴィーはあまり良く思っていない様子。
「玉の輿でも狙っているのかな」とアーサー。
「きっとそうよ!そうと知って兄様をたらしこんだのよ!」とヴィヴィー。
「バカなことを言うのはやめなさい」とグレイスが止めるのも聞かずに、
ヴィヴィーはそのまま客間に飛び込んでエマに向かって怒鳴ります。
「あんたねぇ!なんのつもりか知らないけど、諦めてさっさと帰ったら!?
 ウィル兄様もウィル兄様だけど、あなたも常識なさすぎよ!」
それを聞いて、上流階級とそうでないものとの差を実感するエマ。
ハキムが「私はウィリアムが相手だというから退いたのだ。そうあっさりと諦めましたでは困る!ウィリアムと会って話せ!」
と止めますが、エマはそのままジョーンズ邸を後にするのでした。
一足遅れてウィリアムが戻ってきますが、ハキムからエマが田舎に戻るため駅に行ってしまったと聞いて、
急いで駅に向かいます。
しかし、2人が出会う事はなく無情にもエマを乗せた列車は出発し、
そのまま2人は離ればなれになったのでした。


130 :エマ :04/05/05 17:55 ID:???

エマと離ればなれになってしまったウィリアムは、
今までとは打って代わって真面目に仕事をこなし、
今まで面倒がって行かなかった社交の場にも積極的に出ていました。
そんなウィリアムの様子を見てグレイスは心配しますが、
アーサーとヴィヴィーは「今まで変だったのがまともになった」と気にしてない様子。
父親リチャードも「漸く少しは使えるようになったか」と一蹴します。
しかし、ウィリアムは友人のハキムにだけは本心を話していました。
エマとの事でクラスが絶対だと思い知ったウィリアムは自虐的に言います。
「階級がそれほど大事だと言うのなら、一生その上流階級として生きてやる。
 あるべき姿、あるべき態度、誰もが認める上流階級の体現者になったら、死ぬときに全部捨てて死んでやる」
「暗いな」
「暗くもなるさ。言うなよ」
そうしてウィリアムは名門ジョーンズ家の跡取りとして生きる道を選んでいくのでした。


131 :エマ :04/05/05 17:56 ID:???

一方、その頃エマはロンドンを北上すること226マイル、
ヨークシャー州ハワースにあるメルダース家にいました。
偶然、列車で相席となったメルダース家のメイド、ターシャと仲良くなり、
ターシャの紹介でメルダース家のメイドとして新しい生活を送ることになったのです。
ここでメルダース家の人々について少し紹介しておきましょう。
【ヴィルヘルム・メルダース】
ドイツからの移住者で、メルダース家の主。貿易商。
【ドロテア】
ヴィルヘルムの妻。小さい息子と娘がそれぞれ一人いる。
【アデーレ】
メルダース家のメイド長。恐い。厳しい。でも何でもそつなくこなすエマを評価している。
【ターシャ】
エマと相部屋のメイド。ドジっ娘。エマとは仲が良い。
その他、大勢のメイドや使用人達に囲まれて、
エマは時にはウィリアムの事を思い出しながらも、忙しい毎日をメルダース家で過ごすことになるでした。


132 :エマ :04/05/05 17:57 ID:???

ある日、ドロテア婦人が友人のミセス・トロロープに会いに行くというのでお供としてついていくエマ。
本名も分からず、東洋風な屋敷に年老いたメイドと暮らしている謎の女性トロロープ。
奔放な彼女を見ていてエマは次第に惹かれていきます。
ドロテア婦人と世間話を少しした後、ミセス・トロロープはお土産として宝石が散りばめられたネックレスをドロテア婦人にプレゼントします。
そしてそのままドロテア婦人とエマはミセス・トロロープの屋敷を後にするのでした。
2人が去った後、残されたミセス・トロロープはふと独り言を呟きます。
「あの娘、エマって言った…?ウィリアムもあのくらいになったかしら…」


<続く>


133 :エマ :04/05/05 17:59 ID:???

というのが既刊の三巻までのストーリーです。


735 名前:エマ 1/2[sage] 投稿日:2006/07/10(月) 11:01:45 ID:???

最近完結したし、補完リクエストされてるのでエマの続きを書いてみた。


身分と階級の差によって引き裂かれたエマとウィリアム。
ウィリアムはエマを失った悲しみを紛らわせるかのように真面目に働きます。
そこに、キャンベル子爵の娘エレノアとの結婚話が舞い込みます。
ウィリアムは悩んだ末にその結婚話を受けてしまう。
健気なエレノアにまんざらでもないウィリアムでしたが、なんと婚約披露パーティで離ればなれになっていたエマと再会を果たします。
ここで、話は少し遡ります。
ドイツ人移住者のメルダース家のメイドになっていたエマは、謎の不思議な女性ミセス・トロロープと知り合いました。
そのミセス・トロロープの子供が今度結婚するというので、そのパーティーに何故か付いていくことになったエマ。
そう、ミセス・トロロープはウィリアムの母親だったのです。
こうしてある意味最悪な形で再会した二人。エマはショックのあまり気絶してしまいます。
二度と会えないと思っていたエマと再会したウィリアムは、彼女への想いが再び戻ってきます。
未練がましく、お互いの居場所が分かったウィリアムとエマは文通を始めることになります。
手紙を通してお互いを想う気持ちが次第に強くなる二人でしたが、ウィリアムはエレノアと婚約しています。
このままではいけないと思った坊ちゃんは、最低だと分かりつつもエレノアに婚約解消を申し出ます。
それにショックを受けてエレノアは部屋に引きこもってしまいます。


736 名前:エマ 2/2[sage] 投稿日:2006/07/10(月) 11:02:46 ID:???

当然それを良く思わない人物がいました。キャンベル子爵です。
虚仮にされるのが大嫌いな子爵は、自分の娘よりメイドにうつつを抜かしているウィリアムの目を覚まさせるため
手下を使ってエマを誘拐させます。
誘拐されたエマはそのまま新大陸アメリカへと連れ去られてしまいました。
それに気付いた我らが坊ちゃんは新大陸まで追いかけて無事エマを保護します。
お互いの気持ちを確かめ合った二人は、例え困難な道だとしても二人なら大丈夫、と結婚の約束をしました。
当然、ウィリアムの家族は猛反対します。
が、それでも退かないウィリアムに次第に家族は呆れてもう好きにしろ、といった雰囲気に。


それから――。
面白いことが大好きなメルダース夫人の協力を得て、綺麗に着飾ったエマはウィリアムと共に社交界に出ることに。
エマが貴族ではない以上、二人の前にはこれからも様々な困難が待ちかまえているでしょう。
それでも二人は幸せそうに微笑んだあと、しっかりとした足取りでパーティへと向かったのでした。
終わり。