キーチ!!

Last-modified: 2008-09-21 (日) 23:57:14

キーチ!!/新井 英樹

51 :キーチ!!:2008/02/25(月) 18:18:20 ID:???
【幼年編】
恐るべき幼稚園児、輝一。
無口で絶対に泣かず、破壊的なまでに暴力的な三歳児。
その気質から幼稚園で様々な問題を度々巻き起こすが、その分味方も増やしていた。
そんな輝一に対する両親の愛情は確かなもので、輝一も両親にだけは心を開いている。


しかし、ある日の昼下がり、輝一の目の前で両親が通り魔に刺し殺される事件が起こる。
初めは理解できず、暴れ回る輝一だったが、数日経ってようやく両親がもういないことを理解する。
滅多に泣かない輝一の目から大量の涙が溢れ出し、それから大声で泣き続けた。
輝一の祖父母達は対処に困って、とりあえず輝一を安静にさせておくことに。


だが、ある日輝一はフラっと家からいなくなってしまう。
死んだ両親の面影を探して一人で遠くまでやって来た輝一。
そこで一人の女ホームレスと出会う。通称モモちゃん。
モモはかつては旦那と子供がいた普通の主婦だった。
しかし、浮気して男遊びに夢中になり、家を留守にしている間に火事が起きて一人残された子供が焼死。
それ以来人生は転落の一途を辿りついにはホームレスになった過去を持つ。
輝一に死んだ子供の面影を見たモモは輝一を保護しようとする。
そして、輝一もまた行くところがないことからモモと一緒に生活することを選ぶ。


こうして、"ポチ"としてモモとホームレス仲間と一緒に生活することになった輝一。
モモの他に、常に躁状態のポクさん、大阪弁の常識人哲也、完全密封された段ボールハウスに潜む
謎の引きこもり青年前田君。
など、個性豊かなホームレス仲間に囲まれて暫くは平和な日々を過ごす。



52 :キーチ!!:2008/02/25(月) 18:22:36 ID:???
ある日、ホームレス哲也に連れられて競馬場に行くことになった輝一。
そこで、馬を見ただけでその馬が"強い"か"弱い"か分かる、という輝一の特殊能力が判明する。
その能力のお陰で哲也は大金を手に入れることに成功する。


また、いつも誰とも関わろうとはしない前田君が、何故か輝一に興味を持つ。
彼の居城である段ボールハウスに入ると、そこには大量の札束や拳銃が。
輝一に対して欲しい物を一つあげるといい、また、死んだ両親に会う方法を教えると言い出す。
その方法は、「輝一くんも……死ねばいいんだ」。
まだ"死"という概念が理解できない輝一に対して、"死"とは何なのか教えてあげるという。
輝一に大量の札束を与えたあと、前田君は輝一と共に繁華街に向けて歩き出す。
何故か前田君は女装をしており、その香水の匂いに母親の面影を輝一は感じる。


そして、辿り着いた先には事務所帰りの一人のヤクザが。名前は道上。
どこか輝一の父親と似た雰囲気を持つヤクザであり、輝一は近親感を覚える。
そんな道上に対し、前田君は無造作に銃を撃ち放ち、両者は相打ちとなってその場に崩れ落ちる。
母親と同じ匂いの香水を付けていた前田君。父親と似た雰囲気を持つ道上。
二人が血塗れになって倒れているのを見て、輝一の脳裏に両親が刺された時のシーンが過ぎる。
輝一の精神は耐えきれなくなったのか錯乱状態に陥り、幼児退行を起こす。


漸く現場に駆けつけて、モモと哲也は輝一を保護するが、もうこの街にはいられなくなっていた。
ホームレス仲間のポクがお金目当てに警察に情報を売っていたのだ。
このままでは未成年者略取罪でモモは捕まってしまう。
哲也は前田君が残した金と競馬で稼いだ金をモモに託し、遠くに逃げるように諭す。


輝一とモモの二人は手を取り合って遠くの港町に逃げることに。
そこにはモモの古い友人、通称秋ポンが旅館の仲居として働いていたからだ。



53 :キーチ!!:2008/02/25(月) 18:26:06 ID:???
考えなしに子供と逃避行なんかしているモモを秋ポンは責めるが、結局二人を居候させることに。
が、その部屋は秋ポンとその愛人のヤリ部屋だったので、そこで二人のセックスを見ることになる輝一。
その光景は輝一の精神に幾ばくかの影響を残すことになる。


また、その縁で輝一とモモは秋ポンの愛人とも親しくなり、ある日三人でピクニックに出掛けることに。
だがそこで、モモの悪い癖が出てしまう。
かつて旦那と子供を放って浮気に走ったように、再びモモは秋ポンの愛人とのセックスにはまってしまう。
そうして、二人はお金を持ったまま港町から輝一を置いて逃げていった。


残された輝一を見て、秋ポンは彼を交番に届けることにする。
輝一を捨てるようで罪悪感を覚えるが、そんな秋ポンに輝一はいつか自分が迎えに来ると約束する。
短い間ではあったが、確かな絆が結ばれた二人。
しかし、少し目を離した隙に再び輝一が失踪する。
何かに導かれるように、輝一は夜の山奥へと入っていってしまっていた。
いなくなった輝一を必死に探す秋ポンだったが、途中で事故を起こしそのまま意識不明の重体に。


そして――数ヶ月が経過した。
ある山の麓街に、薄汚れた猿のような男児がフラリと現れる。
なんと、山奥でたった一人で生活していた輝一だった。
虫や草花などを食べて生き繋いでいた輝一。
4歳児にして壮絶な経験を経た輝一は、"ひとりで生きることは素晴らしい"という悟りを開いていた。
輝一は瞬く間に時の人となり、マスコミはこぞって輝一をヒーローのように祭り上げた。
しかし、そんな中輝一の母方の祖母だけは冷静な目で輝一を見ていた。
自分は一人でも生きられると頑なに主張する輝一に対し、いい加減子供に戻れと叱り飛ばす。
そして、輝一は父方の祖父母に引き取られることになった。



54 :キーチ!!:2008/02/25(月) 18:31:02 ID:???
【少年編】
それから数年後。輝一は小学五年生になっていた。
その壮絶な過去の影響か、輝一は友達を決して作ろうとはせずにいつも一人でいるような子供だった。
また、自分の信念を決して曲げず、たとえ大人だろうと気に入らない相手には決して譲らない。
そのせいで、何度も先生と衝突しては、最後には逆に先生を泣かしてしまう程だった。
また、暴力的なところは変わらず、気に入らない相手には誰であろうと容赦なく鉄拳制裁を繰り出す。
だから、何度も問題を起こしては転校を繰り返す毎日だった。
そんな輝一だったが、正論に対しては素直に納得する面もあり、
要は曲がったことが極端に大嫌いな性格になっていた。


そして、輝一はまた転校することになる。
だが、今度のクラスには一筋縄でいかない様々な問題が燻っていた。
しかし、そんなクラスメート達に「お前達に興味ないから俺に近づくな」と転校初日に言い放つ輝一。
向かってくるいじめっ子に対しても洒落にならない暴力で撃退する。
お陰で、転校早々輝一と絡もうとする子供はほとんどいなくなってしまった。
そんな中、輝一に並々ならぬ関心を抱いている少年がいた。
名前は甲斐。トップクラスの秀才であり、目端もきくクラスの実質的なリーダーである。
甲斐は幼少の頃、テレビに出てた輝一の"ひとりすごい"発言を聞いて感銘を受け、
それ以来熱狂的な輝一ファンになっていたのだ。


ある日、輝一が学校をサボってそのままどこかに出かけるの見かけて後をつけることにした甲斐。
辿り着いたのは競馬場。カメちゃんと呼ばれるホームレスと共に馬に金を賭けていた。
例の見ただけで馬が"強い"か"弱い"か分かる能力を駆使して競馬で荒稼ぎをしている輝一。
カメちゃん曰く、輝一の年収は1000万を超えるものだという。
しかし、そんな大金を何に使っているのかは誰も知らない。
輝一こそが自分の待ち望んだ人物だと確信した甲斐は、輝一に一緒に日本を動かそうと持ちかける。
甲斐には、小五にしてこの腐った日本をどうにかしたいという野望があったからだ。



55 :キーチ!!:2008/02/25(月) 18:35:17 ID:???
そんなしたたかな甲斐に対し、輝一は今までの子供とは違って頑丈そうだという理由で興味を持つ。
輝一は早速甲斐に命令をくだす。それは、クラスのいじめられっ子佐治みさとを助けること。
自分の視界に不愉快なものが入るのは我慢できないが、自分が動くと全部壊してしまう。
そこで、みさとへのうっとうしいイジメを甲斐に失くしてもらいたいのだという。
甲斐のクラスへの影響力は確かなものなので、
甲斐の働きにより表面的にはみさとへのイジメはなくなる。


しかし、納得いかないいじめっ子達は裏で陰湿なイジメをみさとへ仕掛ける。
それに気付いた輝一はあっさりキレて、イジメられてたみさと本人や傍観していた先生含めて
クラス全員を叩きのめす。
当然職員室で問題となるが、甲斐が機転をきかしてどうにか大事にはならずにすむ。
輝一が自分のためにしてくれたと勘違いしたみさとは、以後輝一に何かと懐くように。
どうやら、みさとには輝一に助けて貰いたいことがあるようだった。


それは何と、児童売春。みさとは父親と二人暮らしなのだが、
父親から月に何度か売春を強要されていたのだ。
それを聞き、汚いものが大嫌いな輝一はすぐさまみさとの父親を殴り倒す。
しかし、みさとの父親を殴ったところで何かが解決する訳でもない。
そこで、警察に届け出るも、みさとの顧客には政界のお偉いさんがいたらしく、
捜査は圧力により止められてしまう。
何だかんだいって自分は無力な子供に過ぎないことを実感した輝一。
そこで、甲斐に協力を要請して問題解決に乗り出す。


とりあえず、みさとの協力を得て顧客名簿を手に入れることに成功する輝一達。
しかし、そこには何と甲斐の父親の名前が。
エリート商社マンであり、尊敬していた父親がクラスメートの女児を買っていた。
その事実のショックに挫けそうになるも、輝一に励まされどうにか立ち直る甲斐。
父親と決別することを決意する。



56 :キーチ!!:2008/02/25(月) 18:39:52 ID:???
その後、輝一に惚れ込んでいて熱狂的なファンでもあるジャーナリストの石塚を仲間に引き入れる。
輝一達のターゲットは、次期総理候補で政界の"しん様"こと政治家・曽根しん。
そんな大物までもがみさとの顧客となっていた。


とりあえず、曽根がみさとを買う様子をビデオに撮影し、決定的な証拠を幾つか集めることに成功する。
そして、それを全国放送のテレビで流して言い逃れできないような大スクープにする。
それが輝一達の作戦だった。しかし、石塚のコネで放送枠を取ってくれていたエフテレビにも圧力がかかる。
また、輝一の家にも何者かが放火をして、祖母が危うく死にかけるという事件が起きる。


作戦は全て無駄になってしまったが、輝一はまだ諦めていなかった。
こうなれば最後の手段として、ゲリラ放送を決行することを決意する。
幼少の頃知り合ったヤクザ道上の伝手で拳銃を入手した輝一。
輝一にどこまでも付いていくことにした甲斐と共に、国会議事堂前にワゴン車を停めて
付近を占拠することに成功する。


輝一達は瞬く間に警官達に囲まれ、少年が起こした大事件としてスクープとなる。
それを利用して、輝一達はあるVTRを流してくれるようにマスコミに要求する。
その内容はとある女子小学生を巡る児童買春とそれに関わる政治家達の悪事。
政府の高官達は必死に止めようとするが時既に遅く、そのVTRは全国ネットで流されてしまう。
VTRが放送され、目的が達成されたことにより、大人しく投降することにする輝一達。
そして、突然の豪雨の中、輝一の短い演説を終えて事件は終結する。



57 :キーチ!!:2008/02/25(月) 18:43:22 ID:???
輝一達は直ちに警官達に確保される。
また、輝一に協力した石塚を初めとする大人達は逮捕されてしまう。
しかし、悪事を暴露された曽根を始めとする政府高官達は当然に失脚する。
また、輝一の行動はクラスメートの友達を助けるものだったと美談化され、
あっという間に英雄視されることに。
世論的にも輝一達を罰するなという動きが高まる。


そんな中、輝一が競馬で荒稼ぎしていた大金の使い道が判明する。
なんと、事故を起こして以後意識不明になっていた秋ポンの入院費に当てていたのだ。
また、甲斐はマスコミに自分達を売り込み、輝一を日本の救世主にしようと動き出す。


一方、輝一の秋ポンへの想いを知ったみさとは輝一と共に秋ポンが入院している病院に赴いていた。
奇跡を信じるみさとだったが、やはり秋ポンは昔のまま眠り続けている。
落胆する輝一達。
しかし、病院からの帰り道で、なんと秋ポンが目を覚ましたという連絡が入る。
それを聞き、輝一は静かに涙を流すのだった。


「キーチ!!」・完――「キーチVS」に続く



58 :自治スレにてローカルルール議論中:2008/02/25(月) 19:19:45 ID:???
乙です!凄く分かりやすい。
面白そうなので買ってみます。
激動の半生ですね、輝一・・・
普通もっと性格歪むような。輝一は極端過ぎる正義漢って感じ。

にしてもモモちゃんヒデェ
輝一を捨てた事に関してはお咎め無しですかい。


59 :自治スレにてローカルルール議論中:2008/02/25(月) 19:40:42 ID:???
その後ぶくぶくに太った状態で愛人と爛れた性生活を送ってる様子のシーンが数コマある
が、まぁ、どうせその愛人にもすぐに捨てられてまたホームレス生活に逆戻りかと
子供死なせた経験から何も学んでないし