ドラえもん のび太と鉄人兵団

Last-modified: 2008-10-11 (土) 19:36:34

ドラえもん のび太と鉄人兵団/藤子・F・不二雄

548 名前:のび太と鉄人兵団[sage] 投稿日:2005/07/28(木) 17:57:14 ID:???

夏休み。空き地でスネ夫にでっかいラジコンロボット・ミクロスを自慢されたのび太。
うらやましくなんかないぞと虚勢を張るが、家に帰るとドラえもんに
ビルみたいにでっかいロボットを出してと泣きつく。
無茶を言うのび太に怒ったドラえもんは、どこでもドアで涼しい所に涼みに行ってしまう。
しばらくしてのび太も涼もうと跡を追うと、ドアの向こうは北極だった。
ドラえもんを探そうとするが、そこでのび太は穴が三つ開いた球を見つける。
ふいにその球がピピピと鳴りだすと、空から大きな機械の一部が降ってきた。
とりあえずそれを部屋に持って帰ったのび太。
なぜか部屋まで球もついてきて、また鳴り出すと今度は違う機械が庭に降ってきた。
それを組み立てると巨大なロボットの片足になることに気がついたのび太は、球が部品を集める装置なことに
気づき、きっとドラえもんが自分のために用意してくれたのだろうと喜ぶ。
しかしそこにドラえもんが帰ってきて、自分はこんなの知らないと言う。
そうしてる間にも次の部品が届いてくる。どうしても全部組み立てたいと言うのび太だが
そうとうでかくなりそうなので置く場所もなく困ったドラえもん。
のび太の案で、鏡の向こうに世界を作ることにし、「おざしき釣堀」を鏡面世界への入口にする。
部品を持ち運び組み立てる2人。


翌朝目を覚まし、残りの部品全てが夜のうちに届いていたため、早速運んで組み立てるのび太たち。
ついに巨大なロボットが完成するが、コンピューター部分に当たる部品が届いていない。
そこで、ドラえもんの道具(心で思った通りに動かせる)で操縦をすることに。
さっそくしずかを呼びにいくのび太。そこにプロペラで飛べるようになったミクロスが攻撃してくる。
のび太は、自分は乗れるくらいでかいのを作ったとスネ夫に自慢し、今夜10時にミクロスと決闘させることにする。
その後しずかを鏡面世界に呼び、ドラえもんと3人でロボットを操縦したりして遊び始める。
ロボットに名前をつけることにした3人。ドラえもんの案で、北極生まれだから
サンタクロースをもじり「ザンダクロス」と名づける。


549 名前:のび太と鉄人兵団[sage] 投稿日:2005/07/28(木) 17:58:16 ID:???

北極に一人の少女が現れた。
吹雪のなか薄着で彷徨う少女は、襲ってきた白熊を一撃でやっつけると、
探している何かの位置をつきとめたらしく、空に飛び立っていった。


ザンダクロスはどこからやってきたのだろうと話すのび太たち。
地球の技術で作れるようなものではない。どこか他の星から送り込まれてきたのだろうか…。
難しい話はやめにして、今度はしずかがザンダクロスを操縦してみることに。
何気なくコクピットにあるボタンを押してみると、なんとミサイルが発射されビルを丸ごと破壊してしまった。
ショックで泣き出すしずか。このロボットは兵器だったのだろうか。
悪い予感に、もとの世界に帰った3人はロボットのこと・鏡面世界のことを他言しないことを誓う。


その晩、空き地で決闘を待ち受けるスネ夫とジャイアンは、ロボットを探しているという不思議な少女に出会う。
自分のミクロスのことかと喜ぶスネ夫に、そんなものではなく家くらいでかいのだと言う少女。
そんなの常識で考えてあるわけないだろうとスネ夫が言うと、それならいいと言って去っていった。
少女は裏山に行くと、無線で誰かと連絡を取り始めた。
「北極に先着した“頭脳”の誘導によって部品は全て送られたはずだが、かけらも見つからない。
頭脳からの応答により、この辺りにあるはずなので、しばらく捜索を続けたいと思う」
そういうと、少女は祖国・メカトピアを称え連絡を終え、次の日から町の中をあちこち捜し始める。


次の日、昨日決闘をすっぽかしたことに腹を立てたスネ夫とジャイアンに呼び出されたのび太。
ミクロスと対決させるロボットについて聞かれ、のび太はとぼけてみせるが、
怒った二人はミクロスを使って攻撃をしかけてくる。
そこに少女が現れた。ミクロスに手をかざし、操縦不可にしてスネ夫たちを襲わせる。
自分をリルルと名乗ると、のび太の家に連れて行けと言い出す。
はしゃいだのび太は喜んで連れて行くが、そこでリルルは「さっき言ってたロボットはどこ?」と言い出す。
あれはウソだとごまかすが、あのロボットは少女のだと知ったのび太は
「あの恐ろしい破壊兵器が!?」とつい口をすべらせてしまい、ばれてしまう。
あれは自分のだというリルルに、ロボットを返すことを決めたのび太は鏡面世界に案内をする。


550 名前:のび太と鉄人兵団[sage] 投稿日:2005/07/28(木) 17:59:07 ID:???

リルルはロボットにジュドと呼びかけるが、何の反応も示さないことに首をかしげる。
頭脳を入れればジュドは自分の判断で自由に動けるロボットなのだという。
頭脳というのがあの球だということに気づくがなくしてしまったため、操縦する道具もリルルに渡すことに。
ロボットを返すと、リルルは「このことは2人の秘密」「おざしき釣堀を貸せ」の二つを
のび太に約束させ、去っていった。
その晩総本部に連絡を入れるリルル。
ジュドを取り返したこと、無人の世界を手に入れたことを報告すると、鉄人兵団の出動を求めた。


リルルと会ってから、のび太の様子はおかしくなっていった。常にぼんやりしている。
ドラえもんはミクロスに知能を持たせ、そのかわりにのび太と仲直りしてほしいとスネ夫たちに頼むが
のび太はミクロスに複雑な問題を出しショートさせ、再び2人を怒らせてしまう。
なにか隠し事でもあるのでは、といぶかしむドラえもん。
のび太はリルルが鏡面世界とロボットで何をしようとしているのかが気になってしょうがなかったのだ。
と、そのとき裏山に流れ星が落ちるのを見たのび太。また落ちた。
様子を見に行くと、なんとそこにはおざしき釣堀があり、流星はその中に入っていった。
怪しく思い鏡面世界に入り込むのび太。そこで流星・何かの機械を運んでいくロボットを発見する。
そこにのび太をつけてきたドラえもんもやってきた。遂に本当のことを打ち明けたのび太。
ロボットの向かう先についていくと、そこは町の一部が取り壊され、SF映画のような世界が広がっていた。


そこで指示をしているリルルを発見した2人は、「糸なし糸電話」で声を聞くことに成功。
なんとリルルはここで基地を作り、兵団を組織し「地球人捕獲作戦」の準備をしていた。
思わず驚きの声を上げてしまった二人。こちらの声もあちらに聞こえてしまい、ばれてしまう。
鏡面世界の入口を広げて欲しいというリルル。2人は慌てて逃げ出すが、ジュドに乗ったリルルが追いかけてくる。
なんとか向こうの世界に逃げるが。リルルは無理やり入口を広げようとしてきた。
それにより次元震が起こり、爆発が起こった。この爆発により、向こうの出入り口も消えただろう。
胸をなでおろし、家に帰る二人。


551 名前:のび太と鉄人兵団[sage] 投稿日:2005/07/28(木) 18:00:31 ID:???

しかし翌日ザンダクロスの脳を発見したドラえもんは、脳から恐ろしいことを聞き出す(ホンヤクコンニャクで)。
鉄人兵団は基地の完成を待ちかね、すでに地球に向けて全軍を発進したのだという。
慌てて自衛隊だの国連だのに通報する2人だったが、当然相手にされるわけでもなく
とりあえずジャイアンとスネ夫に相談を持ちかけることにする。
のび太たちの言うことを信じてくれた2人は、一緒に戦ってくれると言う。友情に涙するのび太。
ミクロスも参戦してくれるというが、どうにも心もとない。
そこでスネ夫の提案で、ザンダクロスの脳を改造し、こっちの味方につけてしまうことにする。
ドラえもんの大手術により改造には成功した。次に新たに鏡面世界への入口を作らなければならない。
そこで、巻き込まないために本人には言わず、しずかの家の風呂を入口にすることにする。


向こうの世界に入り込んだ一同は、さっそく町を徘徊するロボットを発見する。
それをやり過ごし、ザンダクロスを発見すると脳を入れ、味方にすることに成功。
どうせなら、と鉄人兵団の基地の破壊を始める一行。しかし敵ロボットは一人も見当たらない。
そこに総本部からリルル宛てに連絡が入ってきた。
なんと兵団はすでにメカトピアを発進しており、明晩には地球に到着するという。
あまりの急展開にうろたえる四人。だが、リルルと本部が連絡をとれていないこの状況を利用しようと考える。
そこにロボットたちが基地に帰ってきた。武器を装備しザンダクロスと共に応戦を始める四人。


そのころ、風呂に入ろうとしたしずかは、水面が鏡面世界の入口になっていることに気づき、こっちにやってきた。
そこで迷子になっていたミクロスと合流すると、のび太たちの後を追って裏山に向かってみることに。
裏山でしずかは次元震による爆発により倒れていたリルルを発見する。
傷からリルルがロボットなことに気づいたしずか。目を覚ましたリルルが襲い掛かってくるが、
ミクロスの一撃に再び倒れる。手当てをしようとリルルを家に連れて帰ったしずか。
そこでロボットに襲われるが、やってきたのび太によって助けられる。
町内からロボットを追い出した四人は、そこでしずかと合流をする。


552 名前:のび太と鉄人兵団[sage] 投稿日:2005/07/28(木) 18:01:19 ID:???

リルルをどうするか話し合うのび太たち。
鉄人兵団の情報を聞き出せるかもしれないので、助けることにする。
手当てを始めたしずかは、リルルの外見があまりにも人間に似せて作られていることに驚く。
リルルは意識を取り戻すが、自分を助けようとしているしずかを理解できない。
リルルたち鉄人兵団は、地球人を狩り、メカトピアで奴隷として働かせようとしていると言う。
宇宙を支配するロボットが人間のような下等生物を支配するのは当然だと主張するリルル。
大昔、地球人が生まれる以前、銀河の彼方に栄えた人間達がいた。しかし神はわがままな人間を見放し、
無人の星にアムとイムどいうロボットを作ると、ロボットたちに天国のような社会を作るよういった。
しかしそのうちロボットたちにも支配する側とされる側に別れるようになってきた。
だが最近になり、ロボットは皆平等であるという考え方が広まり、ついに奴隷制度は廃止された。
そこで、新しい労働力として人間を使うことに決まったというのだ。
それを聞いたしずかは、ロボットは人間の歴史を繰り返しているだけだ、と言う。
怒ったリルルはしずかを攻撃するがまた倒れてしまい、やっぱりしずかはそんなリルルをほっとけないのだった。


翌朝、ついに地球を救えるかもしれない手段を思いついたドラえもん。
高井山の湖に巨大な入口を作り、兵団を鏡面世界に誘い込むのだ。
こっちの世界ならいくら壊されたってかまわない。その後の作戦も考えてある。
リルルに気づかれてしまうとまずいので、眠り薬を飲ませるしずか。
だがリルルはこっそりそれを吐き出すと、逃げ出していってしまう。


その晩、出入り口を作り、ザンダクロスの信号で鉄人兵団を誘い込むことに成功したドラえもん。
すでに街中にも仕掛けはしておいてある。その仕掛けとは「改良型山びこ山」で
兵団の攻撃を跳ね返し、人が応戦しているように見せかけるというものだ。
地球に降り立った兵団は、それに気づかず街の破壊を始め出す。
だがそのうち街に人間が一人もいないことに疑問を抱き出す。
そのとき、のび太たちはリルルが姿を消したことに気づいた。
鏡面世界の秘密をばらされたら終わりである。慌てて探しにでる一同。


553 名前:のび太と鉄人兵団[sage] 投稿日:2005/07/28(木) 18:02:02 ID:???

夜が明けたころ、破壊された街の中にたたずむリルルを発見したのび太。
一緒に戻ろうと言うが、リルルは司令官に本当のことを話しに行くという。
そんなことをすると撃つぞ、と銃を構えるのび太に、早く撃ちなさいとつめ寄るリルル。
だがどうしてものび太は撃てず、リルルは「いくじなし」と叫ぶとのび太を気絶させ、司令官の下に向かった。
司令官に人間の居場所を問われるリルル。しかしリルルは「言いたくない」と答える。
人間を奴隷にするのは悪いことだ。自分でもわからないが、人間はゴミなんかではないと思う、そう訴えるリルル。
さらに、宇宙はロボットだけの天国ではない、即刻人間狩りは中止すべきだと言うリルルを
激昂した司令官は手錠でつなぎ、基地に連行させるよう部下に命令する。


その様子を見ていたのび太とドラえもんは、リルルを助け出すと皆のもとに連れて帰る。
リルルを本当に信用していいのかわからないと言うジャイアンに、リルルは自ら「信用しないで」という。
奴隷狩りは悪いことだと思うが、祖国メカとピアはうらぎれない…自分の心がわからないと訴える。
そんな本人の希望で、ドラえもんはリルルを小さくすると、しずかの部屋の鳥かごの中に閉じ込めることにする。
そのころ鉄人兵団の司令官は、宇宙から裏返っている列島を見てここがニセの世界であることに気づく。
怒りに震える司令官は、くるときに入った湖が出入り口なことに気づくと、各地に散った兵団を呼び戻し
今度こそ総力で人間狩りを開始することを宣言する。


兵団が湖に向かっていることから、作戦がばれたことに気づいたドラえもんたち。
しずかにスペアポケットを渡しリルルの傍につけると、自分たちは湖に先回りに向かう。
やがてやってきた兵団を迎え撃つのび太たち。
しかしあまりの軍勢に、限られた武器では限度がある。
そこで戦いにザンダクロスを投入し、一時休戦まで持ち込む。


554 名前:のび太と鉄人兵団[sage] 投稿日:2005/07/28(木) 18:02:52 ID:???

家で皆の無事を祈るしずか。リルルはメカトピアの発展こそが宇宙の正義だと信じてたのに
どこで進む道を間違えたのかと嘆く。神様がアムとイムを作ったことからま間違いだったのか…。
「神様に文句の一つでも言ってやりたい!」と怒るミクロス。
その言葉にしずかは、タイムマシンで神様に会いに行くことを思いつく。
リルルとミクロスを連れ元の世界に戻り、のび太の机から過去のメカトピアについたしずか。
そこでアムとイムを作り終えた博士(神様)に出会うことに成功する。
話を聞いた博士は、そこが思い描いていた天国からほど遠いことを嘆き、
より社会を発展させるためにと思い「競争本能」を植え付けたのが悪かったのかとの考えにいたる。
頭脳の改造を始める博士。これで歴史はかわり、恐ろしい鉄人兵団も生まれないだろう。
だが、そうなるとリルルはどうなってしまうのだろう。存在自体がなかったことになってしまうのか。
そのとき、弱りきった博士が力尽きて倒れてしまう。
そこで、自分があとを続ける、と名乗り出るリルル。涙を浮かべるしずかに
「すばらしいと思わない?ほんとの天国作りに役立てるなんて」と笑顔を見せる。


見通しをよくするために森を焼き払った鉄人兵団。
兵団とのび太たち。ついに最後の決戦が始まる。
決死の覚悟で戦う四人。だが、敵の数にはザンダクロスさえも適わない。
もうだめなのか……。誰もがそう思った、そのときである。
なんと四人の目の前から敵ロボットたちが次々と姿を消していくではないか。


そのとき、改造を終えたリルルも椅子から崩れ落ちたところだった。
「今度生まれ変わったら…天使のようなロボットに…」
駆け寄るしずかに、最後の言葉を残してリルルは姿を消した。
「お友だちになってね」
こうして五人の地球を守る戦いは終わった。


555 名前:のび太と鉄人兵団[sage] 投稿日:2005/07/28(木) 18:03:50 ID:???

学校で居残りをさせられたのび太。
リルルのことが忘れられず、何をするにもぼんやりしてしまいしかられたのだ。
メカトピアは天国のような星になっただろうか…。リルルは天使のようなロボットに生まれ変わっただろうか。
もし生まれ変わってたら、今度はスパイなんかじゃなく、観光旅行とかで地球に遊びにきてくれないかな…。
そんなことを考えていたのび太。
そのとき、窓の外をリルルがゆっくりと横切っていった。のび太に向かって微笑むリルル。
慌ててのび太は窓を開け、外を見るが、そこにはもう誰の姿もなかった。
しかしのび太にはわかっている。あれは確かにリルルだった。
「まちがいない!リルルだよ!生まれ変わったんだ!絶対にそうだ!!」
のび太は仲間に教えるために駆け出すのだった。


《完》


この話大好きなんで、他のより少し丁寧目かもです。名作ですじゃ…。
まぁ相変わらずツッコミどころは多いですが。
話の中に書けなかったんですが、のび太がミクロスをショートさす問題が好きです。
「こじかとおやじか、大きいのはどっち?」と「大ざるとこざる、けんかさせたらどっちが強い?」ってので
正解は「小鹿とオヤジ蚊」でこじかと、「ザル同士はけんかしない」なんだけど、
まさかのび太がこんな問題を思いつくなんて…いったいどうしたんだって感じ。やっぱ大長編だと違いますねw