ベルセルク 1

Last-modified: 2017-05-06 (土) 04:59:02

ベルセルク/三浦 建太郎

20 :マロン名無しさん :03/12/21 00:38 ID:???
ベルセルク

主人公・ガッツは傭兵団の千人長で、団長グリフィスの親友。
ふとしたきっかけでガッツは傭兵団を抜け、
グリフィスは投獄されて拷問を受け、二度と剣を握れなくなる。
しかしグリフィスは天使を呼ぶアイテム・ベヘリットを使い、
団員を生け贄に捧げて復活する。
奇跡的に生き延びたガッツは復讐の旅にでる。

時代は中世ヨーロッパ、100年戦争の時で、
注意して読めばどの辺が舞台なのかわかるよのがいい

復讐の旅にでるまで(3~14巻)はメッチャおもしろいので見るべし




215 名前:ベルセルク[sage] 投稿日:04/05/29 09:14 ID:???
舞台は中世ヨーロッパ風の世界観。
黒い鎧に身を包み、右目と左腕はなく、その左腕には鋼鉄の義手をつけ、
そして身の丈ほどもある巨大な剣を背負った「黒い剣士」
ガッツが異形のモノと戦いながら旅をしているところから始まる。
(「それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた。大きく ぶ厚く 重く
そして大雑把すぎた。それは正に鉄塊だった」というフレーズは有名)

異形のモノ達は普段は一応人の姿をしているが人を食ったりし、
いざとなれば怪物の姿に変身する。(見た人が「こんな怪物が実在するとは」
と驚くところからして、通常人前で変身する奴はいないようで。とにかく、表向きは現実的な世界観)

ガッツはそいつらを倒すべく自ら近付き、誘い、戦う。
人外の上にいる存在「5人のゴッド・ハンド」を探しているようだが、
それの居場所は人外達といえど知らない様子。
ガッツの武器は大剣をはじめとしナイフ、小型ボウガンなどの大量の武器、
それに鍛えられた肉体と剣の技。更に義手には大砲が仕込んであって、これはよく切り札となる。
また、ガッツの首には紋章のような「烙印」が刻まれていて、
魔性に反応して痛み、血を流し、悪霊などを引き寄せる。
冒頭でガッツに助けられた妖精(小さい人型で、羽根のあるやつ)の
パックは恩を返すため(プラス興味本位で)ウザがられてもガッツについて回る。
彼には傷を治す力などがあり、結構役に立つことも。

それと、至るところでガッツの目の前に現れる、出来損ないの胎児のような
魔物がいて、その姿にガッツは苦しめられている様子。



216 名前:ベルセルク[sage] 投稿日:04/05/29 09:16 ID:???
ガッツ(+パック)が今度着いた街では、支配者の伯爵が
邪教徒狩りと称して次々と人を殺し、領民を震えあがらせていた。
「烙印」でその伯爵に「魔」を感じ取ったガッツは、
処刑された人の首を伯爵に投げつけ、宣戦布告する。

処刑の行われた広場を離れて路地を歩いていたガッツは、兵士達に包囲される。
大剣で次々と兵を斬り捨てるガッツ。巨漢の隊長ゾンダークを
手痛い目に遭わせたところで、煙玉を投げガッツが逃げる手引きをする者があった。
彼はバルガス。地下に動物や人間の標本の並ぶ研究室を構えた医者崩れだった。
彼の両足は義足で、顔も半分以上そがれ、皮を剥がれていた。
これは伯爵にやられたと言い、伯爵を殺してくれとガッツに言うバルガス。
伯爵が魔物であるということを「知っている」というガッツにもう1つ
バルガスが見せたいと言ったもの、それは卵型で、目・鼻・口が人揃い、
バラバラについている奇妙な石であった。
それを見たガッツは言う。「・・・ベヘリット・・・」と。

バルガス曰く、7年前、城に立ち寄った隊商からこれを買って手に入れて、
伯爵は人ではなくなったと言う。人を生きたまま切り裂き、犯し、
喰らったのだ。彼はそれに堪えられず逃げ出そうとしたが捕まり、
身体を切り刻まれ、目の前で妻と子も食われたという。
バルガス自身は薬で死を装い、ベヘリットを盗んで逃げることができた。
それから研究を続けてきたが、これのことは分からなかったというバルガスに、
ガッツは「もう1つの世界との扉を開き、5人のゴッド・ハンドを呼び出す鍵だ」と答える。

なお、石のようなベヘリットだが、時々目を開けるなど、確かに生きている。



218 名前:ベルセルク[sage] 投稿日:04/05/29 09:16 ID:???
ガッツに痛い目に遭わされたゾンダークは荒れていた。
そこに伯爵自らが現れると、「(ガッツに復讐したいという)望みを叶えてやろう」
と言い、自分と同じ顔をした芋虫のようなものを口から吐き出す。
「受け入れるがいい 我が分身」

伯爵を殺してくれと頼むバルガスを荒っぽくはねのけるガッツ。
とは言え、伯爵を殺そうということに変わりはない・・・そんなことを
言っているところへ、ゾンダークが乗り込んでくる。
歯が鋭く尖り、既に人間の様子ではなくなっている。
ガッツに右腕を斬り落とされるが、そこから触手のようなものが生え、
戦斧を持って鞭のように振り回す、そんな怪物になっていた。
しかし、ガッツもケタ違いに強い。目にも止まらぬ速さで振り回される触手の
攻撃を全て捌き、左腕も落とすと、頭の半分を斬り飛ばす。
だがゾンダークは倒れず、頭の切り口から伯爵の顔の芋虫が生えてきて、
バルガスの姿を確認するのだった。

戦っている内に建物が崩れ、火がつき、ゾンダークはその下敷きになったようだが、
ガッツ達は下水道を通って脱出する。逃げ延びると、ガッツがバルガスから
強引にベヘリットを貰いうけ、立ち去ってしまう。だがその後、
後ろの下水道から触手が追ってきて、バルガスは捕まってしまうのだった。
「処刑場で騒ぎを起こした男の仲間が捕まって、処刑される」という話は
ガッツ達の耳にも飛び込むが、ガッツの反応は冷たい。
パックは喧嘩した挙げ句、1人刑場へ向かうのだった。

「また合ったなバルガス。いや・・・・・・七年ぶりと言うべきかな?」
バルガスはいきなり首を刎ねられようとしていた。とりあえず来たものの、
パックはどうすることもできない。そこで、やはりやって来ていたガッツの
姿を確認するパック。だがガッツは「出て行けば何百人もの兵隊に襲われる。
ヤツの最期を身に来ただけだ」と言い放つのだった。
突貫したパックはなす術もなく捕らえられ、バルガスは伯爵への
呪いの言葉を吐きながら首を刎ねられる。
その首を看取ると、ガッツは伯爵の城へ向かうのだった。



219 名前:ベルセルク[sage] 投稿日:04/05/29 09:17 ID:???
パックは伯爵によって鳥カゴに入れられていた。
そして持っていかれた先の部屋にいたのは、伯爵の娘の少女、テレジア。
「面白いものが手に入った」と言い、パックをテレジアに渡す伯爵。
だが一方で、伯爵は「邪教徒から守るため」と言い、娘を軟禁状態にしている
様子でもあった。娘も魔性の父を恐れ、触らせようともしない。
伯爵はそれでひどく苦悩している様子であった。

一方、城に乗り込んだガッツを、伯爵の分身と融合し、更なる異形に変身した
ゾンダークが迎え撃つ。切っても再生し、ますます異形になり続ける
ゾンダークに苦戦、痛めつけられるガッツだが、伯爵の分身の
「私の頭を砕かぬ限り何度でも蘇る」という言葉に、伯爵の顔をした頭部を切断、潰して勝利する。

テレジアはパックに語っていた。立派な領主であり父だった伯爵が、
変わってしまった時のことを。7年前、邪教徒は伯爵の妻、つまりテレジアの
母を誘拐し、邪教の信仰を認めるよう迫ったのだという。
もちろんそんなことが認められるわけもなく、妻は邪神への生贄となった。
それ以来伯爵は、人を殺すことを楽しんでいるような、
人間ではないかのように感じられるものになってしまったのだと言う。
娘を軟禁しているのも、まだ街に邪教徒が潜んでいると考えているためのようだが・・・
テレジアにカゴから出してもらったパックは、ガッツを心配し飛んでいく。
パックと話して勇気づけられたテレジアは、ふと外へ出ることを考えるのだった。

伯爵の間の前で、伯爵の側近ダールの指揮する50人の兵がガッツを迎え撃つが、
ガッツはそれを次々と斬り捨て、突破し、伯爵のところへ乗り込む。
巨大なナメクジのような姿に変身し、襲い来る伯爵。それはやはり分身を
同じく、いくら手足を斬っても再生するものだった。
巨大な怪物が暴れたため、建物の一部が崩れる。それを聞いて駆けつけるパック。
テレジアの部屋も半壊する。扉が壊れたのを見ると、テレジアは勇気を
奮い起こして部屋を飛び出すのだった。



220 名前:ベルセルク[sage] 投稿日:04/05/29 09:18 ID:???
ガッツは側近ダールを身代わりにし、伯爵の頭部に一太刀を入れる。
しかし、片目を潰すところまではいったが浅い。逆に手の一振りで
吹っ飛ばされ、倒れる。カバンからベヘリットがこぼれ落ちる。
駆けつけたパックはそれを取り戻そうと伯爵に渡すまいと、抱えて飛ぶが
やはり捕まりかける。だがそこへ、テレジアが駆け込んできた。
父の顔の異形におびえ、悲鳴をあげるテレジア。悲しみ、怒る伯爵。
それに対し、傷ついたガッツがなおも立ち上がり挑むが、叩きのめされるばかり。
だがガッツを完全に叩き潰そうとした時、伯爵の手が止まった。
ガッツはテレジアを抱え、人質にしていたのだった。
すかさずガッツの義手の大砲が放たれ、伯爵の頭を削る。
更に、手も満足に動かないガッツは剣の柄を口にくわえ、義手で刀身を支えて、
伯爵の首を刎ねるのだった。

娘の前で残忍にも伯爵を切り刻むガッツ。その血がそばに転がったベヘリットの
ところへ流れ、伯爵が「死にたくない」と強く思った時、ベヘリットの
目・鼻・口が動いて顔の形をなし、血の涙を流して嘆き(?)始めた。
その瞬間、辺りの景色が変わった。階段にような構造が立体的に入り組んだ、
異次元空間が展開したのだ。
そしてその彼方からやって来る者達があった。黒い異形の5人、ゴッド・ハンドが。

伯爵はガッツへの恨みを晴らすことを望むが、ゴッド・ハンドは伯爵の
最も強い望み、生への執着を叶えるために降臨したのであって、
それはできぬと言い放つ。更に、ガッツが何人も眷属を殺していようと、取るに足らない、とも。
だが、ガッツはゴッド・ハンドの1人、“フェムト”と呼ばれる者への
激しい怒りを抱き、剣を手に取って立ち上がる。「グリフィス」と相手の名を叫んで。
しかし、ゴッド・ハンドに近付くとその強大な魔に烙印が反応、血が噴出する。
苦痛に意識も遠のきながら、それでもガッツはフェムトに剣を振り下ろそうとする。
その精神力はゴッド・ハンドも感心するほどのものだったが、フェムトにあっさり
吹き飛ばされ、壁に激突して崩れ落ちる。



221 名前:ベルセルク[sage] 投稿日:04/05/29 09:19 ID:???
図らずも伯爵の望み通りになったが、いよいよ“降魔の儀”が行われる。
伯爵の望みを叶えるため、彼にとって自分に一部とも言えるような、大切な者を
生贄に捧げねばならない。すなわち、テレジアを。
更にゴッド・ハンドは、7年前の映像を見せ、その時の出来事を語るのだった。
伯爵は邪教徒討伐のため駆け回っていたが、実は彼の愛する妻が邪教徒となり、
淫らな儀式に身を捧げていたのだった。それを知った伯爵は怒り、その場にいた者を
皆殺しにしたが、妻を殺すことはできなかった。妻が勝ち誇り、伯爵が絶望した時、
ベヘリットが発動、ゴッド・ハンドが降臨して、伯爵は妻を生贄に捧げ、怪物となったのだった。
(全ては因果律の内、伯爵は因果律に選ばれた者だった、とも言われる)
そして今、ゴッド・ハンドの1人天使長ボイドは、ガッツの首に刻まれているものと同じ
烙印を手に出現させ、テレジアに向けていた。
後は伯爵自身が一言、「捧げる」と言えば良い。
それを止めるため、にも「(妖精の力で)右手だけでも動くようにしろ」とガッツはパックに言うが・・・

更にゴッド・ハンドは伯爵に言う。魔に関わった者は、死んでも黄泉で静かに
眠ることはできないと。この異次元空間のすぐそこには、巨大な渦が巻いている。
それは亡者達の集まったもの、地獄だった。この中に飲み込まれ、やがては自我も
溶けて保てなくなる、それが魔に関わったものの定めだと。
死にたくないと強く願い、苦悩する伯爵。しかし、最期に幸せだった家族の姿を
思い出し・・・テレジアに向けられた烙印ははじけて消えた。
ボイドは言う「因果律の糸は断たれた」と。
地獄の渦から亡者達が連なって伯爵を迎えに来た。伯爵の魂は連れ去られ、
ガッツも贄として連れ去られかけるが、大砲に弾を込め直し、フェムトに向けて放つ。
反動でガッツは亡者の手を逃れるが、大砲の弾はフェムトの一睨みで
当たる前に爆発してしまう。そしてゴッド・ハンド太刀は去り、異次元空間は消え、元の城に戻ってきた。



222 名前:ベルセルク[sage] 投稿日:04/05/29 09:32 ID:???
「私をあの部屋に帰して」と泣き叫ぶテレジアに「じゃあ死ねよ」とナイフを寄越すガッツ。
死を選びかけるテレジアだが、崩れた床から落ちかかった時、手が切れてもガッツの
剣につかまり、助かる。そして一転、ガッツに「殺してやる」と叫ぶのだった。
それを背に立ち去るガッツ。

 ――――――――――――――――――

なんか過剰に気合い入れて書いてしまった気もしますが、ここまでで大体3巻、
ここまでがプロローグって感じです。ここから面白くなるというのが大概の評判。
とりあえず、3巻末~14巻頭にかけて、ガッツの過去、というか、
これまでの人生が描かれますので。



361 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/04 02:32 ID:???
見せしめか、首をくくられ木から吊るされた一群の死体。
その中の1人、女の死体の下には、その状態で産み落とされたと思しき
赤ん坊が落ちていた。しかも、その赤ん坊は奇跡的にも生きて、
泥水の中で産声を上げた。ガッツの誕生である。
ガッツを拾い育てたのは近くに住む傭兵団団長・ガンビーノの愛人、
シスだった。しかし彼女はガッツが3歳の時、ペストで死んでしまう。

それ以来ガンビーノに育てられたガッツは、6歳にして戦場にも同行させられ、
普段は子供の身の丈には余る大人用の剣を持たされ、剣の稽古を受けていた。
「自分の食い扶持くらい自分で稼げるようになれ」と手厳しくしごき、
笑い、時には憎憎しげな表情をも見せるガンビーノ。
けれど、傷につける薬をくれたりする気遣いが(たとえ罪の意識を紛らわす
ためのものであっても)幼いガッツには嬉しかった。

9歳の時、兵士としては初陣を経験。敵兵も殺し、給金も貰う。
給金を渡すとガンビーノは、ガッツの分として銀貨1枚を寄越し、
ねぎらいの言葉もかけてくれた。喜びをかみしめるガッツ。
しかしその晩、今頃になって敵を殺したことに震えるガッツの寝床に、
傭兵団の仲間、ドノバンが押し入ってきた。犯されるガッツ。
更にドノバンは、「ガンビーノからお前を買った」と言い放つ。
だが翌朝顔を合わせると、ガンビーノはそ知らぬ顔をしている。
結局、自分を売ったというのは本当か、尋ねることはできなかった。
その後の戦いで、敗残兵を追って仲間から離れ、森に入って行ったドノバンを
ガッツは後ろからボウガンで撃ち、殺してしまう。

ある日、ガンビーノは戦いで片足をなくし、傭兵も引退に追い込まれる。
ベッドでシスの名を呼ぶガンビーノの手を、ガッツは握り締める。



362 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/04 02:34 ID:???
2年後、11歳になったガッツは傭兵として稼ぎ、ガンビーノを養っていた。
しかしガンビーノは荒んでおり、ガッツにはつらく当たるばかりだった。
そんなある日、寝ているガッツのところへ剣を持ったガンビーノが押し入ってくる。
お前は不吉な悪魔の子だ、シスが死んで自分が片足を失ったのもお前のせいだ、
11年前に死ぬべきだった、と言い、ガッツを殺そうとするガンビーノ。
更にガンビーノは、お前が鬱陶しかったから、あの時ドノバンに売った、と言う。
ガッツは反射的に手にした剣でガンビーノの首を突き、殺してしまう。
仲間殺しの罪で傭兵団を追われるガッツ。逃げるところを後ろから矢で撃たれ、
崖から落ちるが、命は取り留める。
剣を引きずり歩くガッツ。ひどい怪我で、生きていても嫌なことばかりだ。
狼の群れに囲まれた時、「終わりだ」と思うは、身体が反射的に剣を振るい、
狼を迎え撃つ。狼を追い払って倒れているところを通りかかった別の傭兵団に
拾われ、ガッツの傭兵としての人生は続くのだった。



473 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/09 14:12 ID:???
4年後、15歳のガッツは、一流の傭兵に成長していた。
身の丈に余るほどの大剣を武器に、豪傑「30人斬りのバズーソ」を仕留めるガッツ。
もちろん、高い報奨金を要求して。
しかし「正式に私に仕えてみないか?」と誘う雇い主(騎士)の手を
「触るな!」とはねのけるなど、ガッツの心は孤独で、荒んでいた。

翌日、1人歩くガッツ。横に広がる平原で休息しているのは、
昨日までガッツの敵方に所属していた傭兵団のメンバーだった。
彼らのまた、昨日のガッツの戦いぶりを見ていた。
その中の1チームが、ガッツに目を止める。バズーソを倒した報奨金を狙い、
ガッツを襲撃するが、見事返り討ちに遭い、1人は殺され、1人は腕を斬られる。
残った連中もひるんで動けなくなっていると、遠くで冷ややかに見ていた
連中の内、「キャスカ」と呼ばれる者が、リーダー「グリフィス」の命令で
渋々出向いてくる。かなりの使い手のキャスカだが、ガッツはこれも退ける。
ただ意外だったのは、防具が外れて顔を見せたキャスカは、短髪で
兵士の格好はしていたが、紛れもなく女だということだった。
ガッツがキャスカにとどめの一撃を振り下ろそうとした時、馬上から
槍を投げ、止めに入った者がある。連中のリーダー、グリフィスである。
ガッツの大剣を細身の剣で容易くいなし、すかさずガッツの左胸、腕の付け根付近を
一突きするグリフィス。あっという間に勝負はついた。
薄れゆく意識の中でガッツが見上げたもの――馬上で兜を外して見下ろす
グリフィスは、ウェーブのかかった長髪で、女と見紛うような美男だった。



474 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/09 14:12 ID:???
ガッツは目を覚ましたのは傭兵団のキャンプを張るテントの中だった。
外に出てみると、少し離れたところで例のキャスカとグリフィスが話している。
やがて歩み寄ってきたキャスカはひどくガッツに対し怒っているような様子で、
「あのまま殺されちまえば良かったんだ」などと言う。
どうも、ガッツを温めるためグリフィスの命令で丸二日添い寝させられた。
(男を温めるのは女の役割だ、ということで)それが原因らしい。
グリフィスは名乗ると、ガッツの剣を渡し、離れた場所へと誘った。
そこでガッツは知るのだが、この連中は名高い傭兵団の1つ、「鷹の団」だという。
今回の城攻めも鷹の団が向こうについていたため、「3日ですむところを
3か月もかかっちまった」というほどの相手だ。
ただ、意外にもそれは、ガッツと大差ないような若い連中の集まりだった。

丘の上で2人きりになると、いきなり「お前が気に入った。欲しいんだ」と
言い出すグリフィス。(この時キャスカだけは後をつけてきて、陰から見ていた)
しかしガッツは「自分の命を試しているようだ」などと、自分の内面まで
ズケズケと言ってくるグリフィスに反発する。仕掛けてきたのはそっちだ、
その代わりオレもお前の仲間をやっている、と言って、剣をケリをつけることになる。
細身の剣を振るい、ガッツの大剣を片手でいなして、攻め立てるグリフィス。
グリフィスがガッツの剣に飛び乗り、喉に剣を向けた時、決着かと思われたが、
ガッツはなんと相手の剣の切っ先をくわえ取る。そのまま剣を押し返して
つめよると、両者とも剣を手放して崖を転がり落ちる。殴る蹴るで攻め立てるガッツ。
鷹の団の者達も初めて見る、地面に這いつくばるグリフィスの姿だった。
だが最後に一転、グリフィスはガッツの右肩をきめて押さえ込み、ガッツが
ギブアップしないのを見て取ると、容赦なく肩を外してしまう。
今度こその決着。「これでおまえはオレのものだ」と言い放つグリフィス。



475 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/09 14:14 ID:???
ガッツが鷹の団に加わって最初の戦い。奇襲をかけて敵の物資を焼き払った後、
敵陣のど真ん中を突っ切って逃げるという作戦だ。
その逃げる時の殿(しんがり)を、ガッツは任される。
危険で、重要な仕事。信頼していなければ任せられないことだ。
いよいよ作戦実行、殿のガッツは味方を先に行かせ、1人で敵を食い止めるという、見事な活躍を見せる。
しかし馬がボウガンに撃たれて倒れ、さすがに窮地に追い込まれる。
だがその時グリフィス自らが主要メンバーを率いて助けに戻り、
無事味方の陣営まで逃げ延びる。
その後、勝利を祝した宴の時でも1人離れて佇んでいるガッツだが、
強引に酒宴に引き入れられたり。一部を除いて、すっかり鷹の団の一員として受け入れられたようだ。



476 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/09 14:14 ID:???
ここで鷹の団の主要なメンバーの紹介を。多くは多分、ガッツと大差ない年齢。

グリフィス・・・既に語った通り、鷹の団のリーダー。
        女のような美形だが並外れた剣の技と指揮官としての頭脳、
        それにカリスマ性を持つ男。
キャスカ・・・鷹の団の紅一点ながら、(ガッツが来るまでは)グリフィスに次ぐ
       剣の腕の持ち主。黒髪に褐色の肌。
       出会った時からの事情もあり、ガッツへの態度は厳しいが・・・
コルカス・・・後に盗賊上がりと判明するチンピラ。
       最初にガッツを襲ったのも彼と部下達。
       その時部下を殺された事情もあり、ガッツを激しく嫌っている。
ジュドー・・・ソバカスの少年。
       後に元は旅芸人の一座にいたと判明する、ナイフ投げの名手。
       気さくな性格で、ガッツを酒宴に誘ったのも彼。
ピピン・・・年齢不詳。無口で力自慢の巨漢。ジュドー達とガッツを酒宴に誘う時には
      力づくで担いで拉致した。戦槌が武器。元鉱夫。
リッケルト・・・ガッツより数年年下の、可愛らしい少年兵。最初からガッツには
        好意的で、上記の戦いで危ないところを助けられてからは
        すっかりガッツのシンパになる。武器の手入れ等が得意らしい。



51 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/14 14:56 ID:???
翌朝、再びジュドーはガッツに声をかけ、語る。
この「鷹の団」という集団のこと。ここでは血腥いことをやりながら、
「不思議と泣いたり笑ったり怒ったりできる」
そして、それをまとめあげるグリフィスという謎に満ちた人物のこと。
最後に、ジュドーはガッツに向けて言う。
「ここならきっと見付かるぜ。お前さんの居場所がさ」

その後ガッツは呼ばれてグリフィスのもとに行き、裸で水浴びをしているグリフィスに遭遇する。
水をかけあったりと騒ぎつつ、ガッツはグリフィスの首飾りに目を止める。
それは赤い小さな卵型の石で、目・鼻・口がバラバラについていた。
曰く、それはジプシーの占い師の婆さんから買ったもので、ベヘリット、
別名を“覇王の卵”。これを持つ者は自分の血と肉と引き換えに世界を手に入れる定めだという。
ガッツはベヘリットを詳しく見て、一瞬目を開けたのに仰天するが、
グリフィスは無邪気に笑って「いーだろ?」という。
冷静・冷酷だったりする一方、こんな子供っぽいところもある、確かに不思議な男だった。
だが更に、グリフィスはその直後には「オレはオレの国を手に入れる」と大それたことを言うのだった。
平民の、傭兵団の隊長がそれを当たり前にように言ってのける。
ガッツは驚きつつ、自分の人生を振り返るが、やがて「とりあえずは」
グリフィスについて戦うことを改めて心に決めるのだった。



52 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/14 14:56 ID:???
その2国、ミッドランドとチューダーの戦争は、100年に渡り続いていた。
そしてミッドランド軍において、鷹の団はいつしか最も重要な戦力となっていた。
正規軍の止められない正規軍の進撃も、鷹の団なら止められた。
ガッツは切り込み隊長になっていた。その強さと戦いぶりは隊員達の
憧れと自慢の的で、なかなか人望もあると言える立場だった。
しかし一方で、作戦を無視して突っ込んだりし、それを後にキャスカに
とがめられて言い争うような場面もまた、日常茶飯事だった。
しかしそんな中でも鷹の団は戦績を上げ続け、グリフィスは平民出としては異例の
騎士の称号と子爵の爵位を授かるまでになった。
鷹の団もついにミッドランド正規軍の仲間入りだ。
ただ、ガッツは叙勲式にも出席せず、1人剣を振り続けていた。



53 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/14 14:57 ID:???
ガッツが鷹の団に入って3年が経った。
その日も鷹の団は勝利だった。敵の城塞はほぼ制圧し、なおもガッツ率いる
切り込み隊が包囲している。
しかし切り込み隊もまた、たった1人の敵兵により、踏み込めずにいた。
しかも敵側には「不死の(ノスフェラトゥ)ゾッド」が参加しているという。
不死のゾッド。傭兵の中には戦場の神として崇める者もいるという伝説的剣士。
その戦績に加え、死んだという噂が流れても、またどこかの戦場に現れ、
その武勇伝は知られているだけでもなんと、ここ百年近くにも及ぶという。
故に“不死者(ノスフェラトゥ)”と呼ばれている。

ガッツは当然、業を煮やしていた。送り込んだ50人は1人も戻らず、
500人の切り込み隊が釘付けにされたままなのだから。
そんな中、隊員の1人が半身を引き裂かれた状態でフラフラと出てきて、
ゾッドの名を口にして息絶えると、ガッツは制止を振り切り、1人踏み込むことを決める。
城塞の中は死体の山だった。しかもことごとく、甲冑を着た人間がボロきれのように
引き裂かれて死んでいるのだった。その奥、死体を積み上げた中に、ゾッドはいた。
巨大で逞しい体躯。全裸で返り血を浴び、巨大な剣に死体を2人も刺している。
だが何より、その顔は何か獣のようで、全体から異様な威圧感を放っていた。
そして、人間離れして強かった。その剣は太い石の柱を砕くほどの威力で、
受けるのがやっとなほど速く、受けてもそのまま吹き飛ばされるほどだった。
しかしガッツの大剣もそれに耐える強さがあった。そこでガッツは、一撃に賭ける。
そして見事、最初から狙って相手の剣を切り、反す刃でゾッドに斬りつけた。
ゾッドもすかさず両腕を交差させて防いだが、ガッツの剣はその両腕と肩に深く切り込んだ。
だがゾッドはそのまま剣を掴むと、「貴様が初めてだ。オレの体のこれだけ深く剣を
撃ち込んだ人間は・・・三百年に渡る殺戮の日々においてな!!」と言い、怪物へと姿を変えた。



54 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/14 14:58 ID:???
人間の姿の時より更に何倍も巨大な体、全身を黒い毛で覆われ、肉食獣のような
牙を剥いた頭部には牛のような角。手の指には鉤爪だが後足にはヒヅメで、尻尾もある。
流石のガッツも敵わず、戦意も喪失しかけて身体引き裂かれようという時、
グリフィスが主力を率いて踏み込んできた。
皆、我が目を疑いながらもボウガンを一斉に放つが、ゾッドには効かない。
戦いを邪魔され怒り狂うゾッドは団員を踏み潰し、引き裂き、喰らった。
そんな中グリフィスは自らガッツを助け出そうとしたが、ゾッドはなおも襲いかかる。
2人は左右に分かれると、ゾッドの両脇を駆け抜けながら斬りつけた。
ガッツの剣はゾッドの喉付近を斬り、グリフィスは左腕を切り落とした。
そのまま走り抜けようとした時、ゾッドの尾がグリフィスをはね飛ばす。
更にゾッドは自分の左腕を拾い、それでガッツを殴り飛ばすと、元通りに腕をつなげた。
まずグリフィスに止めを刺そうと近付いたゾッドは、その首にかかっている
ベヘリットに目を止める。ひどく驚いている様子だったが、やがて何かを納得すると、
天井を破壊し、「小僧ひとまず勝負は預けておくぞ」と言うと、
背中から巨大なコウモリの翼を出して飛び去った。
ガッツに対し、こんな台詞を言い残して・・・
「貴様がもしこの男にとって真の友と言える存在ならば・・・心しておくがいい・・・
この男の野望が潰える時・・・・・・・・・貴様に死がおとずれる!!決して逃れられぬ死が!!!」



78 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/16 12:39 ID:???
ゾッドにはね飛ばされて怪我をしたグリフィスのところには、
宮廷のお偉方も見舞いに訪れた。
成り上がりとして嫌う者達もいる一方、今の内に近付いておこうと考える者達もいるのだった。
だが一方、キャスカはあの時ゾッドが飛び去った直後、グリフィスを
抱え上げて「貴様のせいだ!!!」とガッツに叫ぶなど、対立を深めていた。

そんな中ガッツが剣を振っていると、松葉杖を突いて散歩に出たグリフィスが
現れる。話し込む中「オレはおまえのために体をはることにいちいち理由が
必要なのか」と口にするグリフィスだが・・・
そこにミッドランド王自らが姿を見せる。
爵位を授けるなどグリフィスを高く買い、期待を寄せている王に対して、
王の弟で白龍将軍にして第二王位継承権者・ユリウス伯は
成り上がりのグリフィスを快く思っていない様子。
また王の一人娘・シャルロット姫も姿を見せ、グリフィスと初めての接触を持つ。

グリフィスの台頭と人気が気に入らないユリウスだが、更に衝撃的な
事実を告げられる。今度の“秋の狩り”での王の警護、代々白龍騎士団に
任せられてきたこの栄誉ある任務が、今年は鷹の団に任せられるというのだ。
それを告げたフォス大臣は更に、このままでは猛将ユリウス将軍の名も危ういのでは、
と煽り、狩りでの事故の見せかけてグリフィスを暗殺することをそそのかす。



79 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/16 12:41 ID:???
さて、“秋の狩り”が実施される。
警護の任の中、グリフィスはシャルロットに近付く。
狩りは残酷で好きになれないというシャルロット。更に続けて「戦もそう・・・
どうして男の方は血を流すことばかり好むのですか?」と言う。
だがグリフィスは黙って木の葉を取り、草笛の遊びを教えるのだった。
微笑むシャルロット。だがそんな時、茂みから飛び出した1頭のイノシシに
シャルロットの馬が驚き、走り出してしまう。真っ先に追いかけるグリフィス。
だがグリフィスが集団を離れたのに、ユリウスと側近の弓の名手を目を付ける。
川の中でようやくグリフィスが追いつき、馬を止めて「戻りましょう」と言った時、
グリフィスの鎧の胸に毒矢が突き刺さった。
後を追ってきた鷹の団のメンバーが慌てて駆け寄る。
だがしかし、グリフィスは無事だった。
偶然にも首にかけていたベヘリットが盾になったのだ。

この件は「チューダーの暗殺者が姫を狙った」として片付き、
グリフィスは姫の命を救った英雄となる。
結果的に昇進の助けをしてしまったユリウスは、激しく荒れる。



80 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/16 12:41 ID:???
その晩、ガッツはグリフィスに呼び出される。
グリフィスは毒矢が自分を狙ったものであることを見抜いていた。
更に、矢に塗られていた毒はカラバル豆のもの。これを扱っている医者は町中で
ただ一軒。そこで最近購入した者は、白龍騎士団随一の弓の名手だという。
更に侍女に金を掴ませ、その男が夕方ユリウスにしぼられていたこと、その時に
今回の暗殺騒ぎのことを話していたらしいこと、まで突き止めた。
そして、グリフィスはガッツに、ユリウスの暗殺を頼む。
「汚い仕事だし決して失敗も顔を見られことも許されない」と言った上で、
「だからこそおまえに頼みたい。頼まれくれるか?」というグリフィス。
ガッツは答える。
「らしくねえな。しのごの言わずに命令すりゃいいんだよ。いつも通り」

うまくユリウス邸に潜入までは成功したガッツだが、ユリウスが息子のアドニスを
剣の稽古でしごいているのを見てしまう。
不覚にもこんな時に、ガンビーノと自分のことを思い出してしまうガッツ。

ユリウスの部屋に侵入、斬り伏せることに成功するが、その時運悪く部屋に
入ってきた人物があった。見られた、とその者も剣で突き殺するが、それはあのアドニスだった。
少し戸惑っている間に騒ぎを聞きつけた衛兵が来てしまう。衛兵もすぐに斬り殺したが、
騒ぎは大きくなり、最早気付かれずに脱出することは不可能になった。
やむを得ずフードで顔を隠し、追いすがる兵を斬り伏せながら逃げるガッツ。
左腕に矢を受けたが、そのまま塀を飛び降り、下水道に逃げ込んだ。



81 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/16 12:42 ID:???
鷹の団の主要メンバーが食事をしているところに濡れて汚れた姿でガッツは現れるが、
「グリフィスはシャルロット主催の晩餐会に出席している」ということだけを聞くと、
そのまま出て行ってしまう。その時キャスカは、左腕の矢傷に目を止める。
晩餐会の行われている館にガッツが近付くと、宴席を抜け出したグリフィスと
シャルロットが館の前で話しているところだった。
進み出ようとするガッツを、追ってきたキャスカは「そのカッコで行くつもりか?」と
制止し、自分の服の袖を裂いて傷の手当てをする。

「どうして男は血を流すことばかり~」という昼間のシャルロットの疑問に、
グリフィスは「貴いものを勝ち取り守るため」と言う。更にその貴いものとは、
家族や恋人という人もいるが、おそらくそれ以前に、「自分自身のために成す夢」だとも。
“夢”というものについて語るグリフィス。一方では平民出身とは思えない貴族的な姿、
また時には草笛の遊びを教えたりする一面、そんなグリフィスに、確かに
シャルロットも惹かれつつあるようだった。だが彼女が「あなたのお友達の方々も
そんな魅力に引かれてあなたについて来られたのでしょうね」と言うと、
グリフィスは言った。彼らは部下であり仲間であるが、友とは違うと。
「決して人の夢にすがったりはしない・・・自分の生きる理由は自らが定め
進んでいく者・・・そしてその夢を踏みにじる者があれば全身全霊をかけて立ち向かう・・・
たとえそれがこの私自身であったとしても・・・私にとって友とは、
そんな“対等の者”だと思っています」
その言葉に、立ち聞きしていたガッツは強い衝撃を受ける。

そんな中、ユリウス暗殺の報が入り、大騒ぎになる。
ガッツは黙って去り、キャスカはその傷に目を向けていた――



177 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/26 12:34 ID:???
戦に先陣を切って出立するグリフィスに、シャルロットは母=前王妃の
形見というロードストーン(天然磁石)の首飾りを渡す。
ロードストーンには男女2つの石があって、互いに引き付け合い、
対で持つ者同士は必ずもう一度巡い合うとも言う。
故に、グリフィスが男性の石、自分が女性の石を持っていれば、きっと
無事に戦場から戻るだろう、と言うのだ。だがそれに対しフリフィスは答える。
「姫様の大切な思い出の品、頂くわけにはまいりません。ですからこの戦から
戻り次第、必ずこれを返しに参ります」その笑顔に喜ぶシャルロット。
だがシャルロットの義母に当たる現王妃のグリフィスに対する印象は悪く、
「もう16なのだから王女としての自覚を持ちなさい。あのような
下賤の者と軽々しく――」と厳しく言うのだった。



178 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/26 12:35 ID:???
キャスカはこの時体調不良だった。折悪しくも生理だったのだ。
おかげで、青鯨超重装猛進撃滅騎士団団長アドンに苦戦し、追い込まれる。
(この長ったらしい騎士団名と言い、かなりギャグキャラなのだが)
「女の分際で」「大人しく捕虜となるなら娼婦として生かしてやる」などと
言うアドン。だが助けに入ったガッツにより、あっさり叩きのめされる。
しかしそこでキャスカがふらつき、崖から落ちかかったのに手を伸ばしたところを
アドン(負傷して倒れたが生きていた)の放った矢に撃たれ、2人揃って崖下の川に転落してしまう。
キャスカを抱えて岸まで泳ぎ着き、人工呼吸して助けるガッツだが、
熱があるのに気付く。雨まで降り出したので、洞窟に退避することに。
敵に居場所を知られないためには火を焚くわけにもいかず、やむを得ず
キャスカを脱がせて、人肌で温めることになるのだった。(この時、生理なのも知る)

ガッツとキャスカの転落はすぐにグリフィスに知らせが行ったが、
「高々一隊長の生死を確かめるのに兵を割くなど言語道断」と、他の軍の将はグリフィスを牽制する。



179 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/26 12:36 ID:???
目を覚ましたキャスカは自分の状態を見て、ガッツに対し激しく怒るが、
「すぐ頭に血がのぼりやがる。これだから女は~」等と「女」であることを言われると、
「私だって・・・好きで女に生まれたわけじゃない・・・」と泣き出してしまう。
更に「情けない。おまえにだけは助けられたくなかった」と言うが、
「女にゃ戦商売は辛いだろうに、何で鷹の団に」と問われ、やがて過去を語り出す。

キャスカの生まれたのは貧しい農村だった。ある日、通りかかった貴族が
キャスカを侍女に欲しいと申し出た。貧しい村で6人兄弟を抱えてやっていく
家の苦しさもあり、父は渋りながらもその申し出を受け入れた。
だが、そううまい話はない。城に向かう途中、その貴族はキャスカを手篭めに
しようとする。最初からそれが目的だったのだ。
その時現れたのが、軍を起こす資金を集めるべく盗賊をやっていたグリフィスだった。
しかしグリフィスは、一端貴族を制止すると、キャスカの前に剣を投げて突き立てた。
そして、「君に守るものがあるなら、その剣をとれ」と。
無我夢中でキャスカのとった剣は、偶然かも知れないが貴族の胸を貫いた。
その後、人を殺した恐怖に震えるキャスカにグリフィスがゆっくりとうなずき、
毛布をかけてくれた、それが本当の救いだった。
しかし、このままでは盗賊の手引きをしたと疑われる。行く場所のないキャスカは、
「一緒に連れて行って」と言う。グリフィスは「死ぬかも知れないよ?」と
問うが、キャスカがうなずくと、「好きにすればいい」と。
「もう戦い方は知っているだろう?」



180 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/26 12:36 ID:???
やがて鷹の団は傭兵団として、常勝無敗の活躍を見せるようになる。
ある地方貴族の領地紛争に参加した時のことだった。
その貴族は国内で五指に入る資産家だが、それ以上に悪趣味なことで風評が高かった。
美少年達を従者として召し抱え、その実“色子”として城内に監禁していたのだ。
色子達の姿にかつて自分の辿りかけた運命を重ね恐怖と嫌悪に震えるキャスカだが、
グリフィスが肩に手をおいてくれるだけでその震えは止まった。

何度目かの小競り合いの時。戦いのおさまった後、グリフィスは10歳程の味方の
兵卒見習いの戦死体に目を止めていた。グリフィスはその少年ことを回想しながら、
「この子を殺したのは・・・オレの夢なのかも知れない」と呟いた。
あのグリフィスがあんなに肩を落として、あんなのは見たことがなかったと語るキャスカ。

それから城に帰還して、何日目かの夜。キャスカは城の窓にグリフィスの姿を
見つけ呼びかけたが、グリフィスは上半身裸で、例の貴族に肩に手をかけられると、
城の中に連れ込まれていった。
これを聞いた時にはガッツも「冗談だろ!?」と叫んだが、キャスカは続けた。
翌朝早く川で水浴びをするグリフィスに遭遇したキャスカ。昨夜の件について
どうしても気にしてしまい、「勘違いよね」と否定しようともしたが、
グリフィスははっきり「いいや、勘違いじゃない」と言った。
理由はただ「金だよ」と。鷹の団を大きくするには、多くの軍資金が必要なのだと。
今のまま戦って勝ち続ければ、と言うキャスカに、グリフィスは答える。
時間がかかりすぎるし、戦場に出ればそれだけ多くの部下を失う、と。
もしかしてあの子のことで、と言うキャスカだが、グリフィスは否定する。
合理的に考えたまでさ、と。更にグリフィスは続けた。
「オレはね・・・命を落とした仲間達に何ら責任を感じてはいないよ・・・
それはあいつらが自分自身で選んだ戦いなのだろうから。だが・・・
何百何千の命を懸けながら自分だけは汚れずにいられるほど・・・
それほど・・・オレの欲しいものはたやすく手に入るものではないんだ」
そう言うグリフィスは肩を抱いた爪が自分の腕に食い込み、血が流れ落ちるほどだった。



181 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/26 12:37 ID:???
これらを回想してキャスカは言う。「大きなものを手にしようとする者は、
それだけ人より多く何かに堪えているのだと思う」そして、「私はあの人の剣になりたい」と。
グリフィスの夢を成し遂げるのに欠かせないものになれると信じていた。
ガッツが現れるまでは。グリフィスがガッツに言った言葉「おまえが欲しいんだ」
他の誰にも、そんなことを言ったことはなかった。
「そう言わせたおまえが妬ましかった」キャスカは言う。
しかも、冷静沈着なグリフィスが、ガッツのこととなると衝動的になる。
それなのにガッツは好き勝手に、後先を考えずに突っ走ってばかり。
その身勝手さが遂にゾッドの時には、グリフィスを殺しかけた。それが許せない、
キャスカはそう叫ぶと、続けて「グリフィスを・・・そんな風に変えてしまった、
おまえが許せない」と小さく言い、ガッツの胸に崩れて、後は泣くばかりだった。
「なぜだ・・どうして・・・おまえでなければならないんだ」

話はそこまでだった。あのアドンが2人を捜索して殺すために送り込んだ傭兵が近くを捜索しているのだ。
キャスカに熱さましを飲ませ、日が暮れ次第出立することになる。



182 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/26 12:37 ID:???
だが、2人で森の中を歩いている時に、アドン自ら率いる傭兵団に包囲される。
「これ以上貴様の世話にはならん」と戦うキャスカ。
しかしそんな中ガッツは身を盾にしてキャスカをかばい、1人で行かせようとする。
どうして、と問われると、ガッツは答えた。「勘違いすんな。半病人は邪魔だから
とっとと失せろっての。逃げ回るのはオレの性に合わねえ!」
更に「帰んな、剣の主のもとへ・・・グリフィスのところへな」と言って見送り、
1人で100人からの傭兵団を迎え撃つガッツ。
「仲間を連れて必ず戻る!それまで死ぬな!!!」と言って、キャスカは走り去った。
(なお、ここでアドンの弟のサムソンが登場、すぐやられたことを追記しておく)

森の中で再び追っ手に襲われるキャスカ。追い詰められ、犯されかけるが、
木の枝で相手を刺してでも抵抗を続けているところに、
ジュドー率いる捜索部隊が現れた。助かったキャスカはすぐに、ジュドー達を連れて
ガッツのもとに駆け戻る。戻った時には夜が明け、朝日に照らし出されたのは、
累々たる死体の山。100人の敵が、生きている者は1人もいなかった。
そんな中で剣を抱いて木にもたれかかって、ガッツはいた。生きていた。
途中で左手を撃たれ剣を握れなっても右手だけで剣を振るい、100人を斬ったのだった。



183 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/26 12:42 ID:???
さすがに全身に浅からぬ傷を負ったガッツだが、医者に止められても、
「這ってでもこの遠征最後までつきあうぜ」と言い張る。
その夜、ジュドーはキャスカを呼び出して言う。2人が崖から落ちた時、
捜索隊を出すのは反対されたが、グリフィスが「あの2人は鷹の団の要です。
失うわけにはいかない」と押し切ったことを。
続いて、粉薬の袋を渡すジュドー。昔いた旅芸人の一座に妖精がいて、
そいつから貰った妖精の鱗片だという。怪我によく効き、ジュドー自身も何度も
命を拾っている代物なので、ガッツに塗ってやれというのだ。
その薬を持って、キャスカは丘の上に佇むガッツのところへ行く。

薬の効果は確かに覿面だった。薬を塗られながら、ふとガッツは述懐する。
自分は死にたくないというだけで、ただ生きるために剣を振るってきた。
それで100人と斬り合おうが、それに大した意味はない。一番肝心な戦う理由は、
いつも他人に預けようとしてきたのではないか、と。
その口ぶりから、ガッツが鷹の団をやめるつもりなのでは、と気付くキャスカ。
その問いにガッツは「“この遠征だけは”這ってでも最後までつきあう」と答えるのだった。
その時、2人が無事だとの報を聞いたグリフィスが予定を繰り上げ軍議より帰還、
歓喜の騒ぎにそれはかき消されたが・・・



222 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/30 15:37 ID:???
難攻不落の城塞、ドルトレイ。ここは元々ミッドランド国境防衛の要だったが、
チューダーに奪われてからこの100年、皮肉にもチューダーのミッドランド侵攻の拠点となっていた。
しかも現在そこには猛将ボスコーン率いるチューダー最強の騎士団、
紫犀(シサイ)聖騎士団が駐屯、ミッドランド二大騎士団の1つ
白虎騎士団も壊滅の憂き目に遭い、総力戦でも落とせる保証はなかった。
だが軍議でグリフィスは、御命令とあらばそれもやってみせると言った。
それも駐屯軍3万に対し、鷹の団5千の兵のみで。
このままではどの道総力戦以外に選択肢はない、やらせてみても、という
グリフィスに大きな期待を寄せるラバン将軍の推しもあり、
国王は鷹の団にドルトレイ攻略を命じる。

この話を聞いてもガッツはあいつが自分から買って出たんだ。勝算あってのことだろ?
と安心していたが、キャスカは冷静でいられればいいんだけど・・・と不安な様子を見せる。
あの時の過去語りで話した、金持ちで悪趣味の地方貴族、そいつこそが現在の
チューダー帝国北方戦線総司令官・ゲノン総督だった。

アドンは生きていた。無我夢中のガッツを前に、死んだふりをして生き延び、
本拠ドルトレイに帰還していた。だが私怨を晴らすために傭兵を連れ出し、
生き恥をさらして帰ってきたことでボスコーン将軍の怒りを買い、指揮権を剥奪された。
その後ボスコーンがゲノン総督に謁見すると、ゲノンは次の相手は鷹の団だと
密偵から報告を受けたことを話す。常勝無敗の鷹の団なら歯応えがありそうだと
どこか嬉しそうなボスコーンに対し、ゲノンは1つの命令を下す。
鷹の団の団長、白い鷹は、生きたまま捕らえてこいと。



223 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/30 15:37 ID:???
ドルトレイは二重の城壁を持つ巨大な城塞の上、断崖絶壁を背にし、
見晴らしの利く盆地を前にしている。それに対し鷹の団がとった陣形は、
盆地を挟んで川を背にした“背水の陣”だった。
妖精の粉で見事な回復を見せたガッツも、戦陣に復帰していた。
一方ボスコーンはその愚行ともとれる行為に驚くが、どんな策を弄しても
一時しのぎにしかなるまいと判断、正面から出撃する。
その日、盆地は乾燥して風が強く、砂ぼこりがもうもうと舞っていた。
グリフィスはこれも予定のうちと言った。
そして、少ない兵を更に2つに分け、自ら第一陣の先陣をきって出撃した。
切り込み隊長のガッツは敵の一番隊を次々斬り捨て、突破していく。
そのまま大将ボスコーンと交錯するに至る。だが巨大な戦斧を振るうボスコーンも、
簡単には仕留められぬ猛者だった。

武人ボスコーンは元より総督の悪趣味に付き合う気はなかった。
敵の大将の生死など時の運、という考えだ。その戦いぶりに命令を無視して
グリフィスを殺してしまうのでは、と心配になったゲノンは、城の残る
自分の親衛隊を率いて自ら出撃、指揮をとることを決める。

多勢に無勢、鷹の団が不利になってくると、グリフィスはあっさり撤退命令を下す。
このような攻め方では結果は最初から見えていただろうに、何故、と
疑念にかられるボスコーンだが、その時自ら出撃してきたゲノンが追撃命令を下す。
更に全軍にグリフィスの生け捕りを命令、それに成功した者には二階級特進まで
約束してしまう。ボスコーンも総督命令に、やむをえず追撃に移る。
川を背に陣形を整え、鷹の団の持ちこたえるための戦いが始まった。
グリフィスは生き残ればオレ達の勝ちだ!!と宣言する。



224 名前:ベルセルク 投稿日:04/06/30 15:38 ID:???
ゲノンの出陣に駆り出され、残った者もグリフィス捕獲の報酬につられて
出て行った城を、盆地を見下ろす岩山に待機していたキャスカの部隊が襲撃した。
大軍が駆けて行ったことでますます舞い上がる砂塵はその姿を隠し、
また川辺で戦っている主力軍の眼からそのことを隠しもした。
そこで迎え撃ったのが、指揮権を奪われ城に残っていたアドンとその部下だった。

圧倒的な多勢に無勢、追い詰められながら、死に物狂いで戦う鷹の団。
その中でガッツは、再びボスコーンと対決していた。周りの者達には見えないほどの
速さで両者の剣がぶつかり合う。巻き込まれるので、近付くこともできない。
ガッツ自身も100人斬り以上の危険を感じていたが、ゾッドのことを思い出し、
あの時ほど絶望的ってわけじゃねえと自らを奮い立たせる。

体調万全なキャスカに歯が立たないアドンは、とうとう土下座して命乞いを始める。
だがキャスカがあきれていると、不意にボウガンを取り出してキャスカを撃った。
腕の付け根付近に刺さった傷は深くなかったが、矢には即効性のしびれ薬が塗られていた。
一転アドンに押されるキャスカだが、力を振り絞って剣で棒高跳びをして攻撃を跳び越え、
アドンを斬り捨てた。