地獄先生ぬ~べ~

Last-modified: 2008-12-20 (土) 15:31:28

地獄先生ぬ~べ~/原作:真倉翔  漫画:岡野剛

347 :地獄先生ぬ~べ~ 1 :04/04/13 15:46 ID:???
童守小学校の五年三組に転校生の立野広がやって来た。
担任のぬ~べ~(鵺野鳴介)は隣のクラスの担任のリツコ先生に
振られてばかりで、インチキな霊能力を使い、広は飽きれるが、
同じクラスの郷子は「あの人は本物の霊能力者よ」などと言う。
広は自己紹介の時に天才的なサッカーの才能を披露した。
皆はサッカー部に入れよと言ったが、広はシリアスな顔で嫌だと言った。
 広を歓迎するためにドッジボールを皆でする事になった。楽しく遊んでいると、
突然現れた六年生が「そこ俺たちの場所だ」と言い、反抗した郷子に集団で殴る蹴るの暴行を加えた。
切れた広は野獣のように暴れ、六年生たちを全員病院送りにした。
「どうしたらいいんだ…俺、いつもこうなんだ。怒ると見境が無くなっちまう。
前の学校でもサッカー部でちょっとした言い争いになって…顧問まで殴って
逃げるように転校して…この学校ではうまくやろうと思ってサッカー部にも
入らなかったのに…初日からこんな事になるなんて また転校しなければ…」
泣き出す広の肩をぬ~べはポンと叩き、「そういう悩みを解決するために俺たちはいるんだろう?」と言った。



348 :地獄先生ぬ~べ~ 2 :04/04/13 15:48 ID:???
 次の日ぬ~べ~は、サッカーが好きなのに問題を起こさないがために
サッカーを避けるようになっている広をサッカー部に入部させた。
サッカーの上手い広を嫉んだ部員たちは、わざと広の腹を蹴ったり足をひっかけたりと
広のプレイの邪魔をした。怒った広はまた暴行事件を起こしてしまう。
サッカー部の顧問は「サッカーはチームプレイなんだ!君のような者はいらない」と怒鳴った。
広はその場を逃げ出し、ヤケになって窓ガラスを割った。そこに現れたぬ~べ~は
「お前には悪霊がついている!そいつが感情のコントロールを失わせているんだ!」と言った。
「ふざけるな何が悪霊だ!」郷子は広にぬ~べ~には鬼の手があると言うが、広は信じない。
「何が鬼の手だ!そんなもん作り話に決まってるだろ!本当なら今すぐ見せてみろ!」
ぬ~べ~は普段左手につけていた黒手袋を外す。手袋のうえから触った時は確かに
感触があったのに、ぬ~べ~の左手首から先には何もなかった。
「この手は鬼と戦った霊障でこの世の物ではなくなった。見えないんだよ」ぬ~べ~は言った。
これは本物だと信じ、広は除霊を受ける。広からは長い虫のような妖怪が出てきた。
ぬ~べ~はお経を唱えたあと、黒手袋を外し、呪文を唱えた。
「我が左手に封じられし鬼よ。今こそ その力を示せ!」その声と共に左手首から先が光だし、
そこから紫色をした鬼の手が現れた。ぬ~べ~は鬼の手で妖怪を切り裂き、
広は問題を起こす事がなくなり、サッカー部に正式に入れた。



332 :地獄先生ぬ~べ~ 脇役(?)紹介1 :04/04/29 01:32 ID:???
山口晶
第2話「賽の河原の地蔵虐」で初主演。
性格は真面目で努力家で、工作や研究が好き。
しかし、どんなに努力してもいつも報われない。
晶は幼い頃海で溺れ、仮死状態になった事がある。
親より先に死んだ子供は、親を哀しませた罰として賽の河原で石を積み続けなければいけない。
その石積みは永遠に終わる事がない。何故なら地蔵虐という鬼が来て、
石を崩してしまうからだ。晶は仮死状態になった時、地蔵虐を現世へ連れてきてしまったのだ。
それ故積み重ねた石を崩されるように、いつも晶は努力しても報われない結果に終わっていたのだ。
ぬ~べ~が地蔵虐を退治した事により晶は自分の能力を発揮できるようになった。
後半マッドサイエンティストな方向へ突っ走っている。

栗田まこと
第6話「河童と鉄棒」で初主演。
放課後鉄棒の練習をしている時に まことは河童に会う。
まことは河童を恐れるが、実は河童は校庭の下に不発弾がある事を知らせにきた良い妖怪だった。
幼児のような無邪気さを持っており、そのため河童以外にも他の生徒には見えない妖怪を目撃する事も多々。
六年生の才女・篠崎愛と仲がいい。



333 :地獄先生ぬ~べ~ 脇役(?)紹介2 :04/04/29 01:39 ID:???
木村克也
第7話「はたもんばの呪い」で初主演。
日頃から悪い事に憧れる傾向があり、煙草を吸ったり物を盗んだりは日常茶飯事。
ある日神社の賽銭を盗み、その神社にまつられている刀が妖怪化した「はたもんだ」という妖怪に殺されそうになる。
友人や妹まで殺そうとする はたもんだを倒すため、自らおとりになったりと、
根の方では他者を思いやる気持ちや正義感もある。

中島典子
第133話「お色気妖怪・精霊パウチ」で初主演。
普段は全然目立たない大人しい子だが、人を淫らにさせる精霊・パウチにとり憑かれ
大胆なお色気キャラに変貌。五組の亀山君に迫ってキス寸前の所まで行く。
ぬ~べ~に除霊され元に戻るが、その後亀山君とは友達以上恋人未満な関係になる。
皆にはのろちゃんと呼ばれている。菊池静と仲が良い。 



369 :地獄先生ぬ~べ~ 3 :04/04/14 18:00 ID:???
妖狐・跳梁跋扈の巻(前編)

 妖狐の玉藻は、完全なる人化の術を会得するため自分に最も適したドクロを持つ立野広を狙う。
玉藻は人に化け、玉藻京介という名で教育実習生として広の所属する五年三組へやって来た。
担任のぬ~べ~は霊能力がかなり高いようで、玉藻はぬ~べ~を警戒する。
 美形な男に化けている玉藻は女子生徒から騒がれ、また通常の人間より運動能力にも優れている事を利用し、
体育の授業などで活躍したので男子にも好かれた。
もちろん、ターゲットである広にも。広は玉藻にミサンガをプレゼントし、両手両足につけてと言った。
 玉藻は体育館倉庫に広を連れ出し、首さすまたという道具で広のドクロを抜き取ろうとした。
するとぬ~べ~がタイミングよく現れ、お経を唱えた。途端に、玉藻の手足の動きが封じられた。
「人間に化けるならもっと人間社会の事を調べておくんだったな。
 ミサンガを両手両足につけてる奴なんて いやしないぜ。
 こんな事もあろうかと、白衣観音経でミサンガをつくらせたのさ」
ぬ~べ~は玉藻から獣の匂いをかぎつけていたのだ。
玉藻はミサンガを霊力で千切り、広を片手で抱えて言った。
「ふざけるな。こんなチャチな経文でこの私がやられるか!妖狐の誇りにかけて!人化の術の完成は誰にも邪魔させん!」



370 :地獄先生ぬ~べ~ 4 :04/04/14 18:05 ID:???
妖狐・跳梁跋扈の巻(後編)

 玉藻は広の気を失わせ、広を抱えたまま逃げさる。ぬ~べ~はすぐに追うが、
玉藻は幻視の術で動く物なら何でも幻に変えられ、幻がぬ~べ~の行く手を防ぐ。
幻視の術でトラックをお婆さんと見間違え、ぬ~べ~はトラックに轢かれるが、広を助けるために怪我も構わず走った。
 やっと玉藻に追いついたが、幻視の術でまたも惑わされ、ぬ~べ~は玉藻に体中を切り裂かれうずくまる。

 目覚めると、広は鎖で両手足が縛られていた。鎖をほどけと叫ぶ広に玉藻は言う。
「慌てなくてもすぐほどいてあげるよ。君のドクロを手に入れたらね。さて、古いドクロを取り外すとするか」
玉藻は首さすまたを自らの顔に突き刺し、ドクロを抜き取った。玉藻の姿は変形し、
人のような体を持つ狐、妖狐としての新の姿を現した。
玉藻は広のドクロを取ろうとするが、またもタイミング良く傷だらけのぬ~べ~が現れた。
玉藻は鉄球を動かし、それを幻視の術で自分の姿に見せ、どれが本当の玉藻かと
迷うぬ~べ~に襲い掛かった。鉄球の動きが止まれば幻視の術は解ける…
巨大な電磁マグネットの吊るされたクレーンに広は乗り込み、電磁マグネットに鉄球をくっつけ動きを止めさせた。
幻視の術は解け、首さすまたまでもマグネットにくっつき、玉藻が動揺した隙にぬ~べ~は
鬼の手で玉藻の腹に穴をあけた。「私の負けだ…君たちの師弟愛の勝利だ…」玉藻は絶命した。



371 :地獄先生ぬ~べ~ 5 :04/04/14 19:51 ID:???
鬼の手VS火輪尾の術の巻

 普通なら入院するほどの大怪我をかかえながらも、リツコ先生に同情され甘やかされたいという不純な動機のため、
ぬ~べ~は翌日も登校した。するとそこには死んだはずの玉藻がいた。
「だてに四百年も生きていませんよ。広くんのドクロを取りにきたわけじゃない。
 私も妖力が弱まり再生がおぼつかない。しばし休戦としましょう」
玉藻は昨日鬼の手によってつけられた、左腕の傷を見せながら言った。玉藻は一体何をするつもりなのか。
まさか妖怪なのに本気で教職を取る気なんじゃないだろうな、とぬ~べ~は怪しむ。
ぬ~べ~は玉藻を屋上に呼び出し、何故戻ってきたのかわけを聞く。
「古来妖狐は四百歳を超えると人に化け、世に災いをもたらす。
 この世でおごりたかぶる薄汚い生物・人間をこらしめるために。
 しかし鵺野先生、貴方は……
 私は貴方に興味がわいた。貴方の事が知りたい…もっと深く」
「ふん 正直に言えよ。俺に負けたのが悔しくてケリをつけにきたんだろ?」
「否定はしないよ。貴方は私を倒したはじめての男だからね」そう言うと玉藻は
幻視の術で五年三組の生徒の栗田まことが高い棒にしがみついて泣いている幻を見せた。
ぬ~べ~がそれにまんまと引っかかり幻影の まこと を助けに行っている間に玉藻は広に近づく。



373 :地獄先生ぬ~べ~ 6 :04/04/14 19:54 ID:???
またドクロをとりにきたのかと広と郷子は言うが、玉藻はそれを否定する。
「君は何度も鵺野先生に助けられているだろう…その時の事を詳しく教えてくれないか?」
広が答えるよりも先に、玉藻にだまされた事を知ったぬ~べ~がその場に駆けつけた。
生徒にちょっかいを出す玉藻に堪忍袋の緒が切れたぬ~べ~は決着をつけようと戦いを申し込む。
玉藻は尻尾を出し、火輪尾の術を使った。妖狐は尾を擦り合わせる事により狐火を起こす事ができる。
それは霊的な力を持つ火で、あらゆる物を焼き尽くすという。玉藻はその火をぬ~べ~ではなく
広と郷子へと向けた。ぬ~べ~は自らの背中でそれをかばう。玉藻はぬ~べ~を試すために、
火を徐々に強くしていく。しかしぬ~べ~の霊力はどんどん上がっていき、炎から生徒を守った。
ぬ~べ~は鬼の手で炎を切り裂き玉藻を切りつけた。
「この力だ!これが私の求めていた物だ!鵺野先生…あなたの力の秘密…この玉藻が必ず頂く!」
他の生徒たちが騒ぎを聞きつけ走ってきたので、玉藻はその場から退散した。



378 :地獄先生ぬ~べ~ 7 :04/04/14 21:14 ID:???
霊獣・霊霧魚(レムギョ)の巻(前編)

 かつてぬ~べ~にインチキを見破られ、こてんぱにされたインチキ坊主・空虚は
ぬ~べ~に復讐する為にかなりの力を持つという、今は封じられた
霊獣・霊霧魚の封印を童守小学校の前で解き、霊霧魚の初めの犠牲者となった。
 ぬ~べ~が生徒たちと校庭にいると、校庭に霊気の霧が大量に流れ込んできた。
そしてその霧の海を泳ぐように、頭は弱いが霊力は強い怪魚・霊霧魚が現れた。
霊霧魚は五年三組の生徒の山口晶の背中に卵を産み付けた。
「奴は最初は人は食わん。自分の仲間を増やすために人間を餌にするんですよ。
 あの卵が孵化する瞬間は見物ですよ。何百という数の稚魚が肉を食い破る。
 この学校の生徒など二時間もあれば食い尽くしてしまうでしょう。」
玉藻は笑む。ふざけるな!と叫びぬ~べ~は鬼の手で霊霧魚を斬るが、
霊霧魚は霧の中では何度も再生するのだった。止む無くぬ~べ~は玉藻に援護を頼む。
「鵺野先生!貴方は生徒を守る時霊力を無限に高める事が出来る!
 私はその力の秘密を知りたい…その為に生徒が何人犠牲になろうとかまわぬ!」
玉藻は援護を拒み、傍観するだけだった。霊霧魚は卵を産みつけようと逃げる郷子を追う。
ぬ~べ~は生徒を守るため巨大な霊霧魚を一瞬で粉砕した。玉藻は驚く。
しかし霊霧魚は霧の中にいるのですぐに再生してしまう。生徒も教師も皆校舎に一時避難した。
卵を産み付けられた生徒は八人もいる。玉藻がいうには、卵は日没と共に孵るという。
日没まであと三十分ほどしかない。日没までに霊霧魚を倒さなければ生徒たちは死んでしまう!



380 :地獄先生ぬ~べ~ 8 :04/04/14 22:31 ID:???
霊獣・霊霧魚の巻(後編)

 ぬ~べ~は野球のバックネット、サッカーのゴール、バレーボールのネットなどその他もろもろを集め、それらに霊力を封じ込め、
校庭の周りの木に引っ掛けて霊霧魚を底引きしようと提案した。
霊霧魚は元々深海魚が妖怪化したもの。太陽の光には弱い。
霧の外に出て太陽の光を浴びれば再生能力を失う。
 霊霧魚が卵を産みつかれて眠っているうちにぬ~べ~は
作戦を実行した。霊霧魚はこの世のものではないため重さがないので、
生徒たちにも網を引く事は出来た。太陽の光を浴びた霊霧魚は体から煙を出し苦しみ始めた。
ぬ~べ~はそこを狙って鬼の手で斬りかかるが、霊霧魚は霧の中へ潜り込んでしまう。
これではぬ~べ~が死んでしまう。広は玉藻に協力しろと頼む。
もし一人でも生徒が死んでしまえば、ぬ~べ~は自殺しかねない。
そしたらぬ~べ~の力の秘密はわからないぞと。クラスメートの細川美樹は
「どういう事?何故玉藻先生なら闘えるの?」と訊ねてきた。
広と郷子以外は玉藻が妖狐である事を知らない。郷子が誤魔化すために
「玉藻先生も霊能力者なのよ」と言うと、他の生徒たちは一斉に玉藻に
「霊霧魚と闘って!」と言った。玉藻は仕方なくぬ~べ~の援護をする事に。
 玉藻は火輪尾の術で校庭を火の海にした。熱さに耐え切れなくなった霊霧魚は
空へ飛び出し、そこでぬ~べ~は霊霧魚を切り裂いた。
何とか日没までに間に合い、生徒たちは救われた。

「鵺野先生貴方の力の秘密を知る事が出来ず残念だ」今日は教育実習最後の日なのだ。
「教えてやるさ。あれが俺の力の秘密さ」ぬ~べ~の指す方向を見ると、
生徒たちが玉藻に向かって走ってきていた。生徒達は
「ありがとう」「教員試験受かったらこの学校に来てね」「だーい好き」と口々にいう。
「鵺野先生、これのどこが?」問い掛ける玉藻にぬ~べ~はただ微笑むだけだった。



402 :地獄先生ぬ~べ~ 9 :04/04/15 17:50 ID:???
 桜の舞い散る中、もうすっかり春だと笑いあっていると、雪が降って来た。
六人は妖怪の仕業じゃないかと思いぬ~べ~の元へ行く。
すると、高校生ぐらいの自称・ぬ~べ~の婚約者の美少女が現れ、
ぬ~べ~に抱きついた。モテないぬ~べ~に婚約者が!?生徒たちは騒ぐ。
 ゆきめと名乗る美少女を連れ、ぬ~べ~はその場を抜ける。広と郷子と美樹は二人を追った。
ぬ~べ~は熱いスキヤキを ゆきめに食べさせる。ゆきめは妖しい力でスキヤキを一瞬にして凍らせた。
次に熱気の強いディスコへゆきめを連れて行くが、ゆきめはまたも力を使い、場を一瞬で雪景色に変えた。

「君は俺をかいかぶってる。給料は安いし女にゃももてない…話題といったら霊のことばかり…」
ゆきめはそれに対して笑いながら「人間の女は見る目がないんですね。
私には貴方の素晴らしさがよくわかります」と言った。
 ゆきめは五年前、はじめてぬ~べ~にあった時の事を語る。
大学生のぬ~べ~は、猟師が幼女を撃っている所に遭遇する。止めるぬ~べ~に男は叫ぶ。
「この子は雪ん子だ!雪ん子は雪女になるだ。そうなったら気に入った男を手当たり次第に
 氷漬けにして殺しちまうだ。雪ん子を見つけたらすぐ殺す!これが村の掟だ!」
見ると、幼女は手先から体が氷のように割れ始めていた。ぬ~べ~は幼女をヒーリングで助けた。

「その時私は約束しました。このご恩は一生忘れない、大人になったら貴方の元へ行き永遠に愛し続けると」
 陰で覗いていた生徒たちも、話を聞いてゆきめの正体に気づいた。
「愛しています!鵺野先生!一緒に来て下さい!二人だけの氷の世界へ」ゆきめは雪女へと姿を変える。
ぬ~べ~は鬼の手を出すが、ゆきめは鬼の手を凍らせてしまい、全身凍りついてしまう。
生徒たちはぬ~べ~を助けにその場を飛び出す。ゆきめは怒り、生徒たちを凍らそうとする。
「やめろ…俺の生徒に手を出すなーーーっ」ぬ~べ~は氷を突き破った。
「ゆきめくん、俺は君と戦うつもりはない。だがこの子たちに危害を加えるなら、ためらう事無く君を斬る!」
鬼の手を向けるぬ~べ~にゆきめは言う。
「フフ…あったかいのね。とけてしまいそう。残念だけど、今回は引き返します。
でも、私あきらめませんよ」そう言い、ゆきめはぬ~べ~に口付けをし、去っていた。



404 :地獄先生ぬ~べ~ 10 :04/04/15 18:18 ID:???
妖怪ろくろ首の巻

 美樹は寝る前に怪しげな霊能力入門書を読み、霊能力開発を試みた。
それが後に奇妙な事件に発展する事も知らず……
 寝不足な美樹は一時間目は保健室で休む事になった。しかし二時間目には
算数のテストがあるので出なくてはいけない。テストの答えがわかればなあ、
そんな事を思いながら眠りにつくと、自分の首がろくろ首のように職員室まで伸び、
テストの答案を見る夢を見た。目覚めてテストを受けると、夢の中で見た問題と同じだった。
 自分に千里眼の能力がついたのではないかと笑みながら、美樹はその晩クラスの皆の
家へ首を伸ばした。翌朝学校へ行くと、クラスの皆は「ろくろ首!」「妖怪!」と美樹を罵倒してき、
ぬ~べ~までも怖い顔をしている。美樹は倉庫へ逃げ込み、そのまま眠ってしまい、
目覚めた時に自分の体がやけに下の方にある事に気づいた。首が伸びていたのだ!
美樹は悲鳴を上げ、その声を聞きつけぬ~べ~がやって来て、鬼の手を出す。
「私も知らなかったのよ自分が妖怪だったなんて!お願い、殺さないで!
 生徒で駄目ならペットでもいいから!殺しちゃいや!」
泣きじゃくる美樹の首の根元にぬ~べ~は鬼の手で傷をつけた。するとそこからはもう一つ美樹の顔が出てきた。
「今伸びているのは幽体の方だ。昔からろくろ首は首が伸びる妖怪だと言われるが、
 実は幽体離脱が不完全で首から上の幽体だけが離れて寝ている間に移動する現象なんだ」
「そうえば私本読んで幽体離脱の実験したっけ」そう言う美樹に飽きれつつ、ぬ~べ~は
美樹の首を元に戻した。美樹は、首を伸ばす事が出来るという妙なスキルを得た。



405 :地獄先生ぬ~べ~ 11 :04/04/15 18:35 ID:???
真夏の雪女の巻

 ぬ~べ~の元へクール宅急便が送られてきた。中からは山に帰ったはずのゆきめが出てきた。
雪女は16歳になったら人間の男を氷づけにして傍らに置かねばならぬという掟がある。
それまでは山に帰る事は許さぬと山神はゆきめに言った。
ゆきめはもうぬ~べ~の命を狙う気はない。山に帰れないなら人間としてぬ~べ~の元で暮らせばいい。
ゆきめはぬ~べ~と同棲するという。しかし、ゆきめは雪女。寒い気候を好み、ぬ~べ~は寒さで震える。
ぬ~べ~は無理して人間の所にいないで、山はいくらでもあるのだからアルプスでもヒマラヤにでも行けばいいという。
怒ったゆきめは適当にそこら辺にいる男を凍らせて山に戻ると叫び、街中へ走る。
すると、火事で女の子が窓から助けを求めている所を見かける。周りにいる男たちは誰も助けに行かない。
これだけ人がいるのに誰も行かないなんて…私はこんな腑抜けた男達を山に連れ帰ろうと思っていたの?
 ゆきめは自分で女の子を助けに行く。しかし人一番火に弱いゆきめは炎で弱る。
それをぬ~べ~が火の中をくぐり、助けに来てくれた。ゆきめは、自分の愛する人はぬ~べ~だけだと再確認する。
しかしゆきめは力が弱まり、溶けてしまう。山にも帰れず人間としても生活できずに
悩んでいた ゆきめを突き放した自分が悪いとぬ~べ~は泣くが、
実はゆきめは冷凍車の中に逃げ込んでいたので生きていた。
すっかり元気になったゆきめは、スケート場でバイトしながら暮らすと明るく言った。



57 :地獄先生ぬ~べ~ 12 :04/04/24 02:49 ID:???
人魚の恩返しの巻

 学校裏の童守寺へぬ~べ~は招かれた。蔵を整理していたら人魚のミイラが見つかり、
ぬ~べ~の鬼の手でミイラに霊力を込め、生き返らせてほしいと和尚は頼む。
ぬ~べ~は、どうせ魚と猿のミイラをくっつけただけなんじゃないかと疑いつつも、
人魚のミイラに霊力を注ぎ込む。しかし何も起こらなかった。

 ぬ~べ~が生徒たちと下校していると、参考書を読みながら歩く中学生にぶつかった。
中学生は自分からぶつかっておきながら「気をつけろ!」と広に怒鳴った。
「受験シーズンだからな。この時期受験生はイライラしてるのさ。受験てのは大変なんだぞ。
中にはノイローゼ゙でおかしくなる人も…」ぬ~べ~が説明していると、
セーラー服を着た少女がぬ~べ~に走り寄ってきて「私を食べてください!私の体を貴方に捧げます!」と叫んだ。
ぬ~べ~は、少女を受験のストレスでおかしくなった子だと思い、説教をする。
しかし少女は尚も自分を食べろと迫ってくる。しまいには「焼き魚好きですか」などと言い自らに火をつけた。
ぬ~べ~は燃える少女を抱え海に飛び込んだ。すると、少女の足が魚の尾に変わった。
 少女は昨日ぬ~べ~が霊力を注いだ事によって目覚めた人魚だったのだ。
人魚はぬ~べ~と和尚の消えた夜中に目覚め、セーラー服は盗んだ物だった。
速魚(はやめ)と名乗る人魚は、恩返しとしてぬ~べ~に自分を食わせ、不老不死にしてあげたいというが、
ぬ~べ~は、永遠の命を手に入れるよりも人間として限りある命を生きたいと言い、断った。

 海の方から悲鳴が聞こえ、ぬ~べ~は駆け寄る。幼児が海に落ちて溺れていた。
ぬ~べ~は幼児を助けるが、テトラポットに激突し、折れた肋骨が肺に刺さるという大怪我をした。
速魚は自分の血をぬ~べ~の傷に零した。途端に傷跡ひとつ残さずぬ~べ~は回復した。
肉ではなく血だけなら不老不死にならず、傷を癒すだけだという。
ぬ~べ~が感謝の言葉を言うと、速魚は少しでも喜んでくれて良かった、と海へ帰っていった。
 しかし人魚の血には思わぬ副作用があった。
バカでマヌケな速魚の血は、血を浴びた者の知能さえ一時的に下げてしまうのだ。
ぬ~べ~はしばらくの間まともに授業が出来なくなった。



58 :地獄先生ぬ~べ~ 13 :04/04/24 02:52 ID:???
妖怪しょうけらが窓から覗くの巻

リツコの担当する五年二組の生徒の風間が、肺炎のため入院している。
お見舞いにリツコが行くと、そこにはぬ~べ~がおり、
風間は自分が病気になる前に体験した不思議な出来事をぬ~べ~に語っていた。
 学校の帰り、風間は隣の家の屋根の上で誰かが踊っているのを見た。
それはどう見ても人間ではなく、風間に気づくとニヤリと笑い、どこかへ飛び去って行った。
次の日、その家のおじいさんが死んだ。きっと、屋根の上に居たあいつが何かをしたんだ…
そして風間の具合もその頃から悪くなり始めた。
 リツコは「うちの生徒にまでちょっかいを出すな」とぬ~べ~を病室から追い出した。
何であんな教師に人気が集まるのだろうとリツコは怒る。風間はリツコに言う。
「リツコ先生はぬ~べ~をよく知らないから そんな事言うんだよ。本当のぬ~べ~を知ったらきっと好きになるよ」
ぬ~べ~を好きになるなんて有り得ないとリツコは思う。
突然、風間が吐血した。窓の外、向かいの建物の屋上で何かが激しく踊っているのをリツコは目撃する。
その怪物は窓の目前にまで迫ってき、風間に怪しげな液体を吐きかけた。
リツコは怪物に向かって物を投げるが、やって来た医者たちには怪物が見えず、
錯乱していると勘違いされ鎮静剤を打たれた。あの怪物を倒さなければ…リツコは消火器を持って怪物の元へ向かう。
 消火器を振り回し戦おうとするが、自分の何倍もの巨体を持つ、恐ろしい顔をした
怪物に足がすくみ、武器である消火器を地面へ落としてしまう。
リツコは自分は死んでしまうのだと、風間を守れないのだと泣いた。
すると、経文を唱える声とともに、ぬ~べ~が現れた。
怪物は疫病神の一種である しょうけら だとぬ~べ~は説明する。隙を見ては人を襲い、家に災いをもたらす妖怪だ。
ぬ~べ~が勇ましく鬼の手を奮う所を、鎮静剤のため消えていく意識の中でリツコは見た。
 目覚めるとリツコはベッドの上にいた。昨日妖怪と会った事なんて夢だったのだとリツコは思う。
しかし、リツコは気づいた。昨日夢の中で自分が落とした消火器が、夢の中と同じ場所に放置されている事に。
では、昨日の鵺野先生の勇姿も夢ではなかったの?リツコはぬ~べ~を見て顔を赤らめさせた。



62 :地獄先生ぬ~べ~ 14 :04/04/24 03:05 ID:???
霊能力美少女イタコギャル・いずなの巻
 童守町センター街は町内で最も人通りの多い繁華街である。童守小ではこの辺りで遊ぶ事を禁止している。
この辺りで生徒が遊んでいるという噂があるため、ぬ~べ~は見回りにきていた。
ぬ~べ~は生徒四人を発見し、追跡した。四人の向かう先には、いずなと呼ばれる女子中学生がいた。
四人は天気予報などをいずなに訊いた。するといずなはリップクリームの筒を取り出し、筒の中から獣が飛び出した。
その獣が『くだ狐』と呼ばれる妖獣だという事にぬ~べ~は気づいた。
くだ狐は東北のイタコが使うもので、竹筒などの管の中に入れて持ち歩き、それを使って様々な能力を行使できる。
その能力は使う霊能力者の霊力によって決まる。つまり強い霊力の持ち主ほど強いくだ狐が生まれるのだ。
くだ狐の能力は一匹ずつ異なり、その数が多いほど多くの術が使えるようになる。空高く昇り、天気を見て来ることも可能だ。
 翌日、ぬ~べ~はいずなから話を聞いた。いずなは東北のイタコの家に生まれ、
イタコとしての修行の途中で東京へ来たのだという。東京で霊能力者として名を上げるのが夢なのだ。
「だったらなおの事、実家に帰って修行をやり直すべきだ。今の君の霊能力ではくだ狐を扱いきれん」
ぬ~べ~はそう言うが いずなは聞く耳をもたなかった。
 いずな が部屋に帰ると、部屋で飼っているくだ狐たちが怯えるように隅の方によっていた。
どうやら新しく生まれたくだ狐を恐れているようだ。いずながそのくだ狐に触れようとすると、
くだ狐はいずなに攻撃し、窓から外へ逃げ、人に憑依した。人に憑依するのが あのくだ狐の能力のようだ。
くだ狐は憑依した人間の体で暴れまわり、他の人間に憑依し、また暴れた。
いずなが止めても そのくだ狐は応じない。こんな事は初めてだ。いずなは涙を流す。町は大混乱に陥った。
そこに現れたぬ~べ~はマジックの筒から、いずなのくだ狐を出した。
「これは前に君が忘れていったくだ狐だ。そのくだ狐は俺の家で新しいくだ狐を産んだ」
ぬ~べ~はもう一本マジックの筒を取り出した。中からは巨大なくだ狐が現れ、暴れていたくだ狐を食い殺した。
 くだ狐の能力は使う者の霊能力に比例する。あんな強力な力を持つくだ狐を操れるなんて…
いずなはぬ~べ~の元で修行すると宣言した。



64 :地獄先生ぬ~べ~ 15 :04/04/24 03:32 ID:???
時をかけるぬ~べ~の巻

 男が道を歩いていると、天から下がる巾着袋を発見した。
怪しみながらも、男は巾着に手を伸ばす。途端に男は気を吸われ死んでしまった。
巾着は人の気を吸う『チャブクロ』という妖怪だったのだ。
しかし邪心のない清らかな心の持ち主がその巾着に触れると時間のトンネルを抜け
過去に戻り、過去の失敗を一つだけ修正出来るという。
 生徒たちからそんな怪談話を聞いたぬ~べ~は、帰りにチャブクロに遭遇する。
ぬ~べ~は恐る恐るチャブクロに触れた。場面は突然変わり小学生の頃の自分が見えてきた。
霊感が強いため霊にとり憑かれやすい一方で、まだそれを追い出す力のない
幼いぬ~べ~は霊によく憑かれその度同級生たちからいじめられていた。
同級生から石を投げられ苦しむぬ~べ~の所へ、当時の担任で、霊能力者でもある
美奈子先生が助けにきてくれた。優しくて厳しくて美人だけど豪快で、
ぬ~べ~が一番尊敬している人、ぬ~べ~が生まれて初めて憧れた先生。でも…先生は……

「先生は、どうして僕に優しくしてくれるんですか?友達は僕の事化け物だって言ってるのに」
「先生もね…霊能力があるでしょう。子供の頃それでよくいじめられたわ。あいつは人間じゃない、魔女だって。」
「先生は魔女なんかじゃないよ!先生の能力は良い能力じゃないか!
 病気や怪我を治したり…みんな喜んでるよ!」
「鵺野くんの能力も同じよ。いつかキミの能力を必要とする人が大勢現れる。先生にはわかるわ」
ぬ~べ~が教師になろうと決意したのは、この言葉のためだった。



65 :地獄先生ぬ~べ~ 16 :04/04/24 03:34 ID:???
 ぬ~べ~は、妖怪にとり憑かれ保健室へ運ばれた。トウビョウという蛇神が憑き
腹の皮膚の下で蛇が蠢くかのようだった。美奈子はそれをいつものように退治しようとする。
「だめだ!先生!あなたは…これが原因で…」
叫ぶより早くトウビョウが美奈子にとり憑いた。美奈子は苦しみながらも
ぬ~べ~に逃げろと叫びかける。小学生の頃のぬ~べ~は非力で、
ただ美奈子が苦しむのを見ている事しか出来なかった。しかし、今は違う。
今なら美奈子を守れる。そのために過去に来たんだ。
「鬼の手よ時空を超えてその力を示せ!」ぬ~べ~は鬼の手を召還し、妖怪を倒そうとする。
しかし、その途端ぬ~べ~は現代に引き戻されていった。

 気づくとぬ~べ~は現代へ戻っていた。チャブクロは邪心のない者しか過去に連れて行かない。
左手に封印したとはいえ鬼の手は邪悪な力。だからはじき出されてしまったのか。
過去は変えられないのだ。



69 :地獄先生ぬ~べ~ 17 :04/04/24 04:22 ID:???
帰ってきた妖狐・玉藻の巻

 郷子の知り合いの女子大生が、夜中に体が膨張する奇病にかかったという。
原因不明の病気だと入院させられたが、霊に憑かれたために起こる現象だから
病院にいても無意味だ。ぬ~べ~は女子大生の面会に向かった。
そこでぬ~べ~は医者となった玉藻に遭遇した。
玉藻は以前ぬ~べ~に敗れた。それから玉藻は、その原因が何なのか考えていた。
ぬ~べ~は生徒を助ける時、霊力を無限に高める事ができる。
それはぬ~べ~の生徒への愛の成せる技だ。妖狐の玉藻にはない
愛という感情を理解すれば玉藻にもぬ~べ~のように無限の霊力が手に入るはずだ。
他人を助け、愛という感情を得るために玉藻は医者になったのだという。
 玉藻は女子大生のレントゲン写真を見せた。心臓の横に、しこりがある。
医学的には謎の腫瘍、だがこれは、女子大生にとり憑いている霊の姿だ。
 玉藻は女子大生の除霊に取り掛かった。すると、女子大生の体の中から醜い女の霊が現れた。
醜さゆえに誰からも愛されず、美しい女を嫉んではとり憑いていたのだ。
玉藻は霊を切り裂こうとするが、ぬ~べ~は自分の体でそれを止める。
「こんな哀れな霊を斬るなど俺が許さん。どんな霊にも憐れみは必要だ」
霊はまた女子大生の体の中へ戻ってしまった。
「私が人間を助ける事で人の愛を知り、貴方以上に強くなる事を恐れたのか!?
 しょせん貴方も薄汚い人間だ!彼女はもう助からない!貴方が殺したも同然だ!」
玉藻はぬ~べ~を非難した。

 女子大生のレントゲンを撮ると、心臓の横の腫瘍――霊の姿が消えていた。
霊は成仏して、自分から消滅していたのだった。
「私はまだまだ人間の心を勉強する必要があるようですね。
 だがいつか必ずあなたを越える霊力を手に入れて見せますよ…鵺野先生」



74 :地獄先生ぬ~べ~ 18 :04/04/24 04:50 ID:???
鬼の手の秘密(前編)

 鬼の手が暴走した。玉藻は広たちからそう聞き、ぬ~べ~の元へと駆けつけた。
左手首から先だけにあった鬼の手が、左肩まで広がっていた。
今日は絶命受死日といい、ぬ~べ~の霊能力が一生のうちで最も下がる日なのだ。
そのため鬼の手を封印する力が弱っていた。このままではぬ~べ~は鬼に身も心も支配されてしまう。
味方になる気などないが、ライバルをこんな形で失いたくもない。
玉藻はぬ~べ~の変わりに鬼の手を封じようとするが、一体どうやって封じたのかがわからない。
最初にぬ~べ~が鬼の手を封印した方法がわからなければ。
 ぬ~べ~は新任で童守小へやって来て、鬼に憑かれた生徒を除霊し、鬼の手はその時に封じた物だ。
それ以上は誰も知らず、除霊を行った教室は開かずの間になっている。
玉藻と広と郷子はその教室へ入り、玉藻の力によって過去の映像を見た。
 まだ人間の左手を持っているぬ~べ~の映像が見えた。まるで本当に目の前にいるかのように
リアルな映像だが、触れる事は出来ない。思考も過去の気として残るため、当時のぬ~べ~の
考えている事も頭の中に流れ込んできて、三人はぬ~べ~に美奈子という恩師がいた事、
そしてその恩師との悲しい別れを知った。
 何かに憑かれている生徒が、学校で飼われている鶏を生のまま食べている所を見つける。
ぬ~べ~は除霊をしようと放課後、その生徒を椅子にくくりつけ、生徒にとり憑いているものの姿を現させた。
それはただそこにいるだけで、気によって周りの物を壊すほどの巨大で凶悪な鬼だった。
その鬼の最初の一撃で、ぬ~べ~の左手首から先はちぎれ飛んだ。
「バカな!こいつを封印したというのか?私の想像よりもはるかにこの鬼は…
 勝てるわけがない。…この鬼の霊力は鵺野先生の数百倍…私は間違った過去を見ているのか?」
玉藻は驚愕した。



97 :地獄先生ぬ~べ~ 19 :04/04/24 13:20 ID:???
鬼の手の秘密(後編)

 ちぎれた左手を止血しながら、ぬ~べ~は美奈子を思い出す。
俺は美奈子先生と同じ教師になった。貴方と同じように霊に憑かれて困っている子供を救うために。
貴方は俺に憑いた悪霊を祓うために自らの命を投げ出した。
俺はその遺志を継いだのだ。必ず…必ず生徒を助けてみせる。
ぬ~べ~は左手を失いながらも、果敢に鬼に向かい立つ。
しかし攻撃され、床に倒れた。鬼はとどめをさそうとするが、様子がおかしくなった。
「私を…封じなさい。早く…今のうちに。私は…信頼している貴方に、貴方の力で封じこめられるために…来た」
鬼はそう言うと、自らの顔を裂いた。そこから美奈子先生の顔が現れた。
「ば、馬鹿な。俺は夢を見ているのか!?」
「これは現実よ。しっかり受け止めてちょうだい。」
美奈子は泣きながら説明する。
「私は貴方の除霊に失敗して殺された。
 その後私の魂は地獄の奥深くに引きずられたのです。
 悪霊たちにすればそれが私への復讐だったのでしょう。
 私の魂は地獄の鬼に吸収されました。霊力の強い私の魂は鬼にとっては格好の餌食でした。
 私は吸収され、鬼の一部になったのです。だけど…鬼の中で私の意識は残りました。
 だから鬼が世に災いを起こすため現世へ来た時、貴方に封じてもらうため、ここに来るよう仕向けたのです」
嘘だ!ぬ~べ~は泣き叫んだ。



98 :地獄先生ぬ~べ~ 20 :04/04/24 13:22 ID:???
「さあ早く…!放っておけばこの鬼は何人もの子供を殺すわ!私もろとも鬼を封印するのよ!
 何をためらってるの?鵺野くん!貴方は教師なのよ!」
玉藻は鬼の力が弱まるのを感じた。美奈子が内側から鬼の力を抑えているのだ。
ぬ~べ~は、泣き叫びながら鬼へと向かい、失った自らの左手に鬼を封じた。
「美奈子先生…いつか必ず貴方を鬼から救ってみせます。その日まで俺は悪霊たちから生徒を守ります。
 貴方の魂の宿った、この鬼の手で……」
鬼の手はぬ~べ~一人の力で封じたわけではなかったのだ。
美奈子の魂が協力し、内と外から二重の封印をしていたのだ。
 玉藻達は現代のぬ~べ~の元へと帰り、鬼の手の中にいる美奈子を呼び覚ませた。
「立派になりましたね、鵺野くん。私はいつでも貴方を見守っているわ。
 さあ…元気におなりなさい。貴方の霊能力が下がった今日は、私が全力で鬼を抑えます」
美奈子の力により、鬼の手は暴走を止め元に戻った。広と郷子は喜び、ぬ~べ~に飛びついた。
 鬼の手は最強の武器であると共に諸刃の剣でもある。
そこには一つの悲しいエピソードがあった。



104 :地獄先生ぬ~べ~ 21 :04/04/24 14:05 ID:???
妖狐・過去の名前の巻

賞味期限の過ぎたまんじゅうを食べたため、腹痛を起こしたぬ~べ~たちは
玉藻のいる病院へと向かった。すると、玉藻の所で騒ぎが起こっていた。
「会いたかったわ明彦さん!ずっと探していたのよ!今までどこへ行っていたの!?」
患者として玉藻の元へきた岩崎友絵は、玉藻に抱きつきそう叫ぶ。
「人違いだ。私は明彦という名では…」玉藻は否定する。
「嘘よ!私達あんなに深く愛し合っていたじゃない。間違えるはずがないわ。
 貴方は南雲明彦…私の恋人よ!」他の患者に迷惑だからと友絵はその場から出された。
 ぬ~べ~は玉藻から事情を聞く。玉藻は、明彦は自分のもう一つの名だと言う。
妖狐が化けるには人のドクロを使う。玉藻の使うドクロは行き倒れの既に死んでいた登山者の物だ。
持ち物でわかったが、その死体は民俗学を研究する南雲明彦という学生だった。
今の玉藻の姿はドクロの持ち主である南雲に瓜二つ。友絵が間違うのも無理が無い。
「深く愛し合った仲なら、いずれ本物との違いに気づくでしょう。もし…私の正体を知られたら…」

 玉藻が自室へ帰ると、友絵が居た。明彦と撮った写真を管理人に見せ、鍵を借りたのだという。
「これ民俗学の研究資料でしょう?こんな変なもの集めるの変わり者のあなたしか…」
首さすまたに触れる友絵に玉藻は怒り首を締めた。怒りで玉藻は妖狐としての新の姿を現す。
友絵は逃げ出し、それを追いかけようとして玉藻は待ち構えていたぬ~べ~に会う。
「心配になって来てみれば…お前は人間の愛を理解したいと言っていたはずだ。その言葉は嘘だったのか?」
「あの女を放っておいては人間を理解するという私の目的が果たせなくなるんですよ。
 私は目的のためなら手段を選ばない…」
 友絵は一人町を歩いていた。あれは何だったのだろう。人間ではなかった。
明彦は狐の伝承をテーマにし、最後に出会った日、妖狐伝説を求めて山へ行った。
もしかして彼は狐にとり憑かれたの?友絵は真実を知りたくて玉藻の元へ行く。
二人は車に乗り童守港へ向かう。



106 :地獄先生ぬ~べ~ 22 :04/04/24 14:44 ID:???
 口封じに彼女を殺すのではないかとぬ~べ~は後を追う。二人は童守港につくと車から降りた。
「私は明彦さんを愛していた。彼は私の人生だったの。貴方が化け物でも何でもかまわない。
 明彦さんの事を知っているのでしょう?教えて、あの人は生きているの?」
涙を浮かべながらそう問う友絵に、玉藻は「明彦は死んだ」と答える。
明彦がいないのならば生きている意味がない。友絵は車に乗り込み事故を起こし自殺しようとする。
玉藻は炎上する車から友絵を助ける。「命を粗末にするな」玉藻はそう言い、明彦の遺品を渡した。
「明彦は山で遭難して死んだ。私は妖狐・玉藻。わけあって彼の姿を借りている。ここに連れてきたのは
 その話と、遺品を渡すためだ。魂は、地上に強く思う人がいると成仏できない。
 ましてや君が自殺して自縛霊となり地上に残れば彼の魂は永遠に成仏できなくなる。
 忘れろ…そして新しい愛を見つけるのだ。それが明彦のためでもある…」
友絵は泣きながら頷いた。陰で隠れて見ていたぬ~べ~は現れ玉藻に言う。
「少しは人間の心ってもんが理解できるようになったか?」
「別に…あの女を殺して貴方の怒りを買うより説得して諦めさせた方が良いと判断したのでね。
 私は狐です。口先で人を丸め込むのは得意ですから…」玉藻はそう言うが、
ぬ~べ~は玉藻が少しずつ人間に近づいてきたのではないかと思った。



109 :地獄先生ぬ~べ~ 23 :04/04/24 15:46 ID:???
木枯らしに消えた雪女の巻

日夜ゆきめはぬ~べ~に必死にアプローチするが、ぬ~べ~はゆきめに冷たい態度をとり、リツコにでれでれするばかり。
「鵺野先生…私の事を嫌っているの?私が妖怪だからいけないの?」
ゆきめは手作りのぬ~べ~人形を抱きかかえ、自室で泣いた。
するとそこに、一本ダタラが現れた。山の神の使い魔が何故ここに?
「その様子じゃ山へ帰る気はないようだな。ならばいっそ人間になれと山神様はおっしゃった。
 雪女が人間になるには、美しい女を氷づけにしてその魂を奪えばいいのさ」
本当に人間になれるの?でも、人を殺すなんて…美しい女…リツコ先生?
 ゆきめは陰からリツコを見る。氷の心を失ったゆきめには躊躇いなく人を殺す事はできない。
迷うゆきめに痺れを切らした一本ダタラは、雪を使い、リツコを拉致した。
ゆきめはリツコを下着姿にして、手足の自由を氷で奪った。何故こんな事をするのとリツコは泣く。
「貴方を凍らせて魂を奪うの。そうすれば私…人間になれるのよ。妖怪のままじゃ、
 鵺野先生と結ばれないもの…私は先生が好きなの!愛しているの!」
ゆきめもそう言い涙を浮かべる。妖怪である限りぬ~べ~は自分を愛してくれないのだ。
一本ダタラは「強い気が近づいてきた邪魔が入らないうち早く殺せ」とゆきめを急かす。
ぬ~べ~がゆきめを追ってきたのだ。ゆきめはリツコを殺そうと力をこめる。
しかし、暖かい心を持ってしまったゆきめには出来なかった。ゆきめはリツコに謝る。
「人を殺せば人間になれるなど嘘だ。人を殺せばお前は一人前の雪女として山に連れて帰れたが…
 それが出来んようでは貴様は妖怪失格、妖気を枯らして雪に戻せと山の神は言われたのだ」
全てが嘘だと知り、ゆきめはリツコを逃がし、一本ダタラを攻撃する



110 :地獄先生ぬ~べ~ 24 :04/04/24 15:51 ID:???
 逃げ出したリツコは、ぬ~べ~に助けられる。中は危険だから行くなとリツコはぬ~べ~にすがる。
「私…貴方が……鵺野先生の事が…好きです。だから…行かないで…死なないで…」
リツコはぬ~べ~に愛を告白する。しかしぬ~べ~はそれを喜べなかった。
「でも…俺はゆきめが好きなんだ…命にかえても助けに行く…」ぬ~べ~はゆきめの元へ走った。
 いつだって ゆきめは俺に対して真剣だった。雪女の掟を破り、
とても耐えられない夏の人間の町でも住み着いた。なのに俺は妖怪だというだけで
ゆきめの気持ちに答えてもやらず…今、やっとわかった。俺はゆきめを愛しているのだ。
ぬ~べ~は自分のゆきめへの愛に気づいた。
 辿り着くと、ボロボロになったゆきめが氷の壁に磔にされていた。
一本ダタラはぬ~べ~を攻撃する。ゆきめはぬ~べ~を助けるため力を振り絞り、
一本ダタラを攻撃する。「お前にはもう妖力はないはず!」一本ダタラが叫びながら死んでいく。
その途端、氷でつくられた洞穴は消えた。
「人を愛する心ってのはね…ゼロからでも力を振り絞れるのよ…」
倒れるゆきめをぬ~べ~は支え、「やっと自分の気持ちに気づいた。愛している」と言った。
「ああ うれしい…私…幸せです。でも私…もう…妖力を使い果たして…」
ゆきめの体は雪となって消えていった。その場にいた郷子は泣き出す。広はそれを支える。
「ゆきめさん…本当に死んじゃったのか……?」リツコも泣きながら答える。
「彼女は…雪に戻ったのよ…きっとまたどこかの山に降ってそこで生まれ変わるのよ…きっと…どこかの山で…」



227 :地獄先生ぬ~べ~ 25 :04/04/26 21:33 ID:???
リツコ先生、がんばる!の巻

 昔、怖い体育の先生がいた。忘れんぼの子はその先生の授業の前に
赤白帽を無くし、先生に怒られるのが怖くて三階から飛び降り自殺をした。
その子は霊となってからも赤白帽を探して校内を彷徨っている。
地面に落ちた時に頭皮がはがれ、その霊のシルエットは、赤白帽をかぶっているように見える。
そのためか、いつしか「赤白帽」と呼ばれるようになったその霊は、ひどく錯乱していて、
出会った人を無差別に襲うという……
 童守小で、赤白帽に襲われる児童が多発した。ぬ~べ~は除霊しようとするが、
熱が出ているために失敗してしまう。このままでは生徒達が危険だ。
リツコはぬ~べ~の代わりに除霊をしようと、広・郷子・美樹を連れ、夜の校内を歩き回った。
極度の怖がりのリツコを美樹が面白がって脅かし、リツコはその場を一人走り去り、皆からはぐれてしまった。
我に帰ったリツコは、暗い夜の校内に怯え、震えながら皆を探す。
「ないよ…ここにもない……みつからない…みつからないよおお…おこられるよおお~…」
生徒が教室の中で泣いていた。こんな時間に何故?リツコは怯えながら近寄る。
リツコに気づき振り向いた生徒は、頭皮がはがれ、血を流していた。赤白帽だ。
赤白帽は泣き叫びながらリツコに襲い掛かった。
 熱の引いたぬ~べ~は、リツコの悲鳴を聞いて現場へ向かった。
そこには、赤白帽を抱きしめるリツコの姿があった。
「可哀相に。こんなに怯えて…貴方がこんな霊になったのは私達教師の責任よ。
 もう探さなくてもいいのよ。貴方はとても良い子だから。だから…さあ…おやすみ」
リツコのその言葉に赤白帽は成仏していった。霊への憐れみの心が経文と同じ効果を上げたのだ。
「みごとでしたよ…しかし、人一番怖がりの貴方が何故除霊など…」ぬ~べ~は聞く。
「少しでも貴方の役に立ちたかったの。わかっています…貴方の心にはまだあの子の事が…
 でも私は貴方が好き。だからいつでも傍にいたいし力になってあげたい。
 それにあの子が教えてくれたわ。叶いそうにない恋でも、思っていれば必ず相手に届くって…」
ぬ~べ~はただ戸惑うばかりだった。



229 :地獄先生ぬ~べ~ 26 :04/04/26 22:17 ID:???
謎の人体発火現象の巻

 いずなの身に、突然服や靴などが燃え出すのに体には火傷一つなく、
全裸状態になるという不思議な現象が頻繁に起こるようになった。
これでは着る物にも困る。いずなはぬ~べ~に相談する。
1886年カルフォルニアでは見るだけで物が燃やせる少年がおり、
1929年西インド諸島では突然服だけが燃え、常に着る物に困っている女性がいた。
これらの事例は人体発火現象と呼ばれている。
「こういう現象は不安定な精神が、思春期の抑圧された性欲が引き起こすと言われている。
特に君のような霊能力の強い子が。もしかして恋でもしたんじゃないか?
恥ずかしがるなよ相談に乗るぞ」ぬ~べ~はそう言うが、いずなは恥ずかしがって言わない。
 美樹は1951年フロリダで人体発火の末足首だけを残して燃え尽きた女性の話をした。
最悪の場合いずなもそうなってしまうかもしれない。理由を話せと言う。
いずなは恥じらいながらも、道ですれ違った男子生徒に恋をしている事を打ち明ける。
告白しないからストレスが溜まって発火するのだ、告白しろと美樹達は言う。
しかし男子生徒には恋人がいた。ショックでいずなの霊力は異常に上がり始めた。
このままでは炎が身を守る力を上回って燃えてしまう。いずなは泣きながら海へ向かって走り出す。
「海に飛び込んで消すつもりか!?あの高温で水に触れたら水蒸気爆発をおこすぞ!」
陰からいずなの様子を見ていたぬ~べ~は慌てて飛び出し、鬼の手を出した。
こうなったら鬼の手でいずなの恋に関する記憶を消すしかない。
しかしいずなは海の手前で止まり「バカヤロー!」と叫んだ。途端に火は消えていった。
「落ち込むもんか…たかが失恋くらいで」全裸のいずなにぬ~べ~は服を渡した。
失恋したり泣いたり裸になったりと恥ずかしい所見られたいずなはぬ~べ~を睨み付ける。
すると、ぬ~べ~の体が燃え始めた。
「どうやら発火現象をコントロール出来るようになったなったわ。また将来の大霊能力者に近づいたわ!」



231 :地獄先生ぬ~べ~ 27 :04/04/26 22:57 ID:???
女郎蜘蛛の巻

糸美という何年生かも、そもそも童守小の生徒かもわからない美少女が現れた。
彼女はすぐに男子生徒の中でアイドルと化した。ぬ~べ~は糸美から妖気を感じ、
糸美を霊視した。すると、糸美の頭の辺りから赤い糸が生えでて、それが糸美の
とりことなった男子生徒達に伸びている事に気づいた。
糸美に邪気が無いので、ぬ~べ~は一先ず糸美を放っておく。
しかし何か引っかかり、図書室で妖怪に関する書物を紐解いた。
 どの民族学者も言っている。妖怪とは人間の心が生み出した物だ。
それらは悲しみや恐怖などの負の感情から生まれる事が多い。
その妖怪の能力は人間に害を与える…。雪山への恐怖が生んだ雪女の能力が、
男を凍らせその魂を奪う能力であったように。きっと、あの子の能力も……。

 糸美は放課後に一人で苦しんでいた。体が変形していく。自分が違うモノに変わっていく。
糸美の赤い糸をつけられた男子生徒達は、むくりと起き上がり糸美の元へ向かった。
巨大な蜘蛛――変形した糸美は男子生徒を食らおうと牙を向けた。
「やめるんだ糸美!人間を…殺してはいけない!」ぬ~べ~が現れ言うと、糸美は人間の姿へと戻った。
糸美は泣きながら言う。頭の中で声がする、お前は人の恐怖を吸って生まれた
人を食え、食わねばお前は元の年老いた蜘蛛に戻る。そして今夜寿命で死ぬと。
「でも、でも…私出来ない。皆を食べて…殺して…そんな事をしてまで私…この世にいたくない!
 皆に…皆に伝えて…短い間だったけど、楽しかったって…」
――ねえ…先生…妖怪って幸せになれないの…?
泣く糸美がぬ~べ~には、死んだゆきめと重なって見えた。ぬ~べ~は神に祈る。
「この子の魂を成仏させたまえ。そして来世には人間として生まれ変われるように…!」
糸美はぬ~べ~の腕の中で、小さな蜘蛛の死体へと姿を変えた。
ぬ~べ~がその小さな蜘蛛を、校庭の片隅に埋めた事を知る者は誰もいない。



355 :地獄先生ぬ~べ~ 28 :04/04/29 17:53 ID:???
鬼の手・超パワーアップ!?の巻

 その昔、役行者(えんのぎょうじゃ)という史上最強のパワーを持つ霊能力が居た。
彼は『御鬼輪(ぎょきりん)』という、地獄の鬼を自在に操る法具を
『前鬼』『後鬼』という鬼にはめ、自分の思うままに操ったという。
 その御鬼輪が童守寺から見つかったという。ぬ~べ~は怪しみながらも
左手に御鬼輪をつける。すると、鬼の手が刀のような形に変形した。
戻れと念じると、鬼の手の形は戻った。鬼の手の形が自在に変えれるとは…本物だ。
これがあれば鬼の手を制御出来る。鬼の手の中にいる美奈子先生を救える。
美奈子を鬼の手の中から出し、成仏させてあげたいが、ぬ~べ~一人の力では鬼の手は制御できない。
しかし御鬼輪で100%鬼の手を制御できれば、美奈子の魂を鬼の手から開放出来る…
 夜の校庭で、ぬ~べ~は御鬼輪でどれだけ鬼の手を開放出来るか試す。
刀のように、ムチのように、鎌のように鬼の手は変形する。かなりの精神力を要した。
美奈子は「私のために無理をしないで」と言うが、ぬ~べ~は御鬼輪を使い続けた。
「俺は貴方を鬼の手から救うと約束した…これは俺の人生の、霊能力者 鵺野鳴介としての最大の目標なのです!」
 翌日、姉が妖怪にとり憑かれている、退治してくれと生徒から頼まれた。
どれだけ鬼の手の力が開放できるかという実験もかね、ぬ~べ~は妖怪と戦った。
しかし、妖怪を倒せたものの、御鬼輪は力を50%開放した所で壊れてしまった。
「それは本物の御鬼輪ではないのです…少し名の知れた高僧が作ったまがいものだったのでしょう…」
美奈子の言葉に、ぬ~べ~は涙を流し、血が出るまで拳を地面に叩きつけた。
あと少しで美奈子先生を助ける事ができたのに…
だが、希望もわいた。この世のどこかに必ず本物の御鬼輪がある。
それを見つけて必ず…必ず美奈子先生を助けてみせる…



356 :地獄先生ぬ~べ~ 29 :04/04/29 17:58 ID:???
ゆきめ再開の巻

 童守小の生徒たちは、スキー場へ来ていた。地元の人の話によれば、最近雪女に襲われる者が続出してるという。
ぬ~べ~の頭にはゆきめが浮かぶ。ゆきめは山の神の使いにより雪の結晶に戻った。生きているはずがない。
しかしこのスキー場は、五年前始めてゆきめと出会った場所だ…
ぬ~べ~は夜中一人でスキー場へ出た。広・郷子・美樹もそれを追う。
しばらく歩くと、山小屋を発見した。中から強力な妖気を感じ、
ぬ~べ~は広達と共に山小屋の中へ入る。中には、以前と変わらぬ姿のゆきめがいた。
「掟は破ったが、あまりに可哀相だと山の神が哀れみをかけてくれて
もとの姿に再生してくれたのです」ゆきめは熱い鍋物をぬ~べ~達によそいながら言った。
 生徒達が眠ってから、ゆきめはぬ~べ~に「愛し合いましょう」と迫る。ぬ~べ~はゆきめの目に冷たい物を感じ、拒む。
「君はゆきめじゃない。ゆきめは温かい料理などつくれない!いつも冷たい物を俺に食べさせ困らせていた!
君は誰だ!何故ゆきめの姿で俺の前に現れた!?今も俺を殺そうとしたな?…いったい…」
「その通り。私はゆきめじゃないわ。貴方達の事も山の神に聞いて知っただけ。ゆきめは死んだわ。
そして雪の結晶に戻った。山の神はその結晶を再生して私を作った。でも、人間に恋するような
出来損ないの雪女…ゆきめの心までは再生しなかった。そして新たに別の人格を吹き込んだの。
伝説通りの冷酷な雪女の心をね!」ゆきめは氷と雪でぬ~べ~に攻撃する。途端に山小屋は消えた。山小屋は幻覚だったのだ。
「思い出せゆきめ!お前の体がゆきめの結晶で出来ているなら、その結晶の一つ一つにゆきめの記憶があるはずだ!
鬼の手よ!俺の心の中の思い出を彼女に伝えよ!」鬼の手を介し、ゆきめは全てを思い出す。
幼い頃にぬ~べ~に危機を救われ、ぬ~べ~を一生愛し続けると誓った事を…
ゆきめは涙を流しぬ~べ~に抱きつくが、冷酷な雪女としての心がそれを拒否する。
「ゆきめ…その人間に近づくな!そいつはお前をたぶらかす。山へ帰れ!」ゆきめの頭に山の神の声が響く。
ゆきめはその場を去った。あの様子ではゆきめはもう人間を傷つけないだろう。
ぬ~べ~は生徒達とともに童守町へ戻った。いつの日かゆきめが童守町へ帰るのを待ち望みながら。



420 :地獄先生ぬ~べ~ 30 :04/05/02 20:18 ID:???
ゆきめ・童守町へ帰るの巻

 ゆきめは山の中で一人、ぬ~べ~に会った時の事を思い出しては不思議な胸の痛みを感じていた。
この痛みは、溢れる涙は何なのだろう。ゆきめはその正体を知る為に、童守町へ向った。
 そこでゆきめは以前自分が使っていた生活用品を発見する。
その一つ一つに宿るぬ~べ~との記憶をゆきめは思い出す。
ゆきめの存在に気付いていたぬ~べ~は、生徒達と共にゆきめを歓迎する。山には無かったもの、温かいもの…
自分の望んでいたものはこれだとゆきめは喜びの涙を流す。
すると、いつの間にかゆきめの荷物に紛れ込んでいたこだまねずみという山の神の使いの妖怪が現れた。
また掟を破って人間界で男と暮す気か、と使い魔は言い体を風船のように膨らませた。
こだまねずみは膨れて爆発する事で掟を破った者を抹殺するのだ。
ぬ~べ~はこだまねずみから生徒とゆきめを守った。
ゆきめはぬ~べ~に抱きつくが、すぐに体を離す。
「私…やっぱり以前のゆきめじゃない。いくらゆきめの魂を持っていても
性格が違う、妖気が違う…私の中の二人のゆきめが統合し
元のゆきめに戻るにはまだ時間がかかる…それまで…待って下さい」
 こうして新しく生まれ変わったゆきめは童守町へ戻ってきた。



421 :地獄先生ぬ~べ~ 31 :04/05/02 20:19 ID:???
童守小・恋の大混戦!の巻

以前と違い、熱い料理も作れるようになったゆきめは早速熱いお弁当を作ってぬ~べ~のもとへ向う。
そこでゆきめは、ぬ~べ~がリツコにデレデレしている所を見てしまう。
ゆきめは怒るが、ぬ~べ~は優柔不断な態度をとるばかり。
「私 山に帰る!そしてまた人間を襲う凶悪妖怪に戻ってやる!」
ゆきめは町へ飛び出す。折角元に戻りかけていたゆきめの魂は山の神に吹き込まれた冷酷な雪女に戻ってしまった。
「どうせ山に帰るんだ、お土産に男を凍らせて山に持って帰ろう」
ゆきめは顔の良い男を見つけては氷で手足の自由を奪い、
有る程度の数の男を凍らせてから、本格的に男達の魂を奪おうとした。
契りの口付けをすれば男達の体も魂もゆきめの物になるのだ。
そこへぬ~べ~が現れるが、ゆきめは構わず男に口付けしようとする。
「俺としろ!」ぬ~べ~はゆきめを男から引き離し、ゆきめに激しいキスをした。
キスでぬ~べ~の本当の気持ちを知り、ゆきめは元に戻った。



422 :地獄先生ぬ~べ~ 32 :04/05/02 20:21 ID:???
ぬ~べ~・過去を知る男の巻

ぬ~べ~は生徒達と共に心霊番組を見る。
番組では無限界時空という霊能力者が除霊をしている所だった。
時空はかなりの力を持つ霊能力者だが、同時に数百万という金を巻き上げるがめつい男でもあるのだという。
 ぬ~べ~は広と同じサッカー部の生徒を除霊しに行った。
生徒は体中に膿んだ傷を持っている。ヤコオ憑きという、小さな傷から体に入り込み、その後どんな小さな傷でも
毒の舌で舐めて化膿させて広げていくという厄介な悪霊だ。
生徒の母親はお金が無く何のお礼も出来ないというが、
「いえ、『人間バカになって人を救え』ですよ」ぬ~べ~は笑顔で返す。
すると、時空が現れた。生徒の父親が家を担保にして呼んだのだという。
「フン…バカになって人を救えだと?笑止な!相変わらずだなクズ教師!」
ぬ~べ~を知った様子の時空は嘲笑う。他の者を出し、二人で除霊する事に。
「ヤコオ憑きのおとし方は憑かれた者を吉方に向け寝かせ体に浄水をかけ
胸に十字を書き剣を腹に置き、左に三転させておとすという」時空は刀を出しながら言う。
「的確な除霊方だ。何故その力を金儲けなどに?」ぬ~べ~の言葉に時空は語りだした。



424 :地獄先生ぬ~べ~ 33 :04/05/02 20:25 ID:???
 昔は時空にも、貧しいが幸せな親子三人の家庭があった。
その頃の時空はどんな除霊にも金を取らない善意の霊能力者だった。
時空は町中の人々から好かれていた。それが誇りだった。
ある日最愛の妻が病に倒れた。病気は重く、手術には大金が必要だった。
時空は妻を救うため、今まで自分が救った者達に金を貸してくれと駆けずり回った。
しかし彼らは時空を煙たがり追い払った。雨の中走り回り家へ帰ると、泣く幼い息子の傍らで、妻は冷たくなっていた。

「その時俺はわかった。善意などただの綺麗事、金こそがこの世の全てだと」
叫ぶ時空の横で、ヤコオ憑きが暴れだした。ヤコオ憑きは刀を奪い、それで時空の顔を傷つけた。
ヤコオ憑きは傷に憑く…時空に憑こうと飛び掛るヤコオ憑きから時空を救うため、
ぬ~べ~は自らの左手に傷をつけた。左手に憑いたヤコオ憑きを、
ぬ~べ~は鬼の手の封印を一時的に開放して吹き飛ばした。
「それは貴様にとっても危険な方法なはずだ。それを何故好かぬ俺のために?」
時空の返答にぬ~べ~は静かに答える。
「死んだあんたの妻はあんたが善意で人を救う姿を愛していた。
俺にもそうなって欲しいと………人間バカになって人を救え。
それは母さんが死ぬ間際に俺に遺した言葉だ……親父」
「…くだらん。それにもう…俺を父と呼ぶな。…俺は…お前を捨てた……」
動揺しながら時空は言う。
時空は除霊された生徒の父親に「金はいらん除霊したのはあいつだ」と言い、
金を受取らずにその場を去っていった。



38 :地獄先生ぬ~べ~34 :04/05/04 03:58 ID:???
ぬ~べ~・ゆきめ愛の最終決戦!?の巻(前編)

 岩手県大雪村では、全身から植物が生えてくるという謎の奇病が流行っていた。
調査を頼まれた時空は、雪女…ゆきめがぬ~べ~に恋をし、山を去った事で山神が怒り、
その怒りが村人達に向けられた事を知り童森町へ向った。
 放課後のぬ~べ~とのデートが待ち切れず、学校へ来ていたゆきめは、
学校へ訪れた時空に除霊されそうになる。何をすると怒るぬ~べ~に時空は言う。
「そいつが山を離れ人間界で暮す事で山神は怒り付近の山村の住人に祟りを及ばした。
雪女、お前が人間の町で暮す限り村の人々は祟りに苦しめられる」ゆきめは動揺する。
「こいつは金目当ての汚い男だ。山の神を鎮めて村人達から金を巻き上げる
一番手っ取り早い方法はゆきめを殺す事。だからここへ来たんだ。全て金目当てだ。
俺がお前を殺さずに山の神を鎮める方法を考える。
時空、ゆきめを殺すというのなら俺は戦うぞ、例え相手が実の父親のあんたであってもだ!」
時空がぬ~べ~の父親?驚く生徒やゆきめを他所に、時空は天界の武神の力を
自らの身におろす隠形法という術を使い、ぬ~べ~を攻撃した。
「親父…いつまで人の心を捨てたままで生きるつもりだ…母さんが薬を買う金も無いまま
死んだ時、あんたは変わった。法外な値段で除霊をする金の亡者に…確かにあの時
金さえあれば母さんは死なずに済んだかもしれない。今のあんたほどの金があれば…
だが、それで母さんが喜ぶと思うのか!?母さんは、貧しくても優しい心で人を助けるあんたを、
あんたを愛していたんだ!」ぬ~べ~は鬼の手で時空を攻撃した。時空は術を解く。
 ぬ~べ~はゆきめを連れ、山の神の元へ向かった。ゆきめとの事を許してもらうために、
怒りを鎮め、山村の人々への祟りを解いてもらうために。山の神にとっては人間などゴミに等しい。
言う事など聞いてくれないかもしれない。妖怪とは力も桁違いで、戦っても死ぬかもしれない。
それでも、命をかけてでもゆきめを守りたい。
そこで悲しい別れが待っている事など、ぬ~べ~は知らずにいた…



39 :地獄先生ぬ~べ~35 :04/05/04 04:06 ID:???
ぬ~べ~・ゆきめ愛の最終決戦!?の巻(後編)

 ぬ~べ~はゆきめは大雪村についた。辺りは吹雪で真っ白だ。
「やっぱり先生は帰って!山の神は私を許さない。私一人で罰を受けます!」
「ゆきめのいない町になど帰っても意味がないよ。もう一人にしないでくれ」
吹雪は更に強くなり、雪崩が起こり、二人は崖底の洞窟の前へと落ちていく。
洞窟は山の神の体の一部だった。巨大な山の神はぬ~べ~に言う。
「人間よ なぜ雪女を連れ出す。雪女は自然神が造った山の精霊、
雪女は森羅万象自然の一環なのだ。それを連れ出す事は自然界の掟を破る事だ」
「ゆきめは人間の心を持っている。貴方が造ったには違いないが、人に近くなりすぎて
もう本来の雪女としての仕事は出来ない。どうかゆきめが人間界で暮す事を許してください!」
突如、山が噴火した。「掟を破りし者!滅びよ!」山の神は叫ぶ。巨大な火の塊が二人に襲いかかろうとする。
そこに時空が現れ、錫杖で火の塊を払い二人を救った。時空は背中から縄のような物を出しながら訊く。
「鳴介…母さんが死ぬとき…お前にしか聞こえない呟き声で言った言葉、もう一度聞かせてくれ」
人間バカになって人を救え、その言葉をぬ~べ~は口にする。時空は目に涙を浮かべる。
「俺は気付いたのだ。自分が間違っている事に。だが今更どうしようもなかった。
こんな汚れた俺を父とは呼ばせたくなかった。俺は幼いお前を捨てて…金の為に汚い事を山ほどやったのだ。
父親らしい事は何一つしてやれなかった。今…せめてもの償いをさせてくれ。鳴介…その娘と幸せに暮せ」
「何をするんだ!?」ぬ~べ~は叫ぶ。時空はそれを無視し、経文を唱えながら縄に霊力を込める。
「古来から人間は神の怒りをおさめるために強い霊能力を持った人間が命を捨てて自然神を封印してきた
……人柱となることで!!」叫びながら時空は縄で巨大な山の神を縛り、洞窟の中へ飛び込んでいった。
「親父ーーっ!」ぬ~べ~は叫び、時空を助けようとするが、洞窟が崩れたために無理だった。
時空の死により、山の神は封印された。吹雪も噴火も止まった。村人にかけられた祟りも解けるだろう。
「素晴らしいお父さんです。やっぱり先生のお父さんですものね…」ゆきめは泣きながら言う。
「ありがとう……親父」



337 名前:地獄先生ぬ~べ~ 36[sage] 投稿日:04/06/03 03:22 ID:???
 ぬ~べ~は通信簿をつけていた。広はサッカー一途だが勉強の向上心が無い。
克也は悪い事に憧れる傾向が。まことは甘えん坊で怖がりで頼りない。
郷子は規則を守る良い子だが怒りっぽく、すぐ手を出す。美樹は論外。
 ぬ~べ~は5人が「内緒で童守港へ行こう」と話し合っているのを盗み聞く。
気を練りあわせ、自分の分身を作る『陽神の術』をぬ~べ~は使う。
陽神は粘土のような物。形はいくらでも変えられる。ぬ~べ~は小学生ほどの
少年の姿の分身を作り、5人の元へ行く。5人は先週事故で半分沈没した
船に乗り込もうとしていた。船の中には大量のたまごっちがあると生徒の中で噂だ。

 ぬ~べ~は陽神明(ひのかみ・あきら)と名乗り、あの船はいつ沈むかわからず危険だ、
行くべきじゃないと郷子に言う。郷子は皆のストッパーだ。同意してくれるはずだ。
しかし郷子は怒って明を殴る。捨て猫が箱に乗って船に流れ着くのを郷子は見た。
悪い事かもしれないが、猫を見殺しにするような事はしたくないから行くと言う。
郷子がただ言われた規則を守るだけではなく、自分の中のモラルで行動する事を意外に思う。
 危ない事には変わりないからと明もついていく。船内の一室の隅に猫はいた。
少しでも体重がかかると猫の横の積荷が今にも崩れそうだ。自分は小さくて軽いからと、
まことは走っていく。まことの意外な勇気と優しさに明は驚く。倒れた積荷から明はまことをかばい、怪しまれぬよう怪我をしたふりをした。

 積荷からは大量のたまごっちが。生徒達はたまごっちをとる。
「それって盗みだぜ、よせよ」克也の声に皆はたまごっちを元の場所に戻した。
突風で船が揺れる。船へ来るまでに乗ってきたボートは流される。5人は揺れの少ない部屋に移動。
美樹は見つけてきた救急箱で明の怪我の治療をする。美樹の優しい一面に驚く。
船が更に傾く。皆はマストに掴まる。助けを呼ぶため、広は貨物室にあった照明弾を取りに行く。
海水で満たされた危険な貨物室へ。明が止めても、皆を助けたいと広は聞かなかった。
小学生として同等の立場にたって初めて、広の勇敢さがわかった。

 皆は照明弾に気付いた船に救助され、明はその場から姿を消した。
教壇の上からでは見れない生徒の素顔を知り、ぬ~べ~は内申欄を書き直した。



338 名前:地獄先生ぬ~べ~ 37[sage] 投稿日:04/06/03 03:27 ID:???
 強い妖気の存在に気付き、いずな、ゆきめ、速魚、玉藻はぬ~べ~のもとへと集まる。
あの妖気は、鬼の物だ。それも、ぬ~べ~の左手の鬼と同等の力を持つ…
推定してぬ~べ~の500倍ほどの力だ。左手の鬼と何か関係があるかもしれない。

 まだ修行中のいずなは帰される。帰り道で、中学生くらいの少年に話し掛けられる。
「鬼の匂いがする。鬼を封じた者の仲間だね」少年は右手から衝撃波を放つ。
いずなは倒れる。「無言の死もまた美しい」それを通りすがりの幼児が見ていた。
少年は幼児をも殺そうとする。傷を負いながらもいずなは立ち上がり、火を飛ばす。
しかし、その少年には効かない。炎の温度を上げ光球現象を起こし、少年にぶつける。
辺りには煙が漂うが、無傷の少年は右腕を刀のように変形させいずなを貫いた。

 意識不明のいずなは入院した。瀕死の重症だが、玉藻が気を送り一命を取り留めた。
病院へ強い妖気の持ち主が迫ってくる。いずなを襲った少年だ。
少年は絶鬼(ゼッキ)と名乗る。ぬ~べ~の左手に封じられた鬼の弟で、
兄を救うため焦熱地獄から人間界へ来たのだ。絶鬼は鬼の姿を現す。
ぬ~べ~、ゆきめ、玉藻が向かうが歯が立たない。絶鬼はとどめを刺さない。
「本気でやってよ。君には僕の兄さんを封じた時使った秘密の力があるはずだ。
その力を見せてくれよ!」美奈子の存在を知らない絶鬼は、ぬ~べ~に
鬼を封じるほどの特殊で強力な力があると思って警戒しているのだ。
絶鬼は鬼の手の力でぬ~べ~の心を読み、美奈子の存在を知る。
どうりで弱いはずだと絶鬼は笑い、飛び出してきた生徒達に衝撃波を向ける。
ぬ~べ~の力が20倍にも40倍にも上がり、衝撃波を消す。
「その力の上昇は誰かを守る時に起こるようだね。もっと大量の人間を傷つけよう。
君をもっと奮闘させられるように」絶鬼は笑い、羽を生やしてその場から飛び立つ。

 いずなと仲の良い童守寺の和尚は寺にあった妖しい法具を持ってくる。
中には、御鬼輪があった。ぬ~べ~は絶鬼を、再戦だと童守公園へ呼び出す。
童守公園には、絶鬼が地獄からやってきた時の空間の裂け目がある。
ぬ~べ~はそこに絶鬼を落とそうと考えているのだ。そこから落せば
亜空間法則で絶鬼は地獄の最下層に落ち二度と這い上がってこれないだろう。



339 名前:地獄先生ぬ~べ~ 38[sage] 投稿日:04/06/03 03:31 ID:???
 ぬ~べ~は絶鬼に御鬼輪をつけさせる。紛い物かもしれないが多少の力はある。
御鬼輪の力を甘くみていた絶鬼はあっさりと御鬼輪をつけ、ぬ~べ~とゆきめにボコボコにされる。
絶鬼は経文で縛られ凍らされ、空間の裂け目に落とされそうになる。
しかし絶鬼は御鬼輪を壊し、力を最大に上げ、ぬ~べ~達に襲い掛かる。
倒れる2人。生徒達はぬ~べ~を救うため、無謀にも絶鬼に向かい立つ。
殺されそうになる生徒達を玉藻はかばい、自分と絶鬼の周りに結界を張った。
ぬ~べ~のように、他者への愛で玉藻の霊力が上がっていく。
「すっかり人間に毒されたようだね。君、もう半分人間のにおいがするよ」
倒れているゆきめは絶鬼の足を掴み、動きを止めさせる。
「古来より妖狐が禁じ手としてきた、自らの命と引き換えに放つ大技……滅気怒(メギド)!」
結界内に『気』が荒れ狂い、地面が剥げて飛び交う。中にいる玉藻とゆきめも無事ではない。
しかし、それでも絶鬼は生きていた。離れた所で倒れていたぬ~べ~は、
玉藻の頭を潰す絶鬼と、その足元で溶けかけているゆきめの姿を見る。

 鬼である絶鬼の力を越すためには自らも鬼になればいい。
ぬ~べ~は左手の鬼の封印を解く。ぬ~べ~は鬼と化した。
「馬鹿め!鬼に支配されたな!さあ、兄さん一緒に人間どもを殺しまくろう!」
しかしぬ~べ~は精神力で鬼を支配していた。力が絶鬼を越す。
「俺はこの町で暮らす皆が好きだ。それを傷つける者は許さない。
たとえ俺の体が朽ち果てようと、心が砕けようと……!!」
何人もの人間の、恐ろしく強い思い、絆、愛。それを傷つけられた事により生まれた力。
絶鬼は鬼となったぬ~べ~に四肢をちぎられ、恐怖で泣きながら地獄に落とされた。
ぬ~べ~は人間に戻る。絶鬼を倒せたものの、代償はあまりに大きかった。

 目覚めると、いつもと変わらない姿の玉藻とゆきめがいた。
速魚の血により怪我が癒されたのだ。副作用として、皆頭が悪くなっていたが。
「さーみんなおバカになった所でお祝いしましょう」
絶鬼を倒したお祝いとして皆はラーメンを食べにいった。



340 名前:地獄先生ぬ~べ~ 39[sage] 投稿日:04/06/03 03:33 ID:???
 玉藻の元へ、母に連れられ、唐突もなく泣いたり笑ったりを繰り返す少女が来た。
原因はどうやら憑き物のようだ。少女の胸元には喜怒哀楽の表情をした
袋状の妖怪がついている。これは理袋(ことわりぶくろ)という。
理袋の中には人間の激しい感情が詰まっている。憑かれた者は唐突に
激しい感情に襲われるようになる。玉藻は少女から理袋を離す。
感情を与える妖怪……これをつければ人間の愛も理解出来るのだろうか?
人間の愛を知り、それにより無限の力を得る事を望んでいる玉藻は
理袋を自らの胸につけ、下らないギャグに笑いまくったり、
通りすがりの女性に一目惚れしたり、捨てられた猫を哀れに思い拾ったりした。
感情のセーブの効かない玉藻は自分に因縁をつけてきたチンピラを半殺しにする。
ぬ~べ~は理袋は心に取り憑き感情を暴走させ破壊すると言って止める。
玉藻は自分ならば制御できると拒む。二人が争う間に拾われた猫は道路に
飛び出し車に轢かれ死ぬ。玉藻は怒りと哀しみで妖弧の力を全開させ車の主を殺そうとする。
「愚かだぞ妖弧玉藻ともあろうものが…お前らしくもない。何を焦っているんだ」
ぬ~べ~は玉藻にとり憑いた理袋を退治する。玉藻は正気に戻る。

 玉藻は猫の死体を病院の片隅に埋め、独り呟く。
「もう あまり時間が…ない…」



345 名前:地獄先生ぬ~べ~ 40 投稿日:04/06/03 13:31 ID:???
ぬ~べ~クラスの山口晶がTVゲームをプレイ中に石化した。ゲームにこめられた呪いのせいだ。
ゲームはRPGで、呪いのために主人公が敵キャラに襲われると現実のプレイヤーも襲われる。
そして舞台はどうやら童守町らしい。除霊しようとしたぬ~べ~と玉藻も石化してしまう。
ゆきめは留守中だ。自分達で皆を救わねばならない。
晶がプレイ中に書き記した地図を頼りに、広・郷子・克也・美樹・まことは
丘の上の洋館・百刻館へ行く。その途中で陽神明が五人を止める。
しかし五人は言う事を聞かないので、渋々明は連れ添う事に。
百刻館の中には大量の妖怪がいた。明の姿では霊力はあまり使えず、
生徒を守りきれない。そこへ南雲京太と名乗る少年が現れ、首さすまたで皆を救う。
ぬ~べ~と同じく陽神の術を使った玉藻だ。

 七人は顔に包帯を巻き、帽子とマントをつけた男に出会う。
男は、自分が呪いのゲームを使い晶を石化させたのだと、
全国で同じような状態に陥った子供は百人はいるのだと言う。
男は不思議な呪文を唱える。すると、床にある不可思議な装置に空気中の妖気が集まり、
凝縮され、妖怪が現れた。明は童守寺で手に入れた霊殺石の玉を
ヨーヨーのように使い妖怪を倒し、逃げる男の後を追う。
しかし床に仕掛けられた穴から京太共々落ちてしまう。
罠にはまり二人は体を貫かれるが、陽神の体のため無事だった。

 京太はこの館の持ち主の妖怪博士――先ほどの男について話す。
本名、名鬼久作(なきり・きゅうさく)は10年前童守遺跡の調査の為に妻と共に
この館に住み着いた。童守遺跡は超古代文明の遺跡で、
研究の結果超古代文明では気をエネルギーとして利用していた事を知る。
しかし学会に発表しようにも気は見えない。
彼は比較的目に見え易い妖気を空中から集めて妖怪をつくる装置を発表した。
頭の固い学者達はインチキだと叫び装置を壊そうとする。作動中の装置は危険物だ。
それを止めようとし、名鬼の妻は死に、大怪我を負った名鬼は妖怪博士と
呼ばれるようになり、自身も姿を消した…。語る京太の背後に妖怪博士が現る。
彼は超古代文明の力を使い、特殊な鎧をその身に纏った。



346 名前:地獄先生ぬ~べ~ 41 投稿日:04/06/03 13:39 ID:???
 残された五人の生徒は妖怪に追いかけられ突き当たりまで追い詰められた。
「力を貸します…」女性の声が聞こえ、壁に掛けられた絵から光が放たれた。
光を恐れるように妖怪たちは逃げ出す。絵の裏には隠し部屋があり、
そこには右半身の爛れた女性の死体と、光を放つ玉のような物が有った。
「私は名鬼恵子。妖怪博士…名鬼久作の妻です」光る玉はそう言った。

 装置に触れたために死んだ恵子を、名鬼は現代の科学と古代の力により
生き返らそうとした。しかし恵子の魂はもう肉体には戻れなかった。
名鬼は恵子を甦らせると、恵子が死んだ原因をつくった学者や、
世間の人間に復讐をすると誓った。それから名鬼は狂ったように古文書を解読し、
究極の古代妖怪オロチを甦らせ、その力で恵子を生き返らそうと企んだ。
しかしそれには、大量の魂が必要だ。その魂を集めるために名鬼は
人を石化させ魂を奪う呪いのゲームを配布したのだ。
オロチが誕生すれば日本は三日で廃墟になるだろう。
「私はあ人を助けたいの…可哀相なあの人を。お願いですあの人の計画を止めてください。
悪の究極妖怪オロチに対抗するため、善の究極妖怪を装置でつくってください」
その究極妖怪を呼び出す呪文は、北館の最上階の名鬼の書斎にあるという。
恵子に渡された勾玉型のお守りを手に持ち、五人は北館へ向かった。

 名鬼と明達は壮絶な戦いを繰り広げていた。再生可能な陽神の体とはいえ、
連続で攻撃されていては霊気が飛び散り再生できなくなる。ピンチだ。

 妖怪が次々と現れる館を恐れ、克也は四人を見捨てて逃げ出す。
広は皆を救うため無謀にも妖怪に突進する。すると勾玉が広の『勇気』に反応し光り、
銀色に輝く武器が広の右腕に現れた。広はそれで妖怪を薙ぎ倒す。
四人が歩いていくとエレベーターを発見する。美樹と郷子が入った所でエレベーターのドアが閉まり、
鋭利な突起のついた天井が落ちてくる。床には一人位なら入れる穴があり、
郷子は中に美樹を入れて自分は上に被さり美樹を助けようとする。
郷子の友を救おうとする強い『友情』に反応し勾玉が光り、
銀色の機械的な翼が郷子の背中につく。それはバリアの役目をした。
勾玉は持ち主の強い気持ち――中でも綺麗な感情により変化するようだ。



347 名前:地獄先生ぬ~べ~ 42 投稿日:04/06/03 13:42 ID:???
「俺のは変形しないだろうな…怖くなって逃げ出したなんて卑怯者だ…」
隠れてついて来ていた克也は落ち込む。
 エレベーターは使えないので四人は階段を探す。見つけたが、そこへ行くまでの廊下は
古い木で作られていて所々穴があいている。四人は隅に固まって歩く。
後ろから妖怪が追いかけてくる。皆は逃げようとするが、まことは向こう側の隅にいる
ネズミを見捨てられぬと危ない廊下を横断する。まことの『優しさ』に反応し、
勾玉が光る。「やめるのだ。小さい子をいじめるな。みんな友達なのだ」
頭に銀色の兜のような物が現れる。
それは光を放ち、光を浴びた妖怪は恐ろしい顔を一変させまことに懐いた。
兜のためか動物の言葉も通じた。妖怪はネズミと仲良くなり一緒に去っていった。

 廊下を無事渡った四人は螺旋階段に勢いよく登る。人面岩が転がってきた。
逆方向へ逃げる四人。自分も早く発動させたいと美樹は一人、仁王立ちで人面岩に立ち向かう。
すると、美樹の強い『虚栄心』に反応し勾玉が光り、美樹の全身に小林幸子のように
派手な銀色の鎧が現れ、同じく派手な杖が現れた。杖からは稲妻が現れ人面岩を攻撃する。
特に善い感情じゃなくても勾玉は発動するようだ。しかし、克也の勾玉は未だ光を放たない。
派手な攻撃で壁に穴が空く。そこからは木が見える。隠れていた克也は木を伝い逃げ出した。

 螺旋階段に残っていた四人に突如大量の妖怪達が降り注ぐ。
四人の悲鳴は逃げ出した克也の元へも届く。晶が死のうが四人がどうなろうが構わない。
そう思って克也は逃げ出した。卑怯で不良崩れの自分に優しく接してくれた
皆の姿を思い出す。何かが克也の足をとめる。勾玉が光った。

 郷子のバリアでも限界になった頃、勾玉によって現れた銀色の車のような物に乗った克也が現れる。
「わりい、遅くなっちまって…」皆を見捨てて置けなかった、克也の強い『責任感』により勾玉が力を示したのだ。
浮遊力のある車で五人は一気に最上階の妖怪博士の書斎へ向かう。
そこで金庫を見つけ、勾玉の力で開けると、中に入っていた書物に善の究極妖怪の名が書かれていた。
誰でも知ってるようなメジャーなこの妖怪が?五人は驚く。



348 名前:地獄先生ぬ~べ~ 43 投稿日:04/06/03 13:45 ID:???
 激しい戦いの末、妖怪博士はオロチ製造開始のボタンを押す。オロチ誕生まで後30分。
妖気を吸いすぎて思考能力を無くした妖怪博士はそれと引き換えに恐ろしく強くなる。
触手が伸び、明と京太の気を吸う。不死身の体とはいえ気を吸われれば脆い。
そこへ勾玉で武装した五人が現れる。明――ぬ~べ~は、五人の抜群のチームワークを
見て、自分の知らないうちにこれほどまでに成長したのかと笑む。
博士がダメージを受けた事で、玉藻とぬ~べ~の本体と晶の石化は止まった。
 鎧をはがれた妖怪博士にはもう何の力もない。七人が喜び合っている隙に、妖怪博士は
オロチの製造を短縮モードに切り替える。もはや誰にもオロチ製造を止められない。
明は広たちを逃がし、自分の体に戻る。目覚めたオロチによって壊れていく童守町を救うために。

 古文書によればオロチの制御は製造者の意のままのはずが、全く制御が効かない。
「無駄です。あれは貴方の狂気の心を反映した化け物…制御など出来るわけがありません」
光る玉――恵子は妖怪博士に言う。制御不能なオロチにより妖怪博士は大怪我を負う。
「可哀相な貴方。もうこれ以上罪を重ねるのはやめて。あの子達は貴方を助けようとしているのよ」
逃げていたはずの五人の生徒は、手を繋いで装置を囲んでいる。
「いでよ、善の究極妖怪……ケサランパサラン!!」装置から光が上り出る。
山より巨大なケサランパサランはオロチを踏み潰す。ケサランパサランははじけ、
それが辺りに飛び散った。妖怪博士の元へも。目覚めた妖怪博士の目の前には、
事故にあう前の美しい恵子の姿が。自分の傷もない。
「ケサランパサランが癒したのは、体の傷じゃなくて、貴方の心の傷よ」
「…そうか私は間違っていたよ…思い出したよ…このあたたかさ。私は間違っていた。
…もう許されないだろう。」「いいえ、大丈夫よ。さあ…」二人は天に昇っていく。
憎しみに染まった魂がケサランパサランによって浄化されたのだ。
 元に戻ったぬ~べ~に五人は抱きつく。五人の持っていた勾玉は壊れた。
「それは強力すぎる争いの道具だ。ケサランパサランが壊したんだ」
オロチによって破壊された町はケサランパサランによって修復された。

「さあ、帰ろう」



350 名前:地獄先生ぬ~べ~ 44 投稿日:04/06/03 13:54 ID:???
 ぬ~べ~クラスの中島法子(通称のろちゃん)は、白い服を着た少女に手足の無い人形を渡される。
「私のお人形手足が無いの…返して!!」法子は自分の手足が消えてしまう幻覚を見てショックで気を失う。
目覚めると、傍には手足の無い人形が。法子はぬ~べ~達に相談する。
少女はメリーさんと呼ばれており、メリーは人形の手足を探せなかったら、代わりに人形を渡されたものの手足を奪うのだという。

 ぬ~べ~はメリーさんについて調べる。
 ある学校の4年生の松原めぐみには不思議な力があった。それ故に彼女は化け物扱いされいじめられ、
大事にしていた人形の手足をもぎ取られ校内に隠された。めぐみは自殺した。
それから、幽霊となっためぐみはメリーと名乗り現れ、生徒に人形を渡す。
この霊が他と違う点は、霊能力者が除霊依頼され向かい立つも、何人も殺されているという所だ。
メリーさんの除霊は不可能なのだ。「メリーさんの境遇は…まるで……」ぬ~べ~は一人つぶやく。
 まだ一週間経っていないのに、メリーは法子を襲う。ぬ~べ~の力もメリーには通じない。
生前強い霊力を持ち死んだ者は、霊になると恐ろしい力を持つようになるのだ。
ぬ~べ~はメリーの攻撃で気を失う。「後六日以内だ」メリーは消え去った。

 ぬ~べ~は夢を見る。霊能力を持つために虐げられた小学生の頃の。
メリーが自殺したのは霊能力者故の苦しみのため。同じだ。昔のぬ~べ~と同じなのだ。
だが、同情するわけにはいかない。今は生徒が危険なのだ。もしもの時は、この鬼の手で……
 校内から次々と人形の手足は見つかっていったが、左足だけいまだに見つからない。
メリーは法子の左足をもごうと襲い掛かる。ぬ~べ~は鬼の手を出し、
メリーに触れた所で手を止めた。この霊はぬ~べ~自身なのだ。
自殺するまでに追い詰められたこの霊の気持ちが、まるで自分の事のようにわかる。
もし子供の頃に美奈子という理解者に会えなければ、自分もメリーのようになっていたのだ。
 メリーは涙を流す。鬼の手を通してぬ~べ~の心が通じたのだ。
「神よ!どうかこの子を成仏させてくれ!」メリーは消えていった。
虐げられ傷ついたメリーが本当に成仏したかはわからない。
もしも、またメリーが彷徨っていたら、今度こそ本当に成仏させてあげたい……



364 名前:地獄先生ぬ~べ~ 45 投稿日:04/06/04 08:54 ID:???
 町を歩いているぬ~べ~に、黒マントを着た少女が話しかける。少女は死神だと名乗る。
「宣告します。貴方はあと24時間の命です」本来ならわざわざ告げたりはしないが、
霊感の高いぬ~べ~には死神の姿が見えるため、言いにきたのだという。
 ぬ~べ~は霊感で予想を当て、競馬で一億儲けたり、その金で贅沢をしたりした後、
ゆきめを抱きに行くが少年誌なので途中で止め、皆に色んな物を送り、
生徒達に最下級の守護天使を見せた。力は微量だが幸せを与えてくれる。
 生徒が喜んでいる隙に、ぬ~べ~は死神に連れられ河原へ来る。
もうすぐぬ~べ~が死ぬ時間。左手の鬼も冥界へ連れて行かれるらしい。
思い残す事は山のようにある。この町が、この町に生きる人達を愛している。
別れを告げる事など出来ない。死にたくない。
ぬ~べ~の様子に異変を感じた生徒達が走ってくる。
「時間です」死神は鎌を振るう。生徒達の前でぬ~べ~は倒れる。
「ぬ~べ~!」ぬ~べ~はもう目を開かなかった。
鵺野鳴介 享年二十五歳。死因 心臓発作。

 ぬ~べ~の葬式は童守寺で行われた。生徒やゆきめやリツコは泣いた。
いずなは死が受け入れられず呆然とし、玉藻はうつむいていた。
 そして一週間が経った。下級生が、あぎょうさんが出たと助けを求めに来る。
あぎょうさんは「あぎょうさん さぎょうご いかに」と言いながら現れる妖怪。
50音のあ行の三番目の「う」、さ行の五番目の「そ」、つまり嘘という事だ。
それを言っても「本当に出た!」と言って下級生はきかない。
しょうがなく郷子はあぎょうさんの出たという資料室へ行く。
「いないわよ何も。あぎょうさんなんていないいない」背後からあぎょうさんが現れる。
「あぎょうさんなんていないいない。うそ」そう言いながら妖怪はくるりと回って逆さまになり、
郷子の前に姿を現す。その事を他の皆に言うと「そんな妖怪ちっこくて弱い奴だろ。怖くない」と言われた。
「ちっこくて弱い奴 怖くない怖くない。うそ」妖怪はまたも逆さになり、巨大化し、
恐ろしい姿で生徒達に襲い掛かる。「妖怪が朝っぱらから出るなよ!」そう叫ぶと、
あぎょうさんの顔がまた逆さになり、外は夜の暗闇に包まれた。



373 名前:地獄先生ぬ~べ~ 46 投稿日:04/06/04 23:40 ID:???
 逃げていくと、行き止まりだった。
「逃げられない!」そう叫ぶと、あぎょうさんの顔が逆さになり道が出来、
校長室にたどり着いた。広は電話で助けを呼ぶ。

 ゆきめと玉藻は、最大のライバルと恋人を失った者同士悲しんでいた。
「もう生きていても仕方が無い」ゆきめは泣き出す。
「それもよかろう。私も、もう時間がない…」そこへ広の電話が。
ぬ~べ~の愛した生徒達を守りに2人は走る。
 校長室には、近年多発する心霊現象について集められた『教育X白書』があった。
中にはあぎょうさんの事も書かれている。あぎょうさんは人の言った事を
全て嘘に変える妖怪だという。あぎょうさんが現れる。玉藻とゆきめが駆けつけた。
「あの2人がくれば無敵だぜ!あぎょうさんもあの2人には勝てない!」
「うそ」あぎょうさんの顔が逆さになる。2人は体を貫かれる。
「もう駄目だ…俺達はまだまだぬ~べ~がいなくちゃ駄目なんだ……でも、
ぬ~べ~は死んでもうこの世にいないんだ!二度と俺達を助けてくれないんだ!」
「うそ」あぎょうさんの顔が逆さになり、暗い廊下の向こうからぬ~べ~が現れた。

「この世には目には見えない闇の住人達がいる。奴らは時として牙を剥きお前達を襲ってくる。
俺はそんな奴らからお前達生徒を守るためなら、地獄の底からでもよみがえり、必ず…来る」
ぬ~べ~は鬼の手であぎょうさんを殺した。致命傷ではなかった玉藻とゆきめは起き上がる。
「すべては嘘だった…それで神が許すというのか。鵺野鳴介がまだこの世に必要だという事か…」
玉藻は呆然とする。
「もう二度とみんなのもとから離れない」ぬ~べ~は生徒達を抱きしめた。



374 名前:地獄先生ぬ~べ~ 47 投稿日:04/06/04 23:47 ID:???
 広と克也は、下半身に何も身に付けていない美少女に会う。
「私は眠鬼(ミンキ)。地獄から来た誇り高き女戦士である!亜空間を通って現世に出る時、
凄まじいエネルギーの流れでパンツが脱げてしまってな…」眠鬼は自分のパンツを探していると言う。
鬼のパンツは妖力の源。パンツが無ければうまく力が出せない。
克也と広は、誰かが拾ってはいているかもしれないと、眠鬼と一緒に女子更衣室を覗く。
しかし眠鬼のパンツをはく者はいない。攻撃力はなくとも多少の力は使える。
「この光の玉の照らす所……みんなパンツ一丁になれ!」眠鬼は奥の手を出した。
校内にいる者は皆パンツ一丁になる。妖気を嗅ぎつけたぬ~べ~に会う。
「お前が鵺野鳴介だな。私は眠鬼!お前に倒された2人の兄の妹だ!」
強力な妖気に気付いた玉藻とゆきめも駆けつけるが、2人もパンツ一丁になる。

 眠鬼は言う。古来鬼のパンツは強い霊力が秘められていると信じられてきた。
何故なら鬼のパンツは強力な霊能力者の体を紡いで作った物だからだ。
材料となる人間の霊力が強くなるほど強いパンツがつくられ、それを纏った鬼は
強い妖力を持つようになる。眠鬼は兄を倒すほどに強い力を持つぬ~べ~を
パンツにしようと企んでいるのだ。しかしノーパンの今の眠鬼の力は微弱でしかない。
眠鬼のパンツを拾ってはいている石川先生(男)のパンツを妖力で脱がせようとするが、
コントロールが効かず、他の者のパンツばかり脱がせてしまい、校内には全裸の
生徒と教員で溢れ返った。やっとの事でパンツを取り返すが、強烈な匂いで倒れてしまう。

 捕らえられた眠鬼は、ぬ~べ~クラスで引き取られる事になった。パンツはぬ~べ~が預かる。
パンツさえ無ければ眠鬼は普通の女の子だ。ゆきめと玉藻は眠鬼を殺せという。
しかし、鬼や妖怪といえど、人間の中で暮らすうちに、人の心を手に入れられると
ぬ~べ~は信じている。それは玉藻とゆきめ自身が証明している。

 ぬ~べ~に妖力を封じられふて腐れながらも、眠鬼は車に轢かれそうになった
まことをかばったりと、優しい一面を見せる。ぬ~べ~が油断した隙に眠鬼は
パンツを取り返す。「覚悟しろ鵺野鳴介!お前をパンツにしてやるよ!」



375 名前:マロン名無しさん 投稿日:04/06/05 01:24 ID:???
>>347
ぬーべーまとめ乙です。
しかし、このエピソードよりも先にケサランパサランが登場するエピソードを紹介するべきだったかと。



380 名前:地獄先生ぬ~べ~ 48 投稿日:04/06/05 18:32 ID:???
 絶鬼と同等の力を持つ眠鬼により、ぬ~べ~は大怪我を負う。
ぬ~べ~を助けようと眠鬼に向かっていった男子生徒たちはパンツに変身させられる。
ぐずぐずしていると人間の心を失い、男子たちは本物のパンツになってしまう。
かろうじて意識は残っているが…興奮させ自我を保たせるために、
女子生徒たちはパンツとなった男子生徒をはく。パンツとなった男子生徒は
よだれや鼻血を出し、暴れ回る。眠鬼がその光景を見て笑っている隙に、
ぬ~べ~は眠鬼のパンツを脱がせようとする。パンツの片紐が解ける。
眠鬼は片手でパンツがずれないようにおさえながら。片手同士でぬ~べ~と戦う。
眠鬼は巨大な妖力球をつくり、両手で持ち上げる。手を放したたためにパンツがとれる。
自らの作った巨大な妖力で全身が燃える眠鬼。パンツも燃えた。ぬ~べ~が救う。
「今のお前は俺の生徒だ。命をかけても俺はお前を守る」大怪我を負い、ぬ~べ~は倒れる。

 眠鬼はまたぬ~べ~クラスに戻った。幼い頃から人間はクズだと教えられ、
そう信じ込んでいた眠鬼。しかし、そのクズが自分を救った。人間とは何なのだろう。
郷子たちが眠鬼に袋を渡す。仕返しに嫌がらせとして虫か何かでも入れたのだろうと
思いながら開けると、中には綺麗なパンツがいくつも入っていた。
「みんなでお金出して買ったんだ。鬼のパンツは燃えちゃったし、
ぬ~べ~はパンツに出来なかったし、これで我慢して」眠鬼は喜びの涙を流す。

鬼のパンツがなくなったために地獄へは戻れない。
人間とは何なのかを自分なりに見極めるため、眠鬼は人間界に残る事にし、
自分の兄を左手に持つぬ~べ~をお兄ちゃんと呼んだ。

>>375
妖怪博士編がすっかり脳内から消えてて忘れてました。

ケサランパサンが何ぞやという方はこちらを。
osi.cool.ne.jp/youkai/youkai-8.htm



381 名前:地獄先生ぬ~べ~ 49 投稿日:04/06/05 18:34 ID:???
 玉藻は自室で血を吐き苦しみだした。もう、残りの時間はわずかだ。
人間界へ来た目的は最も自分に適したドクロを奪い人化の術を完成させる事だった。
それにより妖狐の力は数十倍にも上がる。しかし、人の愛を知ろうと人間界に
溶け込むうち、玉藻には人を殺し、ドクロを奪う事など出来なくなっていた。
玉藻が今つけているドクロは玉藻にあっていない。不完全な人化の術は体を滅ぼす。
その有効期限が今、切れようとしている。しかし今のドクロを捨てて妖狐の姿に戻った所で
既に回復不可能なまでに蝕まれた体は元に戻らない。手遅れだ。
そこへ、妖狐の谷の若狐・石蕗丸(つわぶきまる)が現れる。玉藻を尊敬している石蕗丸は言う。
まだ手遅れではない、広を殺しドクロを奪い、人化の術を完成させれば大丈夫だと。

 二人は童守小へと行く。石蕗丸は広の首をはねようとする。
広のドクロは諦めたはずではないかと、ぬ~べ~は叫ぶ。
「私の本質は人間の敵ですよ。狐を信用するとは愚かな…!」広を守ろうとするぬ~べ~と戦う。
「何故だ玉藻!お前は人間の愛を理解し始めていたんじゃなかったのか…
もう何度も町の人々や生徒たちを救った…あれは見せ掛けの芝居だったというのか!?」
「黙れ!私は…人間の愛など…」玉藻は動揺する。
二人が争ううちに石蕗丸は広の首を再度取ろうとする。玉藻はとっさにかばってしまう。
「許せ…石蕗丸。私は長く人間と付き合いすぎたようだ。
鵺野先生、また貴方の勝利です。せめて…忘れないで下さい。
強さを求めるあまり、人間の愛などというくだらない物を学んだバカな狐がいた事を…」
玉藻は宙に浮きその場を去る。体が音を立て崩れ始めていた。

 残った石蕗丸により、ぬ~べ~は全てを知る。ぬ~べ~はダウジングで玉藻の居場所を突き止める。
人間の敵である玉藻を、何故ぬ~べ~達が捜し歩くのかが石蕗丸にはわからなかった。

 見つかった時には、既に玉藻は廃人となっていた。正気を無くし、壊れたように笑う、体中ひび割れた玉藻。
「…お前は人間を理解しようと、ずっと悩んでいた。しかしお前は広の頭蓋骨を取らなかった。
そしてこんな姿に…そんなお前は誰よりも……人間らしかった…」
壊れた玉藻を抱きしめながら、ぬ~べ~は泣いた。



397 名前:地獄先生ぬ~べ~ 50 投稿日:04/06/06 02:30 ID:???
「妖弧の神…金毛玉面九尾の狐になら救えるんじゃないか?」
史上最強の妖弧・九尾の狐になら…ぬ~べ~は石蕗丸に連れられ、
栃木県那の殺生石へと、生徒とゆきめと共に行く。
石には異空間へと続く道がある。生徒とゆきめを残し、ぬ~べ~は中へと入る。

 中には巨大な老いぼれた狐がいた。もう既に妖力はなくなっているだろう。
玉藻を元に戻して欲しいとぬ~べ~は言う。九本うちの一つを与えれば玉藻は
元に戻るだろう、しかし人間の愛などという下らない物を持とうとした玉藻になど与えるか、
人間は醜い生き物、そんな者に近づこうとする妖弧など助けたくないと言う。
「人間が醜くない事が証明できれば、お前の望みをかなえてやる」九尾の狐はそう言った。

 気付くと殺生石の外へ戻っていた。手に負えないと見て、九尾の狐が追い出したのだろう。
生徒達が森を探索しに行こうとすると、森から妖怪が飛び出した。ぬ~べ~は妖怪を倒す。
「かすり傷負っちゃったじゃないか!」「助けるのが遅いのよノロマ」生徒達はそう罵る。
助けてもらったのにそう言う言い方はないだろうとぬ~べ~が怒ると、
「礼でも言って欲しいわけ?」「恩着せがましいんだよ」と生徒達は言う。
「見返りがなければ腹が立つか。利己主義」狐のような顔に変化した郷子が言う。
そこへもう一匹妖怪が飛び出す。両手に鬼の手を持つ男が現れ退治する。
皆はぬ~べ~よりその男のほうが頼りになると笑い、ゆきめは素敵だと頬を染める。
ぬ~べ~は苛立つ。「自分より優れた者を妬む、嫉妬」男の顔が狐のように変形する。
またも妖怪が現れ、一瞬のうちに生徒、ゆきめ、男を殺す。辺りは血まみれに。
ぬ~べ~は涙を流し、叫びながら鬼の手を奮い、妖怪を殺す。
「憎しみ…醜い、醜いのう」九尾の狐の声が響く。「黙れ!こいつは俺の生徒を…!」
「だからお前が正しいというのか?よく見ろ。お前が最初に殺したのは妖怪の母。
次は父。そして最後に殺したのは親を殺され怒り狂った子供妖怪だったのだ。
平和に暮らしていた妖怪親子を皆殺しにした…それも元はと言えば、お前の生徒が
この妖怪の森に入って荒らしたのが原因なんじゃぞ。それでも自分が正しいというのか」
最後に現れた妖怪は、涙を流し、血に濡れた両親を見つめながら死んでいた。



401 名前:地獄先生ぬ~べ~ 51 投稿日:04/06/06 02:43 ID:???
 気付くと元の、石蕗丸と来た殺生石の中に戻っていた。幻を見せられたのだ。
「人間とはしょせんこんな物。お前の望みなど聞けぬ。死ね」
老いぼれていた妖弧は凄まじい妖気を放つ、偉大なる九尾の狐としての真の姿を現す。
「お前は最初、私の姿を見て舐めてかかった。見かけだけでものを判断する下等な生物だ」
ぬ~べ~を試すため老いぼれたふりをしていたのだ。九尾の狐は炎を浴びせようとする。
廃人となっていたはずの玉藻は立ち上がり、それをかばう。九尾の狐は炎をそらす。
「こやつ…もう一つ心がある。狐の心は壊れてしまったが…もう一つ…
まさかこの妖弧、私の最も恐れている力が備わりつつあるというのか…」
もう一度チャンスを与えると言い、九尾の狐は巨大な壷を出す。
ぬ~べ~と玉藻は中へ吸い込まれる。

 中でぬ~べ~は巨大な岩に足を潰された。それを正気になった玉藻が救う。
どうやら一時的に九尾の狐が元に戻したようだ。玉藻は言う。
この壷は妖狐族の『試練の壷』。壷の出口まで行けば出られるのだが、
そこに至るまで様々な試練があり、限界まで力を試され、死に至る事もあると。
玉藻は足の潰れたぬ~べ~をおぶって、道行く苦難を乗り越える。
「人間の愛…それは私にとっていまだに理解しきれないものだ。
だがこれだけは言える。私は、貴方に死んでほしくない」
入口までの崖に登る途中、妖怪たちが二人を襲う。
おぶさりながら戦う事など無理だ。自分を見放せとぬ~べ~は言う。
「貴方を決して殺させはしない!たとえこの命削られようとも……」

 やがて2人は壷の外へと出る。玉藻は廃人へと戻る。
「私が試したかった物、それは玉藻の中にある人間の心だ。私は力では人間よりずっと勝っている。
しかし人間には恐ろしい力がある。他者を思いやる時何十何百もの奇跡の力を発揮する。
私はその力に敗れてきた。私にとってその力は恐るべきものなのだ。しかし玉藻は妖狐でありながら
その力を手に入れつつある。もしそれが手に入れば、妖狐族の未来にとって大きな力となるだろう」
玉藻は九尾のうち一本を与えられ、元に戻った。
「ゆけ。妖狐 玉藻よ。そして妖狐も人間をも超えた力を手に入れるのだ」
玉藻たちは童守町へと帰った。



402 名前:地獄先生ぬ~べ~ 52 投稿日:04/06/06 02:50 ID:???
 鬼の妖気を封じられた石像を、ぬ~べ~は触れてしまう。
左手の鬼・覇鬼(バキ)はその妖力を吸い、封印を解き、その場から逃げ去った。
その事を聞いた眠鬼は、自分は兄の味方をすると言って覇鬼の後を追う。

 妖力は強くとも頭は弱い覇鬼は、子供が喜ぶような事にすぐ夢中になる。そこへぬ~べ~が。
自分を封じていた憎い敵・ぬ~べ~を覇鬼は殺そうとするが、すぐに他の物に気を取られてしまう。
覇鬼の性格を把握したぬ~べ~は、覇鬼の気を取らせてはその間に攻撃を繰り返した。
覇鬼が死んでしまう。眠鬼は攻撃をかばい倒れる。
「おのれ人間ども。よくも俺の大事な妹を…許さん!」覇鬼は口から火を噴き暴れ狂う。
覇鬼の本性、目に付くもの全てを壊す破壊の権化。鬼の手は無いが、生徒を守るために
ぬ~べ~は無限ともいえるほどに力を上げ、覇鬼と戦う。
「お前には…俺の大切な者たちに指一本…触れさせん…」血だらけのぬ~べ~は言う。

 覇鬼はぬ~べ~の頭を潰そうとする。眠鬼が止める。
「私はしばらく人間と暮らしてみてわかった。信じられない事だけど、
こいつらは自分の命より他人の命を大事に思うときがあるんだ。
それは鬼をも打ち破るパワーを生み出す事がある。こいつは私を他の人間と同じように大切にしてくれた。
そんな時、私は今まで無かった気持ちが芽生えたの。それは…やすらぎよ」
まどわされているだけだと覇鬼は言い、尚もぬ~べ~を殺そうとする。眠鬼はぬ~べ~の左半身に合体した。
眠鬼の力により、空を飛び妖力派を放ち、妖怪にしか見えないぬ~べ~。
覇鬼と同等の力だ。戦いの末我を忘れた覇鬼は、炎を飛ばす。
眠鬼にも防げない大技。眠鬼をかばい、ぬ~べ~の右半身が炎でただれる。
血が繋がっていなくても、ぬ~べ~は眠鬼を妹として大事にしてくれている。
ぬ~べ~は地獄にはない温かい心のパワーを持っている。それを壊すのは許さないと眠鬼は言う。
覇鬼はぬ~べ~に向かい手をかざす。ぬ~べ~の傷が癒える。
「…鬼の手にされてる間に覚えた…ヒーリングとかいう鬼にはない技だ。
おい、人間。お前の勝ちだ。もう人間は殺さない」
地獄へ帰ろうとしない眠鬼が心配なため、しばらく人間界に残ると言い、覇鬼はぬ~べ~の左手に戻った。
全ては元に戻ったかのように見えた。



414 名前:地獄先生ぬ~べ~ 53 投稿日:04/06/06 05:00 ID:???
 覇鬼は遊びだして授業を妨害する事はあっても、人に危害を加える事はなかった。
長い間、鬼の手として子供達を守ってきた事で、覇鬼の凶悪な性格が薄れたのだろう。

 雪が降る。雪合戦でもしようかと話す中、美奈子が現れた。
覇鬼を抑える必要が無くなったために、鬼の手から開放されたのだ。
美奈子はぬ~べ~に連れられた店で、ラーメンを何十杯も食べる。
ぬ~べ~も負けじと食べるが、四次元腹の美奈子は更に食う。
 食後の運動にボーリングをしに行くが、美奈子はボールを転ばさずに投げて
幾度も見事にストライクする。美人で何でも出来る楽しい先生だと生徒達は笑う。

 夜もふけ、生徒達は帰る。
「子供も帰ったし居酒屋にでも…」必死に笑み顔を作りぬ~べ~は言う。
美奈子は口元は笑ったまま、涙を流す。
「…もう時間よ。私はもう死んでいるの。魂だけで肉体はないの。
陽神の術でつくったこの体も、これ以上は保てない。
…この世にはもう居られないの。貴方の手で成仏させて」
ぬ~べ~も涙を流す。
「美奈子先生…俺は貴方の言葉に励まされ貴方のような
教師になりたくて霊能力教師になりました。
鵺野鳴介 地獄先生ぬ~べ~は貴方なしには誕生しませんでした。
貴方にはどれだけ感謝しても…足りません。」
「鵺野くん 貴方は本当に立派に育ってくれたわ。それだけで…十分…」
覇鬼と戦った時の、わずかに残った傷跡を美奈子はヒーリングで癒す。
小学生の頃と変わらず温かい。
この人がいたから沢山の生徒を守ってこれた。全てこの人がいたから。
美奈子は美しく煌きながら消えていった。



415 名前:地獄先生ぬ~べ~ 54 投稿日:04/06/06 05:02 ID:???
 卒業シーズン。生徒達は六年生を送る会の練習を重ねていた。
もうすぐ学年が変わる。ぬ~べ~や皆と別々のクラスになってしまう。
郷子はその事で悲しむが、皆は毎年の事だろうと笑うだけ。
さくらと名乗る見覚えの無い女の子が話し掛けてくる。
「校庭の桜で一本だけ花の咲いてない木があるでしょう?あの木の幹に
自分の名前を刻むと、同じ学年をもう一度やり直せるという伝説があるの」
郷子は半信半疑で木の幹に自分の名を彫った。

 ぬ~べ~は咲かずの桜の周りに大量の血が零れているのを見る。
木の幹には『稲葉郷子』と彫られていた。

 昔、童守小学校にとても仲のいい五年生のクラスがあったという。
3月になり、進級・クラス替えが決まって別れを嫌がり皆泣いた。
担任の先生は、最後の思い出にと、皆を遠足に連れて行った。
そこで彼らは事故にあい、永遠に進級しなかったという…
校庭の咲かずの木は、そのクラスが植えたもの。
そのためかこの木に名前を彫ると、彼らのように進級せずもう一度同じ学年を繰り返す。
しかし、それはまやかしだ。彼らの霊に魂が囚われるだけだ。
この木には団結力の強い集合霊がついている。ぬ~べ~でも除霊は難しいかもしれない。

 気付くと、郷子は教室にいた。五年生になった頃の世界に戻っている。
5月くらいに転校してきた広もいた。郷子が楽しいと思っていた教室を再現したものなのだ。
はじめは楽しんでいた郷子は、卑怯で陰に隠れて煙草を吸うような不良だった克也や、
今と違い他人への思いやりの無い美樹達に違和感を感じる。

 今はもう取り壊されている、木造の旧校舎に皆で入る。
中には、毒薬で人を殺し、自らも毒で自殺した理科教師の幽霊が出るという。
「ポイズ~ン」そう言いながら理科教師の霊は襲ってくる。
こけた郷子が助けを求めても、この頃の怖がりなまことは郷子を見捨てて逃げていく。
そこへぬ~べ~が助けに来る。郷子も加勢する。他の生徒は見ているだけ。
「まだその先生の事知らないし、命かけてまで助けられないよ」
その言葉にショックを受ける。無事助かるが、喜ぶ皆の姿にも違和感が。



416 名前:地獄先生ぬ~べ~ 55 投稿日:04/06/06 05:05 ID:???
「違う…こんなの間違ってるよ。この一年で5年3組の皆が得た者は0からやり直せないんだよ!
私間違ってた。クラスの皆一人一人が一年かけて変わった部分は……どんな宝物よりも
大事な物だったのよ。それを私の勝手な思いで0にリセットしてしまって…
また同じ経験を重ねてつくっていくなんて…そんなの偽物よ!まがい物よ!
私わかったの。楽しい時の経験は、もう一度繰り返すんじゃなくて、未来への糧にするんだって」
「もう逃げられないよ」郷子の周りの生徒達が木のような姿に変わる。

 ぬ~べ~は必死に除霊しようとするが、郷子の魂は鬼の中に融合している。
無理に引き剥がせば郷子は死んでしまう。木に宿る集合霊の一人一人の力は強くないが、
心の絆で何乗にも力が上がっている。外からの除霊は不可能に近い。
外が無理なら中からは…?ぬ~べ~が止めるのも聞かず、
生徒達は木の幹に自分の名前を彫って中へと入る。

 郷子は集合霊に追われ、時の止まった校舎の中を走りまわっていた。
「ここは止まった時の世界…卒業も進級もない。楽しかった時間を永遠に繰り返すのよ。
貴方もそれを望んだでしょう?だから私たちはもう仲間なのよ。さあ融合して一つになるのよ」
そこへ5年3組の生徒達と、後を追ってきたぬ~べ~がやって来る。
クラス替えを寂しいとも思わない奴らに負けはしないと さくらは言う。
ここは魂の世界、念じれば伝わると、生徒達は さくらに5年3組の思い出を見せる。
「こんな温かくて楽しくて皆が思いやってるクラスがあるなんて…
この子達は本当に5年3組を愛してる。じゃあ何故クラス替えを悲しまないの!?
何故私たちのようにずっと一緒にいたいと思わないの!?」
「俺達5年3組の友情がクラス替えくらいじゃ無くならないって信じてるからさ。
クラスが変わっても学校が変わっても、ずっとずっと友達でいられるって信じているから」
広の言葉に さくらは涙を流す。
「素晴らしいクラスなのね。そこまで信じあえるなんて。
私たちはきっと臆病だっただけ。居心地のいい時間を失うのが怖くて逃げてただけ。
私たちも…そろそろ進級します……さようなら」集合霊は去っていく。

生徒達は現実へと戻る。霊が成仏したためか、時が動き、咲かずの木に桜が咲いた。



431 名前:地獄先生ぬ~べ~ 56 投稿日:04/06/06 23:13 ID:???
 恋愛に対して奥手で消極的なぬ~べ~。
ぬ~べ~の態度に不安を感じてゆきめは泣く。
生徒達は、ぬ~べ~のもてない人生で両思いなんて滅多にない、結婚しろとはやしたてる。
ぬ~べ~は恥かしがって嫌がるが、生徒達の罠にはまって皆の前でプロポーズ。
結婚式場・玉砂殿で式を挙げることに。しかも一週間後に。
妖怪であるゆきめは正式にぬ~べ~と籍を入れる事が出来ない。
だから、せめて結婚式だけは人並みにやりたいと言う。

 二人を影で見ている男が一人。今は眠りについている山の神の最後の使徒である、最強の妖術使い・岩天狗。
岩天狗は『成田離婚をするのはこんなカップル』という本を参考に二人の仲を引き裂こうとする。

生徒やリツコにも応援され、あっという間に結婚前夜。ぬ~べ~は窓から月を見る。
「親父、お袋。俺は明日結婚するよ。
 俺達家族の思い出は…辛い記憶の方が多いけど…
 俺は必ず幸せな家庭を築くよ。それをどこか遠くで見守っていてくれ」
岩天狗は『不安の風』をぬ~べ~に飛ばす。
酷い悪寒の後、眠りについたぬ~べ~は夢を見る。

 年老いたぬ~べ~とゆきめ。
稼ぎが悪く、ゆきめを放って生徒をかまうぬ~べ~。
ゆきめは奴隷のようにぬ~べ~をこき使い、愛なんてとっくになくなったと言う。
「私…ちっとも幸せになれなかった」今の姿に戻ったゆきめは泣きながら言う。
そこで目が覚めた。放心した様子のぬ~べ~は家を出、式場にも向かわずあてもなく歩いた。



432 名前:地獄先生ぬ~べ~ 57 投稿日:04/06/06 23:16 ID:???
「こうも簡単にわしの幻術にかかるとは!もっと幻を見せて不安を煽ってやる!
結婚なんかしようとするからだ!わしなんか女の人の手を握った事もないんだぞ!」
生きていればまた結婚しようとするだろう。岩天狗はぬ~べ~を殺そうとする。
覇鬼の協力を得、ぬ~べ~は羽を生やし空中で岩天狗と戦う。
最初から岩天狗の術に気付いていたのだ。
結婚には不安があるが、そんな事はお互い納得済みの事。
強い妖気を放つ岩天狗の存在に気付かないほど抜けてはいない。
「ゆきめとの結婚、それにお前は最後の障害だ。俺はゆきめを幸せにしたい。全力でお前を倒す!」
妖怪だからと山の神の掟だからと、ゆきめが流した涙に報いるためにも。
死闘の末、岩天狗を倒すが、ぬ~べ~自身も大怪我を負う。

 結婚式場に辿り着いた瀕死のぬ~べ~は速魚の血で回復する。
岩天狗につけこまれた不安が多少残っている、花婿姿のぬ~べ~。
純白のウエディングドレスを着た美しいゆきめを見てそんな思いは消えた。

 だが、式の予定の時間はだいぶ過ぎており、次の予約も入っているため中止に。
式場が使えないため、列席者達は童守小へ。
ゆきめは校庭に巨大な氷の協会をつくり、中で式を挙げる。
神父は童守寺の和尚が、仲人は玉藻が勤めた。
ぬ~べ~は手袋の上から、交換した指輪を左手の薬指にはめた。
2人は誓いのキスを交わす。「それが愛の最終形態ですか」と、玉藻。
「お幸せに」と、リツコ。生徒達も「頑張れ」と2人の結婚を祝った。



433 名前:地獄先生ぬ~べ~ 58 投稿日:04/06/06 23:21 ID:???
「しかし…さみしくなるな鵺野君がいなくなると。九州へ転任か…」校長は言う。
それを聞いていた美樹は、伸びた首を興奮で絡めながら皆に報告した。

 ぬ~べ~とゆきめは引越しの用意をしていた。眠鬼もだ。
ぬ~べ~は玉藻を呼び出す。何故この地を離れる気になったのかと玉藻は訊く。
「九州で墓地の上に建設されたため、霊的磁場が発生し、悪霊や妖怪が
 多数表れるようになった小学校がある。県の教育委員会は特例措置として
 俺にその学校に赴任して生徒を守ってくれと願い出た。考えた末そこに行く事にした」
自分がいなくなった後、妖怪や幽霊から生徒達を守ってくれとぬ~べ~は言う。
「より強い妖狐となるために私は人間界で修行すると九尾の狐様に誓った。
 童守町で妖怪や霊がらみの事件が起これば修行の一環として子供達を助けます」
玉藻は承諾してくれた。そこへ、生徒達が大正ビルの中でお化けに捕らえられたと報せが。

 中には、天井から妖怪に吊下げられた生徒達が。助けてと生徒は叫ぶ。
「ぬ~べ~!私たちはこんなに弱いのよ!私たちまだ先生が必要なのよ!!」
明かりをつける。暗闇ではそれらしく見えるが、妖怪は生徒が作ったハリボテだった。
何の真似だとぬ~べ~は聞く。生徒達は泣き出した。
「先生…行っちゃうんでしょ。私たちを置いて…遠くの学校へ…」
「何でだよ急に。何で行っちゃうんだよ!」「私達まだまだぬ~べ~が必要よ!」
俺を必要としている子供がいるからだと、目をそらしぬ~べ~は答える。
「ぼくたちだって まだまだ必要なのだ!」「教えて欲しい事まだまだ一杯あるわ!」
「ぬ~べ~俺達が好きじゃないのか!?」「私たちが可愛くないの!?」
ぬ~べ~は生徒達をきつく抱きしめ、涙を流しながら言う。
「可愛くないわけないだろ。好きじゃないわけないだろ。
 お前達を世界で一番愛しているから、俺から卒業して欲しいんだ。
 お前達はもう みんな一人でやっていける。強くなった」

 ぬ~べ~の思いは抱きしめる力と一緒に
 ひしひしと生徒達に伝わった。

 やがて、別れの日が近づいた。



434 名前:地獄先生ぬ~べ~ 59 投稿日:04/06/06 23:24 ID:???
 ぬ~べ~が九州へ行く日。
ある生徒は泣きながら目覚め、ある生徒は一睡も出来なかった。
童守駅には、リツコ・玉藻・いずな・校長・童守寺の和尚をはじめ、沢山の人が来ていた。
その中にぬ~べ~クラスの生徒の姿はない。
いまだに転任の事を納得できていないのだろうか。
ホームへ行くと、歌声が聞こえた。

 仰げば尊し 我が師の恩 教えの庭にも はや幾年
 思えばいと疾し この年月 今こそ別れめ いざさらば

仰げば尊しだ。歌っているのは5年3組の生徒達。
『5年3組卒業式』と書かれた看板が立てられている。
これは俺達の卒業式だと広は言う。
「宣誓!俺達5年3組は、ぬ~べ~を卒業し自分達で何でもやってく事を誓います!」
ぬ~べ~は左手の手袋を外し、卒業証書のかわりに広に手渡す。
「卒業証書 5年3組一同。俺からの卒業証書だ、受取れ……」
生徒達は笑顔でぬ~べ~を見送り、最後に握手をする。
ぬ~べ~の乗った電車が発車する。
大人のぬ~べ~でさえ別れは辛すぎて、涙を堪える事は出来ない。
生徒達は堪えれなくなった涙を流し「ぬ~べ~!」と叫びながら電車に向かい走る。
一人こけ、それに足をとられ、また一人こける。
「ぬ~べ~~!!」
最後に残った広と郷子。広は手袋…卒業証書を高く掲げた。
「お前達の事は決して忘れない、忘れないぞ!」
ぬ~べ~の乗った電車は小さくなり消えていった。

 さようなら5年3組の日々。さようならぬ~べ~。
 そして 一番輝いた思い出たち……

 <完>