天空の覇者Z

Last-modified: 2008-10-08 (水) 14:54:31

天空の覇者Z/宇野 比呂士

695 :天空の覇者Z :04/02/08 13:21 ID:???
1908年シベリアのツングースカに隕石が落ちる。
その現場に当時貧乏絵描きであったアドルフヒトラーがいた。


時は流れ、第一次世界大戦後のドイツ、
主人公、曲芸飛行機乗りの竜崎天馬は娼婦アンジェリーナと出会う。
秘密警察隊長の化け物に追われる彼女と
メカニック、ウェルナーブラウンとともに
天馬は飛行機で逃避行を繰り広げるが、
ドイツ空軍のエース、レッドバロンに撃墜され、
ドイツ空軍の基地に不時着する。
彼らがそこで見たのは超弩級飛行戦艦カイザーツェッペリン(以下Z)だった。


透明な刀、陸奥守流星を携えた北辰一刀流の達人である天馬は、
ドイツ空軍内の反乱分子と共闘し、Zを奪取する。
そしてツングースカに落ちた隕石、ツングース鉱は
電圧をかけると反重力ガスを発生させ、
巨大な鉄のかたまりであるZを空に向かい発進させた。
追撃をかけるドイツ空軍にZは反重力ガスを圧縮したZ砲を放ち、
完膚なきまで叩き伏せる。
ヒトラーと天馬達の戦いが始まった。

ってのが1巻の内容。



373 名前:天空の覇者Z 1/5[sage] 投稿日:2006/05/04(木) 23:34:59 ID:???
飛行戦艦Zを奪った反乱軍のリーダー、祖国を捨て「ネモ」を名乗る男ハルトマンの指揮によって
天馬たちはドイツを抜け、反乱軍の基地があるイタリアへと向かう。
これに対し、ナチスはアルプスを根城とする空賊にZの襲撃とアンジェリーナ誘拐を依頼。
首尾よくアンジェリーナを攫い、ナチスに引き渡した空賊だったが、ナチスが空賊の壊滅を図っていたことを知り
空賊の首領「J」は、天馬と共にスイス国境のナチス研究所を襲撃し、アンジェリーナを奪回。
J、そしてナチスの人体実験に反対していた看護婦エリカがZのメンバーに加わる。
一方、ヒトラーの勅命でZを追う女大佐ベイルマンは、猛将クブリック提督を擁する空中戦艦「G」でZを追撃。
アルプス上空での巨大飛行戦艦同士の戦いは、一手先を読んだネモが勝ちを制しGに痛打を与えた。
あくまでZ奪還が目的のベイルマンは乱戦を避けて退き、Zはアルプス越えを果たす。
この戦いの中で、ナチスがアンジェリーナを追う理由も見えてくる。人間を変容させ、戦闘力を高める「獣性細胞」。
それに感染しながら肉体変容を起こさないアンジェリーナは、獣性細胞を制御する力を秘めているのだ。


ティレニア海の秘密基地に潜伏したZは、燃料となるT鉱を求め、イタリア軍の要塞を狙う。
天馬をはじめとした隠密部隊が伊軍の要塞島に潜入し、そこに隠されたT鉱を奪うという計画だった。
だが、そこではナチス軍と、ヒトラー配下の獣人が彼らを待ち受けていた。
実はこの待ち伏せはネモの意図するところであった。T鉱奪取計画をわざとリークし
それに応じて移送されるT鉱を確実に押さえる。それが計画の真相だったのである。
辛うじて要塞島を脱し、Zに帰還する天馬。だがネモを問い詰める間もなく、ベイルマン率いる新たな敵
高機動飛行戦艦「聖なる道(ヴィア・サクラ)」が襲い掛かる。
もともとZとの共闘を想定していた「聖なる道」には、Zとの合体機能があり、ベイルマンはこれを利用して
自爆によりZを完全爆破しようとする。それはヒトラーを敬愛するあまり、彼が執心するアンジェリーナに嫉妬した
ベイルマンの暴走行為であった。
だが、「聖なる道」の自爆直前、Zはこれを振りほどき、動力炉を暴走させた「聖なる道」は急上昇して爆発。
Zは戦いを生き延び、逆にベイルマン大佐を捕虜とした。



374 名前:天空の覇者Z 2/5[sage] 投稿日:2006/05/04(木) 23:35:39 ID:???
戦いを切り抜けたZに新たな敵が現れる。他人の姿を写し取る暗殺獣人ドッペルと
あらゆる生き物を食い尽くす巨大粘菌型生物兵器「ジェネシス」の艦内侵入。
任務に失敗したベイルマンの粛清と、反乱軍の掃討を兼ねたジェネシスの攻撃に、Z艦内は震撼する。
だが、天馬とJは暗殺者ドッペルを退け、ウェルナーはジェネシスが密閉空間では共食いして自壊することを見抜き
艦内に巣食う生物兵器を一掃することができた。
この事件で得たサンプルと、過去にナチスから奪った資料を総合することで、ある事実が判明する。
獣性細胞は、かつてツングースに落ちたT鉱隕石に付着して地球に飛来した地球外物質であること。
そして、獣性細胞研究の基礎を築いたのは、今は亡き天馬の両親、竜崎一馬・良子夫妻であった。
天馬を含む全ての運命は、ツングースで獣性細胞を得て超人となったヒトラーを中心に回っていたのだ。
だが、天馬がヒトラーと己の因縁に悩む間もなく、アンジェリーナが獣性細胞の暴走で人事不省に陥る。
ネモはそれを予期していたかのように、Zの進路をツングースに向けていた。


ツングースへ向かう進路上、カラクーム砂漠を越えようとしたZの前に、改修された戦艦G──
「ゴグマゴグ」が立ちはだかる。指揮官はクブリック提督、そして艦載機を駆るのは
かつてドイツで天馬と空中戦を繰り広げた“レッドバロン”リヒトホーフェン率いる「ヴァルキュリア戦隊」。
ヒトラーから獣性細胞を授かった超人で構成されるヴァルキュリアに、Zの航空兵は次々と撃ち落されていく。
逆転を狙って放たれたZ砲を、Gの反重力ガス砲で弾き返すクブリック。だが、それもネモは読んでいた。
弾かれたZ砲がヴァルキュリアを打ち、同時に地に落ちたG砲の反重力球は
砂漠の砂を巻き上げ、地下に眠っていた古代遺跡と巨大隕石を露にした。
その時、巨大な力に引かれるように、天馬とアンジェリーナは奇怪な異次元に放り出される。
「因果の外側」、かつてヒトラーが踏み込み異能を得た場所であった。
己の運命を脅かすものの存在を知り、ベルリンにいたヒトラーも空間を越えてこの場に現れる。
因果の王の座を賭けて戦う天馬とヒトラー。激闘の果て、天馬はヒトラーに重傷を負わせるも
切り札となる愛刀“流星の剣”を折られてしまう。



375 名前:天空の覇者Z 3/5[sage] 投稿日:2006/05/04(木) 23:36:12 ID:???
辛うじてGを退けたZ。だが損害は大きかった。Zは大破し、ネモ艦長は奇怪な発作で倒れる。
かつてヒトラーの盟友として獣性細胞を受け、その力で死を乗り越えた彼だったが
ヒトラーの野望を知って離反した今、彼の命は失われつつあった。
勝敗を決する鍵、ツングース爆心地に眠る「純獣性細胞」を抑えるべく、皆がZの再建に奔走する中
天馬はネモの許可を得て、流星の剣の修復と、己の過去に向き合うためZを離れ、日本を目指す。
一方ドイツでも、ヒトラーが意識不明の重態となったために、彼の影武者が権力掌握に動き始める。
(註:本作のヒトラーは外見年齢が若すぎるため、いわゆる『チョビヒゲの小男』を表舞台に立てている)

日本に着いた天馬を待つのは過酷な現実。かつて流星の剣を受け継ぐ試練として、己の師を斬った天馬だったが
その後、門派は壊滅、師の娘で天馬の婚約者でもあった華奈子は記憶障害を起こし、天馬を忘れていた。
過去の重みにおののく天馬に、日本を訪れていたヴァルキュリア部隊が日本軍と共に襲い掛かる。
流星の剣の素材となるT鉱インゴットを巡る戦いの後、剣を打つ刀匠を求めて富士山へ向かう天馬。
刀匠の所在を知るという華奈子の導きで、ついに刀匠・石堂の元にたどり着き、流星の剣の鍛錬が始まる。
そこに現れる日本軍の追撃。ナチスからの技術供与で完成した飛行戦艦「Y(イプシロン)」改め「YAMATO」も出撃し
天馬達を追い詰める。だが、石堂刀匠と華奈子の命を懸けた作業により、ついに流星の剣は復活。
時を同じくして、改修を終えたZが援軍に駆けつける。Gの砲塔を装備して武装強化されたZの前にYは撃破された。
天馬は戦いを通して過去を乗り越え、彼の決意を察した華奈子は、記憶が回復していながらそれを隠し彼を見送る。


日本での冒険を追え、オホーツク経由でツングースを目指すZ。だが、そこに危機が迫る。
ヒトラー本人が、忽然とZ艦内に現れたのだ。ヒトラーはネモに襲い掛かり、彼の命を支える獣性細胞を奪う。
己もろともヒトラーを殺そうとしたネモの策も「時を巻き戻す」力を得たヒトラーには通じない。
この戦いの中で、アンジェリーナもヒトラーに呼応するように新たな姿へと進化。
異形となった彼女は、己の意思でヒトラーと共にZを去っていった。



376 名前:天空の覇者Z 4/5[sage] 投稿日:2006/05/04(木) 23:36:47 ID:???
獣性細胞の加護を失い倒れるネモ艦長。彼が新艦長として指名したのは、なんと捕虜のベイルマンだった。
今なおヒトラーを敬愛する彼女だが、ヒトラーの暴走を見過ごせぬゆえに、Z艦長の席に就く。
一方、独自にツングースに向かっていたヒトラー近衛隊を、影武者が率いる最強戦艦「M(ミレニアム)」が襲う。
Mの砲撃で本物のヒトラーの命脈を絶とうとする影武者。だが、少年の姿で忽然と現れたヒトラーにより
影武者の軍隊は全滅し、Mはヒトラーの手に落ちる。


そして、ZとMはほぼ時を同じくしてツングース爆心地の地下「レーベンスボルン」へたどり着く。
そこは、広い海に生命豊かな島々が点在する、脅威の地下世界であった。
純獣性細胞を狙うヒトラーと、細胞廃絶を期すZクルー、そこへヴァルキュリア隊やレッドバロンも独自に駆けつけ
壮絶な空中戦が展開される。
戦火を潜り抜け、純獣性細胞の眠る氷河に迫るヒトラー。己の「時を巻き戻す力」の暴走により
純獣性細胞を得て力を補充しなければ、彼は自分自身を退行消滅させてしまうのだ。
だが、そこにあったのは殻の残骸。純獣性細胞は氷河に押しつぶされ、既に流出してしまっていた。
期待していた純獣性細胞を得られず、これまで彼を支えていたアンジェリーナも彼を抑える側に回る。
アンジェリーナの真意は、あくまで天馬を勝たせるため、ヒトラーの懐に入り込むことにあったのだ。
しかし、全てを失ったヒトラーが瀕死で地底の海に落ちた直後、突如として彼は復活する。
皆が海と思っていたものこそ、液化した巨大な純獣性細胞だった。
天馬は流星の剣でヒトラーを斬るが、レーベンスボルンそのものと一体化したヒトラーにはその一撃も
毛一筋ほどの傷でしかなく、逆に反撃を受けて心臓を粉砕されてしまう。
Jは天馬を抱えて辛うじてZに帰還するも、自らも致命傷を受けて死亡。
そして天馬は、ネモの体にわずかに残っていた純獣性細胞を移植されて蘇生を遂げた。



377 名前:天空の覇者Z 5/5[sage] 投稿日:2006/05/04(木) 23:37:28 ID:???
レーベンスボルンと一体化したヒトラーは、自らを苗床に獣性細胞胞子の散布を目論む。
全生命を獣性細胞によって溶解・融合させることで理想の世界を生み出す計画だ。
それを止めるべく最後の戦いに飛び立つ天馬の前に、レッドバロンが立ちはだかった。
ヒトラーの力を授かり、側近として戦う彼だが、その真の目的は好敵手・天馬との戦いによる高揚──
生命の実感を得ることにあった。エース同士の激突は天馬の勝利に終わり、レッドバロンは爆死する。
そして、最終作戦「重力の嵐」の決行。それは、放棄されたMと、Zの反重力砲をぶつけ合い
レーベンスボルン内のT鉱とも干渉する重力弾の嵐によって、人為的に因果の外側への扉を開き
天馬とアンジェリーナ、そしてヒトラーをこの世界から分離するというものだった。
レーベンスボルンから強制的に切り離され、力を限定されたヒトラーとのラストバトルが始まる。
己が手による全世界の融合こそ正義と唱えるヒトラーに、別々の命が引かれあうことに意味があると反論する天馬。
白熱の一戦は、天馬の流星の剣による一撃によって決する。致命傷を負い、獣性細胞の体が崩れ始めるヒトラー。
最期の瞬間、ヒトラーは天馬の肉体と融合し、彼を飲み込んで蘇生しようとする。
だが、天馬はヒトラーの野望が、かつての親友ハルトマンや竜崎夫妻との良き時間を永遠としたいという
素朴な願いに起因していることを理解し、ヒトラーを己の中に受け入れ勝利した。
ヒトラーの敗北により、新たに因果律の王となった天馬が望んだのは「ツングース隕石の落ちなかった世界」。
この運命改変で、これまでの因果全てが修正される。それは、天馬とアンジェリーナの出会いもまた
無かったことになるという意味でもあった…


そして、1933年のパリ。新たに紡がれた運命の中で、竜崎天馬は両親とその親友ハルトマンや
画家のアドルフ・ヒトラーに囲まれ、平和な生活を謳歌していた。
その天馬を陰から見守るアンジェリーナ。彼女だけは、前の因果を知る「運命の女」として
ひとりZの戦いを記憶していた。だが、ささいな事件からふたたび天馬とアンジェリーナは出会い
新たな冒険に乗り出していくのだった。