炎のロマンス

Last-modified: 2008-10-15 (水) 10:46:41

炎のロマンス/上原 きみ子

361 名前:炎のロマンス 1[sage] 投稿日:05/01/10 19:52:04 ID:???
亜樹は少し泣き虫だが明るい普通の平凡な高校生。
転校生の須田くんはひとつ年上で、少し変わったところが多かった。
ある日突然須田は、亜樹の親友のしっかり者のまゆみに結婚を申し込む。
須田はまゆみを愛してはいないが尊敬しており、しっかりした女性を妻にしなければいけない理由があるらしい。
亜樹は他に好きな人がいたが、次第に須田に惹かれていき、告白する。
須田もまゆみへのプロポーズは撤回しないものの、内心では亜樹の方が好きになっていた。
偶然から、亜樹は須田が金髪碧眼であることを知る。
亜樹は驚くが、今度からそのままの金髪で学校に来てほしい、と須田に言い、須田はそれを承知するが、
翌日から彼は学校に来なくなってしまった。
亜樹は須田の消息を追う途中で、何者かにさらわれ、船に連れ込まれてしまう。
そして、亜樹が目覚めるとそこは、南の島、コーラル王国だった。
しかし亜樹は信じられない。何故なら、島の人々は皆、容姿は外国人ながらも、日本語を喋っていたからだ。

亜樹はコーラルの王子ルイに結婚を申し込まれる。
この国では、王位を継ぐ者は日本人の女性と結婚するのが掟だった。
七百年ほど前、一人の日本の女性とヨーロッパ人を乗せた船がこの島にたどり着いた。
初代国王に選ばれた青年はすぐに事故で亡くなり、代わって妻の日本人女性が治めることになり、この島は繁栄した。
二代目の王の時代には島は大飢饉にみまわれ、再び別の黒髪の女性が女王になり、島は生気をとり戻した。
この頃、伝説が生まれた。この島を守れるのは黒髪の女性だけなのだと。
この島の人々にとっては、黒髪の女王は神と同じ存在なのである。

しかし亜樹は好きな人がいる、とルイとの結婚を断る。
すると、日本で失踪したはずの須田が亜樹の前に現れた。
須田の正体は、もう一人のコーラル王国の王子レドビィで、ルイとは従兄弟同士であった。



362 名前:炎のロマンス 2[sage] 投稿日:05/01/10 19:53:30 ID:???
亜樹は、須田ことレドビィがまゆみに求婚したわけを知り、
自分ではレドビィの花嫁に相応しくなかったのだ、と思い込む。
しかしレドビィは、亜樹を国の争いごとに巻き込みたくなかったので、日本から連れてこなかったのだ。
ルイの婚約者となり、すぐにも結婚させられそうになった亜樹は、
自分はまだ日本人であると主張し、日本の法律では16歳にならないと結婚できない、と結婚を延ばす。
亜樹は3ヶ月経たないと16歳にならなかった。
レドビィは亜樹の身を案じ、亜樹を日本に逃がそうとするがルイに見つかり失敗。
次期女王を逃がそうとした罪で、死刑を求刑されるレドビィ。

前国王であったレドビィの父は既に亡く、亜樹はレドビィの母である王妃に
争いをやめさせるよう頼むが、王妃は亜樹の要求をのみ、実の息子であるレドビィの死刑を早めた。
この国に争いごとが起きるのは、王子が二人いるからである。
ルイは、レドビィか国民か、どちらかを選べ、と亜樹に迫る。
また、ルイの依頼で、王妃は実の息子の死刑執行と警備総指揮官を引き受ける。
一時の面会を許された王妃とレドビィ。レドビィは母に、決して死ぬことなく、亜樹を見守り、
ルイが王として間違った道を歩まぬよう導いてほしい、と頼む。
レドビィを国のことを第一に考えるよう育ててきた王妃。王妃はレドビィを誇りに思う。

レドビィの死刑が執行されようとしたその時、亜樹が体を張って止めに来る。
追い詰められた亜樹は、女王として初めて命令を下す。
レドビィの死刑を中止し、まだ若いルイの片腕としてレドビィを補佐にする、と。
亜樹の強さを思い知ったレドビィ。だが、それはレドビィにとっては死ぬよりも辛い試練であった。

死刑執行前に、ひどい怪我を負ったレドビィ。
だがコーラル王国には医者がおらず、祈祷と薬草だけで病気や怪我をやり過ごしていた。
亜樹は改めて、コーラル王国が未開の地であることを知り、愕然とする。



363 名前:炎のロマンス 3[sage] 投稿日:05/01/10 19:55:05 ID:???
またコーラル王国には、亜樹以外の黒髪の人間は誰もいないはずだったが、
ある日亜樹は、水浴びをしている美しい黒髪の女性を発見する。
亜樹はその女性を見つけ出し、ルイと結婚させればいいと思いつく。
しかし島のどこを探しても黒髪の女性はいない。改めて亜樹は日本が恋しくなり、母親を思い出し涙する。
亜樹のその姿を見て、レドビィは亜樹を何としても日本に帰したいと思い、
一時期留学していたタヒチから、友人のハルウが呼び寄せる。ハルウは黒髪だった。
レドビィは亜樹を日本に帰すために、ハルウを協力者として呼んだのだ。

日本に帰れる、と喜ぶ亜樹。亜樹はレドビィと一緒に日本に帰るつもりでいた。
しかしそんな時、亜樹はルイから過去のいさかいを聞く。
ルイの父とレドビィの父は双子の兄弟だったが、レドビィの父である兄王子は体が弱く、
日本へ花嫁を探しに行けなかった。ルイの父の弟王子は、兄のために花嫁を日本から連れてきたが、
既にレドビィの父は現王妃と愛し合っており、ルイの父も連れてきた日本人の娘・奈津子と愛し合うようになった。
同じ頃にそれぞれ男児が生まれ、レドビィとルイはそれなりに仲良く暮らしていたが、
前国王の死により、世継ぎであった兄王子派と、黒髪の女性を妻にした弟王子派とで、次期国王を巡り国に争いが起きた。
ルイの両親が国から逃亡しようとして、レドビィの両親に殺された、とルイは主張。
ルイは子供の頃からサモイという祈祷師にレドビィへ復讐するよう育てられていた。
その手始めが、レドビィの愛する亜樹を奪い取り、自らが国王となるというものだった。
王妃はルイの両親を殺したという話は否定。しかし、ルイは寂しいだけなのだと王妃は言う。



364 名前:炎のロマンス 4[sage] 投稿日:05/01/10 19:56:47 ID:???
ルイと亜樹の結婚式が翌日に迫り、ついに黒髪の女王が誕生すると喜ぶコーラル国民たち。
ハルウやルイは亜樹を日本に逃がそうとするが計画が失敗し、黒髪のハルウは殺されてしまう。
ハルウは、タヒチの人間ではなく、この島の民、ダビという娘の兄であった。
代々、黒髪の女王がいれば、直系か子孫に黒髪の子供が生まれることもある。
だがコーラル王国では、昔、黒髪の女性たちが王位争いをし国内が乱れ、
それ以来女王以外の黒髪の人間は生きることを許されず、殺されるか島流しになっていた。
ハルウを埋葬し、逃走を続ける亜樹とレドビィ。
何とか日本へ向かう船へ辿り着くが、レドビィは国を見捨てることはできず、
思いあまって亜樹に「この国の女王になってくれ」と頼む。亜樹がルイと結婚しても、生涯守り続ける、と。
しかし亜樹は、愛してもいないルイとは結婚できない、と船に乗る。

愛するレドビィと別れる亜樹。だが、自分が去ったところで、ルイはまた黒髪の娘を連れてきて亜樹の二の舞になる。
それに、自分を逃がしたレドビィは死刑になるに決まっている。
そのことに思い至った亜樹は、船を南に向けるよう指示した。
亜樹は日本の両親へ、元気でやっている、とだけ手紙を書き、コーラルに戻る。
亜樹は女王として生きるためにルイと結婚する。

375 名前:炎のロマンス 5[sage] 投稿日:05/01/11 11:12:58 ID:???
女王となった亜樹は、ルイに「女王となるために島に戻ってきたが、あなたの花嫁になる気はない」と告げ、
レドビィを呼び、共にコーラル国の歴史や風習の勉強を始めた。(要するに体は許してない)
ルイの育ての親である祈祷師サモイは、亜樹を思い通りに動かそうとするが、亜樹は意のままにならない。

ある日亜樹は偶然、ルイが黒髪であることを知る。
以前、亜樹が見た黒髪の女性(亜樹は女性だと思い込んでいた)は、ルイだったのだ。
ルイは今まで黒髪であることを金髪のかつらをかぶって偽っていた。

王妃は、新しい女王が誕生したので、国王代理の役目は済んだと、城を出て行く。
レドビィに連れられ、樹海を抜け、王妃の住む村に行った亜樹は驚く。
村の人々は皆、黒髪だったのだ。ここは役人の目を逃れて逃げ込んだ人々が住む黒髪村。
王妃はこの村で生まれたが、運良く金髪に生まれ、前王に見初められた。
王妃は黒髪村の人々をいつか明るい外界へ連れ出したいと思っていたが、
それが及ばなかった今、亜樹は王妃の意志を継ごうと決意する。

亜樹は国会へ出す審議案を作る。
黒髪の女王を亜樹の代をもって廃止すること、女王以外の黒髪の人々にも生きる権利があること、
自由結婚制度(コーラルでは国王が国民の結婚相手を決める)、学校を作ること――
しかし、レドビィは急な革新には反対。今までの制度にも全て理屈はあったからだ。
黒髪の女王でない代は不幸が続き、島の人口が少なかった頃は近親婚が続いたため障害児が多く生まれ、
それを阻止するために国王が血の繋がりがない者だけに結婚を許していた。
亜樹は、一番反論が少なさそうな学校を作るという案だけを国会に通す。



376 名前:炎のロマンス 6[sage] 投稿日:05/01/11 11:13:39 ID:???
コーラルに学校が設立されたが、サモイが裏で手を回し、教師が一人も来ない。
亜樹とレドビィも子どもたちに教師として教えることになる。
そんな時、レドビィと亡くなったハルウの妹・ダビの結婚命令書が提出される。
亜樹は結婚命令書へ捺印しようとしなかったが、言うことを聞かない女王にサモイがついに刃を向け、
それをかばったルイが負傷してしまう。
自ら育てたルイも手にかけようとするサモイに、亜樹はレドビィとダビの結婚命令書を受理する。
だが何も知らないレドビィはそれを破いてしまう。
次々と、他の若者たちも決められた結婚制度に反対し、彼らに猶予が与えられた。
サモイは結婚の自由を認める代わりに条件を出す。
それは、足を踏み入れると神の怒りを買うと言う神の山に、祭殿を造れ、というものだった。
レドビィと彼を信じる男たちは神の山へ行くことを決意する。

神の山へ行ったレドビィを信じて待つ亜樹。
しかし、ルイが亜樹に愛の告白をする。レドビィを忘れて本当の妻になってくれるならば、亜樹に協力する、と。
亜樹はルイのことがもう嫌いではなかったが、愛しているのはレドビィ一人だときっぱり言う。
ルイはレドビィを一層憎むが、亜樹の心が自分を受け入れてくれるまで待つことにする。

レドビィのいない間、女性の服装の改善や、学校の教育に力を注ぐ亜樹。
そんな時、日本の旗を掲げた船が島にやってくる。女王以外の黒髪の者が島に入ってきては殺されてしまう。
亜樹は島に上陸しないうちに女王として船に挨拶をしに行く。
その船の人々は日本人ではなかったが、船の主が日本人だった。
主は亜樹と同じ年頃の少女・朱里。朱里は小さい頃日本にいただけで、国は香港だと言う。
船は食料や水を詰め込むと、島から去って行った。



377 名前:炎のロマンス 7[sage] 投稿日:05/01/11 11:14:17 ID:???
学校で子供たちに勉強を教える亜樹だが、サモイがそれを妨害。
亜樹は改めて、女王としてはサモイの操り人形に過ぎないことを思い知らされる。
亜樹はルイに、あなたの妻になる、と宣言しルイの助力を請う。
初めて愛し愛される者ができたと喜ぶルイ。

亜樹は国会で、黒髪村の子供をかばったことがあることを問い詰められる。
事実を認めた亜樹は、1ヶ月間の謹慎処分を受けそうになるが、ルイがかつらを取り、黒髪をあらわにした。
ルイは黒髪のままで国中を回り、無事に戻れたら黒髪の人々に生きる権利を認めさせようとする。
黒髪の子供を殺された国民はルイに対して怒りを見せるが、亜樹は二度とそのような過去を繰り返さないためにも、
国会で黒髪制度を廃止させるよう国民を扇動し、ついにサモイたちに女王以外の黒髪の者が生きる権利を認めさせた。
ルイは、今まで欺いてきた国民に償うためにも、立派な国王になろうと決意する。
そして亜樹の夫としてふさわしい人間になろうと。

そこに、以前に未完成のままだった、ルイの母親・奈津子の肖像画が完成したという知らせが入る。
それを亜樹と共に見に行ったルイだが、亜樹はルイの母が自分の母親だと言う。
名前も同じ奈津子で、亜樹は母親から、ルイの母が持っていたものと同じブレスレットをもらっていた。
ルイは奈津子が死んだと思い込んでいたが、日本に落ち延び、亜樹を産んでいたとしたら、
ルイと亜樹の二人は兄妹である。
生まれて初めて愛した女性が妹かもしれない、と激しくルイは動揺する。

ルイはことの真実を確かめるため、奈津子のことをよく知る王妃のいる黒髪村へ亜樹と共に行く。
しかし王妃は病で伏せっていた。
一方レドビィは、黒髪村の人々の力を借りながら、順調に神の山に祭殿を作っていた。
病床の王妃は、奈津子が日本から持ってきたアルバムを取り出し、ルイに渡す。
アルバムにある写真は、間違いなく亜樹の母親であった。
ルイと亜樹が兄妹だと判明し、レドビィは亜樹をお嫁にくださいとルイに頼むが、
ルイはレドビィにだけは亜樹は譲らないと宣言。
しかし、この国では近親婚は最も罪が重い。レドビィは亜樹を城に戻さないようにするが、
ルイは愛する亜樹がレドビィを選んだと思い、一人で城に帰る。



378 名前:炎のロマンス 8[sage] 投稿日:05/01/11 11:14:55 ID:???
サモイは亜樹が行方不明になったのをいいことに、国民に女王が日本に帰ったと告げる。
サモイの陰謀だと気づいた人々は亜樹を探し始めるが、サモイは1週間以内に亜樹が見つからなければ
次の女王は自分が選ぶと決める。
適当な黒髪の娘を探すためにタヒチに出向いたサモイは、以前、コーラル王国を訪れた朱里と出会い、
彼女を女王とすることに決める。
朱里は密輸団の首領の娘で、コーラルの島の秘宝と引き換えに女王となることを承諾する。

亜樹はルイのためにも城に戻ろうとするが、レドビィは今戻ればサモイに殺される、と亜樹を止める。
サモイにとってまだルイは実権を握るための道具であるから、ルイに手出しはしないだろう、と。
亜樹はルイの妹として、日本と国交を結び、ルイと母を会わせてあげようと決める。

神の山の祭殿は完成した。
亜樹は、黒髪制度は廃止になったのだと、黒髪村の人々を外界へ連れ出そうとするが、
黒髪村の人は皆、外界や女王を憎んでいた。亜樹は村の人々に監禁されてしまう。

そのことを知らないレドビィは一足先に城に戻っていたが、朱里が新女王となるために到着していた。
しかし亜樹を忘れられないルイや、国民は、朱里を受け入れようとはしない。
ルイはレドビィと語り合い、レドビィが亜樹の幸せを常に考え行動していたことを思い知る。
ルイは亜樹への愛から、レドビィに亜樹と結婚しろと言う。
また、亜樹のいる樹海に火をつけられたことから、ルイは火を消し亜樹を助ける代わりに朱里との結婚を承諾。



379 名前:炎のロマンス 9[sage] 投稿日:05/01/11 11:15:29 ID:???
監禁されていた亜樹は以前助けた黒髪村の子供によって脱出させられる。
亜樹は村に残っていた王妃も連れて行こうとするが、王妃の体は一層悪くなっていた。
しかし、息も絶え絶えに王妃が呼ぶ名は、実の息子のレドビィではなく、ルイであった。
王妃は亜樹にルイの両親のことを語る。
平和を愛した弟王子と奈津子は、王位争いが起きた際に日本に行こうとしたが、
弟王子は殺され、奈津子は崖から身を投げ出し、ルイだけが残った。
ルイは連れ去られるが、その後、サモイの養子として再び姿を現す。
サモイはルイが黒髪であることを盾に、王と王妃に地位と富を要求。
また、サモイは両親を殺したのが王妃たちだとルイに言い聞かせ育ててきた。
しかし、ルイが黒髪であることをばらすと脅された王妃は、今まで真実を告げることができなかった。

その上、新たな真実が明らかになる。レドビィとルイは、生まれた時に入れ替わっていた。
黒髪のルイを産んだ王妃と、それを知った奈津子が、二人の子を入れ替えたのだ。
金髪のレドビィはこの国でも生きていけるが、ルイは生きていけない。
奈津子は王妃の子のルイと共に日本に帰ろうとしていたのだ。
実の母親を親の仇と今まで信じていたルイ。そして、兄妹だったのはレドビィと亜樹だった。



380 名前:炎のロマンス 10[sage] 投稿日:05/01/11 11:16:20 ID:???
真実を胸に城に戻る亜樹。だが、既にルイと朱里の結婚式が終わった後で、
国に女王が二人という状況になってしまった。
サモイは病気の王妃を見て、王妃と亜樹がコレラだと偽り隔離させる。
未だ王妃を親の仇と思っているルイは、サモイから渡された薬を王妃に飲ませてしまう。
薬はコレラそっくりの症状が出る、というだけのものだったが、王妃は時を置いて死亡。
しかし、朱里のいた船にいた医者の診断では、王妃の死因は熱帯性熱病の心臓発作であった。
ルイの飲ませた薬がもとで死んだのではなかったが、発作の原因自体は薬のせいである。

親の仇を討った、と思い込むルイの胸には空しさが残った。
亜樹はたまらず、ルイと王妃が実の母子であったことを告げてしまう。
それをレドビィも聞いてしまった。入れ替わりの真実を知ってしまったレドビィとルイ。
ルイは実の母である王妃を殺したショックにより、精神が幼児のように退行する。
そんな時、島の人々が次々に熱帯性熱病で倒れ、国が混乱。
だが、亡くなった王妃に、国のため国民のためを第一に考えるよう育てられてきたレドビィは、
亜樹と兄妹だったことにも動揺を見せず、ひたすら冷静に振る舞う。

熱病にかかった人々を救う薬を手に入れるため、タヒチに向かったレドビィと亜樹。
何もかも捨て女王になった亜樹だが、兄だとわかったレドビィへの愛は、未だ捨て切れなかった。
だが、レドビィは今まで母と信じてきた王妃が母ではないと知っても平然としている。
亜樹はそんなレドビィに憤りを感じる。
だが、実の母のことを思い涙するレドビィの姿を見た亜樹は、彼こそコーラルの国王に相応しいと思うのだった。



381 名前:炎のロマンス 11[sage] 投稿日:05/01/11 11:17:25 ID:???
亜樹とレドビィは薬を持って島に戻るも、もうじき亜樹と朱里のどちらが女王になるかの選挙が行われようとしていた。
だが、亜樹は正気を失ったルイを連れて日本に帰ることを決めていた。
選挙が不利だと判断した朱里は、サモイから夫婦であったルイと亜樹が兄妹であったことを聞き、
国民に知らせようとする。戸籍上はルイが奈津子の子であるのだ。
しかし、日本から取り寄せた亜樹の身許証明によると、亜樹の実の母親は死んでおり、
コーラルから逃れた奈津子が亜樹の父と再婚し、二番目の母親となったことが明かされる。
亜樹と奈津子に血の繋がりはなく、従ってレドビィとも兄妹ではなかった。

勝ち目がなくなった朱里は国を出ることに。亜樹はサモイの国外追放の刑を下す。
そして、亜樹は自分の代で黒髪の女王制度を廃止することを宣言。
亜樹とレドビィの間で、どちらが国王になるかの国民選挙が行われる。
選挙は僅差でレドビィの勝利に終わる。
亜樹はレドビィに王位を譲り、ルイと共に日本へ帰ろうとするが、
逆上したサモイが亜樹に斬りかかってきた。それをとっさにルイがかばい、ルイはサモイと刺し違えて死亡。
ルイは天の上で、やっと実の母子として王妃と会う。

今度こそ亜樹は、朱里の船に乗り、日本に帰ることにする。
今まで亜樹を犠牲にしてきたレドビィは、亜樹の幸せを考え、自由にしてやろうとする。
だが、直前でレドビィは、亜樹を追いかけ、王子としてではなく初めて一人の男として亜樹へ想いをぶつけた。
亜樹は死んでいったルイのこともあり躊躇していたが、この国を愛していたルイのことを思い、
レドビィと共にこの国を守っていこうとする。
数日後、亜樹はレドビィと結婚式を挙げた。

4年後。亜樹とレドビィは日本へ里帰りし、
亜樹にとっては育ての母、レドビィにとっては実の母である奈津子と再会した。
その翌年にはコーラル王国と日本の間に国交が成立する。

おわり