緋色の椅子

Last-modified: 2010-06-19 (土) 10:28:04

緋色の椅子/緑川 ゆき

752 :緋色の椅子1/2:2007/12/26(水) 03:24:11 ID:???
架空の国が舞台


小さな村に住む少女・セツには大切な幼馴染の少年・ルカがいる。
ルカの母亡き後、王家の剣士・カズナがルカを訪ねてやってきた。
実はルカの母は王の愛妾であり、王が亡くなったのでルカに後を継いでほしいのだという。
そうして王都へとルカは旅立ち、セツは旅の資金を集め、数年後にようやくルカに会いに王都へ行った。
だが「ルカリア国王」の名で皆の前に姿を現した少年(以下、偽王)は全くの別人であった。


実は数年前、ルカは王都へと旅立つ際に孤児の少年も一緒に連れて行っていた。それが偽王であった。
旅の途中で、ルカは何者かに襲われ剣で体を貫かれた。
その時にルカはカズナに叫んだ「ルカリア様を連れて逃げてください」と。
国王の座である「緋色の椅子」を狙う者の中には、評判は悪いが力のあるバジ一族の者もおり、
前国王の血を引く有力な後継者であるルカが死んでしまえば間違いなくバジに後釜につかれてしまう。
ルカはそれを避けるために、偽王こそが「ルカ」であると偽り、自分をこの場で見捨てさせてでも王家を、
引いては国の治安を守ろうとしたのだった。
カズナと偽王はその意を汲んですぐに逃げ、そして生きているかもしれないルカが現れた時のためにも
王座を守りつづける事を誓った。
セツもルカの生存を信じ、自由に動けない偽王の分もルカ探しをはじめた。


ルカの母・ヨダカはかつて凄腕の剣士であった。同郷出身のキラや、バジ家の息子のナギとは仲が良かった。
そしてその強さから多くの兵に尊敬されていたが、国王と恋に落ちてからは恋に病んで戦えないようになり、
それはかつての凛々しい姿を知る戦友たちには醜くすら映った。
仲間たちが戦いに出ている間に、バジの家の者たちはヨダカを王をたぶらかす者だとして追放した。
ヨダカはルカを妊娠しており、後継者ができると邪魔なためだった。
ナギは同じ一族の者が友人を追いやった事に落ち込み、キラはヨダカを守らなかった国王を憎んだ。

カズナがルカを見つけるよりも前に、ナギはヨダカを訪ねてセツたちの村に行った。
だがその時すでにヨダカは死んでいた。ルカはヨダカの血だけではなく憎い国王の血も引いていると、
ナギは発作的にルカを殴りまくり、その瞬間、所詮自分もバジ家の者なのだと悟った。



753 :緋色の椅子2/2:2007/12/26(水) 03:24:37 ID:???
ナギはルカに王座を巡る「椅子取りゲーム」をしようと言う。
ルカが敗れたならば、落ちぶれたヨダカの悲しい思い出しか残っていない忌々しいこの村を焼き滅ぼすと告げ、
去って行った。
ルカははじめ、セツを連れ村を捨てて逃げてしまおうかと考えた。
だが、日々の暮らしのためと、自分を産んで体を壊した母の治療代のために無茶な働き方を
していたためルカの体は病んでおり、もう数年も生きられないと知った。
そんな時にカズナが現れルカを招き、そして以前からの友人だった偽王も随行したいと言った。
セツは自身の母が死んだ時も、ルカの母が死んだ時もひどく悲しんだ。
ルカは自分の死でまたセツを悲しませたくなかった。
一方、カズナはバジに王座を渡したくなかった。
「長く王座を守れるバジの方が必要でしょう」と、ルカは偽王を王に立てる事を提案した。
村から遠く離れた王都から伝え聞く話で「ルカ」は生き続けているのだとセツに信じさせようと。
その計画は、ナギと同じ理由でルカを憎んでいるキラが、ルカを襲うよう放った刺客のために、
筋こそ違うが達成された。


調べるうちにセツと偽王はそれらの真実を知った。


その時、キラは以前から密かに計画していた、王家を滅ぼすためのクーデターを実行した。
セツは偽王を守ろうとするが、逆に偽王がセツをかばって負傷した。
孤児の偽王はかつて村の外れに暮らしており、ルカの優しさに救われていた。
「お前のために使える命ではない ルカのためだけだ ルカのためだけだったのに」


そこに現れるルカ。ルカは刺客に教われた直後に、絵描きに拾われて助かった。
医師が言うよりは長生きできたがどちらにせよ長くないらしい。
「名を返してもらうよ」ルカは偽王にそう言い、セツと偽王を逃がした。


緋色の椅子の前で反乱軍を待つルカ。そこにカズナが現れる。
偽王の横にはいつもカズナがいた。有名な剣士である「赤髪のカズナ」が隣にいてこそ、
反乱軍たちに王であるという証を示せる。
カズナは孤児で、王に拾われ剣士となった。
愚かで憎まれた王であっても、カズナにとっては恩人であり、その子であるルカに最期まで仕えるのだった。


戦いの中でキラは死に、やがて王軍が反乱軍を治めたが、白は燃やされ緋色の椅子も焼け焦げた。
セツは偽王からはじめて本名を聞いた



754 :マロン名無しさん:2007/12/26(水) 03:32:14 ID:???
>>753
8行目
「長く王座を守れる『ルカ』の方が必要でしょう」


だった
全然意味が違ってしまった


できるだけ短くしようとしてうっかり削ってしまったが、
その後、王座につくことになったのはバジ家の末娘のクレアというお嬢さん。
家柄を重んじる一族の者によって大切な友人たちと引き離された経験があり、
一族を憎み、その一員である事を恥じている。セツの友人でもある。