聖戦記エルナサーガ

Last-modified: 2011-06-17 (金) 07:40:18

聖戦記エルナサーガ/堤 抄子

449 :聖戦記エルナサーガ :04/03/15 04:55 ID:???
遥か昔、魔獣フレースヴェルグが現れ、世界を滅ぼさんとした。
かの魔獣は「魔風」と呼ばれる破壊の暴風を起こし、それは世界中に届いた。
しかし勇者がこれを倒した。
が、魔獣は死して尚傷口から魔風を吹き出し、世界を害した。
勇者は魔風から世界を守るべく、魔獣を屠った絶対封魔剣の聖剣(グランテイン)を
最高峰「ノルズ山」の頂上に突き立てた。
魔風は聖剣を避けて東西へ別れ、風下に広大な「守られた地」が生まれた。
これが現在の「世界」(ギムレー)の始まりである。


時が過ぎ去り現在、勇者の伝説の多くは失われてしまった。
そして今の世、ノルズ山を有するがゆえに「勇者の末裔」の伝説を持つ国家である
アーサトゥアルは、その伝説を根拠として「世界の盟主」を宣言。
現在の世界はアーサトゥアル、アンサズ、グードランドの3つの強国(と都市国家など)が存在する。
アーサトゥアルは他国への干渉を強め、アンサズとは全面戦争へと発展していった…。


アーサトゥアル王家には王子エイリークとその従兄弟であるエルナ姫がいる。
エイリークは後に戴冠式を控えており、実質的な王だった。
彼と大魔道師ヴァーリは膠着状態に陥っている戦争を打開するべく、切り札を使おうとした。


この世界の人間はすべからく大なり小なり「魔法」を帯びている。
子供でも呪文と掌相を学べば魔法を使えるのだ。
特に王家の人間は魔力の量が凄まじく多い…はずだった。


しかし、エルナ姫は、世界で只ひとり、全く魔法を帯びていないのだ。
そのために彼女は「闇の姫御子」として忌み嫌われていた。


ノルズ山の聖剣は絶対封魔剣であり、魔法を持つ普通の人間は触れる事が出来ない。
が、エルナなら触れる事が出来る。
アーサトゥアルはエルナをノルズ山の離宮に送り込み、世界を脅迫して盟主となる計画だった。



450 :聖戦記エルナサーガ :04/03/15 04:57 ID:???
他国もその企てを黙って見てはいなかった。
グードランドの精鋭部隊・女王の親衛隊(ヴァルキュリア)がエルナの馬車を襲撃。
しかしその馬車は偽物だった。


アーサトゥアルの第九王子シャールヴィは前線で戦っている際計画を知り、
彼女を暗殺すべく空馬に乗り単身アーサトゥアルへ。
彼は囮に引っ掛からず、教会で待機しているエルナを殺しにいく。
エルナは仲良しの少年アトリの姿隠しの魔法で守られたが、
彼女を渡すまいとする教会の魔道師が魔法戦に敗れて瀕死になった上に
シャールヴィによって魔精霊(ウィルス兵器みたいな魔法)を
ばら撒かれてしまい、化けもんになったのを見て飛び出してしまう。


「たった一人の魔術師のために民草を…自国を捨てるか。王族の命は自分だけの物じゃねーぞ」
「けれど私は、目の前のたったひとつの命も、見捨てる事は出来なかった…」


シャールヴィは観念したエルナの首を刎ねようとするが、アトリがそれを阻止。
剣を向けられたアトリを救うため、エルナは剣を抜く。



451 :聖戦記エルナサーガ :04/03/15 04:59 ID:???
エルナの剣は先刻魔術師に「お守りとして」渡された聖短剣(グランクニーヴ)。
過去勇者が使った短剣であり、聖剣と同じく絶対封魔剣でエルナしか触れられない。
封魔剣の力で体内の魔法が反発し吹き飛ばされそうになるが強大な魔法力で逆にそれを抑える
しかしシャールヴィはそのために魔法を殆ど消費。「


王族や魔術師など「魔法の量が多い人間」は「回生呪」と呼ばれる紋章を体のどこかに刻んでいる。
怪我をすると自動的に治癒魔法がかかる仕組み。自動ヒーリング。


しかもそこに知らせを受けたヴァーリがやってくる。
シャールヴィは劣勢を悟り、エルナを人質として教会の階段を登って逃げようとする。


が、追手のヴァーリは構わず強力な魔法をぶちかましてくる。
「てめー何てことすんだ!エルナが死ぬぞ!」焦るシャールヴィにヴァーリは答える。
「もろともに貴君を倒してしまえば、たとえ姫が死んでも他国にそれを知らせる術はない」
その答えに、シャールヴィは作戦を変更。宣言する。


「ならば俺がエルナをアンサズまで連れて行く。ノルズ山の頂で
闇の姫御子が聖剣の柄を握っているなど、大嘘だと世界に知らしめてやる」


エルナは聖短剣によりヴァーリの魔法を避ける手伝いをし、自らにも力があることを知る。
彼女は「もう一度エイリークに戦を止めるよう進言してみます」とシャールヴィに言うが、
ヴァーリは彼女を殺すべく魔法を放つ。


「エルナ、来い!」待機していた空馬を連れたシャールヴィはエルナに手を伸ばし、彼女はその手を掴んだ。



473 :聖戦記エルナサーガ :04/03/16 05:08 ID:???
「シャールヴィにさらわれる」エルナの姿はアトリやエイリークも地上より目撃。


ヴァーリは魔精霊に侵された魔術師を自らの手で処分した。
その姿に恐怖と疑念を抱いた騎士がエイリークにそれを伝える。
彼は「ヴァーリは父王の代から王家に仕えてきた大魔道師だ」と騎士を退けるが、
昔作った鳥形使い魔のカルルに「エルナを追い、助けろ」と命令。


一方エルナとシャールヴィは空馬飛行中、
竜に乗ったグードランドのヴァルキリア達に襲撃される。
かの国では上級騎士である女性3人組は先に囮のエルナを討ち、追ってきていたのだった。
「封魔呪を解く事ができるエルナ姫の手によって
アンザスに眠っている炎魔剣(レーヴァテイン)を呼び起こすつもりだろう」
ヴァルキリア達はそう言いエルナをアンサズにも渡そうとしない。


魔法が回復しないシャールヴィだったが、
戦闘と空馬の使い方は彼女らの上を行き、ふたりを撃墜。
しかし最後のひとりで隊長であるベルクゾーラが遂に空馬を落とした。
そこには狂戦士(魔精霊に感染して獣人となった人間)が待ち構えていた。

シャールヴィは落下の際に足を痛めてしまっていた。
観念した彼はエルナに「アンサズへ行け。てめーは生きろ」と、彼女のみを逃がす。
一旦は言葉通りに逃げたエルナだったが「自分だけ逃げてていいの?」と自問し、戻る。



474 :聖戦記エルナサーガ :04/03/16 05:10 ID:???
剣の心得などない彼女だったが段々聖短剣の扱いにも慣れ、狂戦士に手痛い一撃を。
すると封魔剣の効力か、魔精霊が解呪されて人間に戻っていく。
が、ベルクゾーラは「元は死刑囚だ」と言い、その人間を殺す。
それにぶちキレたエルナ、「あなたがおいでなさい」とベルクゾーラを挑発。
結局エルナはシャールヴィに守られつつもベルクゾーラに勝利する。


「エルナを殺せ!そして存分に我らの死肉を喰らうがいい!」
ベルクゾーラ最期の命令。ふたりに狂戦士が襲い来る。
その時、空から光が降り注ぎ、シャールヴィと空馬の傷が癒えていく。
追いついたカルルが治癒魔法をかけたのだ。


急いで空馬に乗り離陸するふたり。
そこに、途中で撃墜されたヴァルキリアのひとり、ラヴァルタがやってきた。
「ラヴァルタ!魔法だ!」瀕死の中、勝利を確信するベルクゾーラ。
が、ラヴァルタは不用意に使用した使い魔法により
魔法を完全に消費しており、空馬を落とす事は出来なかった。
ベルクゾーラに詫びるラヴァルタだったが、彼女は既に、勝ち誇った表情のまま事切れていた。

これで旧版2巻終了。この辺濃いので詳しく書いてしまう…。





723 :「聖戦記エルナサーガ」1/3:2007/12/13(木) 20:45:49 ID:???
途中で止まってるエルナサーガ、ざっとしたあらすじだけいきます

聖戦記エルナサーガ 新装版全8巻

世界の成り立ち:勇者伝説
昔、遙か極北の地より魔獣フレースヴェルグがあらわれ、その魔風で世界を滅ぼさんとした。
そこへ勇者が現れ、魔獣を打ち倒した。
しかし倒れてもなお魔獣はその身から滅びの風を吐き続けたため、勇者は彼の聖剣、
絶対封魔剣グランテインをノルズ山の山頂に突き立てた。
これによって魔風は剣を避けて左右に分かれ、風下には広大な「守られた地」が生まれた。
これが世界(ギムレー)の始まりである。


世界の成り立ち:魔法
この世界には、誰であれ大なり小なり魔法の力を持っている。特に王族の持つ魔力はすさ
まじく、民を守るために魔力の強い子を残すことが重要視された。
しかし主人公エルナは、世界でただ1人一切の魔法を帯びぬ姫であり、ギムレーを滅ぼすと
予言された闇の姫御子として恐れられ、忌み嫌われていた。


世界の成り立ち:世界情勢
ノルズ山のふもと、勇者を始祖とするアーサトゥアル、女王を頂点とするグートラント、9人もの
王子を擁するアンザスの3大国家と、いくつかの小国、自治都市などからなる。しかし近年
アーサトゥアルは勇者の末として世界の盟主を名乗り、他国への干渉を深めていった。



724 :「聖戦記エルナサーガ」2/3:2007/12/13(木) 20:46:36 ID:???
おおまかなストーリー:エルナ編
魔法を持たぬ故に絶対封魔剣グランテインを引き抜くことのできる存在であるエルナは、
アーサトゥアルが世界を統一するための道具としてノルズ山の離宮に移されることとなった。
しかし彼女は戦争をやめさせ、世界を救う方法はないのかと1人模索する。そこへエルナの
存在を知ったアンザスの第9王子、シャールヴィが彼女を暗殺を企み単身王城へ乗り込む。
一度はエルナを殺そうとしたシャールヴィだが、彼女を連れてアンザスへ向かう。エルナは
ただ戦争の道具となるのではなく、自分の力を世界を救うために使えないかと考えるように
なる。
理想と現実との決して埋められぬ溝、後悔と絶望と無力感に何度となく打ちのめされ、その
たびに挫折しかけるも、彼女は必死に戦争をやめさせ、世界を救う手だてを探し、歩き続ける。
そんな彼女の姿に心動かされた人々が、彼女の力になろうと様々な形で協力してくれる。
やがて、すべての元凶は魔境に眠る魔獣にあると考えた彼女は、魔獣を倒すことを決意する。
しかしその為には聖剣グランテインを引き抜く必要があり、そうすれば世界は魔風によって
たちまちのうちに壊滅してしまう。
やはり、自分はどこまでも世界を滅ぼす存在でしかないのか。エルナは深く絶望する。



725 :「聖戦記エルナサーガ」3/3:2007/12/13(木) 20:47:16 ID:???
おおまかなストーリー:エイリーク編
別にエルナとエイリークで分かれているわけではなく、ふたつは同時進行で語られる。ここでは
話を分かりやすくするために分けているだけです。
エルナのいとこであり「光の王」と称される次期国王エイリーク。他国に戦争を仕掛けることに
最初こそ同意していた彼だが、彼自身の使い魔の報告と、大魔導師ヴァーリとの報告に大きな
違いがあることを知り、戦争をやめさせようとする。だが王の側近達を取り込み、影響力を増し
たヴァーリを止めることは困難となっていたばかりか、王城の中で孤立させられていく。
正式に国王となった戴冠式の日、彼はヴァーリと対峙する。しかし不死身にも思えるヴァーリの
人知を越えた力に完全に打ちのめされ、禁呪である魔精霊に感染させられてしまう。
夜な夜な襲い来る幻覚や幻聴に苦しめられながらも、エイリークはヴァーリの正体を探る。
やがて、かつての王弟、エルナの父にはエルナの母より先に妻と子がいたことがわかる。
だが彼女たちはエイリークの父である当時国王の謀略によって、魔境へと追放されていたの
だ。しかし彼は生きていた。その後魔境から舞い戻り、大魔導師として王城へやってきたのだ。
あるものの使い魔となって。
魔法を喰らう蔦で作ったマントをはおり、魔精霊の呪法を無理矢理解呪したエイリークは、
ヴァーリに最後の闘いを挑む。見事ヴァーリを打ち倒したが、蔦はエイリークの体内の魔法を
喰らい始めた。
エイリークが取り込まれた途端、蔦はその姿を変える。エイリークの魂を得た蔦は一つの巨大な
木となった。それは伝説にある世界樹イグドラシルそのものであった。



726 :「聖戦記エルナサーガ」4/3:2007/12/13(木) 20:47:50 ID:???
物語の結末:
イグドラシルは世界中にその根を広げ、各地で森を茂らせ、急速に成長していった。伝説にある
魔獣と勇者との闘いの折、人々はその世界樹のうろに身を寄せ、命長らえたという。
これで、魔獣に挑むことができる。エルナとシャールヴィは、聖剣を手に魔境へと向かった。
フレースヴェルグは、かつて神々によって造られた存在だった。しかし何度かの暴走事故のあと、
世界が魔法に汚染されると、そのまま放棄されたのだという。
今の世界を滅ぼし、新たな世界の創造を望む魔獣。しかしエルナはそれを否定する。
彼女が苦難の旅の中で出会ったさまざまな人たち、彼らを信ずればこそ。
「神を恨み続けるあなたを超えて、私たちは新しい大地へ行くんだ!」
魔獣は倒れ、地に埋もれた聖剣が大地をすみやかに浄化した。かつて世界(ギムレー)と呼ばれた
閉ざされた地はない。ひらけるは広大な大地……エルナがギムレーを滅ぼすという予言は当たって
いたのだ。
その後、かつてギムレーと呼ばれていた地をグートラントの女王が統治し、エルナとシャールヴィは
新しい大地に新しい国を興し、再び地に人が満ちるまで、長く平和が続いたということである。
おしまい。