エファンタジー/第三話「Dark Side Left Otete」

Last-modified: 2023-03-03 (金) 19:38:37

第三話「Dark Side Left Otete」



暗く哀しい過去を持つアルカー。
前回、彼は嫌な事を忘れようと登山に来たわけだが、
自分に酔ってしまったが為に遭難してしまった!
困っていた所に謎の忍者が現れ「忍者になれば助ける」と言われる。
このまま行けば彼は暗く哀しい過去をもう一つ増やす事になりそうだ。〆(・ω・´)


夜が明けて、二人は山を降りる為にてくてく歩いていた。
「忍者って何ですか?><」
「お腹が減って頭が回りません。><」
「食べ物さえあれば話が理解できるのに。><」
「え?食べ物くれるんですか?><」
「ありがとうございます。えーと?あ、よしのさくらさんっていうんですね。素敵な名前ですね!><」
「ふぅ。腹いっぱいになったぜ。ありがとよ。これでなんとか家に帰れそうだ。」
「え?約束通り忍者になれ?何の事だい?」
「忍者とかマジ勘弁!><」
「ちょっ…!ついてこないでよ!貴方と私はもう終わってるのよ!><」
これらが夜から朝に掛けてのアルカーの発言の数々だ。
腹を満たし、夜が明ければ、時代錯誤の忍者など最早用無しと言わんばかりだ。
そんな彼を恨めしいと思っているのか、放っておけないのか、
はたまた、まだ勧誘を諦めていないのか、
一食一宿を共にしたよしのさくらはアルカーの後をついて来る。


「待て。」
帰り道を半分くらい降りた所でよしのさくらが唐突に話し掛けて来た。
「ん?忍者にはならないぞ?
後、食べ物を返せって言っても腹の中だから返しようがないぜ。
どうしてもっていうのなら尻から出るまで待っててくれ。」
飄々と返してみせるアルカーだったが、
「そこで止まれ。」
どうやら忍者やら食べ物やらの話ではないらしい。
ピリリとした空気にアルカーも立ち止まる。
「グルォ!オオオオオッ・・・!」
アルカーが歩を止めたと同時に何処からか獣の鳴く声が。
ザッシザッシ・・・!
すぐ先にある草むらが揺れ、声の主が現れる。


「ゲェーッ!ゾ、ゾンビだぁっ!!」
突如として現れた脅威にアルカーは叫び声をあげてしまう。
その声がゾンビの敵意を煽ったのか、ゾンビはあるカーの方を向いてしまった。
「\(^0^ )/」
人生諦めモードのポーズを取るアルカー。
しかし、次の瞬間、よしのさくらがつむじ風を起こす速さで走り出し、
アルカーを追い抜き、ゾンビの眼前に立ちはだかる。
「ウホッ!よしのさくらさんマジパネェっす!
やっぱり頼りになるのは忍者だね♪」
勇敢なる忍者の後ろから掌を返してベタ褒めするアルカー。
「忍者の力の一端を見せてやろう。」
自信たっぷりに頼り甲斐のありそうな言葉を言い放つよしのさくらに、
「グルォォォォォッ!」
ゾンビの爪が襲い掛かる。


ズバーーーッ!
格好付けた言葉を言い放った次の瞬間によしのさくらの体は真っ二つになっていた。
「しっ、死んだぁぁぁ!?(゚Д゚;)」
真っ二つになったよしのさくらを見てアルカーは悲鳴をあげたが、
「残念だったな。それはタダのカカシだ。」
真っ二つになった筈のよしのさくらはいつの間にかゾンビの背に回り込んでいる。
よく目を凝らして見ると、言われた通り真っ二つにされたのはカカシだった。
「すげぇっ!忍者すげぇぇぇっ!よしのさくらさん、素敵過ぎ!
そのミラクルパワーでそこの糞ったれなゾンビもやっつけちゃって!」
狂喜乱舞しながらゾンビ虐殺を薦めるアルカーだったが、
「いや、今日は武器を持って来ていないし倒すのは手間だ。
忍者の能力自慢も出来たし、私はもう満足だ。」
よしのさくらはそう言うと眼前の敵に背を向けて全力で走り出した。
「おまっ!俺を置いて行くつもりか?!この人でなし!」
アルカーはよしのさくらをなじったが、
「忍者の技を身に付けなかった自らの愚かしさを後悔するがいい。」
そう返すよしのさくらの声は最早遠い。
「きたない!さすが忍者きたない!」
悲痛な叫び声をあげるアルカーにゾンビが非情に襲い掛かる。


「グギャァァァァァッ!」


山中に人のものとは思えないおぞましい悲鳴があがる。
それもその筈、悲鳴をあげたのはゾンビだったのだから。
何故ならばアルカーにゾンビが襲い掛かった刹那、
大鎌がゾンビを引き裂いたからだ。


アルカーが恐る恐る閉じた目を開くと、
黒い衣装を身に纏い、華奢な体つきにひどく不釣合いな大鎌を持った女が立っている。
大鎌からは先ほどの熊の新鮮な血がポタリポタリ、地を打っていた。
「助かった・・・のか・・・?」
アルカーがそう呟くと現れた女はアルカーの方に向きなおり、
「大丈夫でしたか?この山にはよくゾンビが出るんですよ。
あ、初めまして、私、プセルと申します。
突然ですが我々の教団に入団しませんか?」
と、にっこりとした笑顔を添えて言って見せた。
「はぁっ?!」
突然の申し出にアルカーは素っ頓狂な声を上げるが、
「我々は闇を胎から(はらから)とし、憎悪を糧とし、邪神を崇拝する宗教団体です。」
天使のような笑顔で女は悪魔の言葉を吐く。
「なに言っちゃってるの?この子?そういうお病気なのかしら?(*'ω'*;;;)」
プセルの言葉にアルカーはオーバーアクションで呆れたように返したが、
「そう、今、世界は正に病に侵されているのです。平和という病に。
平和とは人々の心を蝕み、怠惰と惰眠を貪らせるのです。
更に一見して綺麗に見えるものだから多くの人々が病に気付けずにいるのです。」
プセルはアルカーの言葉を妙ちきりんな形で受け止め、真摯に答えた。
「こいつ・・・、マジモン(本物)だ・・・!n('Д'n;)」
このプセルという女の中の闇を引き出してしまった彼は戦慄した。


下手に刺激すると何をし出すか分からない女を相手に、
アルカーはたじろいていたが、
「こんな山奥で布教活動とは教団も地に堕ちたものだな。」
いつの間にか、ちゃっかり戻って来ていたよしのさくらが、
何かを知ったような口調で喋り出す。
「あっ!貴方はっ?!」
よしのさくらを見るなり、それまで笑みを絶やさなかった女の顔が豹変する。


忍者の次はゾンビ!ゾンビの次は宗教女!
最近ろくな目に遭わない哀しき主人公アルカー!
プセルとは何者なのか!?プセルのいう宗教とは一体!?
プセルとよしのさくらの関係は!?忍者は本当に強いのか!?
謎が謎を呼ぶ展開の数々!我等がアルカーはこれからどうなってしまうのか!?
そして俺はプセル(怒髪天)に怒られずに済むのか!?次回、乞う御期待!〆(・ω・´)