エファンタジー/第十話「それぞれの正義」

Last-modified: 2023-03-02 (木) 06:22:19

第十話「それぞれの正義」



暗く哀しい過去を増やし続けて涙目のアルカー!
ゾンビとなったアニエッタを救う為にゾンビを人間に戻す方法を知るVieliを連れて熊の山を駆け巡る!
そんな中、非情の女騎士Eselin率いる謎の騎士団と遭遇し、
鍋を突付いている間にアニエッタが火葬されてしまっていた事を知らされる!
更にVieliが報奨金付きの指名手配犯である事が発覚し、金に目の眩むふえう!
そして謎のキーワードであるモニコモニイコミュニティ!
アニエッタの死を境として、新たな物語が、今、始まろうとしていた!


さて、人間は何にでも、まず名前を付ける。
名付けた後に人にとっての意味と価値を添える。
そこに至る頃にはそのものの本質などは最早どうでも良くなる。
一刻も早く、それを知った、理解したとして安堵したいからだ。
何故ならば、人は知らぬ、理解出来ぬを怖れる臆病な生き物だからだ。


「【モニコモニイコミュニティ】だ。」


こちとらの用事は済んだ事だし、面倒そうだから、指名手配犯たるVieliを引き渡しても良い。
そう思っていたアルカーだったが、Eselinの言い放ったその名のせいでそんな考えは消し飛んでしまった。
「な、なんだとっ・・・!?あの悪名高い【モニコモニイコミュニティ】に売り渡すってのか!?(゚Д゚;)」
「も、モニコモニイコミュニティ・・・!」
Vieliがみるみる青ざめ震え、体中が恐怖と絶望を表し出した。


突如としてダイアロスにその姿を現した新興勢力【モニコモニイコミュニティ】
様々な国や組織に根を伸ばす彼らのやり口は強引で悪辣の一言だ。
言葉にすれば陳腐であるが、本当の意味での強引と悪辣なのだ。
その言葉以外の要素を一つも持たない。故にその言葉だけで謂われている。
この世の悪意と理不尽の全てを合わせれば【モニコモニイコミュニティ】となる。
人々の間でそんな風に吹聴されている程の組織なのである。


「指名手配犯一人に大枚を叩く組織など【モニコモニイコミュニティ】くらいなものだ。」
抑揚の無い声でEselinは淡々と語る。
「んな事を聞いてんじゃねぇ!(゚Д゚♯)」
外道の所業を当然のように語るEselinにアルカーは怒りを吐き付ける。
指名手配犯とはいえ、【モニコモニイコミュニティ】に売り渡すのは残酷過ぎると思ったからだ。
「なんだ?結局の所、邪魔立てをするつもりか?その女の報奨金に目が眩んだか?」
常に冷静さを保つ事に努めて来たEselinの言動は時として人の怒りを増させる事がある。
「あそこに連れ込まれた人間は五体満足で帰っては来れねぇ。そいつを知らねぇわきゃねぇよな!?(゚Д゚♯)」
小動物のように震えるVieliを尻目にアルカーは怒りに震えて叫んだ。
「我等には理想がある。世の腐敗の悉く(ことごとく)に天誅を下し、真の平和と秩序の何たるかを知らしめる理想が。
その旗上げには【モニコモニイコミュニティ】を利用するのが早いというだけの事。」
Eselinの語る言葉はアルカーの言葉と繋がっていなかったが、返事にはなっていた。
つまる所、理想の成就の為にはアルカーの言葉など聞く耳持たぬという事だ。
「こんな女を地獄に落とすのが理想の近道だぁ?(゚Д゚♯)」
このVieliという女は熊を放し飼いにし、熊に食い殺された人間をゾンビにし、
挙句、自分に襲い掛かって来た。口は悪いし、行動はエキセントリックだしで本当に酷い女だ。
しかし、それでも【モニコモニイコミュニティ】の非道に比べれば可愛いものだ。
それに先程、無邪気に、素直に、楽しそうに、レーションに噛り付くVieliを見てしまった。
あれがこの女の真実の姿だというのならば残酷な連中には渡せない。アルカーはそう思ったのだ。


「そんな理想ってのは、この鉛玉を受けてまで通すものかよ?(っ゚Д゚)┳」
アルカーは不恰好な銃を慣れた手付きでクルリと回す。
総じて格好の良い仕草では無かったが、
弁と睨みを利かせた威嚇はそれだけで幾らかの騎士達の戦意を撃ち抜く。
「・・・。」
そんなアルカーに対抗するようにEselinは剣を抜き、
ヒュヒュン!十字を描くように空を斬る。
その女騎士の頼もしさはたじろく騎士達に戦意を取り戻させる。
「何の事はねぇ。アンタ等は誰かを踏み付けて山を登ろうって連中だ。
だから、こうして銃を向けられる。
口にした途端に鉛玉が飛んで来るような言葉と、
そんな言葉を使う連中が正しいワケがねぇんだよ。(っ゚Д゚)┳」
アルカーの舌先三寸も怒気を帯びれば、これで中々恐ろしいものがある。
「なんとでも言うが良い。」
が、非情の女騎士は矢張り淡々として応える。
「開き直りやがって・・・!(♯゚Д゚)┳」
「よりにもよって【モニコモニイコミュニティ】だなんて酷い人達なのです~。(・∀・♯)」
アルカーの陰で黙に徹していたふえうも遂に口を出す。
報奨金が出ると聞いて早速としてVieliを売り渡す算段をしていたふえうであったが、
【モニコモニイコミュニティ】の名を出されては却下する他ない。
人を弄ぶ事を楽しむこの少女ですら怒りを覚えるのだ。
「へっ!堕ちる所まで堕ちた人間の様ってのは悪魔にすらヘド吐かせるものらしいぜ?(っ゚Д゚)┳」
荒ぶるアルカーだがその手に持った銃は実に冷ややかに相手の額を捉え続けている。
微動だにすらしない冷徹な銃が捉えるは非情の女騎士。


アルカーにEselinの事は分からない。
Eselinにアルカーの事は分からない。
だから、銃をもって、剣をもって、向かい合う。
理解出来ないものを怖れ、忌むのが、人の性。


誰もが予想だにもしなかったシリアスっぽい展開!
突然格好良くなった主人公アルカーは何かヤバイ物でも拾って食ったのか!?
謎の騎士団を相手にアルカーはどう立ち回る?!
そして、連れて行かれると五体満足で帰って来れない上に、
熊を放し飼いにし、熊に食い殺された人間をゾンビにし、襲い掛かって来る人間よりも、
タチが悪いと言われる【モニコモニイコミュニティ】ってヤバ過ぎねぇ!?次回、乞う御期待!〆(・ω・´)