草紙会話7~8

Last-modified: 2015-07-09 (木) 18:13:34

一覧へ戻る

 

7

遭遇頻度上昇中
釣り場が被る二人。
太公望
 また被ったな。
恵比寿
 最近被る頻度が高いにゃ。
 わざと被せてるんだったら怒るにゃ。
太公望
 偶然だろ。わざわざ釣り場を被らせる理由がない。
恵比寿
 それもそうだにゃ。
 にゃにゃ、それにしても…。
 
 お前と釣り場が被るようになってから、
 やたらと視線が突き刺さってる気がするにゃん。
 
 ついでに言うなら、今も突き刺さってるにゃ。
 お前、なにかしたのかにゃ?
太公望
 何で俺が何かしたことになってるんだ…。
 確かに、視線の原因は俺だろうが…。
恵比寿
 そうなのかにゃ。
 …素直に認めたから、追求はしないでやるにゃん。
太公望
 ははは…ありがとよ。
 アイツも、悪い奴じゃないんだけどな。
恵比寿
 特に被害がないなら、無視しておくにゃ。
 何かあったらお前になすりつけるだけにゃ。
太公望
 そうならないことを祈っておくさ。
 
太公望:最近多くないか?   
恵比寿:遭遇だけじゃなく、視線が突き刺さる頻度も増えたにゃ。    
おにごと
素早い恵比寿を捕えようと必死だが…。
恵比寿
 にゃははははははっ、遅いにゃ!
ナタク
 ちっくしょー、アイツぜんっぜん捕まらねー!
恵比寿
 お前達が遅すぎるのにゃ。
 まだまだ本気は出してないのに、だらしないにゃあ。
ナタク
 なんだとー!? 絶対、捕まえてやるからな!
 剣姫、挟み撃ちだ!
刑天剣姫
 まっかせてー!
 今度こそ、ぜーったいに捕まえるんだからね!
恵比寿
 ……お前達、丸聞こえにゃ。
──
 恵比寿めがけて、左右から勢い良く走る二人。
 だが恵比寿が避ければ、その先にいるのはお互いで。
 かといって、二人が急に止まれるはずもなく。
ナタク
 いってえええええっ!!
刑天剣姫
 いったああああいっ!!
恵比寿
 にゃっはははははっ!!
 勢い良く突っ込んで転がるなんて、笑うしかないにゃ!
 にゃははははは!!
ナタク
 思いっきり笑いやがって…! いてて…。
恵比寿
 にゃはははははははっ!にゃはははげほっ、ごほっ。
刑天剣姫
 笑い過ぎでむせてるー。
 人のこと笑うから、罰が当たったんだ!
ナタク
 ざまーみろ!
恵比寿
 そんなこというお前達も、
 くすぐって同じ目に合わせてやるにゃ!
ナタク
 にっげろー!
刑天剣姫
 にげろー!
恵比寿
 すぐに捕まえてやるにゃああああ!
 
恵比寿:捕まえられるものなら、捕まえてみろにゃー!   
ナタク:アイツすばしっこすぎだ!  
刑天剣姫:ぜーったいに捕まえるもんね!  
何故か変換できない
カッサパ、逆鱗に触れるの巻き。
カッサパ
 お主は確か…きんぴら、じゃったかのぅ?
金毘羅
 こ・ん・ぴ・ら・だ!
 貴様、斬り捨てられたいか?
カッサパ
 フォッフォッフォ、年寄りの冗談じゃ。
 ……冗談じゃと言っておろう。刀を抜くでない。
金毘羅
 チッ………仕方あるまい。
 しかし、次はないと思え。
カッサパ
 冗談が通じないとは、頭の固い奴じゃな。
金毘羅
 何か文句でもあるのか?
カッサパ
 …そういえば、
 先ほどあちらで小さい子達が遊んでおったのぅ。
金毘羅
 何っ!?
 翁の相手をしている場合ではないな、失礼する!
カッサパ
 やれやれ、助かったわい。
 
カッサパ:ちょっとした冗談じゃというに。
金毘羅:私の名は金毘羅だ!
中と外の差
言葉だけを見れば、良いお姉さんだけど…。
玄武
 えーと…あ、思い出しました。きんぴらお姉ちゃん!
金毘羅
 (またか…! しかし、相手は愛らしい子供。
 至福の時を、自ら壊すわけには行かぬ。己を律せよ…!)
 
 少し違うな。
 それは食べ物であって、私の名ではないぞ。
玄武
 え、あ、ご、ごめんなさい…。
金毘羅
 (嗚呼、しゅんとした表情もまた愛らしい…)
 
 構わぬよ。
 では改めて名乗ろう。私の名は、こんぴらだ。金毘羅。
玄武
 金毘羅お姉ちゃん、ですね。
 今度は、ちゃんとおぼえました!
金毘羅
 ふふ、良い子だ。
玄武
 えへへ。
 あ、そうだ! これから、産土ちゃんと鞠つきするんです。
 金毘羅お姉ちゃんも、いっしょにしませんか?
金毘羅
 (へにゃりと笑う表情が堪らぬ…!!)
 鞠つきを? …あまりしたことはないが、それでも良いのか?
玄武
 はい!
 実はですね、玄武もあんまり鞠つきは得意じゃないのです…。
 だから、いっしょに産土ちゃんに教えてもらいましょう!
金毘羅
 そうか…ならば、共に行かせてもらうとしよう。
 
玄武:ええと、名前…名前…。
金毘羅:…そんなに私の名前は覚えづらいか?     
おさかなに釘付け
トウテツが視線を向ける先。
トウテツ
 わぁ、おっきなおさかな~。
林黙
 ん? おっきな魚っていうのは、
 あたしが持ってるコレのことか?
トウテツ
 そぉ~。
 ねぇねぇ、どんな味がするの~?
林黙
 さぁなぁ。食ったことないし…。
 って、これは食べ物じゃないって!
トウテツ
 ええ~? 食べないの?
林黙
 ちょ、何でジリジリ近付いて来るんだよ!?
 だから食べ物じゃないって言ってるだろ!?
トウテツ
 でもぉ、すっごくおいしそうだよ?
林黙
 人の話を聞けって!
トウテツ
 トウテツね~、今ごはん食べたいの~。
林黙
 それ、あたしが持ってるコレ食べたいってことだろ。
 というか、君って最初からコレしか見てないよな!?
トウテツ
 うん~。すっごく、食べたぁい。
林黙
 だーかーらー、何度も言って…
 って、近付いて来るなあああっ!!
トウテツ
 あ~、おさかな待ってぇ~。
 
トウテツ:おいしそうなおさかな~♪
林黙:近付かれるだけで恐怖を感じるなんて…!  
秘密事
誰にも教えない、彼女しか知らないこと。
カーリー
 ほぉ、珍しいじゃねぇか。
 お前が活動してるとはな。
ソーマ
 …カーリー。久しぶり、だね。
 気が向いたから、お酒、作ってた。
カーリー
 んだよ、作り終わったとこか。
ソーマ
 ふふ…材料も、作り方も、秘密。
 誰にも、教えない…。
カーリー
 普段ぼんやりしてるくせに、
 その秘密守るとこだけは抜け目ねぇなあ。
ソーマ
 褒め言葉として、受け取っておく、よ…。
 …ふ、わぁ。
カーリー
 おいおい。ここで寝たって、アタシは運ばねぇからな。
ソーマ
 分かって、る…。運んでくれる人と、くれない、人…。
 カーリーは…後者…。
カーリー
 クハハッ、よく分かってるじゃねえか。
 酒、一つ貰って行くぜ。
ソーマ
 ん…良い、よ…。
 それじゃあ…また、ね…。
カーリー
 酒の効果と、作成主とで差がありすぎんだよな。
 そこがまた、面白いとこだけどよ。
 
カーリー:毎回、作り終わった後なんだよなあ。     
ソーマ:…誰にも、内緒。    
天満月
月に縁のある二人の邂逅。
月読
 おや、この時期に月を見ている方がいらっしゃるとは。
ソーマ
 ……誰?
月読
 突然失礼しました。私は月読と申します。
ソーマ
 私は、ソーマ。
……貴方も、同じ?
月読
 …そうですね。ここへ来た目的も、ですが。
貴女と同じく、月に縁のある存在ですよ。
ソーマ
 ふふ、そっか…。
…貴方とは、また、こうして会いそうな気がする。
月読
 奇遇ですね。私もそんな気がしますよ。
月読
 度々場所は変えていますから、次がいつになるのかは分かりませんけれどね。
ソーマ
 そう、だね…。次、会う時は…お酒、用意しておこう、かな。
月読
 …中秋の名月は、ここで月を見るつもりですから、
その時にお会いしたならば、お団子くらいは御馳走しますよ。
ソーマ
 それは、お誘い…?
月読
 さて、どうでしょう?
ソーマ
 ふふ…。
なら、その時…楽しみにしてる。
 
月読:天照や須佐以外にも、近しい存在がいたのですね。
ソーマ:ふふ…なんだか、不思議な感じ。
解決ならず
物を壊してしまう大黒天に提案はするが…。
大黒天
 うー、なんでいつもああやって…。
須佐之男
 ンヒッヒッ、なんだ、大黒。
 またシヴァとやらと間違えられたのか。
大黒天
 今回は違う!
須佐之男
 なら何でそう落ち込んでるんだ?
 人助けのつもりで何か壊したか?
大黒天
 ぅ……。
須佐之男
 …また壊したのか。
大黒天
 う、うるさい!アタシだって好きで壊してるんじゃない!
 気付いたら壊れてるんだ!!
須佐之男
 そんなに物を壊しちまうんなら、
 何かを壊すことで人助けになるようなことをしたらどうだ?
大黒天
 …例えば?
須佐之男
 知らん。
大黒天
 おい!
 
大黒天:別に壊そうとしてるわけじゃないのに!!   
須佐之男:無意識に壊すって、一番性質悪くないか?     

8

汚い手
調子に乗り過ぎたナタクと、大人げない大黒天。
大黒天
 おいおい、この程度でアタシに挑んできたってのか?
ナタク
 子供相手に本気になるなよー!
大黒天
 これでも手加減してるぜ?
 アタシが本気だしたら、お前じゃ相手ならないからな。
ナタク
 嘘だー! 絶対手加減してない!
 汚い! さすが大人汚い!
大黒天
 はああ!?
 アタシはなんも汚い手使ってないだろ!!
ナタク
 こーなったら奥の手使うもんね!
大黒天
 へぇ、そりゃ楽しみ…って、砂掴むな!!
ナタク
 必殺、目潰し!
大黒天
 ちょ、お前の方が汚いだろ!!
ナタク
 へっへーん。隙ありー!
大黒天
 あっぶね…!
 お前、目潰しからの顔面狙いは卑怯だろ!!
ナタク
 きーこえーないー♪
大黒天
 ほほう?
 なら、アタシも本気で相手してやろうかねぇ。
ナタク
 うわああっ!?
 大槌振り回すのは危ないだろ! 大人げない!
大黒天
 知るかあっ!
 先に危ない攻撃仕掛けてきたのはお前だっ!
 
大黒天:先に汚い手使ったのはお前だ!        
ナタク:さすが大人汚い!    
変遷
移り変わった、その流れ。
クリシナ
 ふむ、君が出雲か。
出雲
 だったら何?
クリシナ
 ああ、そう睨まないでくれるかな。
 君が嫌っていることの相談をしに来たわけではない。
出雲
 なら、何でわざわざ私が出雲だって確認したのよ。
クリシナ
 少し気になっていてね。
 かつては国の名だった「出雲」が、
 何故、縁結びの神へと変化したのか。
出雲
 そんなの私が聞きたいくらいよ。
 しょっちゅう恋愛相談されるなんてうんっざり!爆ぜろ!
クリシナ
 はは。己の役目にこれほど嫌悪を露わにするのも、
 中々珍しい。
出雲
 私はあんなものを自分の役目だなんて認めないわよ!
クリシナ
 これは、少し調べたくなったかな。
 どう変化して、今へと繋がったのか。
 
 記録等が残っていれば良いんだが…。
 やはり文化の変化によるものなのかな?それとも──。
出雲
 ちょっと、聞きなさいよ! もう…何なのよ、アイツ。
 
クリシナ:こちらも、中々面白いな。   
出雲:あれが役目だなんて…絶対、認めないわよ!       
目的と理由
アスラの情報が欲しいプリパスと、口を閉ざすクリシナ。
プリパス
 あら、クリシナじゃない。
 戻って来てたのね。
 アスラについての情報、何かないのかしら?
クリシナ
 生憎、私は情報屋じゃないんだ。
 アスラのことについて、情報を集めている訳ではないよ。
プリパス
 でも、知らないわけではないのでしょう?
 教えなさい。
クリシナ
 断る。プリパス、
 君がアスラ打倒を目標としているのは知っているけどね。
 私は私の為に、知識や噂話を集めているにすぎない。
プリパス
 そう言う割に、ヴァルナやヴィシュヌ達とは
 よく旅の話をしているみたいだけれど?
クリシナ
 彼等は好奇心から“物語”として、話を聞いてくれているだけだ
 。
 君のように、“情報”を得ようとしているわけじゃない。
プリパス
 っ……。
クリシナ
 私は火種を運びたくて、旅をしているわけでもない。
 君が情報を得るという目的を持って私の前に立つ以上、
 私は君に話をするわけにはいかないよ。
 
 悪いけど、情報がほしいなら、
 君の自慢の部下に、情報を集めるよう指示することだ。
プリパス
 自慢できる部下がいるのは否定しないわ。
 けど、あなたの情報収集能力について、私は評価しているの。
 
 悔しいけど、あなたと同等の情報を集められる部下はいないわ。
クリシナ
 評価してくれるのは嬉しいけどね。
 集められないなら、集められるよう訓練したらどうだい。
 訓練は、君の得意とするところだろう?
プリパス
 くっ……。今日は帰るわ。
 けど、必ずアスラについて知っていること、教えてもらうわよ。
クリシナ
 やれやれ…。
 煽っておいてアレだが、彼女の部下に同情せざるを得ないな。
 けど、譲るわけには行かないことだからね…。
 
プリパス:アスラを倒す為に、情報が不可欠なのよ…!     
クリシナ:やれやれ。私は情報屋ではないのだがね。       
お土産
観光から戻って来た窮奇。買ってきたものは…。
渾沌
 窮奇姉さん、これは一体何ですか?
窮奇
 柏餅と言っての。今の時節、ちまきと同じように東の国で食され
 ておる物よ。
桃胡
 ねーねー、桃胡ちゃんへのお土産はー?
 さっき渾沌ちゃんに渡してたの見たんだからね!
窮奇
 お主にはないわい。
桃胡
 えー! 渾沌ちゃんだけするいー!
窮奇
 渾沌には行き先を決めてもろうたからの。その礼じゃ。
桃胡
 ぶーぶー!
 
 あ!
 ところで、渾沌ちゃんへのお土産は何だったの?
渾沌
 鮭に噛まれている熊の置き物でした。
桃胡
 ……熊が鮭を咥えてる置き物じゃなくて?
渾沌
 熊が鮭に噛まれている置き物です。
窮奇
 東の国の人の子らは、まっこと、面白い発想をしおる。
渾沌
 はい。部屋に飾りました。
桃胡
 ……置き物、気に入ったんだ。
窮奇
 さて。
 トウテツが出かけておる隙に食わねば、取られてしまうぞえ。
渾沌
 それは困りますね。食べます。
桃胡
 でもさー、後でバレたら怖くない?
窮奇
 安心せよ。トウテツのは別で購ておる。
桃胡
 さっすが窮奇ちゃん! じゃ、遠慮なくいただきまーす!
 
渾沌:お土産、気に入りました。
窮奇:まっこと、東の国は面白い。
桃胡:渾沌ちゃんだけってずるーい!       
お呼びじゃない
申公豹以外に用はない太上老君。
太上老君
 あ~、動きたくない。働きたくない。五月病かかったっぽい。
太公望
 お前はいつもだろ。
太上老君
 …何で太公望なの。
 ここは申公豹ちゃんが来るところでしょ。
 
 「老君様はいつもじゃないですか!」って、
 申公豹ちゃんが可愛い顔で怒ってくれるところじゃないの?
 
 癒しのいの字もない。
 菖蒲で顔面フルスイングしてやりたい。
 むしろして良いですか?
太公望
 やめろ!
 しかも何で菖蒲なんだよ。
太上老君
 申公豹ちゃんが持って来てたの。
 長さもそこそこあるし、フルスイングしたら
 中々良い威力になりそうじゃないかなと。
太公望
 菖蒲ってそういう風に使うものじゃないからな。
 申公豹だって邪気を払う為に持ち込んだんだろ。
太上老君
 邪気あるし。ここにあるし。
 つまり目の前の邪気を払えという、
 申公豹ちゃんの備えだったと。
太公望
 分かった分かった。出て行けばいいんだろ。
 申公豹から伝言預かってたがもう知らね。
太上老君
 いやちょっと待って何それ聞いてない。
 そうなら早く言うべきでしょ。ちょ、待って。待ってください。
 すいません私が悪かったですから教えてください!
 
太上老君:あ~…動きたくない。
太公望:いつも五月病だろ…。            
自慢だからこそ
興味がなくても、負けられない。
ヴィシュヌ
 この前はよくもやってくれたな!
 今度こそ俺が勝つ!!
インドラ
 いい加減懲りていただけませんか。
 わたくしは貴女との勝負に興味はありません。
ヴィシュヌ
 だったら大人しく俺に負けろ!
インドラ
 お断りします。プリパス様の部下として、
 そう簡単に敗北するわけには行きません。
ヴィシュヌ
 興味ないって言ったじゃねーか!
インドラ
 勝負そのものに興味はありません。
 あの方の顔に泥を塗る真似はできないと言っているのです。
ヴィシュヌ
 訳わかんねー。お前が俺に負けたって、
 別にプリパスまで弱いってことにはならねーだろ。
インドラ
 …はぁ。話しになりません。
ヴィシュヌ
 あ、おい、こら! 待て!
 
 くっそ、逃げられたー!
 ……それにしても、俺、変なこと言ったかぁ?
 
ヴィシュヌ:訳分かんねー。
インドラ:それは、わたくしの誇りでもありますが…。わざわざ口にすることでもないでしょう。  
大神と王女
高貴に振る舞おうとする天照大神にダメ出し。
天照大神
 貴女が竜宮の王女ね。私は天照大神よ。
 こうして言葉を交わせることを、光栄に思いなさい。
乙姫
 ……。
天照大神
 な、何よ、じっと見つめて。私の高貴さに言葉もでないのかしら
 ?そうよね。私は高貴だもの、仕方ないわ。
乙姫
 …ダメダメ。ぜんっぜんなってない!
天照大神
 なんですって?
乙姫
 高貴に振る舞いきれてないって言ってんの!
 何で自画自賛をそこで入れちゃうわけ!? ありえない!
 ただの残念な人じゃん!
天照大神
 し、失礼ね! 私は残念な人なんかじゃないわ!
 あなたみたいな軽い人に言われたくないわ!!
乙姫
 あんただってしつれーじゃん。
 私だって、ちゃんと振る舞う時は王女らしく振る舞うし。
 ただ時と場と相手を選ぶけど。
天照大神
 ……何よそれ。
 私には王女らしく振る舞う必要はないって言いたいの!?
乙姫
 この調子で話してるんだから、そうってことでしょ。
 理解おっそー。
天照大神
 ~~っ!! もういい!
 洞窟籠ってやるんだからあああっ!!
乙姫
 あ…。あー、またやっちゃった…。
 あんなこと言うつもり無かったのに…。
乙姫
 せっかく可愛いのにもったいないって。
 こうしたらもっとイイんじゃん的な話をして仲良くなってー、
 とか思ってたのにー!
乙姫
 はあ…、私ってどうしてこうなんだろ……。
月読
 お困りのようですね。
乙姫
 !?
 だ、だれっ!?
月読
 申し訳ありません。驚かせてしまったようですね。
 私は月読。通りすがりの単なる神です。
月読
 実はさきほど走り去って行った彼女と、
 少なからず縁がありまして。
 よければお話を聞かせて頂けないでしょうか?
乙姫
 いやアンタ。三貴神じゃん。
 超スゴイじゃん。単なる神じゃないじゃん。
乙姫
 はあ…、まいっか。
 
 さっきさあ――
月読
 (あの天照に友人ができるかもしれない…。
 この機会、逃すわけにはまいりません…っ!!)
 
天照大神:私は残念な人じゃないもの…!
     違う、もん…。
乙姫:天照って、こんなに威厳ない存在だっけ?
月読:私でよければお力になりましょう。             
遊びに来ました
乙姫に遊ばれるカッサパ。
乙姫
 ……亀?
カッサパ
 カッサパじゃ。
乙姫
 あれ、でも竜宮にこんな奴いたっけ?
 私が覚えてないほど影が薄い奴?
カッサパ
 これ、人の話を──。
乙姫
 なんか泳ぎ遅そうだし、竜宮まで来る体力ないだけ?
 えー、でもそんな奴いるとか聞いた事ないんだけど。
カッサパ
 ……。
 お主、もしかしなくとも、わざとワシを無視しとるじゃろ…。
乙姫
 ありゃ、バレちゃった?
 だってからかうと面白そうな子、少ないんだもん。
カッサパ
 年寄りで遊ぶでないわ!
 まったく、これだから最近の若いもんは…。
乙姫
 えーと、カッパッパだっけ?
 竜宮の住人は不老よ?
カッサパ
 カッサパじゃ!
 って、お主今何と言いおった?
乙姫
 カッパッパ。
カッサパ
 そのあとじゃ!
乙姫
 そんな大声出さなくても分かってるわよ。
 ちょっとふざけただけじゃん。
 私、竜宮の住人だから老いとは無縁なの。
カッサパ
 なんと…なにゆえ、竜宮の住人が陸上に来ておる?
乙姫
 そんなの、退屈だったからに決まってるじゃん!
カッサパ
 ……。
 
乙姫:こんな亀もいるのねー。   
カッサパ:これが竜宮の住人とは…。胸は威厳たっぷりなんじゃがのぅ…。