能力覚醒・再現実験計画

Last-modified: 2014-10-26 (日) 15:18:17

 
「つまり、敵対する組織がこぞってその機関と情報を共有していた、ということです。これが、どういうことか、お分かりになります?」
 

概要

 
蒼サイド一話にて掛花 紫苑の口からPTに示された、水面下で進んでいるとされる計画の仮称。
その内容は端的に言えば、「レネゲイドウィルスの(症状治療・活用を視野に入れた)分析を進めるために行うデータ採取」。
 
事件解決のための重要な情報が現場に降りてこない、という事態に対して紫苑が提示した仮説であり、
冒頭に掲げた紫苑の台詞は、その根拠とした情報、
「UGN・FH・ゼノスという三大組織が、一つの医療研究機関との情報共有を行っていた」という事実を示した時のものである。
本人も「あくまで推測」と断った上で開陳したものだが、
真偽の判別が難しい状況のまま事態が進行しているため、連続する事件との関係性は未だはっきりとしていない。
 
また、レネゲイドの研究者として利害にモロに絡まる紫苑が関係者である可能性、
伴って自身に都合のいいように語りに手を加えている可能性も否定できず、
シナリオの導線であると同時に、疑惑を生じさせる黒い種としても存在感を放っている。
 
ただ少なくとも、本編一話よりPTが、実際に各個人の覚醒に関連する出来事や人間に再び出会し、
そのままそれらが関連する事件に巻き込まれてきていることだけは確かであり、
紫苑の言葉がどこまで騙りであるにせよ、こうした計画と思しき何かが進行していることだけは事実のようである。

解説

レネゲイドウィルスの全世界的拡散に伴って進められてきた研究も、
現在では幾つかの側面において、停滞の兆しが現れ始めている。
 
主因の一つは決定的なデータ不足だ。
人道上の理由から避けられている実験を通すことでしか、
重要な仮説の信憑性を確かめるための証拠が得られないのだ。
発症(覚醒)の際に身体に起こる劇的な変化についてのデータもその一つだ。
発症を誘発する状況の危険性と、発症自体に伴うリスクから、人為的な実験は禁忌とされている。
そのことが、レネゲイドコントロールにおける幾つもの理論の立証・応用を阻む大きな壁となっている。
 
紫苑の述べた仮説は、この壁を乗り越えるために、
本来悲劇を防止する側であるUGNが共犯となって実験を進めている……という可能性を指摘したものだと言い換えることが出来る。
計画自体が闇に葬られたため知る者は少ないが、日本支部長として現場から強い信頼を得ている霧谷にさえも、
かつて倫理を無視したFHとの共同研究を主導していたという過去がある。
親族の治療を切実に望む人間など、人倫を軽視する研究者以外にも、賛同の動機を持つ人間は幾らでもいる。
本当に高潔に見える人間でも、疑惑の外に置くことは出来ないのだ。
 
紫苑の仮説を受けて、PT内でも一部は情報収集に動き出している。
その結果、オーヴァードの数少ない大規模教育施設・伝習大付属高校の理事でもある路考支部長は、
経歴上では清廉な人間である、というところまで判明したが、果たして……?