N「おはようございます!」
N「怒涛のボケを畳み掛ける『幽谷響子』、切れ味鋭いツッコミが売りの『ミスティア・ローレライ』」
N「彼女たちが噛み合ったら、笑い死にするしかない」
N「さあ、草の根妖怪ネットワークの底力を見せてやれ!」
N「第九回東方M-1ぐらんぷり優勝『鳥獣喜楽』!」
(♪出囃子「もう歌しか聞こえない」)
響子「おはようございまーす! 『鳥獣喜楽』です、よろしくお願いします」
ミスティア「はい、よろしくお願いしますね」
響子「うーっ『山彦に幸あら!』……お願いしますねー」
ミスティア「意味が判んない! 幸あれ……じゃなくて?」
響子「幸あれ、ね?」
ミスティア「だよね……って大丈夫? ド頭から」
響子「大丈夫! おはようございまーす! さあ、頑張っていきましょう」
ミスティア「はい、頑張りましょうか」
響子「うちらこうやって、漫才ずっとやってますけどね」
ミスティア「はいはい」
響子「漫才は昔からあるモノですからね」
ミスティア「まあまあ歴史ありますよ、漫才は」
響子「やっぱ、その永い歴史の中でその」
ミスティア「うん」
響子「古典的な、笑いのパターンもあるんですね」
ミスティア「まあまあありますよ」
響子「まあ、みなさんご存じの所で言うとね」
ミスティア「はいはい」
響子「ああ、今日は綺麗な方がいっぱい来てますね」
ミスティア「ああ、多いですね」
響子「こっちから見ていきましょうか」
ミスティア「見ていきましょうかね」
響子「別嬪さん、別嬪さん、1つ飛ばして、別嬪さん」
ミスティア「飛ばしたら駄目じゃんー……って」
響子「とか言う奴」
「「あるんですね」」
響子「あるんですけどね」
ミスティア「ね」
響子「いやあ、今日はね全然感触なかったんですけど」
ミスティア「はいはいはい」
響子「普段これやったら大体ウケるんですよ」
ミスティア「まあ、妖精たちには」
「「ねー」」
響子「バカみたいにね」
ミスティア「あぁぁ~(デクナッツ)そうですか」
響子「でもね、これは色んな芸人さんがやってるんですよ」
ミスティア「まあ、ちょい↓ちょい↑やったりしますね」
響子「だから、ちょっとアレンジ加えてね」
ミスティア「うん」
響子「私たちのモノにしちゃおうよ」
ミスティア「おおー良いんじゃない、アレンジしてしまえば自分たちのモノになりますから」
響子「そうそう、ちょっと考えてきたのよ」
ミスティア「おうおう、良いですよ良いですよ」
響子「いくよ?」
ミスティア「うん」
響子「今日は綺麗な人が多いですね」
ミスティア「多いですね」
響子「こっちから見ていきましょうか」
ミスティア「はいはいはい」
響子「別嬪さん、別嬪さん、1つ飛ばして、素嬪ちゃん」
ミスティア「どういう事それ!? なに『素嬪ちゃん』って」
響子「それ、私も判んない」
ミスティア「判んないって何」
響子「なんか、響き的に面白いかなーと思って」
ミスティア「響き的にって何」
響子「勢いでいけるかなーみたいな」
ミスティア「いけないよ!」
響子「素嬪ちゃん、素嬪ちゃん、1つ飛ばして、素嬪ちゃん」
ミスティア「全然、意味が判んない!」
響子「何かノリで」
ミスティア「素嬪ちゃんばっかりじゃん」
(響子、両腕を前に伸ばす)
響子「素嬪ちゃんざんまい」
ミスティア「ざんまい……素嬪ちゃんが判んないもん」
響子「駄目かな」
ミスティア「もうちょい違うアレンジの仕方があるでしょ」
響子「でも、今どき『別嬪さん』とも言わないんじゃない、若者は」
ミスティア「まあまあ確かに言わないわね、『別嬪さん』って」
響子「若者は今、なんて言うんだろう」
ミスティア「そりゃもう、今の若い子は『可愛い子ちゃん』って言うんじゃないんですか」
(間)
ミスティア「あ゙?」
響子「ごめん、夜雀のミスティアに訊いた私が間違いだった」
ミスティア「夜雀、関係ないでしょう! 可愛い子ちゃんでしょうが」
響子「『可愛い子ちゃん』でやってみよっか」
ミスティア「うん」
響子「可愛い子ちゃん、可愛い子ちゃん、1つ飛ばして、可愛い子ちゃん……ほら、可愛い子ちゃんで滑った」
ミスティア「いやいやいや、そりゃパターンが判ってるからでしょう、可愛い子ちゃん良いですよ」
響子「可愛い子ちゃん、可愛い子ちゃん、1つ飛ばして、さくら子ちゃん*1」
ミスティア「さくら子ちゃん!? さくら子ちゃんなの?」
響子「さくら子ちゃん。」
ミスティア「違いますよ、さくら子ちゃんじゃないよね」
響子「1つ飛ばして、薫子ちゃん*2」
ミスティア「薫子ちゃん!? 『薫子ちゃんじゃない』って言ってますよ」
響子「やっぱ古いよ『可愛い子ちゃん』は」
ミスティア「『可愛い子ちゃん』駄目?」
響子「どうだろうミスティア」
ミスティア「なに?」
響子「うちら幻想郷の妖怪だから、幻想郷風に言ってみない」
ミスティア「ああー……どんな?」
響子「『別嬪さん』を『良き女』ってどうかな」
ミスティア「ああ、『良き女』は使ってる人いるかもよ、はいはい」
響子「良き女、良き女、1つ飛ばして、良き女」
ミスティア「うん」
響子「……これもウケないねミスティア」
ミスティア「いやいやいや、パターンが判ってるからよ」
響子「さらにアレンジ加えてみようか」
ミスティア「アレンジ、どうアレンジ?」
響子「良き女、良き女、1つ飛ばして、ヨグ=ソトース」
ミスティア「変わってるじゃん!? いや、ヨク=ソドース*3いたら大変よ、一番前にヨク=ソドース*4いたら駄目、それは」
響子「一番前にいたら大変でしょう」
ミスティア「大変です、それは」
響子「その時の対応策も考えてある」
ミスティア「ああ、それでいきましょう」
響子「良き女、良き女、1つ飛ばして、ヨグ=ソトース、こんな所にいたのか! 臨・兵・闘・者・皆……」
ミスティア「退治できるかー!」
響子「ここまでワンセット」
ミスティア「孔雀王かお前、仏教徒でしょう! パターン! 違う違う、おかしくなってるわよ段々、褒めないと駄目よ、褒めて、褒めて、褒め……」
響子「あ、褒めて……」
ミスティア「失礼な……」
響子「……その前に」
ミスティア「うん」
響子「私、孔雀王じゃないよ」
ミスティア「いや、判ってますよ!」
響子「山彦だよ」
ミスティア「みんな判ってるから! 違う違う、褒めて、褒めて、失礼なことを言って、褒める」
響子「判った、『別嬪さん』とか言葉じゃなくてさあ」
ミスティア「うん」
響子「数字でいってみよっか」
ミスティア「ああ、数字新しいね、誰もやったことないんじゃない」
響子「10点、10点、10点、10点、10点、10点、10点、1点、10点!」
(間)
ミスティア「良いんじゃないの、新しい新しい」
響子「新しいね」
ミスティア「うんうん、『1点失礼でしょ!』っていける」
響子「そうそう」
ミスティア「そうそうそう」
響子「10点、10点、10点、10点、10点、10点、10点、10点、10点!」
ミスティア「……10点みんなじゃん!」
響子「それ、駄目?」
ミスティア「なんのオチもないわよ、褒めただけよそれ」
響子「1点、1点、1点、1点、1点、1点、1点、1点、1点!」
ミスティア「……失礼!コロッと嫌われるよ!」
響子「でもやっぱ、人を点数でつけると駄目よね」
ミスティア「そりゃあ、確かに失礼よ」
響子「よしじゃあ、さらに良いのあるわよ」
ミスティア「なになに」
響子「髪切った? 髪切った? 1つ飛ばして、髪切った?」
ミスティア「判りにくい、なんか!」
響子「女性はそういうの喜ばない?」
ミスティア「嬉しいかもしれないけど、普段知らないでしょう」
響子「知らなーい」
ミスティア「もっとなんか、女子が言われて嬉しい台詞みたいなのあるでしょう」
響子「痩せた? 痩せた? 1つ飛ばして、痩せた?」
ミスティア「いや、知らないでしょって、だから!」
響子「これ、良くない?」
ミスティア「もっと究極になんか、女の子が言われたい台詞みたいな、そういうのじゃないと駄目よ」
響子「結婚しよう! 結婚しよう! 離婚しよう! 結婚しよう!」
ミスティア「いや、結婚してたの!? 真ん中の人と? ねえ!」
響子「どう、今の」
ミスティア「違う違う、この人と結婚してることになってるし、女にプロポーズしたら駄目じゃん*5」
響子「食事代とホテル代は私が出すよ」
ミスティア「ケヒッ……w」
響子「食事代とホテル代は私が出すよ、割り勘で。食事代とホテル代は私」
ミスティア「ケッヒッヒ……wwwもういいわ! ただ誘ってるだけじゃん片っ端から」
響子「寅丸星に似てますね、寅丸星に似てますね、鬼人正邪に似てますね、寅丸星に似てますね」
ミスティア「なんか、長ぇ! まどろっこしい! 一人だけ死刑囚って、失礼よそれも」
響子「失礼かあ」
ミスティア「でもまあ、いい感じだと思うよ」
響子「一人だけ失礼させるのは失礼かな」
ミスティア「うんうんうん」
響子「鬼人正邪に似てますね、鬼人正邪に似て、鬼人正邪に似て、鬼人正邪に似てますね」
ミスティア「なんの集まりこれ!? 死刑囚の集まりじゃん」
響子「死刑囚の集まり。」
ミスティア「死刑囚の集まりでしたくないよネタ!」
響子「鬼人正邪に似てますね、鬼人正邪、鬼人正邪、鬼人正邪に似てますねw」
ミスティア「私、鬼人正邪じゃないわよ! いい加減にしなさい!」
響子「ありがとうございました」
霖之助「ありがとうございました」
クラウンピース「ありがとうございました」
霖之助「はい『鳥獣喜楽』、鋭いツッコミは健在ですね」
クラウンピース「うん」
霖之助「さあ、いかがでしたか手応えは」
ミスティア「どうかしらね……まあ、やれるだけのことは全部やりました」
霖之助「なるほど、響子さんは」
響子「はい、おはようございまーす!」
霖之助「おはようございます!」
響子「ここはあえて、ど真ん中を狙いにいきましたから」
霖之助「おお」
響子「私は漫才が大好き、『漫才感』という点を評価してもらえると嬉しいです」
霖之助「判りました、さあそれでは」
クラウンピース「はい、それでは審査員のみなさん! 点数をお願いします」
N「ジャッジ」
霖之助「さあ3組目『鳥獣喜楽』、正統派漫才、果たして何点になるでしょうか……出ました!」
阿求: 91点
幽香: 90点
神子: 92点
聖:100点
豊姫: +α
霖之助「合計点は」
クラウンピース「373+α点です!」
霖之助「おおっと、暫定点数では3位となりました、えー1位との差が21点となれば、これはどうでしょうか……えーまあ、まずは訊いてみましょう、えー豊姫さん、いかがでしたか」
豊姫「はい、まさに正統派漫才! 教科書通り、お手本のような漫才でした! よかったですよ」
霖之助「おお!」
豊姫「ただし、2点気になりました」
響子「2ヶ所も? ある?」
豊姫「『素嬪ちゃん』素嬪は意味のある単語ですから、もっと別の……意味不明な造語を創り出してチョイスした方が良かったかなあ、紛らわしいですね」
響子「ああ」
豊姫「もう1点は『結婚しよう、結婚しよう、離婚しよう、結婚しよう』の件」
響子「うん」
豊姫「偶数なのに『真ん中の人!』とツッコミましたね」
ミスティア「はい」
豊姫「確かに最前列は奇数、貴方から見れば真ん中の人だったに違いないでしょう……しかし、偶数で括ったからには相応しくありません、細かいようですが、とても大事な所ですよ、今後気を付けましょうね」
ミスティア「ああ、そうなのか……」
霖之助「いやあ、僕は気付きませんでしたねえなるほど、流石と言った所でしょうか……さあ、鳥獣喜楽に注目されていました神子さん、いかがですか」
神子「そうですねえ……うーん……手数が欲しかったですねえ、もう少し」
霖之助「ああ~」
神子「まあ、頑張りました、よかったですよ」
霖之助「判りました、ではもうひと方、100点を付けました……というかずっと100点ですけどもね白蓮さん、いかがですか」
聖「ええ、とてもお上手でした! でも響子さん」
響子「はい」
聖「九字なんて、どこで覚えたの」
響子「あ、ノリです! 面白いかなあと思いまして」
聖「めっ!」
響子「申し訳ございませんでした……」
聖「全部覚えたの、もしかして」
響子「いえ、『皆』までです!」
聖「まったくもう……せっかくだから全部覚えておきなさい」
響子「はい!」
霖之助「どういうこと?なにがなんだか判らん! ……さあでは、いきますか」
クラウンピース「はい! 『鳥獣喜楽』でした」
霖之助「ありがとうございました」
(響子、素嬪ちゃんざんまいのポーズで退場)
霖之助「続きましては、4組目」
クラウンピース「続いてのコンビは、この方たちです!」
霖之助「どうぞ!」