2025年11月21日、近鉄8000系L81のラストランとして「さよなら8000系ラスト乗車ツアー第1弾」が催行されました。
8000系は1964年から1980年にかけて近鉄最多製造数となる合計208両が製造された奈良線系統向けの一般車で、L81のラストラン時点では同編成の他はL86のみが残存しており、1996年からの断続的な置き換えで既に4両×2本の8両にまで減少していました。
今回のツアーの行程は大和西大寺→大阪上本町→大和朝倉→大和八木→榛原→高安で、実質的に西大寺検車区から高安検修センターへの廃車回送を兼ねたものとなっていました。
この手のツアーはJRでは何度か行われたことがあるようですが近鉄では非常に珍しく、もしかすると前例はなかったのではないかと思います。
8000系が普段入線しない大阪線での撮影を重視して追っかけ撮影することにしましたので軽く振り返っていきます。



貸切大阪上本町行き7330列車 L81(布施にて)
列車走行位置情報とにらめっこしたところ、大阪上本町に向かう貸切列車は布施駅の本線(通過線)を通過しそうな様子だったのでまずはそのシーンを撮影。
大阪上本町駅地上ホームに入線して折り返した後は大阪線のみを走行する行程なのでこれが奈良線を走行する最後の姿でした。
ちなみにL81の両先頭車のみが最後まで残った1968年製の8000系で、中間車と来月引退予定のL86については1969年の製造です。(以前取り上げた元8000系の8400系モ8459は1966年製造で今も現役ですが…)



貸切大和朝倉行き7421列車 L81(布施にて)
同じく布施駅での撮影ですが、大阪上本町からの折り返しで3階ホームの大阪線を走行するシーンです。
ここは個人的に一番のお気に入りの撮影スポットで、しかも8000系は試運転列車であっても大阪線は高安以東の区間しか走行する機会がないのでこの場所での撮影は外せないなと思っていました(笑)
この後の五十鈴川行き急行1421列車に乗車して本格的に追っかけをしてみることにしました。


貸切大和朝倉行き7421列車 L81(河内国分)
案外早く途中の弥刀駅で貸切列車を追い抜くことができたので、次の急行停車駅の河内国分駅で下車して待ち構えることに。
大和朝倉行き各駅停車4441列車を臨時で待避させた上で通過していきました。



貸切大和八木行き7522列車 L81(大和八木にて)
続いて大和八木に移動し、大和朝倉まで行っていた貸切列車の折り返しを撮影。
4番線に到着し、折り返して今度は大和朝倉よりさらに先の榛原に向かうためこの後本線上での入換が行われます。



入換は4番線から大阪上本町方面に進行して上り本線上に停車、渡り線を利用して下り線に転線した上で1番線に入線する流れでした。
このような流れはダイヤ混乱時の折り返し運転などでしか見ることができませんね。


貸切榛原行き7521列車 L81(大和八木にて)
1番線で発車を待つ貸切列車です。
停車中に伊勢中川行き急行1523列車が到着し、先に発車するようでしたので榛原へは1523列車で先回りすることにしました。


榛原に先回りしたらすぐに貸切列車も到着しました。
折り返し列車用の行き止まり線である5番線の到着で、8000系は五位堂や高安からの試運転時でも大和朝倉折り返しが基本なため榛原まで入線するのは珍しいですが、過去にも貸切列車としてここで折り返した例や2024年に榛原を越えて塩浜検修車庫まで廃車回送された例などはあります。(8000系で初めて塩浜に廃車回送されたL83についてはこちらの記事で取り上げています)




車内を覗いてみると一部の座席の座面部分が外されている箇所がありました。
ツアーでは検車係員による車両説明があったそうなので説明のためかあるいはファンサービスで外されていたのかもしれませんが、座面用のばねである「盃ばね」をチラッと見ることができたのは貴重だったと思います。




停車時間が長かったので色々なアングルで撮影できました。
今月開催されたきんてつ鉄道まつり2025in五位堂での展示直前に見栄えを良くするためかク8721の前面排障器が再塗装されていたことと、夕陽の当たり具合によっては車体の艶も際立って廃車直前の車両には見えない美しさが感じられました。
貸切高安行き7622列車 L81(榛原にて)
榛原駅5番線に30分以上停車し、最終目的地である高安に向かって折り返していきました。
私は帰宅するためこれ以上は追っかけしていないので発車シーンの動画を撮影してL81とはここでお別れです。
来月2日にはラスト乗車ツアー第2弾として最後まで残った8000系であるL86も廃車回送を兼ねたラストランが予定されており、そちらは日常的に走行してきた京都線、橿原線、天理線を経由して高安に向かう行程だそうです。
60年以上の歴史がある8000系の終わりの時が目前に迫っているという実感が未だに湧きませんが、その勇姿を最後まで見届けたいと思います。(第2弾のツアーには私も参加を予定しています)

