イェロ・トゥラケス

Last-modified: 2015-11-10 (火) 23:49:54

「男の過去の不始末は訊かねーのが人情ってもんだろ?」

Hierro Thraces

プロフィール
シンボル交差する金槌
種族
武器武器名
性別
年齢42歳
外見
身長200センチ前後
髪の色
モチーフバレエ『スパルタクス』より、スパルタクス
センブランスセンブランスは?
ステータス
所属アイギス
元所属軍隊
職業傭兵
関連人物アビス
クロウルシ・アカリ(トゥラケス中隊長、直属の上官)
作者:魚頭圭

外見

筋骨逞しい大男。
剥き身で長柄の戦鎚を携帯し、くすんだ鉄色の布を首に巻く。
ゴツめのくたびれたジャンパーを腕まくり、アーミーパンツと人も蹴り殺せそうな編上げのブーツ。
野良犬のような、薄汚れた風体。
無精髭。ばさばさの硬い銀髪。
人懐こさと、哀愁を含んだ眼つきも、どこか野良犬めいている。

人物

20年程前の、対グリムの戦役に、曹級試験合格したての新米軍曹として従軍。
だが、高級将校が立てた、いい加減な作戦計画が原因で原隊が全滅し、生き残る。
作戦失敗を口封じする為、再教育部隊――と言う名の最前線拘置の全滅前提部隊、グラディアトル大隊に配属される。
大隊隷下のトゥラケス中隊で、中隊長付き下士官として勤め、爆破戦鎚を手に、最前線の地獄を戦い抜く。

だが、グラディアトル大隊も、トゥラケス中隊も、隠蔽され、存在しなかった事にされた。
仲間たちは皆、死んでしまった。
或いは、味方に殺された。
また、イェロも公式に戦死扱いのため、恩給など一切の社会福祉の対象から漏れた。
戦役が人類の敗北に終わり、若くして行き場をなくしたイェロは、王国外を放浪したりもしたが、結局ヴェイルに流れ着いて、民間軍事会社アイギスに、イェロ・トゥラケスの偽名で属する事になった。
以後、アイギスで表と裏の両方の仕事に、永く関わり続けている。
自分の過去については、口を閉ざして決して、語ろうとしない。

イェロは、思想や政治に全く興味を示さない。そんなものは彼にとって必要ないし興味がない。
思想や政治に弄ばれ、戦争に駆り出されたのはイェロのような兵士たち。
イェロが何かに殉じるとしたら、戦いそのものに。
戦いと言う棒を投げてくれる者を主人に選ぶ。
戦いを認めて貰えなかった戦士は、自分を必要とし、力の行使を許してくれる者に仕える。
野良犬ではなく、戦闘犬として扱ってくれる主人に仕える。
命令に従って容赦なく、あらゆるものを破壊する。
善も悪も、老いも若きも男も女も、吹き飛ばせと言われたものを吹き飛ばす。
主義者よりも却って罪深い。究極的には、自身で善悪を決めるという事を放棄する。
ファウヌス排斥主義者たちを冷やかに見ながら、しかし、自らの欺瞞から目を逸らす。
思想や政治に弄ばれ、地獄で暮らした過去を清算できないでいる。

性格

人懐こい。ペンやライターのみならずタバコを借りる事も多数。
必要とあらば塩も醤油も味噌もネギも借りる。
だが、過去の経験から金銭の貸し借りだけは頑として行わない。同時にささやかでも博打には乗らない。
永遠の借り逃げ、貸し倒れが密かに、生涯の後悔。

誰に対しても陽気に接するが、どこかで一線を引いて、親密な関係に立ち入ろうとしない。
楽観的で、無責任な男だと思われがちだが、全くの逆である。
人間はすぐ死ぬと諦めていて、その上で何事も往生際が悪く、しぶとい。
後進の教育にも熱心だが、兵士は死ぬものだと自分を含めて諦め切っている。
与えられた任務を全うするために隊を率いて、生き残るために死を厭わず全力で戦い、仲間が死んだ後は速やかに諦める。
その作法を会得する前の仲間たちの事――戦役で死んだ、または隠蔽に殺された、かけがえのない仲間たちの事を今でも夢に観る。
悪夢として観る。

能力

アイギスの表の顔、民間軍事会社で、錬成教官として勤める。
実戦仕込みの部隊の調整と指揮能力を有する。
本人は指揮官の器ではないと自分を観ていて、下士官のポジションを望むが、実戦の洗礼を浴びたイェロの事、その部隊指揮は経験則に裏打ちされた堅実なもの。

個人としての戦闘スキルは、まっとうな軍人らしからぬ、異形の戦法。
――爆破戦鎚で、戦車砲弾を打撃して撃ち込む。
――対戦車地雷を投擲した後、重機関銃で掃射して起爆する。
ある物は何でも使って戦ったグラディアトル大隊の経験。
また、事前の準備が可能であるなら、必要な武器弾薬の手配を惜しまない。
得意の戦場は、待ち伏せ。
彼と、彼の指揮する小部隊は、さながら要塞のトーチカの如き頑強な守備戦力となる。