バンクーバーオリンピック 男子1500m準決勝

Last-modified: 2016-08-31 (水) 20:03:36

バンクーバーオリンピック>男子1500m>予選 - 準決勝 - 決勝


6名中上位2名が決勝に進出する。3位と4位は順位決定戦へ。
Q=決勝進出 QB=順位決定戦進出 Adv=救済措置で決勝進出 DSQ=失格 DNF=フィニッシュせず
OR=オリンピックレコード WR=ワールドレコード

 

Semifinal1

<スタートリスト>

選手名(英語表記)選手名(日本語)年齢国名世界ランクその他の情報
1Lee Jung-Suイ・ジョンス20韓国1位
2Nicola Rodigariニコラ・ロディガリ28イタリア15位欧州選手権1位,トリノ14位
3Sjinkie Knegtシンキー・クネフト20オランダ23位欧州選手権5位
4Charles Hamelinチャールズ・ハメリン25カナダ2位トリノ4位
5Apolo Anton Ohnoアポロ・アントン・オーノ27アメリカ5位ソルトレーク金
6Peter Darazsピーター・ダラズ24ハンガリー25位トリノ11位
7Jumpei Yoshizawa吉沢 純平24日本30位

チャールズ・ハメリンが予選2位通過であったこともあり、なんと
金メダル候補が3人も揃うという事態に。
トップランカーのイ・ジョンス、地元カナダのエースハメリン、ソルトレークの覇者オーノ。
この中から1人は決勝に進むことすらできない、緊張のレース。

他4人はどれだけついていけるか。筆頭格はヨーロッパチャンピオンのロディガリか。

 

<レース展開>
吉沢が先頭に立ち、カナダのハメリン、韓国のイ・ジョンス、イタリアのロディガリと続く。
ライバルが前へ行く中、アメリカのオーノはまずは最後方に位置取る。

やはりこの強豪ひしめく混戦。有力選手が積極的に動いてくる。
残り11周で地元カナダのハメリン先頭に。しかし10周で韓国のイ・ジョンス先頭。
また残り9周でオーノが3番手まで上がってきて、早くも3強が前の3人に。
終盤一気に追い抜く、なんていう芸当ができる相手ではないと見たのだろう。
そして欧州王者ロディガリが4番手。

その後先頭をカナダのハメリンと韓国のイ・ジョンスが激しく争うが、
結局イ・ジョンスが守りきって一旦争いは落ち着く。

このまま終わるのか?と思った残り1周半。3番手のオーノが外から仕掛け気味に動く。
しかしハメリンは2番手を譲らない。すると!今度は残り1周で内に進路を切り換え
2番手のハメリンをついに交わす!同時に先頭のイ・ジョンスも交わしたが若干の接触。
イ・ジョンスは両手を上げて妨害を受けたとアピールしつつ、余裕で先頭を奪い返す。
そしてこのままゴール。オーノはガッツポーズ。

 

<結果>

1着Lee Jung-Suイ・ジョンス韓国2.10.949(OR)Q
2着Apolo Anton Ohnoアポロ・アントン・オーノアメリカ2.11.072Q
3着Charles Hamelinチャールズ・ハメリンカナダ2.11.225QB
4着Nicola Rodigariニコラ・ロディガリイタリア2.11.402QB
5着Sjinkie Knegtシンキー・クネフトオランダ2.13.870
6着Jumpei Yoshizawa吉沢 純平日本2.15.129
7着Peter Darazsピーター・ダラズハンガリー2.18.349

2分10秒。予選で自身が出したオリンピックレコードをさらに大幅に更新する走り。
これに最後までついていった上位4人はどれも本当に素晴らしいと言えよう。

今回のオリンピックの男子1500mのレースの様子は、4年前からすると一変した。
4年前までは、1500mというと、スタート直後はかなりスローで流れていき、
中盤あたりで誰かが仕掛けてペースを引き上げる、という展開が普通であった。

しかし今回は、スタート直後から一定以上の速いペースで進んでいく。
まるで500mや1000mの延長線上であるかのように皆が滑っていく。
オリンピックレコードの頻発にはこんな背景もあるだろう。

ところで、オーノとイ・ジョンスの接触については、審判の審議の末お咎めなしに。
正直ギリギリだったと思うwオーノは涼しい顔をしていたけれども、たぶんポーズw
なんというか、失格にされないオーラを持っているような気がするwさすがスター。

一方、地元の期待を一身に背負ったハメリンは悔しい敗北。4年前の結果を越えられず。

Semifinal2

<スタートリスト>

選手名(英語表記)選手名(日本語)年齢国名世界ランクその他の情報
1Olivier Jeanオリビエ・ジャン25カナダ11位
2Lee Ho-Sukイ・ホソク23韓国4位世界選手権1位,トリノ銀
3Jack Whelbourneジャック・ウェルボーン18イギリス41位
4Liang Wenhao梁 文豪17中国-
5Sebastian Prausセバスティアン・プラウス29ドイツ31位トリノ21位
6Pieter Gyselピーター・ギセル29ベルギー9位トリノ準決勝失格
7Jean-Charles Matteiジャン・シャルル・マティー27フランス40位トリノ24位

1組とは打って変わって、ここはトリノの銀メダリスト、イ・ホソクの一人勝ちムードが漂う組み合わせに。
他の選手は決勝を狙うチャンスと言えよう。特に世界ランク一ケタのベルギーのギセルや
地元カナダの2番手選手のジャン、ダークホース的存在の中国17歳梁文豪などが注目どころか。

 

<レース展開>
最有力のイ・ホソクが後方2番手に控える中、先頭は序盤から
カナダのジャン、中国の梁、ベルギーのギセルと次々変わっていく。
ギセルが先頭に立ったところでかなりペースが上がってきたため、
このままギセル→梁文豪→ジャンという隊列でしばらく落ちつく。

残り5周。ジャンが仕掛け、外から一気に前を狙う。
しかし、それを察知した前のギセルと梁がペースを引き上げ、ジャンはなかなか順位を上げられない。
そんな中さらに後方からフランスのマティーも仕掛けてきたが、カーブでバランスを崩して転倒。
その転倒したマティーに足を引っ掛けて、ジャンも転倒してしまう。

このアクシデントをきっかけにレースが動き、残り3周、今度はインから
イギリスの伏兵・ウェルボーンが一気に3人交わして先頭に踊り出る。
そしてここでついにイ・ホソクが仕掛ける。もの凄いスピードで外外を周り、
残り2周で早くも先頭に。それに合わせる形でギセルもインから2番手に上がり、
決勝進出圏内への粘りこみを図る。

ところが、もう一人凄い勢いで外から捲ってきた選手がいた。中国の梁文豪}だった。
あっという間にギセルを捉え、悠々と2番手に上がっていく。
こうして群雄割拠の大混戦に決着が着いた。

 

<結果>

1着Lee Ho-Sukイ・ホソク韓国2.14.833Q
2着Liang Wenhao梁 文豪中国2.15.453Q
3着Sebastian Prausセバスティアン・プラウスドイツ2.16.240QB
4着Pieter Gyselピーター・ギセルベルギー2.16.249QB
5着Jack Whelbourneジャック・ウェルボーンイギリス2.17.156
6着Olivier Jeanオリビエ・ジャンカナダ2.32.358Adv
7着Jean-Charles Matteiジャン・シャルル・マティーフランス2.36.291

抜けた選手が1人だけだっただけに、
各選手の、何としても決勝進出を狙ってやると言う意識が顕著に見えたレースだった。
その中で1枚上手だったのが梁文豪だった。まだ17歳。非常に楽しみな選手である。

ベルギーのギセルは結局ラストはバテて、終始後方にいたドイツのプラウスにまで交わされてしまった。
一方、オリビエ・ジャンは2番手に上がろうかどうかという所での転倒で、救済されるか
微妙なところかと思われたが、救済措置が適用。地元カナダ陣営としては救われたところだろう。

Semifinal3

<スタートリスト>

選手名(英語表記)選手名(日本語)年齢国名世界ランクその他の情報
1J.R. CelskiJ・R・セルスキー19アメリカ-世界選手権3位
2Liu Xianwei劉 顕偉22中国26位
3Yuri Confortolaユーリ・コンフォルトラ23イタリア8位
4Sung Si-Bakソン・シバク22韓国3位W杯第一戦1位
5Haralds Silovsハラリド・シロフス23ラトビア13位
6Takahiro Fujimoto藤本 貴大24日本-
7Niels Kerstholtニール・ケルストホルト26オランダ27位欧州選手権3位,トリノ10位

ここは予選1位通過の韓国のソン・シバクとイタリアのコンフォルトラ、そして
超強豪ながらこれが大怪我からの復帰戦という不安があるアメリカの19歳セルスキーが登場。
その他、トリノでB決勝まで進んだケルストホルト、一昨年の欧州総合チャンピオンのシロフスなど。

 

<レース展開>
中国の劉顕偉、オランダのケルストホルト、アメリカのセルスキーの3人による先頭争いが序盤から激しく起こる。
一方韓国のソン・シバクとイタリアのコンフォルトラの2有力選手は最後方に待機。仕掛けどころを伺う形に。

残り6周半でセルスキーが外から先頭に立って勝負に出る。ようやく隊列が固まる。
以下、劉顕偉、さらにラトビアのシロフスと続く。ソン・シバクはここでインをついて4番手に上がる。
イタリアのコンフォルトラも徐々に徐々に前へと進出加減。
日本の藤本は最後方からインをつき5番手に上がるも、誰かに接触してしまいまた最後方に落ちる。

残り2周。ソン・シバクが今度は外を回って位置を上げ、セルスキーの後ろ、2番手に入ろうとする。
負けじとイタリアのコンフォルトラは内をついて2番手に上がり、ソン・シバクをブロック。
しかしソン・シバクは落ち着いて、このセルスキーとコンフォルトラの間の僅かな隙間に入り込み、2番手奪取。

3番手となってしまったコンフォルトラは前の二人を必死で追いかけ、
最後ゴール前外から食らいつくも届かず。ゴール前でソン・シバクはセルスキーも交わして1着フィニッシュ。

 

<結果>

1着Sung Si-Bakソン・シバク韓国2.13.585Q
2着J.R. CelskiJ・R・セルスキーアメリカ2.13.606Q
3着Yuri Confortolaユーリ・コンフォルトライタリア2.13.645QB
4着Haralds Silovsハラリド・シロフスラトビア2.14.009QB
5着Liu Xianwei劉 顕偉中国2.14.500
6着Takahiro Fujimoto藤本 貴大日本2.15.984
7着Niels Kerstholtニール・ケルストホルトオランダ2.16.352

この有力3選手の死闘は、バンクーバー五輪でも屈指の好レースだったと思う!

中でも怪我の影響を感じさせないセルスキーの滑りは素晴らしかった。
また、これで準決勝は全て韓国選手が1位通過という結果になり、決勝も大いに期待されるところ。
4番手争いは、ずっと積極的に前を滑っていた劉は最後失速し、シロフスがB決勝に進出することとなった。

 

Semifinals → B Final

3着Charles Hamelinチャールズ・ハメリンカナダ2.11.225QB
4着Nicola Rodigariニコラ・ロディガリイタリア2.11.402QB
3着Yuri Confortolaユーリ・コンフォルトライタリア2.13.645QB
4着Haralds Silovsハラリド・シロフスラトビア2.14.009QB
3着Sebastian Prausセバスチャン・プラウスドイツ2.16.240QB
4着Pieter Gyselピーター・ギセルベルギー2.16.249QB

以上6名が順位決定戦(8-13位決定戦)へ進出。

 

Semifinals → A Final

1着Lee Jung-Suイ・ジョンス韓国2.10.949(OR)Q
2着Apolo Anton Ohnoアポロ・アントン・オーノアメリカ2.11.072Q
1着Sung Si-Bakソン・シバク韓国2.13.585Q
2着J.R. CelskiJ・R・セルスキーアメリカ2.13.606Q
1着Lee Ho-Sukイ・ホソク韓国2.14.833Q
2着Liang Wenhao梁 文豪中国2.15.453Q
6着Olivier Jeanオリビエ・ジャンカナダ2.32.358Adv

以上7名が決勝へ進出。