第一部.定理12

Last-modified: 2007-07-10 (火) 23:42:53

第一部.定理12

物質性質のひとつひとつが一見無関係に見えても、それだけで「物質は分割してまったく別々のものにしてしまえる」なんて結論を出すことはできない。

理由

  1. じゃあもし仮に(性質をさんざん調べた結果)物質が分割可能だということになってしまったとしよう。
  2. そうすると、その部分たちは物質の本質を引き継いでいるかいないかのどっちかということになるよね。
  3. 物質を分割した各部分が物質の本質を引き継いでいるとすると、(第一部.定理8に従えば)その各部分たちもそろって無限で、ひとり立ちしていて(第一部.定理5に従えば)、しかもそいつらが示す性質は全部一つ一つ違うはずだ。
  4. でもそうすると、一つの物質から複数の子物質どもが生まれてくるような事態は第一部.定理6と矛盾してしまう。
  5. しかも、その子物質どもは(第一部.定理2によれば)互いに何の共通点もないし、(第一部.決めごと4第一部.定理5に従えば)「部分としての子物質がなくても子物質どもの集団全体が存在できる」し、しかも「子物質がなくても子物質どもの集団全体を考えることができる」というむちゃな状態になってしまう。

これはあんまりだ。部分があるのにないなんて、誰がどう見たって矛盾のかたまりだ。

今度は後の方、つまり「物質を分割した部分は、物質の本質を引き継いでいない」としたらどうだろう。今度は本当に読んで字のごとく、分割された物質の部分たちはもう物質じゃなくなっている(笑)。そんな子物質が存在できるわけがないよね(第一部.定理7を読み返そう)。

ミルクは二つの容れものに分けてもミルクで、人間は二つにぶった斬ったらもう人間じゃなくなるけど、今の話は(たまたま)後者に近いね。