第一部.定理28のおまけ
ものごとによっては、神から直接生まれ出てくるものもあるはずだ。
だとすると、そういうダイレクトに生まれたものごとというのは、神の途方もない本性から、神の性質のうちもっとも主要な性質を手段として生まれてきたとも言えることになるわけだ。そういうものごとというのは、間違いなく神なしじゃやっていけない(存在することも想像することもできない)はずだ。
で、そこからこんなことが言えるんだ:
- 神が直接作り出したものごとは、ほかのどんなものごとよりも神という原因から近いところにいる。言い換えれば、神は、自分が直接作り出したものにとっては、「ほかのどんなものよりも」近いところにある原因だ。
- ものごとの原因というのもいろいろあるけど、それが、そのものごとから離れたところにある原因の場合は、その原因を手がかりにして「神ってどんなものなんだろう」ってことを正確に描き出すことはできないんだ。
1.についてなんだけど、今ここでわざわざ「ほかのどんなものよりも(absolutely)」っていう言葉を使ったのは、神が直接作り出したものごとが単に(after his kind)一番近いだけじゃないからなんだ。何でかというと、神が生み出したもの(結果)は、それを生み出した原因(=神)がなければ、存在することもそれについて考えることもできないからなんだ(第一部.定理15と第一部.定理24が正しいとすると?で証明したよね)。言い替えれば、この神という原因は、単に近いだけじゃなくって、原因がたった一つしかなくって、しかもとっかえがきかないってことなんだ。
2.についても、もしそれができるとすれば、神が直接作り出したものごと(神の途方もない本性から生まれたものごと)を、それ以外のものごとと区別することで描き出そうとした時ぐらいだ。原因が離れたところにあるんだったら、離れている原因と結果を結びつけられるなんて普通考えないでしょ?桶屋がもうかるのを見て、風が吹いたことがわかったらすごいよ(笑)。
で実際、神の中にあるありとあらゆるものごとは神にべったり依存しているんだから、神なしでは存在することもできないし、そんなものがあるってことを想像することすらできないんだ。