これは…、主人公様。 あの… ティアナのお願いをきいてください。 寝室に…来ていただきたいのです…。 | |
寝室 | |
タルテュバ様です。 倒れていらっしゃったのをお運びしたのです。 ええ。あのとき確かにタルテュバ様は怪物になられ、退治されました。 それが、どういうわけか、元のお姿で、衰弱しきって発見されたのです。 タルテュバ様のお体はボロボロです。 日頃から大酒を飲まれ、不摂生をしていたこともあって…。 その上、今までどうなさっていたのか。 とにかく、衰弱がひどくてかなり危険な容態です。 意識も…戻りません。 いつどうなってもおかしくないのです。 ですから…。 タルテュバ様の療治のため、生命のかけらをわけていただきたいのです。 …主人公様、 たしかにタルテュバ様は善人ではありませんでした。 ですが、こうなってしまってはもう、悪人も善人もありません。 違うでしょうか? 主人公様、 どうか、お願いします…。 |
生命のかけらをタルテュバに与える
主人公はタルテュバに生命のかけらを与えた。 | |
主人公 | (…でも、衰弱がひどい。 生命のかけらを与えても治るだろうか…?) |
主人公とティアナ、退室しようとする。 | |
タルテュバ | …待て。 …俺みたいなやつをなぜ、助ける? …俺で…さえ、俺自身で…さえ、俺のことが…好きに…なれなかった。 だのに…なぜ…? ゲホッ、ゲホッ! …あ…あいにくだな。 まだ…しばらくは…くたばらん。もう少しは…持つ。フフ…。き…気休めか…? フン…、俺はもう貴族様では…ない。 へつらう…必要は…ゲホッ! ゲホッ! …なぜだ? なぜ? 打算も見返りもなしにやさしくなれる? どうして、…俺みたいな…奴に? ティアナ…あ、あんたもだ。 …俺は…最低な…男だ。 いとこたちの…ような才もない。 愛されるところなど…何も…ない。 |
ティアナ | そんなこと…。 |
タルテュバ | な、慰めはいい。 俺だって自分のことぐらいはわかる。 人より優れたところなど…家柄だけ。 俺は、だからその家柄にだけすがってかろうじて自尊心を維持してきた。 はたから見れば、イヤな貴族の典型だ。 俺はそれがわかっていたからいっそう荒れずにいられなかった。 酒におぼれ…弱いものをいじめ… 乱暴を働く…皆、俺を嫌いぬいていた。 そんな俺を…誰よりも俺が憎んでいた。 …意外か? 俺に内省力があったなど… 誰でもない自分のことだ、気にしない…わけがない。 …だが、…俺はそれを他人のせいにしてただ、荒れた…。おまえの師匠のオッシはかつてエリスにたてついた貴族なんだ。 俺は奴が、のうのうと平民街で幸せに暮らしているのを見て腹を立てていた。 な…なんで、奴は奴は奴は…って…。 …俺は、俺が大事にしている剣を盗まれて、…カッと来て平民街にモンスターを…放した…。 お前も、…そこにいたろう? お前は俺が憎く…ないわけはない…。 …だのに、俺を…助ける。 ティアナ…にだって俺はひどいことをした。 覚えているだろう? 俺には助けられるだけの価値はない… …だのに、なぜ… あんたらは、俺を助ける? 俺は何もかも…決めてかかっていた。 憎けりゃ、殺してくなる。 愛されない奴は憎まれるしかない。 …そう、思っていた。 だが、すべては…人の心にあるんだな。 人に心が状況を変えるのだな。 俺も…、変われたのかもしれない。 もっと早く…このことに気づいていれば俺が…お前の…ゲホッゴホッ! き、気づいたときには時間切れか…。 ふ、ふふ…、俺らしい…。 …あばよ。…ロクな人生じゃなかった…が…おかげで…少しは救われ…た…。 |
セバスチャン | タルテュバ様…。 |
ティアナ | 人の死になれてしまったのでしょうか。 幼いときから一緒にいた方の死なのに感慨がありません…。 でも、安らかなお顔でしたね。 |
セバスチャン | タルテュバ様も思えば、おかわいそうな方です。 何かにつけて、いとこのレムオン様、エスト様に比べられ、あげつらわれてきたのですから。 タルテュバ様も貴族に生まれなければ… このような悲しいことにはならなかったのかもしれません…。 タルテュバ様…。 |
ティアナ | 主人公様… 少しだけ、一人にさせてください…。 |
生命のかけらをタルテュバに与えない
ティアナ | 主人公様? |
主人公、退室する |
リューガ邸訪問 | |
ティアナ | 主人公様。 タルテュバ様に、生命のかけらを持ってきてくださったのですか? |
はい
ティアナ | では、寝室の方に…。 |
いいえ
ティアナ | …そうですか。 あ、おかげで復興の方も軌道に乗ってまいりました。 人の笑顔はいいものですね。 |