ディンガル帝国
帝都エンシャント、謁見の間
エリュマルク | ネメアが戻った? 私を見限ったネメアが? フフフ、今頃なんの用か。 共に魔王バロルを倒したときの思い出話でもしに来たか。 |
ベルゼーヴァ | あるいは…、戦場で初めて出会われたときの話かもしれませぬな。 なんのために戦うのかと陛下が問われたとき、民のためにとネメア様は答えられたとか…。 |
エリュマルク | ほう、そうか。 そのようなこともあったか。 ククク…。 奴らしいではないか。 魔王を倒す男の言いそうなことだ。 |
ベルゼーヴァ | ……………。 ネメア様をお連れしても、よろしいでしょうか? |
エリュマルク | よかろう。 連れてまいれ。 |
ネメアとザギヴ現れる。 | |
ザギヴ | ネメア様をお連れしました。 |
エリュマルク | 壮健そうでなによりだ、ネメアよ。 私の治世を確固たるものにするために、お前はなんでもしてくれた。 かつて、余の下した12の難事をこともなく成し遂げてくれた恩は、忘れておらんよ。 |
ネメア | その恩に免じて、ひとつ質問に答えてもらえるか? 我が友、エリュマルクよ。 |
エリュマルク | いいだろう。 聞こうではないか。 |
ネメア | 初めてあった時の私の言葉を覚えているか? |
エリュマルク | そんなことか。 たしか戦場だったと記憶している。 なんのために戦うのか、と問うた余に、民のためにと答えたのだったな。 |
ザギヴ | ネメア様。 これはやはり…。 |
ベルゼーヴァ | 決定的ですね。 |
エリュマルク | ん? なんだと? |
ネメア | 残念だ,エリュマルクよ。 |
ネメア、エリュマルクを斬る。 | |
エリュマルク | ぐ、…ぐほっ! ネ、ネメ…ア…! |
ネメア | お前が闇に取り憑かれたことに気付けなかった私を許せ…。 |
エリュマルク | ぐ! お、おのれぇぇ! ネメアぁぁぁぁぁぁ! |
ベルゼーヴァ | 運命にあらがうため。 以前から、それがネメア様の答えだとエリュマルク帝から聞いておりました。 |
ザギヴ | 私も同様です。 しかし、まさか、闇の力がこんなところにまで…。 |
ネメア | もはや事態は一刻を争うようだな。 ベルゼーヴァ、用意は整っているな。 |
ベルゼーヴァ | は。もちろんです。 |
ザギヴ | エリュマルク帝は崩御された。 よって、エリュマルク帝の姉上エスリン様の遺児であるネメア様があとを継がれる。 |
アンギルダン、カルラ、ジラーク現れる。 | |
ベルゼーヴァ | 我らはこれより、迫りくる闇の力に対抗しうる勢力を作り上げる。 |
ネメア | …世界を手に入れる。 |
かつて、魔王バロルを倒し、勇者と呼ばれた男、ネメアは叔父であるエリュマルク帝を退けディンガル帝国の帝位についた。 そして宰相ベルゼーヴァの指揮の下、豊富な国力を生かして大軍隊を組織。同時に、それを率いる4人の将軍を大抜擢した。 魔道アカデミーを首席で卒業したザギヴ・ディンガルを帝国内務統括、玄武将軍に任命、ベルゼーヴァの下で国内を掌握させ… さらに、少数種族であるコーンス族からジラークを登用、西方攻略軍総司令、白虎将軍に任じ、アキュリュースへの攻撃を命じ… 無名の兵卒であったカルラ・コルキアを青竜将軍に抜擢。 東方小国家連合、及び商業都市リベルダムの攻略を命じ… かつてバロル帝のもとで名をはせた老将アンギルダン・ゼイエンを南方攻略総司令、朱雀将軍に任じ、大国ロストールの攻略を命じた。 ディンガル帝国皇帝ネメア・ランガスター・ディンガルは、バイアシオン大陸のすべてに戦いを挑んだのである。 かくして世界は、激動と混沌の時代を迎え大きなうねりを描きはじめた…。 |