青竜将軍カルラ率いるディンガル軍とゼネテス率いるロストール軍は竜骨の砂漠南の街道で対峙した。 レムオンら有力貴族の出兵拒否により、ロストール側の兵は、ゼネテスの直属であるファーロス家の私軍のみと噂されたが、ゼネテスは青竜軍を前に延々と陣を展開した。 だが、そのあまりの無防備な陣取りを見て、青竜軍は、機略を警戒して進軍を止めた。 そして、両軍が対峙してしばらくの時が経つとある噂がディンガル軍に流れた。 ネメア死す。 正規軍とは別に、独自に行動をしていた皇帝ネメアが死んだという噂にディンガル軍は激しく動揺した。 一方、ゼネテスは密かに本陣を離れ、別働隊を率いて、カルラに奇襲をかけようとしていた。 | |
天幕の中 | |
ゼネテス | いやー、虚名ってホントにありがたいねえ。 ただ無謀に本陣をしけば、あの動揺だ。 ツェラシェルたちのまいてくれたネメア死すの偽情報もかなり効いてるらしい。 リベルダムを破壊して俺たちがビビると思ってんだろうがカルラちゃん、そりゃ大違いだ。 奴の非道に反対する民衆が義勇軍を率いて俺たちに協力してくれてる。 彼らなしでは、少ない兵を割いて空の本陣こさえて、カルラを足止め…なんて策はできなかった。 人は恐怖に屈するばかりじゃない。 人は恐怖を克服するために戦いを挑むのさ。 |
ロストール歩兵 | バッチリです、総司令。 逃げるだけなら、世界一です。 誰にも負けやしません。 |
ゼネテス | 上できだ。連中は本陣で旗を振ってくれりゃそれでいい。 命がけのチャンバラは俺たちの仕事だ。 俺たちは密かにカルラ軍の裏側に回り、敵本陣を一気に突破。 カルラを打ち取る。 主人公。 カルラを打ち取るのはお前にやってもらう。 奇策なんてものは何度も通用しない。 次は防げん。 絶対にカルラを打ち取ってくれ。 さぁーて、カルラの陣に攻め込むにゃ、もう少し待った方がいいな。 今、攻め込んだらカルラは部下を見捨てて逃げちまう。 混乱した軍なんて絶好の煙幕だ。 カルラは今率いてる数の倍は兵を動員できるはずなんだ。 これがどういうことだか、わかるか? つまり、1回やっつけてもまた兵を率いてこれるわけだ。 だから、必ずしとめないといけない。やっこさんが、軍をまとめて腰を上げかけたときにたたく。 それまで見つかるわけにはいかん。 で、その間、悪いんだがお前さんにもうひとつ仕事を頼みたい。 ゼグナ鉱山の周りに魔物が出るらしい。 それも、かなり強烈な奴なんだと。 まったく、この忙しい時に迷惑な話だ。 でな、軍の奴らよりお前さんの方がそういうのに慣れてるだろ? いっちょ、退治してきてくれ。 ま、国を守る戦いは、人間様だけが相手じゃないってことだな。 そういうことで、よろしく頼んだぜ。 |