名前
自分が知らないうちに家を片付けてくれたり、食事を作ってくれる誰かを指す。
原作では、久しぶりに菩薺村に戻った謝憐が菩薺観の中が綺麗になっているのを見てこの言葉を使った。
参考資料
田螺姑娘は福建省福州市地方の民間伝承物語の中の人物で、陶淵明が編集した捜神後記で「白水素女」として紹介されている。
捜神後記以外にも田螺姑娘が登場する伝説はいくつかあるが、不在中に片付けをしてくれるという設定はほぼ同じである。
白水素女
晋の安帝の時代に謝端という男がいた。謝端は幼い時に両親を亡くし、隣人に養われていた。
十七、八歳になった頃に隣人の家を出て独立し、毎日朝から晩まで畑で働いた。
ある日、謝端はとても大きなタニシを拾った。貴重なものだと思った謝端は、それを家に持ち帰って瓶の中に入れた。
数日後、謝端が畑から帰ってくると、家の中には温かい食事の用意が出来ていた。それからずっと、同じことが続いた。
不思議に思った謝端は、いつもより早く家に帰って中を覗き見た。すると、一人の若い女性が瓶の中から出てきて、カマドに火をつけた。
謝端が家に入って瓶の中のタニシを見ると、タニシは殻だけになっていた。謝端はカマドに近寄り尋ねた。
「あなたはどこから来たのですか? なぜ私のために食事の用意をするのですか?」
女性は驚いて瓶に戻ろうとしたが戻れなかったため、自分は天帝に遣わされた天の川の女神であると素性を明かした。そして、姿を見られたからにはもうここにはいられないと言った。謝端は引き留めようとしたが、突然起こった風雨のあとに女性は消え去ってしまった。
謝端は神棚を作って女神を祭り、今まで通り真面目に働いた。
後に謝端は出世して県の長官になった。