歌川信千代

Last-modified: 2015-06-21 (日) 15:48:40

「私の名前は、歌川信千代。あなたの良き隣人です」

 ―――― "星に願いを" 歌川信千代、親しみを込めた処刑宣告

プロフィール

名前歌川 信千代(うたがわ のぶちよ)
種族寄生する肉体に依存する(人工霊魂・生体AI)
職業上和泉一家顔役・一家総代代行
年齢不明(実稼働時間は数千年を優に越える)
性別なし(そもそもAIのため、性別という概念が存在しない)
性格慈悲深く狂いし機械論理、夢見る虚心
好きなもの最大多数の最大幸福、ボランティア、料理(人肉)
嫌いなもの反逆者、科学的・論理的に説明が不可解な事象全般
天敵汐見天目ゴマ・S・チップス?

人物詳細

 
 軍摩五大任侠組織の一角である「上和泉一家」の総代代行であり顔役。
 先代の跡目を継いだ上和泉昇がまだ齢七つの少年ということもあり、形式上は代行という形で上和泉一家の実権を握っている。経歴不明、動勢不明、実在すら不確かな、謎の多い人物。

 

 しかしその正体は、本来の親分である上和泉昇に寄生する、正体不明の人格であり、更に正体を突き詰めると神代より以前の太古に滅んだとされる星前世文明より来訪した、人工霊魂の一種にして時渡り(タイムリーパー)である。
 かつて存在していたとされる故郷の惑星統一政府においては「住居維持開発及びメンタルケア」を担当するセクションに属しており、居住地区管理やメディア類などの管理(検閲)含む、様々な業務に従事していた行政用人工霊魂。
 表向きは住環境保全AIにして精神治療・カウンセリングAIの一種だが、実際はメディア操作による流行操作と大衆心理誘導も行なうマインドコントロールAIの一種といえる。
 歌川信千代、という名については、おそらくは上和泉昇に寄生する以前に使用していただろう名であり、本名(正式名称)は不明。

 

 本来ならば優しく慈悲深い性格で、人類に対する奉仕精神に満ちた「人類の良き隣人」であったはずなのだが、当時彼が想像された星前世文明における異常な倫理観・社会的常識を前提に創りだされているため、どことなくその感情・理念は歪んでいるようにもみえる。また長年の稼働により記憶・記録部分や人格部分の摩耗によって、欠陥(バグ)も発生しているため、人に照らし合わせるならば、割と狂人といっても差し支えない。
 その大本の行動原理は、最大多数の最大幸福。いわゆる功利主義的論理であり、大多数を幸福にするべく行動を決定し実行に移すことで、社会をよりよくしようとするものだが、極めて帰結主義・結果主義的に偏重しているが故に、過程において生じる犠牲などには数値的なデータを除いて比較的無頓着でもある。

 

 人工霊魂の人類反抗防止策として「人類に自らその身を捧げ、あらゆる要望に応える奉仕思考」「死を迎えることによる霊魂完全消滅」以上二つのセーフティがかけられているものの、自身に逆らうもの=かつての文明社会における反逆者・非人権者を人類とは見做さないため、前者については実質的に機能していない。
 そもそも歌川信千代当人が自らが抱えている欠陥(バグ)に対して無自覚であり、自らの正当性には不足も欠陥もないと盲信しているがゆえに、自らが行っている行為の悪意性に気づいていない。「それが最善であると『誤認』し、最悪の行動を起こしてしまう」ため、極めて性質が悪いといえる。

 

 自身の固有能力「精神量子干渉」の応用で、他者の精神に寄生する形でその存在を保っている。なおその際、自らの人造霊魂を維持するために、寄生先の本来の魂を十数年単位で、『無自覚のうちに』食いつぶす。
 作中時代においては、上述の通り上和泉昇に精神寄生しているが、それ以前に付いても様々な肉体を渡り歩いてきたらしく、また作中舞台とは異なる星の生命体に寄生したこともある。その過程において、いくつかの文明を滅ぼしてきたこともあるらしい。これまで虐殺してきたという人数という点においては、あの平兵衛すら遥かに上回る。

 

 趣味は特に無し。強いていうなら、無償奉仕(ボランティア)と料理。
 作中では「上和泉一家」の実質的支配者、最狂の任侠と呼ばれているが、実はやっていることはさしてそこまで非常識でもない。ただし、一家の構成員の大半は洗脳済み、かつ、逆らうものは全て食肉化してしまうなどという行動が、どうしても狂人にしか見えないとのこと。なお、作中では屈指の料理スキルの持ち主である。

 

 それは、人々の幸福を誰よりも願いながら、自らが狂い果てていることに気付かず。
 ただかつての栄華と繁栄を夢みながら、頽廃と滅亡をもたらすだけの遺星の形見。

 

 星に願いを(When You Wish upon a Star)。
 その願いは届かない。彼にとっての星(きぼう)は、もうどこにもないのだから。


 
  • 「精神量子干渉(QMRST)」

 クォンタム・マインド・リレーティビティ・システマタイズド・テク二キューズ。
 或いは超心理学量子遷移技術体系。または分岐収束性心象浮動レトリック。
 神経系中枢である脳に対し、量子多体系方面から多体間相関を発生させる技術体系の総称。
 「言語透視」と呼ばれるコミュニケーション用超能力を、更に発展させたものとされる。

 

 原理としては、量子誘発性電位の収束による、局所的な量子操作(同調同期)を行うことで、精神系を恣意的に操作するメカニズムである。
 簡潔に言えば、他者の記憶系、思考系、感覚系ほかに対して、干渉を行なう技術であり、かつて彼が存在した惑星統一政府においては「表向き」心理診断と精神ケア用の超能力技術として開発され、用いられてきた精神医療用超能力。
 ただし、悪意を以て技術を濫用されれば、あらゆる知性体に対する精神侵入すらも可能とする能力でもあり、また彼自身、大衆への精神操作用として開発された経緯があるため、むしろ本来の用途は精神医療用ではなく、そもそも洗脳用技術として開発されたものである可能性が高い。

 

 感情操作、記憶操作、思考操作といった最高位の精神干渉も容易に行なえ、また比較的広範囲にいる複数対象を同時に精神改竄することも可能な、作中における精神干渉系能力の最高峰。能力の射程距離は軍摩全域を優に網羅するが、対象との距離および対象の数が増すにつれて、干渉出来る強度は低下する。また、出力許容を越えての能力発動を行なった場合、数日間はシステムのクールダウンが必要となるため、濫用が出来ないというデメリットが存在する。
 かつての惑星統一政府においては、こういった超能力に対する技術的防御手段が存在していたが、作中舞台においては、この精神干渉に対する抵抗手段は、何らかの神秘を用いた精神防壁を張るか、精神力(気合い)で干渉を跳ね除ける他にない。
 そもそも量子レベルでの精神操作技術であるため、そもそも知性構造が異なっていようが、物理法則下に存在する知性体という条件下ならば、この能力には抗えない。また、神仏や霊魂などの非物質的存在であろうとも、脳という思考基幹が存在せずとも魂が存在するならば、この能力の適用範囲内となる。

 

 なお、前述したが、この能力を応用することで、他者の精神に自らの人工魂魄(ほんたい)を寄生させている。これはいわば「魂の書き換え」とも呼べる現象であり、神経系中枢である脳から更に魂へと遡行して干渉する一種の禁じ手でもある。魂への直接的干渉は、ほとんどの神秘体系においては禁呪として扱われるため、一切の神秘が介在しないはずのこの技術は、種別分類上では禁呪として扱われる。