東京外殻の構造

Last-modified: 2015-06-28 (日) 21:11:05

15/06/28(日)20:29:18 No.11935647
■はたななのはこ『昭和・東京外殻篇』■

 

『東京外殻の構造』
東京都千代田区近辺を中心にして、半径50km付近の位置から高さ約3000m程の巨大な壁が東京を円形状に弧を描いて包むように隆起している。
完全に東京を覆っているわけではなく、天井は無い。しかし、3000mという高さ故に日照時間に影響を及ぼしている。つまり、外殻内の「夜」は長く「昼」は短い。また、この外殻は時折大きな音をたてて東京の大地を揺らしている。そして、その度に日照時間は短くなっている。つまり、外殻は「成長している」。いずれ、空は閉ざされ常世の闇が来る。
『二十七の匣』と異なり、災禍のうち「怪異」は日中現れない。外殻内の日中とは、外殻内の日照時間を言う。しかし、「仕掛け」と「竜」は別である。
多くの人間は外殻を破壊し外へ脱出しようと考えているが、外殻は鉄とも土塊とも異なる材質で作られており、硬く、傷一つつかない。そして、唯一有効策と思われた空からの脱出も、「竜」と呼ばれるようになった空を飛ぶ怪異によって、阻まれている。外殻外からの救援は、未だに、無い。
我々は、絶望を生き抜くのか、それとも、希望の前に死ぬのか。