説明
東方三月精とは東方Projectの漫画作品の一つです。
角川書店刊「月刊コンプエース」で連載中の漫画です。
2010年8月号から隔月化して連載再開。
サニーミルク(日の光の妖精)、ルナチャイルド(月の光の妖精)、スターサファイア(星の光の妖精)といった三匹の光の妖精による悪戯と日常の作品です。
STG自機の博麗霊夢や霧雨魔理沙を始めとして、他の東方キャラもゲストキャラとして登場する事もあります。
各部説明
- Eastern and Little Nature Deity.
作画は松倉ねむ。通称「松倉版」「白月精」。
あまりトーンが使われない作風であった。体調不良につき第二部から作画交代となる。
現在、単行本はプレミアがついている。付属の音楽CDは第二部2巻に再録されている。
コンプエースは現在は月刊誌だが、刊行当初は季刊雑誌であった。それから隔月化する。
- Strange and Bright Nature Deity.
作画は比良坂真琴。通称「比良坂版」「第二部」。
当初は一話完結だったが、第5話(アリス回)から前後編になっている。
これはコンプエースが月刊化したのと同時期。
現在手に入りやすいのはこっち。
- Oriental Sacred Place.
引き続き作画:比良坂真琴。通称「第三部」。
第二部の終盤に魔法の森から神社付近の大木に引っ越した後の物語。
当初は博麗神社の謎を追うと告知されていたが、その常識に捕らわれない。
第9話から月刊での前後編から隔月連載での一話完結スタイルになった。
三月精の初期コンセプト
- 【上海アリス三精版 第2号】
この先も、アクションシーンやラブラブなシーン、シリアスなシーンも無い漫画が続くと思います。
その代わり。小粒ながらも、ちょっと不思議な感覚が味わえる漫画になることを願っています。いや私が願っても。
- 【上海アリス三精版 第3号】
東方の世界のお話は全て、現実に密着しつつもちょっとだけ位相のずれた所にある幻想のお話です。
世界は月に旗が立っていることなんて既に忘れたかのように廻っていますが、それは現実だった物も幻想になっていくという良い証でしょう。
幻想になる物は何も想像上の物だけである必要はないのです。
むしろ、想像上の物が一般化すればそれは幻想とは呼びにくい。
幻想は現実感が薄い現実に存在します。
架空でありながら現実に影響を及ぼし、そして現実に操作しながらも架空だと思う。
それを味わうにはゲームが最適です。
さあ今こそゲームをやりましょう。
- 【上海アリス三精版 第4号】
で、漸く三妖精の紹介が終わったところでどうなるのかというと、これがまたどうにもならないんですよね。
妖精にありがちな無鉄砲さで、死を意識しない危うい行動を取って行くことでしょう。
落雷を受けたり大蝦蟇(おおがま)に喰われる位、日常茶飯事です。しかし、今の漫画のペースでそれが出来るかどうか……。
でも、三月精は『東方』なのです。東方の最大の魅力は、ジャンルの可搬性にあります。
三妖精は今のところ漫画でしか出てきていませんが、ゲームだろうが音楽だろうが小説だろうが自由に顔を出し、そして違和感なく話が進んでいくでしょう。
ここが東方特有の最も面白いところ。
何故なら、東方はストーリーを軸に構成されているのではなく、ただそこにある世界で構成されているからです。
その上にキャラやストーリーや音楽が乗っているのが東方です。
早く、三妖精達が他の作品の歯車の一つになるのを楽しみにしています(何故私が)。
そうそう、三月精。何で三月精ってタイトルなのか、そろそろ気付いているかと思いますが、それは言うまでもなく日、月、星から来ています。
日を英語にしてサン(三)……。後は言わずもがなです。
また、古くから日月星の三つの天体を指して『三精』と言い、それにも掛けています。
決して、三月連載開始の妖精漫画だったから、じゃ無いですよ? 確かにそうですが。
- 【上海アリス三精版 第5号】
連載開始して丁度一年、登場人物の紹介もようやく終わって、東方のいつもの世界でのんびりさせていこうかなという段階です。
今回から新章に入るにあたり、三妖精がさらに暢気に、やる気満々で幻想郷の各地のひょっこり現われる話になると思います。
さて、今回の三妖精。この後どうなったかはご想像にお任せします。
まったりエンドと大変なエンドの二種類想像出来ると思いますが、どちらを想像するかによって貴方の幻想郷観が見えてくるでしょう。
- 【上海アリス三精版 号外】
--では、最後に、一応、単行本化記念号外と言うことなので、この単行本で初めて東方に触れる方に対してなにかメッセージを。
東方は常に初心者に優しくないスタイルでお送りしております。
これは本編をやっていないからとか、一切関係ありません。
本編も同様に不親切です。
緻密な設定から推理するとか、本編のサブストーリーとして楽しむとかではなく、何となく感じられる「東方」の不思議で心地の良い世界をまったりと楽しんでいただければ幸いです。
わかりやすく言えば、この本だけでは東方のすべてはわかりませんが、わからなくても楽しむことはできますよ、といった感じです。
- 【松倉版あとがき】
さて、マシンで動くプログラムで出来たアプリケーションには、知っての通り様々な物があります。
仕事に必須なビジネスソフトから、機械を制御するプログラム、娯楽の為のゲーム、まあ、用途も形態も多種多様です。
そんな中に、余裕が出てくると生まれてくるソフトが、景色を眺めたり、熱帯魚を眺めたり、ペットを飼ったりするだけの環境ソフトです。余裕の塊です。
私が思うに、妖精はそんな余裕から生まれる環境ソフトの様な物なんです。
この妖精漫画は、形態が漫画であると言うだけで、基本は幻想郷の環境ソフトであって欲しいんですよね。
余裕から生まれる漫画の一つ。
漫画としての文法に沿っていなくても、漫画単体で完結していなくても、漫画足るポイントを押さえていない物があったって良いんじゃない?
だって妖精なんだもん。