【イーヴ】

Last-modified: 2024-03-11 (月) 06:58:21

概要

【ゼクレス魔導国】の先代【魔王】にして【アスバル】の父。
妻は【エルガドーラ】。作中では故人とされている。
ゼクレスの魔王として何代目なのかは語られていないが、【バルメシュケ】が14代目であることから、15代目以降であることだけは間違いない。
 
ゼクレス市街の本棚で読める本によると、まだ王子だったころ、【ベルヴァイン湖】で狩りをしていた時に弟【オジャロス】と狩りに参加していたエルガドーラと出会ったという。また、墓にはアストルティアの文字が刻まれている。
生前の彼は平等を説いていたそうであり、息子のアスバルが【アストルティア】に興味を持ったのも父の影響なのかもしれない。
 
身分制度をなくすことを提言したり、独断で他国と国交を結ぼうとしたりしていたせいで、貴族たちの反発を受けていたようだ。
かばいきれなくなったエルガドーラにより権力を取り上げられ幽閉された彼は、息子アスバルを攫ってアストルティアに逃亡する。
後にアスバルは魔界へ連れ戻されたが、イーヴは魔界に戻ることなくアストルティアで果てたとされていた。
この一件、一部には「エルガドーラがイーヴを追放し、亡き者にするための茶番」と見る向きもある。
「アストルティアで亡くなった」という点も実際はエルガドーラの手引きにより暗殺されたもの、という意見がある一方、【魔瘴魂オジャロス】の解説を見ると手引きしたのはオジャロスではないかとの見方もできなくはなかったが、下記クエストよりその可能性は薄くなったと言える。
アスバルが短期間ながらも滞在しただけですぐに【勇者姫アンルシア】に「魔王がいる」と察知されたところを見ると、気付かれることなく滞在しつづけるのは易々とはできないだろうが……。

彼の支持者について

失踪してある程度時間が経っているものの、イーヴを支持する勢力はいまだに残っている。
彼らは「前王派」を自称し、イーヴを「真なる王」としてエルガドーラやオジャロスの政権を否定しており、国を正しい道に導くための地下活動をしている。城内の兵や使用人などにもその一員がいる模様。
ただし、前王派の中にもアスバルがイーヴの後継者となることを望み、挫けないよう陰で支える穏健派と、アスバルを退位させてでもイーヴを救出して再即位させようとする過激派がおり、一枚岩ではない。
【亡き王に手向ける花】を依頼してくる【ファウロン】はリーダー格かつ過激派だが、他大多数のメンバーは穏健派のようであり、かなりの温度差が見受けられる。
この辺りについてもイーヴ本人共々関連クエストで掘り下げられていくこととなる。

Ver.5.3

クエスト【ある魔術師の悔恨】において、エルガドーラにより家族を人質に取られた【サラジャン】によって「ゼクレスに足を踏み入れると死亡する『死の結界』」が施されていることが判明した。
この一件、サラジャンは「生命を奪う結界を張った」「イーヴを裏切った」とは言うものの「ゼクレスに戻ってきたイーヴが死の結界にかかって死亡した」とは明言されず、ゼクレスに一度も戻っていない可能性もあるため、現時点で生死は未だ不明(サラジャンは結界が解かれた場合死罪を覚悟していたが、すでにイーヴが結界にかかって死んでいるのであればその必要はないため、少なくとも彼はイーヴがまだ生きていると思っていると推測される)。
 
ただし、ファウロンは結界の解除に協力的であったのに対し、同じく前王派の一人であるジェグロドは「協力はするが複雑な心境」と述べている。
クエストクリア後に聞けるファウロンのどこか含みのある台詞もあり、前王派も一枚岩ではないことが仄めかされていた。

Ver.5.5後期

ストーリー終了後に受けられるクエスト【亡き王国に捧げる詩】で詳細が明らかになる。
アストルティアへの逃亡は紛れもなくイーヴ本人の意思であり、王制を廃し家族3人でアストルティアで暮らしたいという想いがあった。
しかし追ってきたエルガドーラにすれば到底理解できることではなく、口論となるが、母親に泣きついたアスバルを見て全てを諦め、独りアストルティアに留まり、以来300年アストルティアで過ごしていた。
この最中に「アスバルの魔力を封じる」という話も出ており、自らの魔力も何らかの手段で(少なくともアストルティアで暮らすのに支障がない程度に)抑えていた可能性がある。
なお、妃にエルガドーラを選んだのは【ベラストル家】令嬢【リズベル】との縁談をつぶし大貴族たちの鼻をあかすためであったが、愛情自体はあったようであり、何度も彼女に再会を希望する手紙を送っていたが、その手紙はオジャロスに握り潰されていた。
前王派でイーヴとの連絡係を受け持っていたヴァラックによれば、イーヴはつい先頃、放浪の果てに死亡したとされる。
しかしヴァラック本人の言動や、アスバルの態度、さらに最近イーヴに会ったというサラジャンの台詞などを総合すると、イーヴ本人が表向き死を装った上でヴァラックに化けているものと思われる。
クエスト中にベルヴァイン湖の見張りガスヴィンから聞ける話では、ヴァラックは銀翼竜の渡りの時期に毎年欠かさず湖を訪れているといい、主人公と話した後には「もうここに来ることはない」と寂しそうな様子で去っていったという。
このことからも以前からイーヴがヴァラックとして行動していた可能性が高い。クエストクリア後にはエルガドーラの部屋を訪れ、手向けの花のブーケを供えていったと思われる形跡がある。
なお、過激派だったファウロンはイーヴ再即位が絶望的とわかるとかなり意気消沈し、前王派は解散するしかないと語る。
 
遠い親戚とは言え、無名の貴族だったエルガドーラを妃に迎え、さらには貴族制を廃止すると宣言したことを考えるとゼクレスの身分制度に対して不満を覚えていたことは言うまでもないだろう。
身分制度をなくして平等な国にしようという分け隔てない思いはあったものの、エルガドーラと結婚して貴族たちの鼻を明かそうとしたり、貴族たちに対して「くだらぬ連中」と呼ぶなど、きっかけはいまだ謎のままだが貴族たちに敵意を持っていたようである。
また前述のとおり彼がアスバルをさらったのは王家の血を途絶えさせ、王政を廃止したかったからである。
現にアスバルの誕生を祝う席で彼は息子に王位を継がせる気はないと言っていたそうであり、ゼクレスの差別的な身分制度に息子を巻き込みたくないという父としての愛情だったのかもしれない。
 
上記の話をまとめると、ゼクレスの差別撤廃や民主化に強い意欲を持ち、それに惹かれた支持者を得ることに成功したものの、あまりに急進的で独断専行かつ周囲にいる妻や有力貴族との協調を軽んじた言動をし過ぎたために、彼女らを敵に回して失脚する羽目になったと言える。
特にエルガドーラからしてみれば、結婚の理由が(それが全てでないにせよ)「貴族たちの鼻を明かすためだった」などと言われてとても納得できるものではなく、自分なりに妻を思い遣ったつもりでも見事に逆効果になってしまっている。
総じて空気を読んで本音を隠したり周囲と歩調を合わせたりといったコミュニケーション能力にかなり難があったと思われ、その不器用さが災いして政治家としても夫や父としても最後まで役目を果たすことができず自他の不幸を招いてしまった哀れな人物と言えるだろう。
ただし、息子アスバルは彼ほど急進的ではないものの、エルガドーラやオジャロスの政権が作り出した負の遺産に向き合い、身分に囚われない役人採用などを通して格差の是正に取り組む姿勢を見せているため、今後彼の理想は緩やかに実現へ向かっていくのかもしれない。
 
なお【セーリア】曰く、300年前にアスバルそっくりの男が【ラーディス王】を訪ねてきたことがあるらしい。作中では明言されないが、「アストルティア秘聞録」ではイーヴ本人であることが明かされている。
彼女によればアスバルとは雰囲気がまるで違い、どこか世捨て人のようなうつろな目をしていたという。