【…今のはメラゾーマでは無い…メラだ…】

Last-modified: 2024-04-14 (日) 03:19:31

ダイの大冒険

22巻で大魔王【バーン】が放った台詞。
バーンが放った【メラ】の威力があまりにも強力で、思わず【ポップ】のこぼした「大魔王の【メラゾーマ】はおれの呪文の何倍も威力があるのかよ」という台詞に対しての一言。
より正確には「…今のはメラゾーマでは無い…」で一旦区切り、「メラだ…」の部分は次のコマになっている。
なお、「では無い」という漢字表記は原文準拠。
本来は「ではない」のように否定の意味の「ない」は平仮名に開くのが通例であるためか、ウェブ上で引用される場合には「メラゾーマではない」と表記されていることが多い。
なお、余談ではあるが、少年誌に限らず、どのように漢字を使うかといった表現は(出版社の自主規制や誤植を除けば)作者の意志が尊重される。
 
バランの亡骸に向けてバーンが放ったほんの小さな火の粉。
亡骸にくっつくと同時に巻き起こる凄まじいまでの火柱は亡骸を完全に焼き尽くしてしまう。
同じものが倒れた【ダイ】にも放たれ、それを阻止すべく同属性のメラゾーマをぶつけるポップ。
だが相殺どころか勢いを削ぐことすらできず、ポップのメラゾーマが一方的に破られてしまい、驚愕するポップを余所に着弾するや否や同じ火柱がポップを飲み込み、かろうじてポップは助かったものの炎に強い特殊素材で編まれた【パプニカの法衣】がいとも簡単に燃え尽きてしまう。
 
バーンの「メラゾーマ」の威力に戦慄する一行。
そこへ追い打ちをかけるがごとく投げられたのが冒頭の台詞であった。
これほどの破壊力を持つ呪文がメラゾーマでないのなら、一体どんな強力な呪文を使ったのか…。
その答えはまさかの「メラ」。
そう、【魔法使い】が最初に覚える最弱と言ってもいい初歩呪文だったのだ。ゲーム本編で序盤に少しは役立っても早々と戦力外となってしまうアレが、こんな強烈な描写となって大化けしたのである。
 
「ケタ外れの実力者が振るう攻撃は、例え同じ攻撃方法であっても並み程度の力しか持たない者のそれをはるかに凌ぐ力を帯びる」という実力差の理論を登場人物および読者へ示すこれ以上無いシーンであり、まさに大魔王に相応しい名台詞だろう。
思えばポップが初登場時に放ったのを皮切りに、連載当時の最上級【メラ系】呪文メラゾーマの使い手は作中に続出した後。その上で大魔王が初手から「あえて手加減したメラゾーマ」などで押し返したのでは、格の演出として数段インパクトが劣ったろう事は想像に難くない。やはりここは「大魔王のメラ」こそ相応しかったのである。
 
さらにこの後、バーンは「同じメラでも魔力の絶対量によりその威力ははるかに異なる」と自ら解説しつつ、「これが余のメラゾーマだ」という一言と共に【カイザーフェニックス】を放つ。
 
火力ばかりが取りざたされるが、そのサイズも非常に恐ろしいものがある。
物語序盤、魔法の扱いに全く慣れていなかったダイの使用したメラはおおよそバスケットボール大だったにもかかわらず、バーンのメラは「指先サイズ」。
竜の血で蘇ったポップの「【ギラ】を収束させ、花びらに穴を空ける」(=本来ならギラのエネルギーで花びらは燃え尽きてしまうはず)という技からもわかる通り、「ただでさえ絶大な魔力を極小の火の粉に凝縮させる」という単なる力任せではない妙技が窺えるシーンである。
元々ゲーム作品ではメラが「敵一体に小さな火の玉をぶつける」という設定なのだが、それを踏襲した上で「小さな火の玉」という一見とても強そうに見えないものをバーンの技量の高さに結びつけているのが秀逸なポイント。
 
ただ、ダイ大が連載されていた時期までのドラクエ本編では魔法の効果はその【呪文】ごとに定められた固定幅内での規定値が決められていて、誰が使ってもその範囲から変わらない仕様だったのはご愛敬(たとえばDQ3では大魔王【ゾーマ】が使おうが中盤の雑魚敵である【エビルマージ】が使おうが【マヒャド】のダメージは55~66)。
術者の能力値によって威力が変動するようになったのは連載終了から実に8年後のDQ8からである。
「魔力」の概念のなかったDQ8では【かしこさ】が威力変動にかかわり、DQ9以降では【こうげき魔力】および【かいふく魔力】が導入された。
ある意味ではこれも一種の逆輸入要素と捉えられなくもない。

DQ8(3DS版)

似たような事例として、【エスターク】が使用する【イオナズン】【メラゾーマ】は他の魔物が使うものよりも遥かにダメージ量が多く設定されている。
エスタークを倒せば彼の魔力がこもった【ていおうのうでわ】をもらえるのだが、これがあればこちらもおかしな威力の呪文を使用可能になる。
同じ呪文でも別格の強さを持つボスが使用すると凄まじい威力になるということが本編でも表現された。
また、【追憶のドルマゲス】とエスタークが使う【しゃくねつ】も通常のものに比べて大幅に威力が上がっている。
また、「魔法の才能がない」と言われていたせいか、ドルマゲスは強化版になっても呪文の威力は据え置きで、もはやサービス行動と化している。

DQ9に当てはめた具体的考察

これをDQ9の【こうげき魔力】として考えたらどの程度の数値になるのだろうか。
メラの基本威力はDQ9基準だと12~16で、攻撃魔力999でも97~101。これは【メラミ】を少し上回る程度に留まる。
だがバーンのそれは少なく見積もっても、ポップの放ったメラゾーマを軽く超える程度の威力があった。
とはいえポップは当時でも(人間の魔法使いとしては)かなり威力が高いことが作中にて語られており、さらにメラゾーマの最低成長値は220以上のため、少なくともこれを上回ることになる。
 
公式本によればバーン初戦のときのポップのレベルは45。
これをDQ9の魔法使いのレベル45に換算すれば攻撃魔力は190なので、成長値に少し及ばない。
ネタバレになるから具体的には言わないが、冒険途中で攻撃魔力が上がったと考えるべきだろう。
その過程で魔力が100ポイント程度上昇したとして、杖の増幅効果を加えて最大300程度と仮定する。
攻撃魔力300のメラゾーマだと191~214程度となるため、最低でもこの値を超える必要がある。
攻撃魔力50から999でメラの上昇値は85、単純計算で攻撃魔力1898で182~187、
攻撃魔力2837で267~272ということになる。
実際に両者の呪文がぶつかったとき、バーンのメラは消耗した様子なくポップのメラゾーマを通過している。
それを考えると、少なくとも互角ではなく大きく上回る程度の威力はあるのだろう。
純粋に考えてバーンの攻撃魔力は推定3000以上だろう。さすがは大魔王である。
 
が、実はそのときに【イオラ】も使っており、その時の威力は【ヒュンケル】が言うには「【イオナズン】級」らしい。
イオラでイオナズンと完全に同等の威力を出せるのはおよそ攻撃魔力880程度。
 
ちなみにメラでそれぞれ上位の呪文に追いつくのはメラミまでだが、限界突破ありだった場合、メラミ級だとおよそ攻撃魔力800、メラゾーマ級なら2000、【メラガイアー】級なら3200程度。
バーンのメラがメラガイアー級だとすると、メラゾーマは671~695程度となる。
こんなものをまともに食らえば即死だろう。
その状態でイオラを使うと408~424となるので初期レベルのイオナズン3発分に相当し、およそ一撃でパーティを全滅に追い込む威力だったりする。
ただしバーンは片方の掌から一度に5発ずつ光球を放っていた。
これはハドラーなどのイオラには見られない特徴である。
ヒュンケルの指摘する「一発一発」がこのひとつの光球を意味するなら、
一度の射出でイオナズン5発分を放っているという計算になり流石に強すぎる。

 
インフレし過ぎだが、DQ9の魔法使いだと800~900程度が関の山、実用装備で最高魔力まで上げても880程度である。
これはメラなら86~90程度、メラゾーマなら287~311程度、イオラなら137~153が限界であり、いかにバーンの魔力が異常なのかよくわかる。
 
もっとも、これらはあくまで(約15年ほど後に発売の)DQ9のシステムに則って仮定・検証した上での話であり、
ダイの大冒険の枠組みでそっくりそのまま当てはまるという訳ではないので注意。
 
またDQ9では【大魔王の地図】のレベルを上げると、大魔王たちが凄まじい威力の攻撃呪文を見せるようになる。
他には賢者への転職クエスト、【本棚に眠る大賢者】ではメラで【トロルキング】を倒すことを求められる。チマチマ普通のメラを撃つよりはテンション、魔力覚醒等を駆使してメラの威力を大きく底上げした方が効率がよく、バーン様ごっこをするのが最適である。この【大賢者】のクエストは「下級魔法で強敵を倒す」ものばかりで呪文が違ってもこの戦術が有効。

DQ10

メラそのもののダメージキャップは78だが【魔力かくせい】でダメージ2倍となり、さらに達人のオーブや炎属性のダメージを上昇させる装備品などでパワーアップを重ねることで旧作におけるメラゾーマの威力を超えることなりこのセリフを再現することが可能となった。
 
また「第6回アストルティア・クイーン総選挙」とあるキャラの紹介文において「今のは ベホマではない ホイミだ!」という明らかにこれが元と思われるセリフが登場した。

ジョーカー3プロ

DQMJ3Pではバーン本人が参戦し、倒せば彼の分身をプレイヤーに授けてくれるのだが、大魔王形態時のかしこさの基準値は最高値の1500に設定されている。なので呪文の威力は高い。
さらに固定特性が【ときどきインテ】でノーマル特性が【火ブレイク】なので特性をアレンジせずとも「高火力のメラ系を使ってください!」と言わんばかりの性能である。
同作のメラのダメージ上限は345なので、その気になれば並みのメラゾーマどころか並みのメラガイアーより高威力のメラを繰り出すことも可能である。
【魔力暴走】【青天の霧】に合体特性等を組み合わせれば、さらにダメージは上昇する。
他にも属性の関係上【メドローア】とも相性が良い。しかも分身が元々持っているスキルで覚えられるため、過去に危険視した特技を自分が振るうなんてことも可能。

ダイ大コラボでの引用

星ドラとスーパーライトでも同様の攻撃を使用し、この台詞を言う。
しかしスーパーライトではメタル系等の「メラ耐性が無効以上のモンスター」や「【マホカンタ】等で【呪文反射】状態になったモンスター」に対してもお構いなしに使ってくるので、その場合は少々間の抜けた感じになってしまう。
 
DQタクトでは特性として「今のはメラだ」という基本特性を持ち、その効果はメラの威力を800%上昇させるというなんとも極端なものになっている。

インフィニティストラッシュ

ストーリーの範囲は【鬼岩城】編までだが、【記憶の神殿】【バーン】を倒すとこの【絆の記憶】が貰える。
効果は魔法力アップ+120~+210。
火炎呪文の極意(【ダイ】または【ポップ】が装備している場合、メラのダメージが64%(最大100%)アップしCTを4(最大8.5秒)短縮する)。

余談

大魔王の実力を示す名言からか、ネタにされることが多いセリフである。有名なものでは「今のはメラではない…メラゾーマだ」と逆転させるネタがある。こうなるともはや雑魚キャラ
「メラゾーマだ」の部分をくり抜いて答えさせる大喜利も未だに出回ることがある。
もう一つ有名なものは「ファイナルファンタジー11」の魔法使いシャントットの「今のはフレアじゃない......ファイアよ...」というネタも存在する。