【とあるトレジャーハンターの伝言】

Last-modified: 2019-10-04 (金) 22:56:15

DQ11

とあるナナシのトレジャーハンターが書き記した伝言。
全部で5章立てになっており、世界各地の【本棚】で確認することができる。
注意深く街を探索していると、ストーリー進行と並行して、順番に読み進められるようになっている。ただしメルトアを撃破せず、クレイモラン城下町に入れなかったプレイヤーが【キャンプ】をハシゴして聖地ラムダまで向かうことも出来、その場合虹色の枝を求めていた旅人が突然人助けをしている、と順番が逆転してしまう。
リメイク版DQ4における【魔法の杖をもとめて】に通ずるものがあるが、何かのアイテムの入手ヒントになっていたりするわけではない。
 
読める場所は下記の通り。
第1章 【グロッタの町】・孤児院(教会)
第2章 【ナギムナー村】【キナイ】の家
第3章 【プチャラオ村】・民家
第4章 【クレイモラン城下町】・観光案内所
第5章 【聖地ラムダ】・長老【ファナード】の家
 
この伝言を読める場所と書かれている内容は(3章はメダチャット地方という枠で見れば)それぞれリンクしており、その場所で書き記した可能性が示唆される。
全ての章を読むことで、主人公の紫の衣装の秘密や【魔法の石】の出自や行方などが明らかになり、さらに【サマディー王国】の国宝とは別の【虹色の枝】の存在を示唆するエピソードも知ることができ、最後の第5章でトレジャーハンターは名を明かし、彼の意外な正体が判明する。
勘の良いプレイヤーは読み進める内に彼の正体に気付き、感動に打ち震えたことだろう。
第2章で【キナイ・ユキ】と思しき"許婚がいるが乗り気ではない村一番の漁師"と出会っていることから、50年ほど前の出来事であると推察される。
第5章では「長年探し求めた~」とあるので2章を書いてから更に数年、あるいは十数年が経っている可能性がある。

第1章 グロッタの町・孤児院

私が 今から語るのは ささいな冒険の記録だ。
しがない トレジャーハンターのつぶやきと思って
軽い気持ちで 聞いてほしい。
 
私の名前を覚える必要は これっぽっちもないけど
名前がなくちゃ 語るに こまることもあるし
今は ナナシと名乗ることにしよう。
 
今回の旅で 私が 探し求めるのは
つい先日 バンデルフォン王国の大臣が
100万ゴールドの賞金を懸けた 世紀のお宝。
 
今から さかのぼること 数百年前。
光の御子が 命の大樹から
持ちかえったと伝わる 虹色の枝だ。
 
たった1本の枝で 億万長者になれると聞いたら
私のトレジャーハンターの血が 騒いで
着の身 着のまま 町を飛びだしてしまった。
 
私は ナナシのトレジャーハンター。
かならずや 虹色の枝を手に入れてみせるぞ。

第2章 ナギムナー村・キナイの家

私は ナナシのトレジャーハンター。
虹色の枝を乗せた船が 南国の海で沈んだという
風のウワサを頼りに この村へやってきた。
 
村いちばんの漁師に 海図を渡す代わりに
海の底をさらってもらったが アミにかかったのは
おいしそうな ホタテだけだった。
 
今は 村の酒場で ホタテを調理してもらって
美人な若女将と おしゃべりしながら
チビチビ 酒を飲んでいるが すこぶるウマい。
 
村いちばんの漁師は 許婚がいるそうだが
あまり 乗り気じゃないみたいだ。
心に決めた人が 他にいるのだろうか。
 
ああ もうすぐ 夜が明ける。
虹色の枝は 見つからなかったが
楽しい時間と 友を得た。旅とは よいものだ。

第3章 プチャラオ村・民家

私は ナナシのトレジャーハンター。
ちいさなメダル99枚で 虹色の枝が もらえると
風のウワサを耳にして この学園にやってきた。
 
しかし そんなに うまい話があるものか。
メダル99枚と 交換してもらえたのは
渋い紫色の ユグノア兵士の服だった。
 
冒険者にぴったりの じょうぶな服だというが
私には ウエスト周りが ちょっぴりキツイ。
どうにも がっかりだ。ふにおちない。
 
しかし 学園の かわいらしい女生徒が
クレイモランという国を 教えてくれた。
世界中の知恵者が集まる 国のようだ。
 
そこに行けば 虹色の枝のありかが
わかるかもしれない。私の心は踊っている。
さて もうすぐ夜だ。今夜は どこで眠ろうか。

第4章 クレイモラン城下町・観光案内所

私は ナナシのトレジャーハンター。
虹色の枝のありかを知る 知恵者を探して
クレイモラン王国に やってきた。
 
しかし ここで 旅の目的を変えようと思う。
この国に入る すこし前 雪道で
行き倒れている 若者を助けたのだ。
 
若者は 高熱で意識が はっきりしないようだが
うわ言のように 同じ言葉を繰り返している。
故郷に帰るのだ……と。
 
そんな 若者の様子を見ていたら
私も 長いこと帰っていない 故郷を思いだし
彼のことを ほうっておけなくなってしまった。
 
だから 虹色の枝探しは 休止して
この若者を故郷に 送りとどけようと思う。
 
酒場で出会った 砂漠の国から来た老医師が
同行してくれるそうなので ひと安心だ。
旅は道連れ 世は情けというやつだろうか。

第5章 聖地ラムダ・長老ファナードの家

私は ナナシのトレジャーハンター。
旅の途中で助けた 行き倒れの若者は
なんと 里の長の息子だった。
 
長は 息子を助けた 私と砂漠の国の医師に
お礼の品を ふたつ用意したので
好きなほうを選んでくれと 言ってきた。
 
信じられないことに 長が用意してくれた品は
虹色にかがやく 美しい 1本の枝。
そう 長年探し求めた 虹色の枝だったのだ。
 
もうひとつの品は 青く光る 小さな石。
世界のどこかにある 旅の扉を開き
新しい世界へいざなう まほうの石らしい。
 
もちろん すぐに 虹色の枝を選ぼうとした。
しかし 私の手を止めさせたのは
虹色の枝を求めた この長い 冒険の日々だった。
 
……そして 気がついたのだ。
まだまだ 満たされない 自分の心に。
ずっと 旅をしていたいと 願う心に……。
 
自分にとって 最高の宝とは なんなのか……。
私は 青くかがやく まほうの石を
着ふるした上着のポケットに そっと しまった。
 
虹色の枝を受け取った 老医師は
この枝を金に換える気は ないらしく
生涯の宝として 大切にすると言っていた。
 
こうして 虹色の枝を求める旅は 終わったが
私は これからも 旅を続ける。
 
もしも あなたが 私と出会うことがあったなら
その時は 私の本当の名前を呼んでほしい。
……私の名前は テオ トレジャーハンターだ。

余談

上述の通り彼が虹色の枝を求めて旅を始めたきっかけは、滅亡前の【バンデルフォン王国】の大臣が賞金を懸けたことなのだが、由来確かな1本は大昔に【ユグノア王国】からサマディー王国に譲渡されて以来国宝となっており、一国の大臣なら知っていて当然のはずなので少し奇妙な話である。
プワチャット王国を【魔王ウルノーガ】が取りついた奸臣が滅亡に導いたというエピソードから、この大臣も魔物に取り憑かれていた可能性がある。そうするとウルノーガは、勇者が目覚める前に【オーブ】を集め、独力で【命の大樹】に向かおうとしたのかもしれない。
その証拠に、レッドオーブを自身の側に、パープルオーブをバンデルフォン跡地に安置させている。パープルオーブを入手するための【まほうのかぎ】はこれまたウルノーガ配下の【メルトア】が持っており、一般人が手出し出来ない状態を作っているのである。
・・・まあ実際にはもう1本あったので、単純に世の中に複数本存在が知られているのかもしれないが。