【キギロ】

Last-modified: 2024-03-04 (月) 22:20:38

勇者アバンと獄炎の魔王

【ブラス】【バルトス】【ガンガディア】同様、魔王時代の【ハドラー】の部下である「亜」人面樹。一人称は「ボク」。
じんめんじゅ系モンスターだが人間のようなバランスの手足で、スーツを着用しワイングラスを揺らすなど、紳士のような佇まいをしている。
袖から覗かせる手足のようなものはすべて根が発達したものであり、じんめんじゅ本来の腕は頭部の側面から生え、普段は服の中に隠している。
主な任務は、魔王城内から魔物の森を世界に広げること。
 
突然変異的に生まれた数百年に一度の珍しい存在で、じんめんじゅながら魔王の4幹部に名を連ねるだけあって、植物系モンスターの常識を越えた能力を持つ。
頭部の葉は配下のじんめんじゅとの通信機能が備わっており、樹皮は密度を変えることで鋼鉄よりも硬く、柔軟な鞭のようにもなる。
さらに、体内で生成される高温の樹液を武器とし、その樹液に魔力を加えれば更に温度を高めた【魔力樹液弾】として発射できる。
この体質故に植物系の魔物の弱点となりやすい火炎呪文は物ともせず、【メラゾーマ】でさえも燃やす事は不可能という火への強力な耐性まで持つ。

最後の復活時には全身に呪いの力を帯びており、死ぬまで抜けない破片を体内に打ち込んで相手の全身に呪いをかけ、更に自分の周囲から広がったオーラの範囲内で呪いを増幅させ、相手を弱体化させる。
【カール騎士団】【武鋒円】はこの呪いを無効化できるが、円が解けると再び呪いが効くようになり、例えキギロが死んでも呪いは消えない。

性格

「しぶとくコソコソ生き残る」と一見謙虚そうな信条を騙っている割に、アバン一行が森を抜けようとした際に「向こうからやってきたから仕方ない」「ハドラーに傷をつけたアバン達を倒せば出世できる」と自ら出張って行く、一行を壊滅まで追い込んだと見るや「負ける要素はない」「レベルが低いのにハドラー様を傷つけたという箔だけがついている美味しい獲物」等と慢心し、自分の能力を得意げにひけらかすなど、性格は良くも悪くも俗っぽくお調子者な一面もある。
趣味が弱いものいじめだったり「また出世してしまうなぁ」というわざとらしい口ぶりからしても、自分の領地とも言える広大な魔物の森と独自の通信能力を利用し、入り込んだ美味しい獲物を見つけ出しては有利に戦って手柄にするのが得意戦法かつ出世のやり口だったのかもしれない。

ただしキギロの場合は、最初から真正面からアバン一行に戦いを挑んでいる。二戦目でも【マンイーター】と合体して自らの力を底上げした状態でアバン1人を卑劣な策で呼び出す、三戦目は逢魔窟の邪気を取り込んだ上での奇襲という背景こそあったが、配下の魔物や分身をけしかけるのではなく、この手の敵としては珍しく自ら戦列に立ち戦闘も正攻法を使っている。
上記の見栄っ張りで功利心の強い本性も、上司のハドラーや同僚のガンガディアにはバレているがあまり気にはされていないどころか、ある種の愛嬌のように見られている。
さらに世話をしてくれた【ブラス】にも気さくに礼を述べるなど、魔王軍の中でも良好な関係を構築している描写が見られ、同僚間や組織で一切無用な軋轢を産んだりしないところは明らかに【ザボエラ】たちと異なる。
自分の手で一行を倒すことにこだわる辺りや周囲との対応力の高さを見るに、どちらかというと【フェンブレン】に近いのかもしれない。

来歴

【魔の森】での【アバン】【ロカ】【レイラ】との戦闘では、それぞれの力量を見定めた上、ただのじんめんじゅと見て軽率に不意打ちを仕掛けたロカを隠し腕で迎撃、お返しの【痛恨の一撃】は鎧ごしでも大ダメージを与えた。
回復呪文を使おうとしたレイラも抜け目なく捕縛し、この時点では未完成であったハドラーを傷つけた一撃をまぐれ当たりと分析するなど、その頭脳も中々のもの。
同僚のガンガディアからも、アバン一行を「倒してしまうかもしれない」と評されており、ハドラー四天王に列せられる実力は確かなもの。

初戦ではその特異体質でアバン一行を翻弄するも、追い詰められたアバン渾身の一撃で腕を斬られ、ロカの投げた剣で顔を貫かれるなどダメージを受けて撤退。
その後アバンパーティーの連携を手強いとみて「1人で来ないと魔物総動員でネイル村を焼き払う」と脅してアバン1人を誘い出し、森の魔物の主である巨大なマンイーターと直結して戦うも、前回の戦いで能力をひけらかした事が仇となり、ネタの割れている攻撃はアバンのアストロンでカウンターを受けてしまう。
アバンが新たに編み出した【大地斬】でマンイーターごと両断されたが、倒される寸前に種子を残して辛くも生き延びた。

【しにがみ】によって種子は回収されて魔王軍に戻ったものの、【地底魔城】の入り口に乱雑に植えられてしまった。
惨めな姿を晒すこととなってしまったが「しぶとくコソコソ生き延びる」の信条どおり、次の機会を窺っているようだ。
ハドラーも見栄っ張りの彼にはあまりにも屈辱的な姿を笑いつつも「過酷な環境の方が美味しく育つ人間の作物のように、この屈辱がキギロをより強力かつ凶悪に成長させるかもしれん」としている。
サババ編では上半身が元の姿に戻ったものの、ガンガディアに先を越された悔しさから【キメラ】を一匹借り、【デルムリン島】に力を蓄えに行く。
 
デルムリン島で根を地に刺すと大陸中の植物を管理下に置いたり、自身の分身を多数生み出して自在に操る新たな力を身に着け、雪辱を果たすべくアバンが修行している【ギュータ】を強襲。
分身体で他の仲間やギュータの住人を足止めした後、本体は逢魔窟で修行中のアバンを襲撃した。
前回敗れた大地斬の対策も万全だった上に、漂う邪気を取り込む事で、より凶悪に変身し(見た目は紅殼魔スコルパイドに近い)、さらなる力と、【海波斬】をも回避するスピードを得る。
それによってアバンを死の寸前まで追い詰めるものの、邪気を取り込んだ事によってマトリフとロカの増援を許してしまった。
そして瀕死ながらもマトリフのアドバイスを受けて放ったアバンの【空裂斬】により一瞬で邪気が消し飛ばされると、そのままマトリフとロカによって倒される。
今回も逃亡には成功したものの、空裂斬が生命の根源を掠めており、それによって植物の吸収・身体の維持が出来なくなったキギロはついに絶命した…

かに見えたのだがアバンたちへの憎しみで生き長らえた。逢魔窟で吸収した邪気の力も理由かもしれない。
呪いの力を身に着けアバンたちへの復讐を誓い地底魔城に現れた姿はさながら【おばけかれき】のようであった。
足止めを買って出たロカとの一騎打ちでは呪いの力でロカを苦しめるが【武鋒円】で無効化され、【武鋒・豪破一刀】に敗れ去り、復活できなくなったうえで消滅。なお相打ちに近い形であるため二人の戦いを勝者のいない戦いと称した。
 
なお、キギロは大地斬と空裂斬と言う、アバン流刀殺法三大奥義のうち二つの技の初の食らい役となったことになる。
そしてダイ大の外伝漫画に登場したじんめんじゅという点はクロスブレイドの【ヨロキ】と共通している。