【チェルス】

Last-modified: 2024-02-29 (木) 07:45:04

DQ8

人のいい顔をした糸目の青年で、一見そうは見えないが【七賢者】の一人、大呪術師【クーパス】の末裔。
しかしクーパスが呪術の力を【ハワード】一族に譲ったため彼は特別な力は持たない。
英語版での名前はDavid。
 
【三角谷】の出身で、経験を積むために旅に出て【リブルアーチ】辺りで行き倒れる。
空からしか行けない三角谷をどうやって脱出したのかは謎だが、そこでハワードに助けられ、彼の屋敷で働くようになる。
この出会いは実は偶然ではなく、遠い先祖の代にかけられた宿命によるものだったのだが、ハワードはそんなことは知らずにチェルスをいびり倒す。
それどころかこの男、「あいつ(チェルス)の顔を見ていると腹が立つ、きっと一生いじめ倒したいのだろう」とかぬかしており、愛犬【レオパルド】にすら様付けを強要し、エサに毒を盛った疑いをかけるというムチャクチャな難癖をつけたり、毒見として四つん這いでそれを食わせたり……とまあ見事なパワハラだらけ。
チャゴスも相当にウザいが、胸糞悪さでは遥かに上回るレベルであろう。
 
しかしこれほど屈辱的な仕打ちを受けてもチェルスは全く怒っておらず「ハワード様のこと大好きだから…」とか言う始末。
ここだけ見ると特殊な趣味の持ち主にしか見えないが、それほど高い忠誠心が後にハワードの改心にも繋がった。
 
【呪われしゼシカ】に襲われるが、主人公達のおかげで何とか助かる。
ちなみに、ゼシカ戦で全滅した後に話しかけると
「あの杖使い女の攻撃をなんとか避け続けましたが…」
と言い、緊迫したBGMが流れる中驚異の回避能力を有していることを明かす。
呪文は必中のはずだが、他の賢者の末裔と同じく、呪文ではなく杖で直接突き殺さなければならないのだろう。
それにしても、回避できないように多少は呪文で痛めつけてもよい気もするが…。ラリホーとかも効かなかったのかもしれない。
 
なんにせよ、せっかく助かったのだが、呪われたゼシカを正気に戻した後のどさくさに、今度は主人の愛犬レオパルドが杖に操られて【魔犬レオパルド】となってしまい、主人公一行を含めて誰もそのことに気づかなかったために、結局は杖の刺突を受けてしまう。
これが致命傷となり、
「どうかレオパルド様を追いかけてください…レオパルド様はハワード様が唯一心を開ける存在だから……」
と言い残して死亡した。
これでもかといびられまくってもなお忠誠を尽くし、最期までハワードのことを案じ、逝くときすら恨み言の一つも言わなかったというシリーズ指折りの聖人である。
 
傍目からすれば最期まで思いが報われず気の毒すぎる人生だったのだが、そんな彼の気持ちを汲んでハワードが改心したのが救いか。あまりにやりきれないが……
ちなみにリブルアーチの女性達からはひそかに人気があったようで、なんでも一途なハワードへの忠誠心から彼が魅力的に見えたらしい。
何気に女性にモテるキャラであった。
 
ところで、一見偶然に見えるチェルスとハワードの出会いだが、先述の通りこれは「因縁の呪術」と呼ばれる呪術によって運命づけられたものである。
ハワードの隠し書庫に収められていた初代ハワードの記録によれば以下の通り。
賢者クーパスは弟子である初代ハワードに呪術を託した後何も言わずに消えてしまったが、「賢者クーパスの血筋を守る」事を一族の使命だと誓った初代ハワードは因縁の呪術を行使する。
その内容は「世界に危機が訪れた際、クーパスとハワードの末裔は再びめぐり合う」というもの。
この呪術は世代を超え正しく機能し、世界の危機=賢者の末裔が暗黒神の手の者によって暗殺される事態が起きたときに子孫たちはめぐりあえたのであった。
…惜しむらくは、ハワード一族がその力に驕りその宿命を忘れ去ってしまっていたこと、さらに当代ハワードとクーパスの末裔チェルスが絶望的に相性が悪かったという事実であろうか。力の譲渡も目眩ましのために行ったはずが子孫の関係をややこしくした上に暗黒神の前には無意味で、結果としては無力となったチェルスがハワードに虐待だけされて十分な庇護を受けることなく死ぬことになってしまった。
運命すら動かす呪術を使いこなした初代ハワードも、人の心までは推し量れなかったのである。
「こいつらの血筋が逆だったら…」とか「クーパスも余計なことしやがって」なんて思ってしまったプレイヤーも多いはず。
ちなみにハワード本人は無意識ではあるが、一応、最初の2回は結果的に(自分のついでに)チェルスを護る呪術を展開している(2回ともチェルスの前に出る形で行使している)。
 
このチェルスへのいじめ行為はDQ8でも最も酷いシーンと叩かれてしまったのだが、その原因は、
「主人公たちが棒立ちで事態を眺めている」
という点に尽きるだろう。
一応、他のイベントでも後手に回りすぎと言われることはある。
例を挙げれば、【オディロ院長】の時は【トロデ】への攻撃を院長自身が庇った結果であり、主人公達も【ドルマゲス】の攻撃を止めようと反応はしている。
そして【メディ婆さん】の時は息子を人質にされて、身動きが取れなかった。
法皇は投獄中に殺され、ギャリング、ライラス、サーベルトは訪れる前にすでに殺されていたので救いようがなかった。
…他のイベントにはそれぞれに助けられなかった理由があるのだが、この一件だけは主人公たちの動きが何かによって制限されてる訳でもないのにボーっと突っ立ってチェルスが犬の餌を食べ終わるのを一緒になって眺めてるだけとなっているのだ。
動けないほどドン引きしていた可能性もあるが、身も蓋もないことを言ってしまえば演出の都合である。
実際、2D時代のドラクエでは有事の際やこうした小さなイベントの際に、パーティが棒立ちの状態になっているということはよくあった。
とはいえ、せめてハワードの振る舞いを咎めるセリフなどがあれば、それなりのフォローにもなるのだが。
さらに言うと、チェルスが殺された経緯についても、主人公一行の落ち度はかなり大きい。
なぜなら、暗黒神の狙いがチェルスであることはすでに明らかになっており、ゼシカが呪われた経緯を考えれば、杖とレオパルドが同時にいなくなったことにもっと警戒するべきである。
ゼシカを介抱する必要性があったとはいえ、ハワードがチェルスに単独でのレオパルド捜索を命じたときに、メンバーの誰1人としてそのことに気が回らないのは、さすがに勘が悪すぎると言わざるを得ない。
心の中で「いや、チェルス一人で行かせちゃダメだろ!」と叫んだプレイヤーも少なくないだろう。
 
なお余談だが、現実の犬の場合、自分が下に見ている相手が目の前で自分のエサに手をつけようものなら、飼い主の目の前だろうが関係なく激怒してほぼ100%襲いかかる。
上記のイジメのシーンではレオパルドは大人しくその様子を見ているだけであり、実は犬の習性からするとレオパルドがチェルスを上位者と認めている可能性を示している。
あるいは、よほどハワードの躾が行き届いているのか、もしくはすべてを理解して怒らなかったのだとしたら人間並みに知能が高いということになる。

3DS版

CV:関雄
 
レオパルドの餌を食わされるシーンはカットされ、該当のシーンは「エサの時間が遅れた」というシーンに変更されている。だがエサを出す時に両膝をついて出すのは変更前の名残。
また、その際にレオパルドに跳ね飛ばされているので、チェルス自身の悲惨度はそこまで変わっていなかったりする。
むしろオリジナル版では四つん這いで犬の餌を食うという行為を犬であるレオパルドが実際に見下しているのか不明瞭な部分があったのに対し、より確実に虐げられていると判断できる描写になったともいえる。