【トンヌラ】

Last-modified: 2024-03-21 (木) 05:05:56

概要

人名の一つ。ドラクエ世界では複数の作品にわたって、農民から街人、王族に至るまでよく見かける名前だが、いずれも別人同士であるため、ドラクエ世界では一般的な名前であると推測できる。
珍妙な響きだが実はフランス語圏に実在する姓で、スペルは「Tonnelat」。
歴史を辿ると北欧神話で最強と名高い雷神トールの名がドイツ語圏のDonner(ドンナー)を経てフランス語として定着したとされる。由緒正しき系譜である。
ドラクエ世界では名前であることが一般的だが、リアルでは名前ではなく苗字である。
ちなみに、【スミス】【ゴンザレス】も同じく苗字。
珍妙な響きグループの仲間である【ハッサン】は、苗字としても名前としても使われる。
 
ちなみに関係性は定かではないが、1960年に日本で和訳本が出版された「ゲルマン,ケルトの神話」(原著は1935年)の原著者の1人の名前がエルネスト・トンヌラ(E.Tonnelat)であり、もう1人の著者がジョルジュ・ロート(G.Roth)だったりする。

DQ2

【サマルトリアの王子】の名前の候補の1つ。
雷神トールに由来するこの名が含まれる縁もあるのか、サマルトリアの王子は先祖の勇者と同じく元々は稲妻の呪文だった【ベギラマ】を覚える。
 
概要にもある通り元々は北欧神話の雷神トールに由来する名であり、現実のロトとも縁がある名なのだが、
現代のようにネットで検索することも難しかった当時の子供たちにとっては「意味は全く理解できないがとにかく面白い響き」として絶大なインパクトを与えられるだけの名であった。
主人公を自分の名前にしてみたらサマルの名前がコレになってしまい、泣く泣く別の名前にした子供もいた事だろう。
「トンヌラ」と【すけさん】を回避し、【アーサー】とか「カイン」あたりになったら万々歳である。
【ローレシアの王子】を「まさひこ」にすると【ムーンブルクの王女】が「あきな」になるのは有名な話だが、
その場合サマルの名前はコレになる(FC/MSX版のみ。リメイク版はそれぞれ違う名前になる)。
モデルとされた「まさひこ」と「あきな」が破局となったので関連性はむしろ悪い意味となってしまったが、日本人名で揃わないというのも中途半端な設計である。何か日本人っぽい名前を用意できなかったのだろうか・・・

ちなみに、SFC版のみだが、ローレシアの王子の名前を片仮名で「エニクス」にするとサマルはこれになる。
また、主人公名【ヘンリー】でもトンヌラが出てくるが、残念ながら王女が【マリア】になることはない。
 
一応サマルの名前を変える方法は存在するものの、復活の呪文を都度書き写す必要のあったFC/MSX版においてはこの方法で入力した名前は保持されないため、一度電源を切るとまた「トンヌラ」に戻ってしまう。
セーブデータがゲーム内で保存されるSFC版以降のリメイクでは、変更後の名前もちゃんと冒険の書に記憶されるようになった。
 
DQ2のプレイヤーキャラの名前としては【もょもと】と並ぶ知名度を持つ伝説的な名前。
四コマ漫画劇場でもしばしばサマル王子の名前として採用されていた。
これ以降、「トンヌラ」は原典を知られぬままDQ有数のユニークな名前として多くの作品でパロディに、そしてDQ自身の手でセルフパロディに用いられる事となる。
 
ちなみに他の名前候補も古典などから選ばれており、ほとんどの人がどこかで聞いたことのある名前になっている。
「カイン」なら旧約聖書に登場する兄弟の弟。
すけさん」は水戸黄門の家臣「佐々木助三郎」の愛称。
「コナン」の由来としては、はイギリスの作家コナン・ドイル、または1978(昭和53)年にNHKで放送された「未来少年コナン(日本アニメーション)」の主人公、
あるいは世界的に有名なヒロイック・ファンタジー小説「コナン・ザ・グレート」(1932年刊行、1982年と1984年に映画化)の主人公などが考えられる。
因みに現在なら大抵この名前で真っ先に連想するであろう「名探偵コナン」は1994(平成6)年に誕生した作品で当時は存在しなかったので無関係(というかこちらもコナン・ドイルが元ネタだが)。
「パウロ」は新約聖書の著者の一人。
「クッキー」はお菓子(同じく【ムーンブルクの王女】の名前に「プリン」がある。ただこれは1979(昭和54)年にNHKで放送された人形劇「プリンプリン物語」に由来している可能性もあり)。
アーサー」ならアーサー王や1986(昭和61)年にカプコンから発売された「魔界村」の主人公の騎士などは有名。また上述のコナン・ドイルのフルネームも「アーサー・コナン・ドイル」である。

DQ5

オープニングで【パパス】が我が子(【主人公】)につけようとする名前。
幸い【マーサ】が別の名前(=プレイヤーが入力した名前)を考えていてくれたお陰で、
主人公は「トンヌラ」にならずに済む。
その後の【○○○○か……。 どうも パッとしない名だな。】というイマイチ納得していない態度が印象深い。
ついでに言うとマーサが「いさましくてかしこそうで」と一旦は褒めるのも印象深い。
 
…と聞くと、悪知恵のはたらく人はこう考えるハズだ。
「では主人公の名前を予めトンヌラにするとパパスは何というのか?」と。
いざ実行してみると、パパスが「サトチー」という名前を提案する特殊な会話が発生するというなかなかこった演出がある。
どうせなら仲間モンスター等と名前がかぶったときにも同様の処理をしてくれれば良かったと思うが、さすがにそこまではできなかったらしい。
ちなみにリメイク版では「アベル」という名を提案する。
 
かくして、全国の「悪知恵のはたらく人」並びに、そのウワサを聞きつけた人によりDQ5の主人公の名前はしばしば「トンヌラ」にされる事になってしまった。
遠回りをしながらも最終的に息子に自分の思い通りの名前をつける事に成功したパパスは中々の知恵もの。パパスの掌の上で踊らされていたというのか。

DQ6

今作では【NPC】として登場。
【牢獄の町】の反乱軍のリーダーであり、姿は農民。とうとう王族でなくなってしまった。
英語版での名前は、なんと【ロト】と同じ【Erdrick】である。
 
「オラはトンヌラっていうだよ」といった感じの田舎風なしゃべり方。そんな彼にこそこのお名前がよく似合う。
実は妻子持ちなのだが、家族揃って狭間の世界に取り込まれたのだろうか。
 
「チカラの出る種の研究をしていたが、その道半ばで閉じ込められた」らしく、以来ろくに休むことも許されず兵士たちに研究を強いられている。
詳細な経緯は不明なため推測の域ではあるが、察するに研究の有用性に目を付けた魔物(あるいは魔王)によって連れてこられたのだろう。
徹夜させられることも珍しくないようで、奥さんからも体調を心配されている。
そんな彼だが、兵士の姿で話しかけると「そう急かしてもすぐにはできない」と言って、成果が上がっていないことを明かす。
劣悪な労働環境も災いしているのだろう、さもありなん。
…が、実際には開発に成功していたようで決戦前になると【ちからのたね】を4つも渡してくれる。
彼がDQ9の世界にいたら【錬金大成功】のためにものすごくありがたがられただろう。
基本的にシリーズ通してドーピングアイテムは非売品であり、【世界樹の葉】同様に人間が狙って生産することはできない。
それをやってのけるとは見た目に似合わず… いや、むしろ生粋の農民だからこそドラクエ世界内でも特殊な技術を尖らせていったのだろう。
似た境遇の人物に【メダル王】【エンデ】がいる。
 
【ゴン】【ルイ】、道具屋の店主らと共に秘密裏に反乱計画を立てていたのだが、肝心の【アクバー】を倒せる実力を持った人間が居ないということから、計画は棚上げになっていた。
しかし、不思議な声で皆を励ましてくれていた【シスターアンナ】の身がいよいよ危うい状況になったことに加え、兵士に抵抗する主人公たちの姿を見て勇気付けられたこともあり、ついに反乱を開始する。
ちなみに、反乱に際して兵士たちを眠らせた睡眠薬入りのぶどう酒は彼が作ったもの。
反乱が始まった後はゴンや【ソルディ】らと共に敵の兵士相手に奮闘していた。
前作のマーサが言っていた「勇ましくて賢そう」というのは、まさに彼に当てはまる。
もしかすると彼の功績は歴史に残っており、パパスもそれを伝え聞いてリスペクトしていたのかもしれない。
 
彼の存在により、【命名神マリナン】に頼んでも仲間の名前を「トンヌラ」に変更することはできない。
が、なぜか最初に主人公の名前を「トンヌラ」にすることはできる。どういうことなの…

DQ7

移民として出現する【旅の商人】の名前。
【ダーマ神殿】に固定出現する。
放っておいてもいつまでもここにいるが、逆に一度街へ案内すると二度と追い出せない。
最初はスルーしておき、商人が必要になったら呼ぶといいだろう。

DQ11

【最後の砦】で、赤子を抱いた女性(PS4版では若い女性、3DS版ではおばさん)がいるが、この赤子は焼け落ちた【デルカダール城下町】で一人泣いていたところを保護され、母親代わりとなった女性がどういう名前にしようか悩んでる。
そして【屍騎軍王ゾルデ】を倒した後で話すと「勇者さまみたいに強く優しい、いい男になってほしい」という理由から主人公にちなんだ名前をつけてもいいかと女性に問われる。
「はい」を選択すると女性が好きな物語の主人公と合わせて「◯◯◯◯・トン・ヌラリア2世」と名付けることになる。◯◯◯◯には主人公の名前が入る。
ちなみに「いいえ」を選ぶと「ネルチョイ」になるが、この時に「どうもパッとしない」とセリフがある辺り、元ネタは間違いなくトンヌラのことであろう。

DQ11S

追加エピソードにて【アーウィン】が生まれたばかりの【主人公(DQ11)】に付けようとした名前であることが判明する。
結局は【エレノア】が提案した方の名前が採用されることになるのだが最早お約束と言うべきか「○○○○か……。 どうも パッとしない名だな。」とセリフが入る。
ちなみに主人公の名前をトンヌラにしていた場合、アーウィンが考えていた名前は「ヌラトン」になる。もちろん3Dモードだとボイス付き。

DQM1(GB版)

【鳥系】の♂の名前を付ける際に何も入力せず決定すると、候補としてこの名前が出て来る場合がある。
「とんぬら」と平仮名表記。

タクト

DQ2イベントの際のサマルトリア王子はこの名前。

余談

  • 「メタルマックス2」では、キャラクターの特殊命名法則の一つとして、
    主人公の名前を「トンヌラ」にすると仲間のメカニックの名前が「サトチー」に(その時はソルジャーの名前は「ビアンカ」になる)、
    主人公を「サトチー」にするとメカニックが「トンヌラ」になる(その時はソルジャーの名前は「フローラ」になる)。
    (なお、メタルマックスシリーズの作者である【宮岡寛】 はロトシリーズのシナリオアシスタントであった)
  • 「半熟英雄4」には「トンヌラ」という名前の将軍が登場する。これはDQシリーズからの友情出演扱い。
    ちなみに出典はDQ2となっている。つまりサマルトリア王子版。
  • DQ10には【トールナイフ】という短剣がある。
    該当記事を見て頂ければ分かるが、一応元ネタと思しきものは存在する。
    結論から言うと「肉切り包丁」。【くだものナイフ】の親戚か。