【法皇】

Last-modified: 2022-02-17 (木) 08:10:24

DQ8

【教会】を束ねる人物、また役職名。
教会自体はドラクエの施設として過去のシリーズにも登場してきた。
だが、それらを統合するような人物が登場することはなかったので新しい試みといえる。
DQ6及びDQ7における【僧侶】のマスター称号の「ほうおう」もこれ……と言いたいところだが、そうとも限らない(後述の「余談」を参照)。
 
リメイク版DQ3及び3DS版DQ8に登場するモンスターは漢字にすると「鳳凰」である。
こちらは【ほうおう】を参照のこと。

役職

法皇は【サヴェッラ大聖堂】を見下ろす山の上にある邸宅で生活し、王族などの結婚式で祝福を与えるなどの仕事を行う模様。
法皇は教会の高位の者から選出されるので現実の教皇と同じく世襲ではないが、良家の出にしか開かれてはいないといわれている。
しかし、粉屋の息子という決して良家とは言えない【オディロ】院長もかつては推薦されたことがあったらしい(本人が辞退したが)。
【ニノ】【マルチェロ】などの教会幹部がこの地位を狙っている。マルチェロが法皇になったが、【暗黒神ラプソーン】の復活でうやむやになったようで、結局エンディングで法皇になったのはニノであった。

人物

【七賢者】の1人である【レグニスト】の子孫に当たるキーキャラクター。CV(3DS版):佐々木敏。
作中では終始「法皇」と呼ばれ、名前は登場しない。
 
教会を束ねる立場にふさわしい清い心と慈悲深い性格の持ち主で、オディロ院長の親友でもある。
教会の内実に否定的な【ククール】も法皇に対しては嫌味抜きで「法皇様」と呼んでいた。
典型的な俗物で法皇の地位を狙っていたニノも、法皇個人に対しては敬愛していた。
法皇という立場を抜きにしても、腐敗・堕落が目立つ教会上層部における数少ない良心であり、立派な人物であったと思われる。
他面、腐敗する教会の状況を認識しつつも自身の不甲斐なさを嘆いたり、マルチェロも「祈るだけで役に立たない」と評していたことから、陣頭指揮をとる辣腕タイプというより、人望家という側面が強かったと思われる。
「信仰の頂点」としては優秀な部下を信じて任せ、象徴としての職務に徹することができる清廉潔白な人物が望ましいとも言えるのだが、腐敗が現に蔓延している状況下においては厳しいことを言わない人物は適任であったかは微妙なところであろう。
あるいは腐敗が蔓延しているからこそ、人望こそあれ組織の腐敗に大鉈を振るうことはできないであろう人物が擁立されたという可能性もあるが。
 
また、本人の力がどの程度かは不明だが、主人公たちから神聖な力を感じる程度の感性はあるようだ。
【神鳥のたましい】入手後に会いに行くと、悪事に手を染め続けるマルチェロに警告するシーンが見られる。
マルチェロが法皇の側にいるのは、オディロ亡き後のマルチェロが道を誤らないように側に置くようにしたためであった。
ククールは法皇がついて叱ってくれればマルチェロは大丈夫だと考えていた。
だが、法皇自身はマルチェロに自分の直接の言葉さえ届いていないことに心を痛めており、後の結末を考えると正しかったのは法皇の見立てであったと言える。
 
最後に残った賢者の末裔ということで、【魔犬レオパルド】に襲撃されるが、主人公たちが間一髪のところで乱入し、レオパルドは撃退される。
直後に心労で倒れるが、まだこの時は生きていた。
しかし、マルチェロは杖を手に入れ暗黒神の力を得ようと目論み、その際にマルチェロの手によって殺害され、七賢者の末裔連続殺人事件の最後の犠牲者となった。
表向きは散歩中に足を滑らせて「奇岩から落ちて死んだ」ことになっているが、実際に遺体を目撃したメイドによると

夜遅くにマルチェロ様が法皇様のお部屋に入っていった。その後に法皇様の悲鳴が聞こえた。
そして明くる朝、崖下で発見された法皇様の遺体には、胸を一突きにされたような大きな傷があった。

ということであり、マルチェロが直々に暗殺したのは明らか。
マルチェロ撃破時に再び乗っ取りに成功した暗黒神ラプソーンも「マルチェロが法皇を殺した(おかげで自分が解放される)」と明言した。
ラプソーンが法皇の命を狙っていたのは事実だがマルチェロはラプソーンの洗脳を強い意思を持って撥ね付けており、マルチェロが法皇を殺したのは自らが法皇に成り上がるための野望のためであってラプソーンの意思とは無関係である。
マルチェロを手元に置くことで更正を期待したものの、道を誤ることを防げなかったばかりか寝首をかかれ、死してなお「奴が何をしてくれた?」などと公の場で散々に酷評されており、結局法皇はマルチェロの心に何一つ残すことはできなかった。
3DS版のマルチェロは一応の改心はした為(己を殺害した事実は変わらないものの)ある程度は報われるようになった。
 
また、当初は権力と金に目がなく信仰心の欠片も持ち合わせていない俗物で次代法皇の地位を狙ってさえいたニノですら法皇個人への敬愛は本物であり、【煉獄島】で法皇の死を聞きつけた際にはマルチェロの悪事を確信、法皇の死の真相を突き止めるべく行動し、最終的には自らの自由を捨てて主人公たちを逃がしている。
ニノの更生をもたらしたのは法皇の高潔な人格であることは間違いないだろう。
ニノは後に救出され新法皇となったが、ニノが立派な法皇となることで、法皇の魂が改めて報われることを祈りたい所である。
 
殺害された賢者の末裔たちの中で、殺害シーンが描かれなかったのは【マスター・ライラス】【ギャリング】と彼の3名のみ(3DS版ではライラスにも回想という形で殺害シーンが追加された)。
そして登場前からすでに殺害されていた他2人に対して、生きている状態で登場するものの、殺害シーンは描かれない。

ちなみに北米版では、彼の死因について大きな誤解を生む翻訳が存在する。
主人公一行とニノを煉獄島送りにした直後、館の廊下を歩くマルチェロが『法皇は心労で倒れ……(以下略)』という独り言を述べるシーンが有るが、
北米版では『心労で倒れ』の部分を『dies from shock』と表現している為、これでは『法皇は(レオパルドの襲撃で)ショック死して……(以下略)』という意味合いになってしまう。
それでいてメイドのセリフやラプソーンのセリフは『マルチェロが手をかけた』という意味合いのままなので、
北米版をプレイした海外のプレイヤー達は『レオパルドの襲撃でショック死したのか、マルチェロに殺害されたのかどっちなんだ?』と混乱することになった事だろう。
あくまでマルチェロの独り言のシーンなのでマルチェロがウソを述べる必要性も無く、単純に翻訳者が『倒れる』の意味を履き違えたのが原因であると思われる。

余談

実は「法皇」という表記は、「宗教団体の最高指導者」という意味においては誤表記
その場合は「法」と書くのが正解。
  
「法皇」とは本来「出家して退位した天皇」を指す「太上法皇」の略(つまり日本独自のもの)であるため、DQ8の法皇はこれに該当しない。
 
恐らくは法王と同一とされる「教皇(キリスト教の最高指導者を指す)」と混同したのだろう。
現実のキリスト教に配慮して意図的に「法王」という名前を避けた(このあたりは【十字架】も参照)のかも知れないが、「法皇」という名称も同様にデリケートな扱いを求められるものであるはずなのだが……。
リメイク版でも相変わらず「法皇」のままであるため真相は不明。

なお現実世界において実際に「神聖法皇」を自称していた宗教団体の最高指導者もいるが、こちらの読みは「しんせいほうこう」である。