第伍話 レイ、心のむこうに/EPISODE5:Rei I

Last-modified: 2017-06-05 (月) 21:13:41

Aパート

ゲンドウ:起動開始。

BGM:1-17R

リツコ:主電源、全回路接続。

マヤ:主電源、接続完了。起動用システム、作動開始。

マヤ:稼動電圧、臨界点まで、後0.5、0.2、突破!

リツコ:起動システム、第2段階へ移行。

オペレータ:パイロット、接合に入ります。

オペレータ:システムフェーズ2、スタート。

オペレータ:シナプス挿入、結合開始。

オペレータ:パルス送信。

オペレータ:全回路、正常。

マヤ:初期コンタクト、異常無し。

オペレータ:左右上腕筋まで、動力伝達。

オペレータ:オールナーブリンク、問題なし。

マヤ:チェック2550(ニーゴーゴーマル)まで、リストクリア。

リツコ:第3次、接続準備。

マヤ:2580(ニーゴーハチマル)までクリア。

マヤ:絶対境界線まで、後0.9、0.7、0.5、0.4、0.3、パルス逆流!


オペレータ:第3ステージに、異常発生!

オペレータ:中枢神経素子にも、拒絶が始まっています!

リツコ:コンタクト停止、6番までの回路を開いて!

マヤ:だめです、信号が届きません!

マヤ:零号機、制御不能!

ゲンドウ:実験中止、電源を落とせ!

リツコ:はい!

リツコ:零号機、予備電源に切り替わりました!

オペレータ:完全停止まで、後35秒!

リツコ:危険です、下がってください!

マヤ:オートエジェクション、作動します!

ゲンドウ:いかん!

オペレータ:完全停止まで、後10秒、8、7、6、5、4、3、2、1、0。

リツコ:特殊ベークライト、急いで!

ゲンドウ:レイ!

BGM停止


ゲンドウ:ぐわっ!ぐぅううう!

ゲンドウ:レイ!大丈夫か!レイ!

レイ:……

ゲンドウ:そうか……


リツコ:綾波レイ14歳、マルドゥックの報告書によって選ばれた最初の被験者、ファーストチルドレン。

リツコ:エヴァンゲリオン試作零号機専属操縦者。

リツコ:過去の経歴は白紙、全て抹消済み。

ミサト:で、先の実験の事故原因はどうだったの?

リツコ:いまだ不明。ただし、推定では操縦者の精神的不安定が、第一原因と考えられるわ。

ミサト:精神的に不安定?あのレイが?

リツコ:ええ、彼女にしては信じられないくらい、乱れたのよ。

ミサト:何があったの?

リツコ:分からないわ。でも…まさか…

ミサト:何か、心当たりがあるの?

リツコ:いえ、そんなはずはないわ。


アナウンス:B3ブロックの解体、終了。

アナウンス:全データを、科学技術局一課、分析班に提出してください。

シンジ:これが…僕たちの敵なのか…

リツコ:なるほどね…コア以外はほとんど原形をとどめているわ…ほんと理想的なサンプル…ありがたいわ。

ミサト:で、何か分かったわけ?


ミサト:何これ?

リツコ:解析不能を示すコードナンバー。

ミサト:つまり、わけわかんない、ってこと?

リツコ:そう。使徒は粒子と波、両方の性質を具える光のようなもので構成されているのよ。

ミサト:で、動力源はあったんでしょ?

リツコ:らしきものはね。でもその作動原理がまださっぱりなのよ。

ミサト:まだまだ未知の世界が広がってるわけね。

リツコ:とかくこの世は謎だらけよ。たとえば、ほら、この使徒独自の固有波形パターン。

シンジ:うっ。

ミサト:どれどれ?

ミサト:これって…

リツコ:そう。構成素材の違いはあっても、信号の配置と座標は、人間の遺伝子と酷似しているわ。99.89%ね。

ミサト:99.89%って…

リツコ:改めて私たちの、知恵の、浅はかさってものを思い知らせてくれるわ。


ゲンドウ:OK、いいぞ、止めろ!

冬月:これがコアか?残りはどうだ?

男:それが…劣化が激しく、資料としては問題が多すぎます。

ゲンドウ:かまわん。ほかは全て破棄だ。

男:はい!


ミサト:どしたの?

シンジ:うっ、いえ、別に…

ミサト:あのねえ、そういう顔して別に、っていわれてもね、気にかけてください、心配してください、って言われてるようなもんなんですけどね。

シンジ:あの…父さん、手に火傷してるみたいなんだけど…

ミサト:火傷?

シンジ:どうしたのかな、って思って…

ミサト:火傷って…知ってる?

リツコ:あなたがここにくる前、起動実験中に零号機が暴走したの、聞いてるでしょ?

シンジ:はい。

リツコ:その時パイロットが中に閉じ込められてね。

シンジ:パイロットって、綾波ですよね?

リツコ:碇司令が彼女を助け出したの。過熱したハッチをむりやりこじ開けてね。

シンジ:父さんが?

リツコ:手のひらの火傷は、その時のものよ。


女子:いけいけいけいけーっ!

女子:いけヒデコーっ!


男子:させるかぁーっ!

男子:ああー!

男子:惜しい!

男子:次、決めてくぞーっ!

男子:おー!

女子:やだ、スケベーっ

女子:エッチぃー

トウジ:みんな、ええ乳しとんなあ。

女子:なんか、鈴原って、目つきやらしー!

女子:碇くーん!


トウジ:お、センセエ!なに熱心な目で見てんのや。

シンジ:いや、別に…

ケンスケ:綾波かぁ?ひょっとして!?

シンジ:ち、違うよ!

ケンスケ:まったまた!あ・や・し・い・な!

トウジ:あ、綾波の胸、綾波の太もも、綾波の

トウジ・ケンスケ:ふ・く・ら・は・ぎ!

シンジ:だから、そんなんじゃないって。

ケンスケ:だったら、何見てたんだよ。

トウジ:わしの目はごまかされへん!!

シンジ:どうしてあいつ、いつも一人なんだろう、って思ってさ。

トウジ:へ?

ケンスケ:ハァ?

トウジ:ああ、そないいうたら、1年のとき転校してきてから、ずぅっと友達いてないなあ。

ケンスケ:なんとなく、近寄りがたいんだよ。

トウジ:ほんまは性格悪いんとちゃうか?


ケンスケ:EVAのパイロット同士だろ?シンジが一番よく知ってるんじゃないの?

トウジ:そりゃそうや。

シンジ:ほとんど口、聞かないから…


アナウンス:EVA初号機は第3次冷却に入ります。第6ケイジ内は、フェーズ3(スリー)までの各システムを落としてください。

マヤ:先のハーモニクス、およびシンクロテストは異常無し、数値目標をすべてクリア。

オペレータ:了解。結果報告は、BALTHASARへ。

マヤ:了解。

オペレータ:エントリープラグのパーソナルデータは、オールレンジにてMELCHIORへコピー。データ、送ります。

オペレータ:MELCHIOR了解、回路接続。

オペレータ:第3次冷却、スタートします。

マヤ:CBL、循環を開始。

オペレータ:廃液は、第2浄水システムへ。

オペレータ:各蛋白壁の状態は、良好。各部、問題なし。

オペレータ:零号機の再起動実験まで、-1500分です。


リツコ:何よ、これー!

BGM:1-8

ミサト:カレーよ。

リツコ:相変わらず、インスタントな食事ねえ。

ミサト:お呼ばれされといて、文句を言わない。

シンジ:ミサトさんは?

ミサト:あはっ、私はねー…ヘッヘェ、ジャーン!ここに入れちゃって!どっぶゎ~っと!

シンジ:本気…ですか?

ミサト:やーねー、いけるのよー。

シンジ:じゃあ…

ミサト:最初っからカレー味のカップ麺じゃね、この味は出ないのよ~。

ミサト:いっただきまーす!

ミサト:スープとお湯を、少な目にしておくのが、コツよー。

シンジ・リツコ:う…ぐっ…

リツコ:これ作ったの、ミサトね!

シンジ:はい…

ミサト:分かる~?

リツコ:味でね!

リツコ:レトルトを原料に、よくここまで…

リツコ:今度呼んでいただけるときは、シンジ君が当番のときにしていただけるかしら?

ペンペン:クウッ…クゥウウー……クワッ…クギュウウウウウ……(ぱたん)

シンジ:ん?

リツコ:シンジ君、やっぱり引っ越しなさい!がさつな同居人の影響で、一生を台無しにすること無いわよ。

シンジ:もう慣れましたから…

ミサト:そ~よ~、リツコ~。人間の環境適応能力を侮ってはいけないわ~。

ミサト:大体引っ越すったって…あら…シンちゃん…も一本お願い!

シンジ:はい。

ミサト:手続き面倒よ。シンジ君、本チャンのセキュリティーカード、貰ったばっかりだもの。

BGM停止

リツコ:あ、忘れるところだったわ!

リツコ:シンジ君、頼みがあるの。

シンジ:なんですか?

リツコ:綾波レイの更新カード。

リツコ:渡しそびれたままになってて、悪いんだけど、本部に行く前に彼女のところへ届けてくれないかしら。

シンジ:はい。

シンジ:

ミサト:どーしちゃったのー?レイの写真をじーっと見ちゃったりしてー。

シンジ:あっ、わっ、いや…

ミサト:ひょっとして、シンちゃん…

シンジ:ち、違うよー!

ミサト:まったまた、テレちゃったりしてさ。レイの家に行くオフィシャルな口実ができて、チャンスじゃない!

シンジ:からかわないでよ、もう!

ミサト:ウフフフフ、すーぐむきになって、からかい甲斐のある奴ー

リツコ:ミサトと同じね。

ミサト:がぁ!

シンジ:僕はただ…同じEVAのパイロットなのに、綾波のことよく分からなくて…

リツコ:いい子よ。とても。あなたのお父さんに似て、とても不器用だけど。

シンジ:不器用って、なにがですか?

リツコ:生きることが…

Bパート

シンジ:ごめんください…

シンジ:ごめんください。碇だけど…綾波、入るよ。

シンジ:………綾波のかな?

注)風呂場からレイが裸で出て来る

シンジ:いや、あの……僕、別に…

注)シンジは誤ってレイを押し倒してしまう。


レイ:どいてくれる?

シンジ:あ、あの…

レイ:何?

シンジ:え、いや、僕は…その…僕は、た、頼まれて…つまり…何だっけ…カード、カード新しくなったから、届けてくれって(ゴクリ)だから、だから別にそんなつもりは…

シンジ:リツコさんが渡すの忘れたからって…ほ、ほんとなんだ。それにチャイム鳴らしても誰もでないし、鍵が…開いてたんで…その…

注)レイはシンジを無視し、家を出て、NERV本部へと向かう。シンジもそれを追いかける


アナウンス:セントラルドグマは現在開放中です。ルート3へは、第4直通ゲートを利用してください。

シンジ:これ、綾波の新しいやつ…リツコさんに頼まれて…


シンジ:さっきはごめん…

レイ:何が?

シンジ:あの、今日、これから再起動の実験だよね。今度はうまく行くといいね。

BGM:1-5

シンジ:ねえ、綾波は恐くないの?またあの零号機に乗るのが。

レイ:どうして?

シンジ:前の実験で、大怪我したんだって聞いたから…平気なのかな、って思って。

レイ:あなた、碇司令の子供でしょ?

シンジ:うん。

レイ:信じられないの?お父さんの仕事が。

シンジ:当たり前だよ!あんな父親なんて!

シンジ:う…あの…(パン!)


(ゲンドウ:レイ、大丈夫か、レイ)

(リツコ:その時パイロットが中に閉じ込められてね。碇司令が彼女を助け出したの。過熱したハッチをむりやりこじ開けてね。掌の火傷は、その時のものよ。)

BGM停止


ゲンドウ:レイ、聞こえるか?

レイ:はい。


ゲンドウ:これより、零号機の再起動実験を行う。第一次接続開始。

リツコ:主電源、コンタクト。

マヤ:稼動電圧、臨界点を突破。

リツコ:了解。フォーマットをフェーズ2へ移行。

オペレータ:パイロット、零号機と接続開始。

オペレータ:回線開きます。

オペレータ:パルスおよびハーモニクス正常。

オペレータ:シンクロ、問題なし。

オペレータ:オールナーブリンク、終了。

オペレータ:中枢神経素子に、異常無し。

オペレータ:再計算、誤差修正無し。

マヤ:チェック2590(ニーゴーキューマル)まで、リストクリア。

マヤ:絶対境界線まで、後2.5、1.7、1.2、1.0、0.8、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、突破。ボーダーライン、クリアー。

マヤ:零号機、起動しました。

レイ:了解。引き続き、連動試験に入ります。


冬月:碇、未確認飛行物体が接近中だ。

冬月:おそらく第5の使徒だな。

ゲンドウ:テスト中断、総員第一種警戒態勢。

冬月:零号機はこのまま使わないのか。

ゲンドウ:まだ戦闘には耐えん。初号機は?

リツコ:380秒で、準備できます。

ゲンドウ:出撃だ。

リツコ:はい。

ゲンドウ:レイ。再起動は成功した。戻れ。

レイ:


BGM:1-3

シゲル:目標は、塔の沢上空を通過。

マコト:初号機、発進準備に入ります。

マコト:第1ロックボルト外せ。

シンジ:解除確認。

マコト:了解。第2拘束具、外せ。

オペレータ:了解。

シゲル:目標は芦ノ湖上空へ侵入。

マコト:EVA初号機、発進準備よろし!

ミサト:発進!


シゲル:目標内部に高エネルギー反応!

ミサト:なんですって!?

シゲル:円周部を加速、収束していきます!

リツコ:まさか!

ミサト:だめ!よけて!

シンジ:え!?

シンジ:うわああああああ!

ミサト:シンジ君!

BGM停止