Aパート
子供:わーい、当たった当たったぁ~!
リツコ:これじゃあ毎回のクリーニング代も、バカにならないわね。
マヤ:せめて、自分でお洗濯できる時間くらい、ほしいですね。
シゲル:家に帰れるだけ、まだマシっすよ。
リツコ:あら、副司令。
リツコ:おはようございます。
マヤ・シゲル:おはようございます!
冬月:ああ、おはよう。
リツコ:今日はお早いですね。
冬月:碇の代わりに上の町だよ。
リツコ:ああ、今日は評議会の定例でしたね。
冬月:下らん仕事だ。碇め、昔から雑務はみんな私に押し付けおって、MAGIがいなかったらお手上げだよ。
リツコ:そう言えば、市議選が近いですよね。上は。
冬月:市議会は形骸に過ぎんよ。ここの市政は事実上MAGIがやっとるんだからな。
マヤ:MAGI?3台のスーパーコンピューターがですか!?
冬月:3系統のコンピュータによる多数決だ。きちんと民主主義の基本に乗っ取ったシステムだ。
マヤ:議会はその決定に従うだけですか?
冬月:最も無駄の少ない、効率的な政治だよ。
マヤ:さすがは科学の町、まさに科学万能の時代ですね!
シゲル:ふーるくさいセリフ。
冬月:そう言えば、零号機の実験だったかな、そっちは。
リツコ:ええ、本日10:30(ヒトマルサンマル)より第2次稼動延長試験の予定です。
冬月:朗報を期待しとるよ。
リツコ:実験中断、回路を切って!
マヤ:回路切り替え。
オペレータ:電源、回復します。
リツコ:問題はやはりここね。
マヤ:はい、変換効率が理論値より0.008も低いのが気になります。
オペレータ:ぎりぎりの計測誤差の範囲内ですが、どうしますか?
リツコ:もう一度同じ設定で、相互変換を0.01だけ下げてやってみましょう。
マヤ:了解。
リツコ:では、再起動実験、始めるわよ。
加持:おーい、ちょいと待ってくれぇ~っ!
ミサト:チッ…
加持:イヤー、走った走った!こんちまたご機嫌斜めだねぇ。
ミサト:来た早々、あんたの顔見たからよ!
オペレータ:はい、しばらくお待ちください。
ゲンドウ:なんだ?
シンジ:あ、あの…父さん…
ゲンドウ:どうした!早く言え!
シンジ:あぁ…あの…実は今日、学校で進路相談の面接があることを父兄に報告しとけって、言われたんだけど…
ゲンドウ:そういう事はすべて葛城君に一任してある。下らんことで電話をするな。こんな電話をいちいち取り次ぐんじゃない!
シンジ:ん?
ミサト:あら?
加持:停電か?
ミサト:まさか、ありえないわ。
ミサト:変ねぇ、事故かしら?
加持:赤木が実験でもミスったのかな?
マヤ:主電源ストップ、電圧、0です。
オペレータ達:…
リツコ:あ、あたしじゃないわよ…
加持:どうだろうなぁ。
ミサト:でもまぁ、すぐに予備電源に切り替わるわよ。
シゲル:だめです、予備回線つながりません。
冬月:バカな!生き残っている回線は!
職員:全部で1.2%、2567番からの9回線だけです!
冬月:生き残っている回線はすべてMAGIとセントラルドグマの維持に廻せ!
シゲル:全館の生命維持に支障が生じますが…
冬月:構わん!最優先だ!
マコト:ほんと、ズボラな人だな、葛城さんも。自分の洗濯物くらい自分で取りに行きゃいいのに…ん?
アスカ:それは碇司令、本当に忙しかっただけじゃないの?
シンジ:そっかなぁ…途中で切ったって言うより、なんか故障した感じだったんだけど。
アスカ:もーう、男の癖に、いちいち細かいこと気にするの、やめたら?
シンジ:あれ?
レイ:?
アスカ:何やってんの、ほら、替わりなさいよ!
アスカ:?
アスカ:もぉーっ!壊れてんじゃないの、これぇ!?
リツコ:とにかく、発令所へ急ぎましょ。7分たっても復旧しないなんて、
ミサト:ただ事じゃないわ。
加持:ここの電源は?
ミサト:正・副・予備の3系統、それが同時に落ちるなんて、考えられないわ。
加持:となると…
ゲンドウ:やはり、ブレーカーは落ちたと言うより落とされた、と見るべきだな。
冬月:原因はどうであれ、こんな時に使徒が現れたら大変だぞ。
戦自:索敵レーダーに正体不明の反応あり!予想上陸地点は旧熱海方面!
戦自司令官:おそらく、8番目の奴だ。
司令官:ああ、使徒だろう。
司令官:一応、警報シフトにしておけ。決まりだからな。
司令官:どうせまた奴の目的地は、第3新東京市だ。
司令官:そうだな。俺達がすることは何も無いさ。
戦自:使徒、上陸しました!
戦自:依然、進行中。
司令官:第3新東京市は?
戦自:沈黙を守っています。
司令官:一体NERVの連中は、何をやってるんだ!
リツコ:タラップなんて、前時代的な飾りだと思っていたけど、まさか使うことになるとはね。
マヤ:備えあれば憂い無し、ですよ。
アスカ:これも動かないわ。
レイ:どの施設も動かない。おかしいわ。
アスカ:下で何かあったってこと?
レイ:そう考えるのが自然ね。
シンジ:とにかく、NERV本部へ連絡してみようよ。
ミサト:駄目だわ、非常電話もつながらない!
シゲル:だめです、77号線も、つながりません!
レイ:駄目、連絡付かない。
アスカ:こっちも駄目、有線の非常回線も切れちゃってる。
シンジ:どうしよう…
レイ:…
アスカ:!
シンジ:何してるの?
アスカ:あんたバカぁ!緊急時のマニュアルよ!
レイ:とにかく本部へ行きましょう。
アスカ:そうね。じゃあ、行動を開始する前に、グループのリーダーを決めましょ。
シンジ:?
アスカ:で、当然私がリーダー。異議無いわね?
シンジ・レイ:…
アスカ:じゃあ行きましょう!
レイ:こっちの第7ルートから下に入れるわ。
アスカ:…
シンジ:でも、ドアは動かないんじゃ……手動…ドア…
アスカ:ほらシンジ、あんたの出番よ。
シンジ:こんな時だけ、人に頼るんだもんなぁ!
戦自司令官:統幕会議め、こんな時だけ現場に頼りおって!
司令官:政府は何と言ってる?
司令官:フン、第2東京の連中か?逃げ支度だそうだ。
戦自:使徒は依然健在、進行中。
司令官:とにかく、NERVの連中と連絡を取るんだ。
司令官:しかし、どうやって?
司令官:直接行くんだよ。
セスナ:こちらは第3管区航空自衛隊です。ただいま正体不明の物体が本所に対し移動中です。住民の皆様は速やかに指定のシェルターに避難してください。
マコト:ヤバイ!急いで本部に知らせなきゃ!でもどうやって…
選挙カー:こういった非常時にも動じない、高橋、高橋覗をよろしくお願いいたします!
マコト:…!?ラッキー!
ミサト:それにつけても暑いわねぇ…
加持:空調も止まってるからねぇ。葛城、暑けりゃシャツくらい脱いだらどうだ?今更恥ずかしがることもないだろう?
ミサト:こういう状況下だからって、変なこと考えないでよ!
加持:へいへい。
リツコ:まずいわね、空気がよどんできたわ…はぁ…これが近代科学の、粋を凝らした施設とは…
マヤ:でも、さすがは司令と副司令、この暑さにも動じませんね。
冬月:……ぬるいな。
ゲンドウ:ああ。
Bパート
ウグイス嬢:当管区内における非常事態宣言に伴い緊急車両が通ります…って、あの、行き止まりですよぉ!
マコト:いいから突っ込め!なんせ非常時だからなぁ!
運転手:リョーカイッ!
ウグイス嬢:いやぁ、もう止めてぇ!
BGM:2-11
冬月:このジオフロントは外部から隔離されても自給自足できるコロニーとして作られている。そのすべての電源が落ちると言う状況は、理論上はありえない。
リツコ:誰かが故意にやったと言うことですね。
ゲンドウ:おそらくその目的はここの調査だな。
リツコ:復旧ルートから本部の構造を推測するわけですか。
冬月:シャクな奴等だ。
リツコ:MAGIにダミープログラムを走らせます。全体の把握は困難になると思いますから。
ゲンドウ:頼む。
リツコ:はい。
冬月:本部初の被害が使徒によるものではなく、同じ人間にやられたものとは、やり切れんな。
ゲンドウ:所詮、人間の敵は人間だよ。
BGM停止
シンジ:いつもなら2分で行けるのに…ここ、ほんとに通路なの?
アスカ:あそこまで行けば、きっとジオフロントに出られるわ。
シンジ:さっきから4回も聞いたよ、そのせりふ。
アスカ:あんたってほんと細かい男ね!つまんないことばっか拘ってさぁ!
レイ:黙って。
アスカ:何よ、優等生!
レイ:人の声よ。
アスカ:?
マコト:使徒、接近中!使徒、接近中!
アスカ・シンジ:日向さんだ!おぉーい!
マコト:使徒、接近中、繰り返す、現在、使徒、接近中!
アスカ・シンジ:使徒接近!?
レイ:時間が惜しいわ。近道しましょう。
アスカ:リーダーは私よ。勝手に仕切らないで!…で、近道ってどこ?
アスカ:いくら近いからって、これじゃカッコ悪すぎるわ…
シンジ:ねぇ、使徒って何なのかなぁ?
アスカ:何よ、こんな時にぃ!
シンジ:使徒。神の使い。天使の名を持つ僕らの敵。なんで戦うんだろう。
アスカ:あんたバカぁ?訳わかんない連中が攻めてきてんのよ、降りかかる火の粉は払い除けるのがあったりまえじゃない!
アスカ:うーん、右ね。
レイ:私は左だと思うわ。
アスカ:うるさいわねぇ!シンジはどうなのよ!
シンジ:あの……どっちかな?
アスカ:もう!私がリーダーなんだから、黙って付いてくればいいのよ!
シンジ:やっぱり変だよ、上り坂だよ、ここ。
アスカ:やっぱりとは何よ、いちいちうるさい男ねぇ!
アスカ:ほら、今度こそ間違いないわ。
アスカ:デーェいッ!
アスカ:!!!
BGM:2-6
BGM停止
アスカ:?…使徒を肉眼で確認、これで急がなきゃいけないのが分かったでしょう?
マコト:現在、使徒接近中!直ちにEVA発進の要有りと認む!
マヤ:大変!
ゲンドウ:冬月、後を頼む。
冬月:碇!
ゲンドウ:私はケイジでEVAの発進準備を進めておく。
冬月:まさか、手動でか?
ゲンドウ:緊急用のディーゼルがある。
冬月:しかし…(パイロットがいないぞ)
シンジ:まただ…
レイ:こっちよ。
BGM:1-4
アスカ:あんた、碇司令のお気に入りなんですってね。
レイ:…
アスカ:やっぱ可愛がられてる優等生は、違うわね。
シンジ:こんな時に、やめようよ。
アスカ:いつもすまし顔でいられるしさぁ…
レイ:…
アスカ:あんた、ちょっと贔屓にされてるからって、なめないでよ!
レイ:なめてなんかいないわ。それに、贔屓もされてない。自分で分かるもの。
作業員:いよーいしょ、よーいしょ、よーいしょ、よーいしょ!
作業員:了解、停止信号プラグ、排出終了。
ゲンドウ:よし、3機ともエントリープラグ挿入準備。
作業員:しかし、いまだにパイロットが!
リツコ:大丈夫。あの子達は必ず来るわ。
シンジ:これは、手じゃ開けられないよ。
レイ:仕方ないわ。ダクトを破壊してそこから進みましょう。
アスカ:ファーストって恐い子ね。目的のためには手段を選ばないタイプ。いわゆる独善者ね。
作業員+ゲンドウ:いよーいしょ、よーいしょ、よーいしょ、よーいしょ!
マヤ:プラグ、固定準備完了。
リツコ:後はあの子達ね。
BGM:1-10R
アスカ:ぜぇーったい、前見ないでよ!見たら殺すわよ!
シンジ:え?
アスカ:バカ!バカ!バカ!見るなって言ったでしょう!
シンジ:仕方ないだろ!前見なきゃ進め…
シンジ・アスカ:わぁーっ!
リツコ:あんたたち!
ゲンドウ:各機、エントリー準備!
作業員:了解、手動でハッチ開け。
シンジ:EVAは?
リツコ:スタンバイできてるわ。
シンジ:何も動かないのに…?
リツコ:人の手でね。司令のアイディアよ。
シンジ:父さんの?
作業員+ゲンドウ:ふぬーっ、ふぬーっ、ふぬーっ…
リツコ:碇司令は、あなたたちが来ることを信じて、準備してたのよ。
マヤ:プラグ挿入。
リツコ:全機、補助電源にて起動完了。
ゲンドウ:第一ロックボルト、外せ。
作業員:2番から32番までの油圧ロックを解除。
マヤ:圧力ゼロ、状況フリー。
ゲンドウ:構わん。各機実力で拘束具を除去、出撃しろ!
BGM停止
BGM:1-10
マコト:目標は直上にて停止の模様!
リツコ:作業、急いで!
オペレータ:非常用バッテリー搭載完了!
リツコ:よし、行けるわ!
リツコ:発進!
アスカ:もぉ~お、かっこわるーい!
レイ:縦穴に出るわよ。
アスカ:あ~、またしてもかっこわるーい!
アスカ:!?
レイ:いけない、よけて!
アスカ:いやぁぁ!
シンジ:うわ!
BGM停止
レイ:目標は、強力な溶解液で本部に直接侵入を図るつもりね。
シンジ:どうすんの?
アスカ:決まってるじゃない、やっつけるのよ!
シンジ:だからどうやってだよ!ライフルは落としちゃったし、背中の電池は切れちゃったし、後3分も動かないよ!
アスカ:…作戦はあるわ。
BGM:2-12
アスカ:ここにとどまる機体がディフェンス。A.T.フィールドを中和しつつ奴の溶解液からオフェンスを守る。
アスカ:バックアップは下降。落ちたライフルを回収しオフェンスに渡す。そしてオフェンスはライフルの一斉射にて目標を破壊。これでいいわね?
レイ:いいわ。ディフェンスは私が。
アスカ:おあいにくさま。あたしがやるわ。
シンジ:そんな、危ないよ。
アスカ:だからなのよ。あんたにこの前の借りを返しとかないと、気持ち悪いからね。
アスカ:シンジがオフェンス、優等生がバックアップ、いいわね?
レイ:分かったわ。
シンジ:………うん!
アスカ:じゃ、行くわよ!Gehen!
BGM:1-16に切り替え
シンジ:綾波!
シンジ:アスカ、よけて!
アスカ:これで借りは返したわよ!
シンジ:うん!
BGM停止
ミサト:も~ぅ、何で開かないのよ~!非常事態なのよ~!!はぁっ、もう、もれちゃう!こら、もう!上見ちゃ駄目、って言ってるでしょ!
加持:はいはい…お?
ミサト:やだ、ちょっと!
加持:おっとっと!
リツコ:…
マヤ:…不潔。
BGM:2-19
シンジ:電気…人工の光が無いと、星がこんなにきれいだなんて、皮肉なもんだね。
アスカ:でも、明かりが無いと人が住んでる感じがしないわ。
アスカ:ほら、こっちのほうが落ち着くもの。
レイ:人は闇を恐れ、火を使い、闇を削って生きてきたわ。
アスカ:てっつがくぅ~!
シンジ:だから人間って特別な生き物なのかなぁ。だから使徒は攻めてくるのかなぁ。
アスカ:あんたバカぁ?そんなのわっかるわけないジャン。
BGM停止