Aパート
BGM:S2W3-4
ミサト:いいわね、シンジ君?
シンジ:は、はい。
ミサト:最終安全装置、解除!
ミサト:エヴァンゲリオン初号機、リフトオフ!
リツコ:シンジ君、今は歩くことだけ、考えて。
シンジ:歩く…
リツコ:歩いた!
シンジ:歩く…
BGM停止
ミサト:シンジ君、しっかりして!早く…早く起き上がるのよ!
BGM:1-3
ミサト:シンジ君、落ち着いて!あなたの腕じゃないのよ!
リツコ:EVAの防御システムは?
マヤ:シグナル、作動しません。
マコト:フィールド、無展開!
リツコ:だめか!
マヤ:左腕損傷!
マコト:回路断線!
ミサト:シンジ君、よけて!
マヤ:頭蓋前部に、亀裂発生!
リツコ:装甲が、もう、持たない!
シゲル:頭部破損、損害不明!
マヤ:制御神経が、次々と断線していきます!
マコト:パイロット、反応ありません!
ミサト:シンジ君!
BGM停止
シンジ:!
シンジ:………知らない天井だ。
委員:使徒再来か。あまりに唐突だな。
委員:15年前と同じだよ。災いは何の前触れも無く訪れるものだ。
委員:幸いともいえる。われわれの先行投資が無駄にならなかった点においてはな。
委員:そいつはまだ分からんよ。役に立たなければ無駄と同じだ。
委員:左様。今や衆知の事実となってしまった使徒の処置、情報操作、NERVの運用はすべて適切かつ迅速に処理してもらわんと困るよ。
ゲンドウ:その件についてはすでに対処済みです。ご安心を。
テレビ:昨日の特別非常事態宣言に対する政府発表が今朝、第一…
テレビ:今回の事件には…
テレビ:在日国連軍の…
ミサト:発表はシナリオB-22か。
マヤ:はい、爆心地における汚染の心配はありません。使徒のサンプルはEVAに付着していたもの以外はまだ何も。そうです、模擬シミュレーションの通り、その99.9%が蒸発したものと思われます。
ミサト:またも事実は闇の中ね。
リツコ:広報部は喜んでいたわよ。やっと仕事ができたって。
ミサト:うちもお気楽なもんねぇ。
リツコ:どうかしら。本当はみんな恐いんじゃない?
ミサト:あったりまえでしょ…
委員:ま、そのとおりだな。
委員:しかし碇君、NERVとEVA、もう少しうまく使えんのかね?
委員:零号機に引き続き、君らが初陣で壊した初号機の修理代。国が一つ傾くよ!
委員:聞けばあのオモチャは君の息子に与えたそうではないか。
委員:人、時間、そして金。親子そろっていくら使ったら気が済むのかね?
委員:それに君の仕事はこれだけではあるまい。人類補完計画、これこそが君の急務だ。
委員:左様。その計画こそがこの絶望的状況下における唯一の希望なのだ。我々のね。
キール:いずれにせよ、使徒再来におけるスケジュールの遅延は認められん。予算については一考しよう。
委員:では、後は委員会の仕事だ。
委員:碇君、ご苦労だったな。
キール:碇、後戻りはできんぞ。
ゲンドウ:分かっている。人間には時間がないのだ。
ミサト:やっぱクーラーは人類の至宝、まさに科学の勝利ね。
リツコ:シンジ君が気付いたそうよ。
ミサト:で、容体はどうなの?
リツコ:外傷は無し。少し記憶に混乱が見えるそうだけど。
ミサト:まさか、精神汚染じゃ!
リツコ:その心配はないそうよ。
ミサト:そう…そうよねー、いっきなりあれだったもんね。
リツコ:無理も無いわ。脳神経にかなりの負担がかかったもの。
ミサト:心…の間違いじゃないの?
作業員:オーライオーライ!
作業員:よーし、そのまま!
ミサト:…EVAとこの町が完全に稼動すれば、いけるかもしれない。
リツコ:使徒に勝つつもり?相変わらず楽天的ね。
ミサト:あら、希望的観測は、人が生きていくための必需品よ。
リツコ:…そうね。あなたのそういうところ、助かるわ。
ミサト:じゃ。
アナウンス:第一内科のウガイ先生、ウガイ先生、至急、第一外科のアズマ先生までご連絡ください。
アナウンス:E事件の医療会議は予定通りに行われます。担当者は第2会議室へ集まってください。
リツコ:よろしいのですね、同居ではなくて。
冬月:碇たちにとってはお互いにいない生活が当たり前なのだよ。
リツコ:むしろ、一緒にいるほうが不自然、ですか…
ミサト:一人でですか?
NERV職員:そうだ。彼の個室はこの先の第6ブロックになる。問題は無かろう。
シンジ:はい。
ミサト:それでいいの?シンジ君?
シンジ:いいんです。一人のほうが。どこでも同じですから。
ミサト:…
リツコ:なんですって?
ミサト:だから、シンジ君は私んとこで引き取ることにしたから。上の許可も取ったし。心配しなくても子供に手ぇ出したりしないわよ。
リツコ:当たり前じゃないの!まったく何考えてるの、あなたって人は!いっつも…
ミサト:相変わらずジョークの通じない奴…
ミサト:さぁーて、今夜はパーっとやらなきゃね。
シンジ:何をですか?
ミサト:もちろん、新たなる同居人の歓迎会よ。
主婦A:やっぱり、引っ越されますの?
主婦B:まさかここが本当に戦場になるとは思ってもみませんでしたから。
主婦A:うちも主人が私と子供だけでも疎開しろって。
主婦B:疎開ねぇ。いくら要塞都市だからと言ったって、何一つ当てにできませんものね。
主婦A:昨日の事件!思い出しただけでもぞっとしますわぁ。
ミサト:すまないけど、ちょーっち寄り道するわよ。
シンジ:どこへですか?
ミサト:うふ、い・い・と・こ・ろ!
シンジ:なんだか寂しい街ですね…
ミサト:時間だわ。
BGM:1-11
シンジ:すごい!ビルが生えてく!
ミサト:これが使徒迎撃専用要塞都市…第3新東京市。私たちの街よ。
ミサト:そして、あなたが守った街…
シンジ:…
BGM停止
Bパート
ミサト:シンジ君の荷物はもう届いてると思うわ。実は私も先日この町に引っ越してきたばっかりでね…さ、入って。
シンジ:あの…お邪魔します。
ミサト:…シンジ君、ここはあなたの家なのよ。
シンジ:た、ただいま…
ミサト:おかえりなさい。
ミサト:まあ、ちょーっち散らかってるけど、気にしないでね。
シンジ:これが…ちょっち?
ミサト:あ、ごめん、食べ物を冷蔵庫に入れといて。
シンジ:あ、はい…
シンジ:氷…つまみ…ビールばっかし。どんな生活してるんだろ。
シンジ:あの、あっちの冷蔵庫は?
ミサト:ああ、そっちはいいの。まだ寝てると思うから。
シンジ:寝てる?
ミサト:いっただきまーす!
シンジ:いただきます…
BGM:1-8
ミサト:んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、ぷはーっ!かぁーっ!やっぱ人生この時のために生きてるようなもんよねぇ。
ミサト:食べないの?結構旨いわよ、インスタントだけど。
シンジ:いえ、あの、こういう食事、慣れてないんで…
ミサト:だめよ!好き嫌いしちゃあ!
シンジ:あっ、いや、あ、違うんです…あのぉ…
ミサト:楽しいでしょ?こうして他の人と食事すんの。
シンジ:あ、あ、はい…
ミサト:じゃあ、次いくわよ…ジャンケンポン!ポン!ポン!ポン!ポン!ポン!あー悪いわねーシンジ君。よし、これで公平に決めた生活当番もオールOKね!
シンジ:はい…
ミサト:さて、今日からここはあなたの家なんだから、何にも遠慮なんて要らないわよ。
シンジ:あ、あ、はい…
ミサト:もー、はいはいはいはいって、辛気臭いわねえ。おっとこのこでしょう!しゃきっとしなさいしゃきっと!
シンジ:はい…
ミサト:まあいいわ、いやなことはお風呂に入って、パーっと洗い流しちゃいなさい!風呂は命の洗濯よ。
BGM停止
ペンペン:ワキャキャキャキャキャキャキャ!
BGM:1-9R
シンジ:うわああああああ!みみみみミサトさーん!
ミサト:なに?
シンジ:ああっ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あん?
ミサト:ああ、彼?新種の温泉ペンギンよ。
ペンペン:クワッ
シンジ:あ、あれ…
ミサト:名前はペンペン。もう一人の同居人。それより、前、隠したら?
シンジ:うわあっ!
BGM停止
ミサト:チトわざとらしくはしゃぎすぎたかしら?見透かされているのはこっちかもね。
シンジ:(葛城ミサトさん…か。悪い人じゃないんだ…)
(ミサト:風呂は命の洗濯よ。)
シンジ:(でも、風呂っていやなこと思い出すほうが多いよな…)
シンジ:(父さんと…)綾波レイか…
リツコ:レイの様子はいかがでしたか?
ゲンドウ:………
リツコ:午後、行かれたのでしょう?病院へ。
ゲンドウ:後20日もすれば動ける。それまでに凍結中の零号機の再起動を取り付ける予定だ。
リツコ:つらいでしょうね、あの子達。
ゲンドウ:EVAを動かせる人間は他にはいない。生きている限りそうしてもらう。
リツコ:子供たちの意志に関係なく、ですか?
ミサト:そう、あんな目に遭ってるのよ…また乗ってくれるかどうか…
リツコ:彼のメンテナンスも、あなたの仕事でしょう?
ミサト:恐いのよ…どう触れたらいいか分からなくて…
リツコ:もう泣き言?自分から引き取るって、大見得切ったんじゃない。
ミサト:うっさい!
ミサト:(あの時、私はシンジ君を自分の道具としてみていた…リツコと同じか…)
ミサト:(あの使徒を倒したというのに…)嬉しくないのね…
シンジ:(ここも、知らない天井…当たり前か、この街で知っているとこなんて、どこにも無いもんな…)
(ミサト:ここは、あなたの家なのよ)
シンジ:(なんでここにいるんだろう…)
BGM:3-4
シゲル:頭部破損、損害不明!
オペレータ:活動維持に問題発生!
ミサト:状況は!?
マヤ:シンクログラフ反転、パルスが逆流しています!
リツコ:回路遮断、塞き止めて!
マヤ:だめです、信号拒絶、受信しません!
ミサト:シンジ君は!?
マコト:モニター反応無し、生死不明!
シゲル:初号機、完全に沈黙!
リツコ:ミサト!
ミサト:ここまでね…作戦中止、パイロット保護を最優先!プラグを強制射出して!
マヤ:だめです、完全に制御不能です!
ミサト:なんですって?
オペレータ:EVA、再起動!
マヤ:そんな、動けるはずありません!
ミサト:まさか…
リツコ:暴走!?
BGM:1-18にチェンジ
冬月:勝ったな。
リツコ:A.T.フィールド!?
ミサト:だめだわ、A.T.フィールドがある限り
リツコ:使徒には接触できない!
シゲル:左腕復元!
ミサト:すごい…
マヤ:初号機もA.T.フィールドを展開…位相空間を中和していきます!
リツコ:いいえ、侵蝕しているのよ…
ミサト:あのA.T.フィールドをいとも簡単に…
ミサト:自爆する気!?
BGM停止
ミサト:EVAは…?
リツコ:あれがEVAの…
ミサト:本当の姿…
シゲル:回路、接続。
オペレータ:システム回復、グラフ正常位置。
マコト:パイロットの生存を確認。
リツコ:機体回収班、急いで!
ミサト : パイロット保護を最優先に!
シンジ:うわあああああああ!
ミサト:シンジ君…開けるわよ…
ミサト:一つ言い忘れてたけど、あなたは人にほめられる立派なことをしたのよ。胸を張っていいわ。
ミサト:おやすみ、シンジ君。
ミサト:がんばってね。