セリフ/【帝国が憎いか。この私を憎んでいるか】

Last-modified: 2018-05-02 (水) 22:39:59

FF12

ラバナスタ新執政官就任式典にて、演説の壇上に登ったヴェインが開口一番で発した言葉。
以下、演説内容全文。

ヴェイン「ラバナスタ市民諸君。帝国が憎いか。この私を憎んでいるか。」
(ラバナスタ市民たちのヤジが飛ぶ)
ヴェイン「聞くまでもなかったな。
私自身、諸君の憎しみをぬぐえるとは思っていない。
私は諸君の忠誠を求めない。
諸君は、亡きラミナス陛下への忠誠を守り通すべきだ。
陛下は国民をこよなく愛し、平和の実現に力を尽くした、真の名君であらせられた。
陛下の大御心は、今なお諸君を見守っている。
ダルマスカの平和と繁栄を願っておられる。
諸君、私はただひとつ求めよう。
陛下の御遺志を継ぎ、平和への祈りを!
あの痛ましい戦乱から2年。ようやく萌した平和の芽を、諸君の祈りで大樹へと育ててほしい!
それだけを忘れずにいてくれるなら、私ごとき、いくら憎まれてもかまわん!
私は逃げることなく憎しみを受け止め、背負い、そしてダルマスカを守ろう!
これは私の、償いである。
亡きラミナス陛下とアーシェ殿下は、今なお諸君を見守っておられるのだ。
祖国を愛する者たちよ。
亡き陛下の御遺志を継ぎ、平和への祈りを。
私の望みは、ただそれだけである。」

演説のセリフを書いた渡辺氏によると、松野氏のプロットには
「演説によってヴェインがラバナスタ市民から信頼を得る」ことだけが決まっていたという。
占領された側が占領した側を演説の言葉だけで好意的に評価するという流れだが、
腰を低くして媚びへつらうような内容ではヴェインの凄みがでない。
ラバナスタ市民にもプレイヤーにも「ありがちな占領者とは違う」という印象を与えるために、
文章構成だけでなくヴェインの表情や身振り手振りにも工夫が凝らされている。
 
演説の内容は、アーシェを死人扱いしたり、
ダルマスカを守る(後にダルマスカを戦場に解放軍と激突)と言ったり、明らかな嘘が見られる。
しかし帝国の属領であるダルマスカが繁栄することは帝国の利益になるので、すべてが丸々嘘でもない。
 
この演説が終わりラバナスタ市民から拍手を浴びると、ヴェインはかすかに笑みを浮かべる。
これについては「してやったり」とも「照れ笑い」とも取れる笑みにしているという。
「この人は悪い人だ」とプレイヤーに思われヴェインの印象が固定化することだけは避けたかったそうで、
「笑っていることに気付かない人がいてもかまわないくらいの笑みにしよう」という考えだったという。

  • 一見「平和」を尊重するようでありながら、
    敢えてそれを破壊した動機については一言もなく、
    反省も謝罪もなく、二度と繰り返さないという誓いもない。
    やたらと視線を故人に誘導し、自らの動向を隠したがってるような意向が見え、
    「祈りながらでも何かが出来る」ではなく「ひたすら祈ってろ」な辺り、
    既に感じ取っていたであろう水面下の蠢動を心底鬱陶しがってることが窺える。
    他国の占領下であることが喜ばしいことであるはずがないだろうに
    「解放されようとするな」と言う辺り根っからの支配者視点の上から目線である。
    賛否両論だという意味が分からん。
    • 要するに不満を言いたければ罰しないから隠さず言え。暴力に訴えてくんなという意味。
      ラバナスタのNPCの話を聞く限り、執政官としてヴェインはラバナスタ市民の不満を片っ端から片づけるために奔走しまくってたことが伺える。
      ヴェインが本国に戻った時も、ラバナスタ市民からはヴェインが帰ってしまったのを惜しむ声がちらほらとある。
    • 「憎まれてかまわん」演説を執政官就任直後にやらかし、その後も占領民の境遇を重視する統治姿勢を打ち出したことは、今まで帝国兵が横暴を働いても泣き寝入りするしかなかったラバナスタ市民にとっては良くも悪くも衝撃的なことではあった。

「これは私の、償いである。」という一節は、オキューリアを倒すための犠牲への償いと考えられる。
執政官となったヴェインはラバナスタに勤務する帝国兵の規律を正し、
占領地に対する施政としてはかなり良心的なものだった。


実際問題、侵略戦争を仕掛けてきた相手を演説だけで信頼するというのは無茶苦茶である。
これなら大昔に世界平和が達成されただろうし、オキューリアが頭を抱えることもなかっただろう。
これで丸く納まれば解放軍の存在意義にも疑問が出てくる。
 
こうした点を考慮してか、NPCに聞き込みをしてみると辛辣な見方をしている市民も多い。
ヴェインを評価する市民でも、帝国は憎いがこれ以上戦争は嫌だといった意見もある。
結局のところ完全に信頼されたわけではない様子。

  • あくまで可能性だが、ああいう演説をする一方で「草」を民に紛れ込ませておき、
    「ヴェインを見直した」「悪者扱いはひとまず保留にしよう」
    という意見を唱えさせるぐらいの宣撫工作はやっていてもおかしくない。
    演説ひとつで心を変える人間など滅多に居ないが、演説プラス「周囲の人々の雰囲気」で
    意見を変えてしまう人なら大衆レベルで結構居るものである。
    • 日本政治のマスコミ工作とはわけがちがう。
      ヴェインたちは侵略者なわけで、煮えたぎるほどの憎悪がその程度で静まるはずもない。
      現実に戦後半世紀以上経つ今でも戦後処理云々で周辺国と揉めている。
      • 戦後処理に関しては外交政策のカードや内政統治の一貫として旧枢軸国の秕政を出汁にして、
        政治経済面の便宜を得たり自国民の統制を目論む意図もあるから例に出すのはどうだろうか?
        (ちなみに、通俗的な意味での歴史修正主義に同意しているつもりはないので誤解無く)
    • そういう宣撫工作もしてたかもしれないが、ヴェインの場合、帝国のラバナスタ統治方針も占領民にとっては良い方向に劇的転換したので、そっちの影響のほうが大きかったと思われる。

DFFAC・NT

ヴェインのネタチャットのひとつ(レベルは12)。
「この私を憎んでいるか!」